スパイス、爆薬、医薬品 -世界史を変えた17の化学物質ー

2012-01-21 15:15:21 | 日記

P・ルクーター、J・バーレサン著  中央公論新社刊

煩雑だけれども、17の化学物質を列挙してみよう。
胡椒・ナツメグ・クローブ(1章、以下同じ)、アスコルビン酸(2)、グルコース(3)、セルロース(4)、ニトロ化合物(5)、シルクとナイロン(6)、フェノール(7)、イソプレン(8)、染料(9)、アスピリン・サルファ剤・ペニシリン(10)、ピル(11)、魔術の分子(12)、モルヒネ・ニコチン・カフェイン(13)、オレイン酸(14)、塩(15)、有機塩素化合物(16)、キニーネ・DDT・変異ヘモグロビン(17)。
これらが「世界史を変えた」と言う意味に、見当つきかねると言う人、あなたは本書の読み手の資格十分あり、です。そう、本書は化学を(科学ではない)通して世界史を読み解こうというユニークな本です。
ただ、この本のいたるところに、例の亀の甲や四角にO・N・C・Hなどが繋がっている化学構造式が出ているので、手にとってパラパラとページを捲った人は、それだけで読む気が失せるかもしれない。でも、それは勿体ない(偉そうなことは言えない。私も危うくそうするところだった)。
読み進んでいくうちに、それが煩くなくなり、「ここにCがひとつ付いただけなのに? それで物質の性質が変わるってどういうこと?」といった疑問が湧いて来て苦にならなくなる。
ただ、「塩」が15章に登場するのが不思議だった。「なんで? 塩は人類が最初に手にした化学化合物じゃない?絶対第1章だ」と思ったのだが、読了して納得した。こういう視点から見た世界史には、また違う価値観をもたらす。退屈は絶対しません。 


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