広辞苑の中の掘り出し日本語

2011-07-16 08:30:22 | 日記
永江 朗著   バジリコ㈱刊

「辞書を読む」と言うと、意外に思うかもしれない。つまり、日本語のデータバンク。著者も前書きで言っているように、データバンクの使い勝手から言えば、「電子辞書」の方が便利だし、分厚いページを捲るよりはるかに便利だ。しかし、電子辞書を使うのは「ピンポイント攻撃」に似ていて、調べたい項目や意味が分かればクリアしてしまうのが普通ではないか。
でも、思い出して欲しい。たまに『広辞苑』なり『大辞林』を引いた時に、肝心の言葉よりも先に同音異語や似たような漢字をつかった単語に目が行って、ついついそれを読んでしまうという経験をしたことはないだろうか。
辞書には言葉の歴史、由来はもちろんだが、その国の文化がある。前回紹介したように「豚に真珠」と「猫に小判」は同義の俚諺だが、その国の人々が豚と猫どちらに身近だったかを物語っている。
辞書は「知らなかったこと」「誤解していたこと」「初めて知った自分の国の歴史」を再発見できる「本」なのだ。つい最近『そして、僕はOED(Oxford English Dictionary)を読んだ』という本が出版されたが、世間には結構こういう人たちがいるのだ。
酷暑の昨今、寝転んで読むには格好の本。ただし、誤解して得意そうに使っていた言葉に冷や汗をかいたりして、思わぬ効果があったりして……。

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