ジグザグ山歩き

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クライマーズハイ

2008-07-05 21:05:41 | 映画
 原田眞人監督の「クライマーズ・ハイ」をみた。
1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。生存者は4名のみである。事故当時、地元紙の社会部記者として取材に奔走した経験を持つ作家・横山秀夫が、17年の時をかけて書き上げたベストセラー小説を映画化したものである。主演は堤真一で、架空の新聞社である「北関東新聞社」で取材の事故全権デスクを任命される。悠木和雄の下で取材に走り回る社会部記者・佐山達哉役は堺雅人(34)が演じる。女性記者・玉置千鶴子役は、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」の主演・尾野真千子(26)が演じている。
クライマーズハイとは登山で、気持ちが高揚し興奮状態が極限まで達して恐怖感さえ麻痺してしまう事だそうである。この映画は、これになぞって、記者達の熱い一週間を描いた力作である。また、多くの遭難者を出している谷川岳でのロッククライミングシーンがあり、それと日航機が墜落した御巣鷹山との23年のタイムラグを交互に写しながら映画は進行している。
この映画は、新聞記者たちの人間模様をメインに描いているが、内容も盛りだくさんである。新聞業界内部の軋轢もリアルに描かれている。その中で、悠木はダブルチェックを信条としてはいるが、スクープと誤報は紙一重であって、究極の判断でも悩むことになる。
映画を観て、事故の3日後の8月15日というのは、中曽根首相の靖国参拝が騒がれた年でもあったことに気づく。中曽根首相の靖国参拝記事を優先させようとする社長や上司達との確執も交錯して、記事のつばぜり合いがあったことも描かれている。新聞の使命と権力との関係はいつでもついて回る課題でもある。一方でこの年は、清原と桑田のPL学園が甲子園で優勝をした年でもあったようである。
乗客名簿に子どもの名前が出てくる。原田監督は「美谷島健君の名前は、僕にとって日航機墜落事故の原点。『美谷島健、9歳』。乗客名簿に見た時、『お父さんもお母さんもいないところで、彼は亡くなったんだ』と。その衝撃をずっと引きずっていた。映画では子を思う親の心を中心に描いた。その気持ちに突き動かされて撮った」と語っている。美谷島さんは、私の職場ともつながりがあって、今は卒園した子どものフレンドホームさんでもあった。健君の母親、美谷島邦子さんは、「8.12連絡会 日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故被災者家族の会」の事務局長を務めておられる。
 

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