吉村 昭 -取材と記録の文学者-

2014-01-03 09:20:23 | 日記

KAWDE夢ムック   河出書房新社刊

著作一覧を見て思ったのは、意外にもこの人の本をよく読んでいたことだった。別にファンだとは意識していなかったのだが……。特に幕末と第二次大戦関係が多かったように思う。
正直に言うと、例えば『長英逃亡』である。その執拗さに辟易したにも拘らず、完読した覚えがある。お蔭で蛮社の獄に関しては、人物関係からその経過まで頭に入った。『日本医家伝』もそうだった。これはその後の仕事に多いに役立った。『大黒屋光太夫』は「ジョン万次郎」を読んだ時には、二人を対比することで面白かった。
その他にもいろいろ読んだが、自分でも不思議なのだがその執拗さにうんざりしながら、読み飛ばしをしなかったことだ。サブタイトルにあるように、取材によるリアルさに魅せられたとしか思えない。これが、彼以降の作家にはない魅力だと思う。
本書を読んで、改めて『生麦事件』を読んでみようと思っている。さて、あの本、書棚の何処にあるものやら、買った方が早いか!


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