内館牧子著 朝日新書
タイトルがいい。多分、私の世代だと祖父母からしょっちゅう言われていた「口が腐っても言うな!」と同義語だと思うが…(「金を積まれても…」という言葉も、花柳界や役者の世界の言葉で堅気の使う言葉ではない!と言われていましたので)。
しかし、さすが脚本家、言葉の収集、それに対する話者の情況分析は凄い。但し、『広辞苑』の捉え方には少々疑問がある。短絡的な言い方だが「広辞苑に載っていれば公認された」言葉ではない。広辞苑はかなり多数の人々が使っている言葉を収集しているのであって(その意味では『現代用語辞典』と変わらない)、そこに「その言葉の変遷プロセス」が載っているところに価値がある。著者が度々引用しているように、その言葉の拠って来た大本を知る手掛かりを知ることが出来るからだ。
それにしても、著者が憤慨する気持は良く分かる。こうなってしまった原因はもう分からない(現にいい年の人達も使っているそうだから)。多分、家族構成の変化、学校教育の変化にその根はあると思うのだが……。しかし、「カネを積まれても使いたくない」日本語が増えたこと! 呆れる他ない。著者が本書を書いた動機は痛いほど分かる。
文法的違反ではないのでは。
「国民が投票していただく」
「視聴者が見ていただく」
「お客様が買っていただく」
政財官のお偉方がこぞって使う間違い敬語の一つ。
安倍総理も使っていますね。
右翼趣味の人たちの掲示板に書いたら
「何も変じゃないじゃないか」ですって。呆れた。