飼い喰い  三匹の豚とわたし

2012-02-25 08:35:36 | 日記

内澤旬子著  岩波書店刊

牛の次は豚である。意図した訳ではない。たまたまこういう順序になっただけ。
それにしても「飼い喰い」というタイトル、やや品がないとも思うが、本の内容を的確に表しているのだから良いのだろう。但し、著者も言っているようにほんの半世紀ぐらい前までは、庭先で飼っていた鶏や豚、時に老いた牛を潰して食べるのは当たり前だったけれど(私自身鶏ならば何度も潰したし、親戚の家では牛を潰した)、誰もそれを「飼い喰い」とは言わなかった。
内容は予想したとおりだった。予想外は、食感を確かめるために三種類の豚、中ヨーク・三元豚・デュロックを同時に飼ったということだった。豚一頭でも大変な手間がかかると思うのだが、女手ひとつで三頭というのは無謀というか冒険というか……。
しかし、約1年に及ぶ「軒先豚飼い」をやり遂げたのは凄い。帯に「前人未踏の体験ルポ」とあるが、嘘ではない。「どんな味だったか?」は、本文に譲る。しかし、著者は肉食する時、これまでとは違う感性を持たざるを得ない、ということは分かるような気がする。
ただ、ここでも「配合飼料・ハイブリットトウモロコシ」の陰がちらつく。これは世界的な傾向なのだろうが、もはや後戻りできない所まで来てしまったようだ。


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