芸と人  -戦後歌舞伎の名優たち-

2014-01-18 15:21:00 | 日記

織田紘二著   演劇出版社刊

サブタイトルを見て一瞬思い浮かんだのは、「昭和も遠くなりにけれ」だった。平成も25年経った今、このフレーズも現実味を帯びてきたのかな。そう言えば、この頃歌舞伎を観ていて「先代はここが…」と思っていることに気がつくことがある。
という、年寄り染みた話は置いておいて(苦笑ものだな、この台詞…)、本書に挙げられた役者は18人だが、この内3人(十四代目守田勘弥・三代目河原崎権十郎・三代目市川左團次、もちろん観ていた筈だが細かい所まで思い出せない、という意味で)を除いて、本舞台を観た役者だったし、贔屓の役者も何人か居る。
感想はいろいろある。人によって様々ではないか。円熟した役者(すでにそうだった人、その過程にいた人、最後に華を咲かした人)に比べれば、今の役者に不満を感じるものではないだろうか。素人考えでは、今の役者には深みがない(専門家が言う、腹ができていない)とは常々思うが。
歌舞伎ファンには恰好の本。著者が国立劇場(職員)という視点に限っているところもいい。著名な歌舞伎評論家とは一味違う趣がある。