増補 幸田 文 対話 上・下 ー父・露伴のことー

2012-10-15 15:11:01 | 日記

岩波現代文庫刊

残りの頁を惜しみながら読む本、というのが世の中にはある。私にとって幸田文はそうした作家のひとりだ。ましてや、対談集となると堪らない。
幸田文の使う言葉が、私の耳に残っている言葉だからだ。「あたし」(因みにこれは私の日常語だ)、「あたしたち」、「みそっかす」(ついこの間まで使っていた)等々。どれも祖母や母が使っていた言葉だし、当然あたしも使っていた。祖母が露伴の、母が幸田文の世代に当たる。
それにしても、言葉だけではなく、親の躾もそのままだった。だからこれを読むと「あたしも、だらしなくなった」と反省せざるを得ない。
実は、本書が単行本で出た時の初版を私は持っている。今回、未収録11編が追加されているというので買ったのだが、結局初めから通読してしまった。読み直しても心に残る本と言うのは、滅多にない。

 

 

 


コメントを投稿