謎の独立国家ソマリランド -そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア-

2013-03-12 15:30:26 | 日記

高野秀行著   本の雑誌社刊

無茶苦茶面白い本。但し、内容はなんともやり切れない話なのだが。
本書のルポの舞台は、アフリカ東北部(アフリカの角)のソマリア共和国。しかし、ソマリアと言えば海賊国家であり、政府は無きに等しい国、というか海賊稼業が国家収入の国。というのが一般通念ではないだろうか? 私もそう思っていた。いや、それ以上は知らなかった。
ところが、サブタイトルで分かるようにソマリア共和国は三つに分断されていて(実際はその他にも独立国家と称する国が幾つかあるらしい)、その中のひとつソマリランドは民主主義の国だそうだ。国民投票で大統領は選出されるし、自国通貨(微妙だが)が流通し、ここ十数年も内戦がない。しかし、国連は国家として承認していないし、彼らもそれを望んではいない。これも分からない話なのだが…。あとの二つはサブタイトル通りの国。
こうなった直接の原因は、氏族同士の対立らしい。著者はそれを日本の源平時代を借りて解説しているが、当を得ていると思う。ということは『平家物語』を読むのと同じくらいややこしいということなのだが…。まっ、言ってみれば源平時代群雄割拠している武将達にどちらかと問えば、源氏だとか平氏とは言うものの、同時に地元では同族同士が骨肉相食んでいた状況と考えると分かり易い。犠牲になる庶民には堪ったものではないが、それが現状らしい。
話は飛ぶが、早稲田大学探検部って面白い人達を輩出しているな、と思った。ともかく逸脱振りが半端じゃない。エールを贈ろうかな?


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