嘘つきアーニャの真っ赤な真実  読み返した本 6

2011-02-05 14:57:52 | 日記
米原万理著 角川文庫
またまた、米原万理である。本書は著者が60年から64年、プラハのソビエト学校で学んだ同級生を、30年後に探し出すメモリー・ツアーである。社会主義が崩壊した後、衛星国であった中欧(東欧ではない)諸国がどう変わっていったのか、同級生がそれをどう乗り越えていったのかの物語でもある。
著者がテーマにしているのは、自分の国を意識するということはどういう場合かということである。彼女によれば、外国に住んで初めて意識する。そして、小さい国、発展の遅れている国の人々ほど強烈に意識するのだと言う。その経験のない私でも、その主張はよくわかる。
話は代わる。日本の国旗「日の丸」と、国歌「君が代」に対して、軍国主義を鼓舞するものだという一部の意見があり、裁判沙汰になっている。
でも、考えてほしい。国際的なスポーツ大会では金メダルを取った国だけが国歌を吹奏される。3位までの国は国旗が掲げられる。国際会議では参加国の国旗が掲揚される。国歌と国旗がなかったらどうすればいい。まるで、名無しの権兵衛だ。サッカーの国際試合では日本の応援団は日の丸の打ち振り、選手は国歌吹奏に際して右手を胸に当てて直立しているではないか。
自国を意識するのは国の外に出ないと経験できないかもしれないが、国内にいてもそれは意識できる。過去の亡霊に捉われた「井の中の蛙」の戯言はもうやめてほしい。

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