海を渡った人類の遥かな歴史 -名もなき古代の海洋民はいかに渡海したのか-

2013-08-07 09:38:20 | 日記

ブライアン・フェイガン著   河出書房新社刊

以前からずーっと不思議に思っていたことが、本書で氷解した気がする。つまり、出アフリカを果たした人類が、海を渡り、遂にはポリネシア・オーストラリアさらにはハワイに移住し、繁栄したのかである。これまでの説では、端的に言えば偶然のチャンスを活かした(流木や筏で漂流していて偶然島を見付けた)というものだった。しかし、それでは無人島で人口が増えた理由が分からなかった。まさか、それほど多くの人々が一度に無人島に漂着した訳ではあるまい。
本書のキーワードは「出発点に戻れることを前提に、未知の海に漕ぎ出した」である。これならば納得できる。おそらく、ある地域で人口が過剰になったか、敵対する人々が登場したことが原因だろう。そこで、勇気ある少数の男達が未知の海に乗り出した。ただし、戻れることを絶対条件に。当然であろう。戻って家族・一族を再びその無人島に連れて行かなければならなかったからだ。それができたからこそ、島々に多くの人々が住む結果になったのだ。短絡的な要約だが、本書の言わんとするところはそうだと思う。コロンブス達が新大陸を発見したという時、そこには住人が居たのである。
しかし、「出発点に戻れることを前提に、海に乗り出した」という視点がいい。妙に興奮して読みましたよ。


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