尼さんはつらいよ

2012-02-02 15:22:56 | 日記

勝本華蓮著  新潮新書

どうしてこの本を手にしてしまったのか、自分でもよく分からない。私が尼僧になれる筈もなく、望んでもいないのに……。
日本で一番最初に出家したのは、男性ではなく女性だった。584年、司馬達等の娘の嶋(善信尼)ら三人で、高句麗から来た還俗僧の恵便から受戒した(後に百済に渡り正式に受戒した)。言わば仏教の伝道師のパイオニアだった尼僧が、何時の間にか男の僧にとって替わり、今日では尼僧は絶滅危惧種らしい。
その原因は、男性優位社会にあるのだろう。もうひとつは宗教の世俗化だが、これはどの宗教界に普遍的なことのように思える。しかし、女性蔑視の風潮は宗教界に多いのかもしれない(仏教の世界には、フェミニズムなんて決して存在しない、浮世離れした世界だということ)。
しかし、著者が言わんとしているのは、別の次元であるように思う。「救われたい」「癒されたい」という願望を持つ女性にとって、尼寺(広い意味では仏教も)は解決の場ではない、ということを言いたいのではないか。要するに自分自身で考え、行動するしかない、尼寺を安直に頼るな、と言っているように思える。
勿論、著者自身が尼僧であるので、尼寺・尼僧の復権を願っている。しかし、である。自覚を持った尼僧の出現が絶対条件である、と言いたいらしい。



コメントを投稿