サルなりに思い出す事など

2014-07-29 15:44:02 | 日記

ロバート・M・サポルスキー著   みすず書房刊

子どもの頃の夢が「マウンテンゴリラになる」という子供が地球上に何人いるだろうか? しかも、ニューヨークに住んでいる子供がである。私の夢? 「大人になりたい」でしたね。平凡です。多分うるさい制約が嫌やだったのでしょうね。しかし、最終的にはサバンナのヒヒの研究者になったのだから、初志貫徹したといっていい。
本書はそのヒヒに関する研究過程とそのメモワールである。ユニークなのは、野外観察では各個体に旧約聖書に出てくる人物の名前を付けたことである。野外観察で個体にニックネームを付ける事はままあることだとは思うが、まさかアマテラスオオミミとかスサノオノミコトなんて名を付ける事はまず無いと思うのだが…(勿論、論文では個体〇〇と記したそうだが)。
これが、研究書にありがちな読みにくさを解消しているどころか、大成功。個体の一匹一匹が明確な人間像?を持ってくるから不思議だ。読んでいて、妙に一匹一匹に親しみが湧いて来て困った。面白いです。とてもヒヒの研究書とは思えない。