根来寺を解く  -密教文化伝承の実像-

2014-03-04 15:09:56 | 日記

中川委紀子著   朝日新聞出版刊

根来寺というと二派に分かれるのではないだろうか。一方は歴史通で、僧兵、雑賀衆、鉄砲、信長、秀吉という連鎖反応をする人。もう一方は、二月堂、お水取りという季節の風物詩の舞台である根来寺。しかし、真言密教の法灯を今も守っている寺院であることを知っている人は少ない筈である。私も前者派。
秀吉に火を掛けられ、大伝法堂、大塔(現在は国宝)、大師堂が炎上したところまでで、知識は断絶している。本書は根来寺創建から焼失、再建までのプロセスを詳述すると共に、如何に真言密教の法灯を守ったか(それなりの宗教上の争いがあったのだが)、その経緯が書かれている。
私のような前者派はぜひ読んだ方がいい。とくに、根来寺鉄砲伝来説はあやしいらしい。それだけで戦国時代の読み方が変わる。


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