赤猫異聞

2012-09-12 08:16:08 | 日記

浅田次郎著  新潮社刊

流石、浅田次郎。押さえる史実はしっかりと踏まえている。それにしても、幕末から維新後の市ヶ谷監獄への移行期のデータをどうして手に入れたのか、そちらの方を読んで見たくなった。
押さえるべき史実は押さえ、その上に物語を構築していく、この古典的な時代小説手法が無くなって久しい。テーマは現代、時代は江戸時代の何時か、当時の身分制度やきまり事は無視したお手軽な時代小説が多すぎる。
面白いことを知った。「赤猫」と言えば、火付け・放火犯というのが時代小説の常識だと思っていたが、実は「赤猫」は「江戸の華」だったなんて、初めて知った。
これ以上は、これから読む人のために書かない。僅かな事実(多分…)と虚構が綯い交ぜになった、最近では稀有な時代小説だと思う。オススメです。