人種は存在しない  -人種問題と遺伝学-

2013-05-03 09:33:00 | 日記

ベルトラン・ジョルダン著   中央公論新社刊

テーマが直截なので買った。
「人種」って言葉、嫌いだな。というか、ぞっとする。この言葉を錦の御旗にどれほどの人々が虐待され、殺戮されたのだろう!? というのが、世界の常識の筈だが、どっこい未だ世界のあちこちでこの思想は健在である。どうにかならないのだろうか?
本書はタイトルで分かるように、最新の科学データを元に「人種は存在しない」ことを実証した本なのだが、尽々思うのはこの思想が人類共通の認知を受けるのは4分の一世紀か、下手すると半世紀が必要になるかもしれない。どうしてか? それは過去の歴史が雄弁に物語っている。社会的な利害関係や国際的な権力争いもあるだろうが、どうしようもなく存在する最悪の原因は宗教的信念と独裁的国家の独り善がりである。過去に何人かの識者が「人種は存在しない」と主張したが、力ずくで否定されてしまった。これはもう人類の叡智の進化を待つより他ない。
という理由で、いまは暗澹たる心境にいる。何故「人種は存在しないか」については、もう少しスッキリ纏めたいので後日に…。