イスラム飲酒紀行

2011-07-18 15:53:38 | 日記
高野秀行著  扶桑社刊

著者は余程の酒好きらしい。各章の出だしは「私は酒飲みである。休肝日はまだない」で始まる。彼の枕詞らしい。彼と競うわけではないが、私は酒を飲み始めてからこれまで飲まなかった日など一日もない。
といった枕詞はともかくとして、彼はカタール、ドーハ、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド、バングラデシュと、イスラム教国を取材しながら、その傍ら「酒はないか」とひたすら探しまくったそうだ。読んでいるとそちらの方が、メインではないかとさえ思えてくるのだが……。結論。喩え厳格なイスラム教国でも、酒はあるし、呑ん兵衛もいる。
よく考えてみれば、当たり前かもしれない。人類はその誕生から酒を造っていた。おそらく猿たちが造っていた果実酒の上前をはねることにに始まり、ついには自前で造り始めたのだろう。宗教が発祥するはるか以前のことである。酒の味を覚えたのは、ありがたい宗教の教えを知る前だったのである。
まっ、手近かなところで日本を見ても、坊さん達は酒を「般若湯」と言い換え「酒ではない、お湯だ」といって呑んでいた。人類が存在する所に酒あり、そして酒を呑む言い訳ならば五万とあるということか。
禁酒している方は、どうかそのままお続けください。本書を手に取ることもお控えになった方がいいかもしれません。



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