山本周五郎 長編小説集第七巻 赤ひげ診療譚・おたふく物語

2014-01-13 08:54:59 | 日記

新潮社刊

偶に、読んでいた心算で読んでいない本がある。『赤ひげ譚』がそうである。当時、他のジャンルに目が向いていたこともあるが、いち早くテレビか映画になったのが原因ですっかり読んだ心算になっていた。
そこで『赤ひげ』だが、私は赤ひげ本人が主人公の話だと思っていたようである。その門下生・保本登がメインの小説だとは思っていなかった。「赤ひげ」が、何故「赤ひげ」たる存在になったのか、その彼の軌跡と心境の変遷、そして当時の幕府の政策と医学界の状況を期待していた。周五郎の手元にはその資料が充分あった筈なので…。
という訳で期待外れだった。これは保本登の成長譚であって、その意味では周五郎の他の作品と変わらない。
という訳で、少々残念だった。