ステーキ!  世界一の牛肉を探す旅

2012-02-21 14:32:39 | 日記

マーク・シャッカー著   中央公論新社刊

残念ながら、私は「魚派」であって、牛肉は一年を通して1キロ食べているかどうか、だ。著者のように一週間に二キロ近く食べるなんて、想像も出来ない。
本書を通して見えて来るのは、草食動物である牛が、今や穀物食動物になってしまったことだ。しかも、餌となるトウモロコシは遺伝子組み換えのハイブリットで、おまけに抗生物質と成長ホルモンまみれときている。これが本来の牛肉の旨さを阻害しているそうだ。著者の父上は1953年には本物のステーキを食べたそうだから、僅か半世紀で変わってしまつたということになる。ジェーン・グドールによれば、この事情はブタもニワトリも、そしてフォアグラも変わらないらしい。
ここで問題は二つに分かれる。ひとつは昔ながらの草食で育った牛肉の「味」を知っている人。もうひとつは草食紛いの牛肉しか食べていない人。前者は、旨いステーキを求めて世界中を旅する必要がありそうだ。後者の人は、まっ、そのままでいいのではないか。前者の人達には、著者が「これぞステーキ」といった産地と店名が列挙されているので、訪ねてみるといい(著者は松阪牛や神戸牛に高得点を与えていない、ことに注目)。
要は感性と好みの問題だと思うのだが、著者の拘りは半端ではない。ステーキに目のない人には必読の本。但し、要所に散りばめられている食物栄養学・化学・医学の部分を読み飛ばさないように!
巻末に、「おいしいステーキを焼く方法」が掲載されているので、参考にするといいでしょう。もっとも、コツはたったひとつらしいが……。

 


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