goo blog サービス終了のお知らせ 

ジグザグ山歩き

山歩き、散歩、映画など日々、見たこと、聴いたこと、感じたことなどつれづれに。

落語娘

2008-09-01 19:26:59 | 映画
最近、寄席に通うこともよくあって、「落語娘」という映画が上映されているというので見に行くことにした。ちょうど映画の日でもある。そこで、今朝、休みで、新宿に映画でも見に行くと娘に話をしていたら、久しぶりに今日はあいているので、娘もいきなり行くと言い出す。市役所に最初行くからと、駅で待ち合わせていたら、遅れてくる。結局、都庁で、パスポートを取りたいからついでに映画に付き合った様子。ちゃっかり。終わってからは、都庁の展望台に行ったり、ビールも飲んで帰る。もちろん、こちらの負担である。
「落語娘」は落語の男社会に飛び込んだ女性、香須美(ミムラ)と破天荒の師匠、三々亭平佐(津川雅彦)の物語。落語という伝統芸能の世界では男尊女卑があって、厳しい。この師匠は、演じると死ぬといわれるいわくつきの演目「緋扇長屋」に挑む。この演目も映像をうまく使って、演じている。落語監修には落語家・柳家喬太郎があたっているし、現役の落語家たちが監修に参加して、実際に、ワンポイントで有名落語家も出演している。猛稽古を経て臨んだといわれるミムラは、「寿限無」「景清」「たらちね」などの演目を見事に披露していて、落語も楽しめる。私がよく行く「末廣亭」も舞台になっていた。落語を扱っているだけあって、映画の落ちもある。なかなか構成は考えられている。娘はもう少し笑わせてもらえるかなと思ったといっていたが、確かにこういう題材だと落ちはあっても笑いをとる場面は意外に少なかったかもしれない。
 それでも、映画の創作で、男尊女卑の様子など極端な描写もあったかもしれないが、普段はなかなか目にできない、高座の裏側も垣間見られる作品で、楽しめた。
都庁に行ったついでに展望台にも上がって、天気はよかったが、かすんでいた。あまり遠望はなかった、その後のビールが美味しかった。

ダークナイト

2008-08-09 21:34:41 | 映画
朝一番で、家の周りの草取りをして、シャワーで汗を流した後、「バットマンシリーズ」の最新作のダークナイトが公開されたので、早速見に行く。全米で、驚異的なペースでヒットを続けているとのこと。
監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベールによる「バットマン・ビギンズ」の続編。ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマン=ブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらと共にジョーカーに立ち向かう。ジョーカーを演じるのは、本作撮影後に急逝したヒース・レジャーである。圧倒的な存在感を見せつけた。伝説の人になるであろう。
アメリカン・コミックのヒーロー、バットマンの活躍を描く人気シリーズがもとになっているが、アニメが原作でもこの作品の特徴的なのはリアルな感覚、それはセットという作り物ではなく、ロケ撮影にこだわった賜物ともいわれている。爆破やカーチェイスの数々においても「実写」へのこだわりを見せ、圧倒的な迫力を生んでいる。
パットマンとデントとゴードンの三者のルールと正義のパワーゲーム的なスリルと人間の弱さも描いている。バットマンは、法を語らずに自分なりのルールで刑を執行している。デントは、法に則したルールで進めていた。ゴードンは警察だから法律は大きな要素かもしれないが、実行力がものをいう。三者のルールに対して、ジョーカーにはルールはなく、冷酷残忍である。そして、ジョーカーの過去の真実は触れられていないが、身近な者から虐待を受け、社会的にも疎外され、虐げられた人生で、悲惨な経験をもつのかとも思った。ジョーカーが死の二者択一を仕掛ける。人間の弱さを利用した生き残りゲーム。とにかく金が目的ではなく、動機がわからない無差別殺人を繰り返す。そこには人間に対する強い恨みや憎しみから起こしているようにも見えるが、それも定かではない。ジョーカーの起こす犯罪のリアルさはアメリカに限らず、日本でも最近無差別事件が多くて、考えさせられる。
しかし、暗い夜の次には朝が来る。映画の終盤には人間の持つ「希望」の姿も描いているように感じた。
 

クライマーズハイ

2008-07-05 21:05:41 | 映画
 原田眞人監督の「クライマーズ・ハイ」をみた。
1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。生存者は4名のみである。事故当時、地元紙の社会部記者として取材に奔走した経験を持つ作家・横山秀夫が、17年の時をかけて書き上げたベストセラー小説を映画化したものである。主演は堤真一で、架空の新聞社である「北関東新聞社」で取材の事故全権デスクを任命される。悠木和雄の下で取材に走り回る社会部記者・佐山達哉役は堺雅人(34)が演じる。女性記者・玉置千鶴子役は、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」の主演・尾野真千子(26)が演じている。
クライマーズハイとは登山で、気持ちが高揚し興奮状態が極限まで達して恐怖感さえ麻痺してしまう事だそうである。この映画は、これになぞって、記者達の熱い一週間を描いた力作である。また、多くの遭難者を出している谷川岳でのロッククライミングシーンがあり、それと日航機が墜落した御巣鷹山との23年のタイムラグを交互に写しながら映画は進行している。
この映画は、新聞記者たちの人間模様をメインに描いているが、内容も盛りだくさんである。新聞業界内部の軋轢もリアルに描かれている。その中で、悠木はダブルチェックを信条としてはいるが、スクープと誤報は紙一重であって、究極の判断でも悩むことになる。
映画を観て、事故の3日後の8月15日というのは、中曽根首相の靖国参拝が騒がれた年でもあったことに気づく。中曽根首相の靖国参拝記事を優先させようとする社長や上司達との確執も交錯して、記事のつばぜり合いがあったことも描かれている。新聞の使命と権力との関係はいつでもついて回る課題でもある。一方でこの年は、清原と桑田のPL学園が甲子園で優勝をした年でもあったようである。
乗客名簿に子どもの名前が出てくる。原田監督は「美谷島健君の名前は、僕にとって日航機墜落事故の原点。『美谷島健、9歳』。乗客名簿に見た時、『お父さんもお母さんもいないところで、彼は亡くなったんだ』と。その衝撃をずっと引きずっていた。映画では子を思う親の心を中心に描いた。その気持ちに突き動かされて撮った」と語っている。美谷島さんは、私の職場ともつながりがあって、今は卒園した子どものフレンドホームさんでもあった。健君の母親、美谷島邦子さんは、「8.12連絡会 日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故被災者家族の会」の事務局長を務めておられる。
 

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

2008-06-23 11:10:27 | 映画
考古学者インディ・ジョーンズが秘宝を求めて世界を駆け巡る冒険活劇のシリーズ第4弾。前作の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』が1989年製作で、実に19年ぶりの製作である。映画の舞台も、『最後の聖戦』から19年後の1957年である。神秘的なパワーがあるという秘宝“クリスタル・スカル”を求めてインディは冒険の旅に出るという設定になっている。
ジョージ・ルーカス製作総指揮で、監督がスティーブン・スピルバーグ。主演はハリソン・フォードのほか、相棒役に『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフ、ソ連の指揮官にケイト・ブランシェットなど演技派が名を連ねる。ハリソン・フォードはさすがに老いは感じるものの、存在感がある。シャイア・ラブーフは、アクションは見事であるが、もう少し目立ってもいいかなという感じであった。ケイト・ブランシェットは凛とした美女指揮官で、圧倒的な存在感があった。
過去のインディ・シリーズからの流れがあるのはなんとなく感じる。また過去のルーカス、スピルバーグ作品からの人間関係や親子関係を描写することも似ているなと感じる部分もあるが、はまりすぎている。ルーカスとスピルバーグという黄金コンビで期待値は高まるが、やはり話題になっているように、過去の遺産で食っているイメージが残る。今までのルーカスやスピルバーグの作品を見ている人たちにとっては、斬新さがなく、脚本や演出に物足りなさを感じてしまう人も多いのであろう。
しかし、それでも映画自体はトレジャーハントやアクションは健在で、十分に楽しめる。伝説の都市探しや車による滝の川下りなどは、見入ってしまった。19年ぶりのシリーズで、ある種のノスタルジーを感じさせるのか、観客は意外に年配の方が多かった。

 

マジックアワー

2008-06-07 21:09:33 | 映画
三谷幸喜監督・脚本の新作「ザ・マジックアワー」が初日で見た。楽しみにしていた作品である。映画マニアだった三谷は、名作のオマージュをいっぱい盛り込んでいることを見終わって、ネットでみてみるとわかった。ビリー・ワイルダー監督の『お熱いのがお好き』がモチーフになっているほか、市川昆監督の『黒い10人の女』やギャング映画の代表作『暗黒街の顔役』などの過去の作品へのオマージュにもなっているとのことである。劇中映画として登場するのは、「カサブランカ」をパクッた「暗黒街の用心棒」、故市川崑監督の「黒い十人の女」をもらった「黒い101人の女」では、生前の市川監督の演出ぶりも見られる。深津絵里が三日月に乗って歌うのはウッディ・アレン監督の「ギター弾きの恋」で、曲はショーン・ペンがサマンサ・モートンに歌った「アイム・フォーエバー・ブローイング・バブルス」など、まだまだあるとのこと。確かに渋い映画のオマージュになっているような気はしたが、すぐには気がつかなく、読んでみると、なるほどと思った。やはり、市川監督もでていたのだ。
マジックアワーとは、太陽が地平線に落ちてから、完全に光がなくなるまでのわずかな時間のことである。この時間にカメラを回すと幻想的な絵が撮れるということで、こう呼ばれているとのこと。それにしても豪華な顔ぶれである。売れっ子の佐藤浩市が売れない俳優、妻夫木聡がギャングの子分を演じている。ギャングのボスが西田敏行であり、ボスの愛人役で深津絵里が演じる。オマージュのところでも豪華な出演である。その豪華さの中で綾瀬はるかなどが埋没気味である。
三谷監督も劇場作品は4作目。テクニック的にはこなれてきている印象。フジテレビが全面的にバックアップして、大宣伝を繰り広げている。三谷監督も頻繁にテレビにでるようになってきた。そういう意味では新鮮さに欠けてきている気がしてならない。確かに劇場では笑う人は多いし、私もつい笑って、うまくできていた。これだけの豪華な俳優とセッティングにもお金をかけて、ある意味、有名になった三谷があまり制約もなく自分のしたいようにできたかもしれない。しかし、だからこそ物足りなさを感じる部分があるのかもしれない。笑いを取ることにてんこ盛りで、ばたばたしている気もした。
ただ、あまり深く考えずに、三谷監督は本当に映画が好きであることがよく伝わってくるし、今回は、オマージュとコメデイに徹したような気がする。その中で、言いたかったのは、人生の輝きも一瞬であるかもしれないが、誰もそこにかけており、そのときにできなくても、次の日にまた陽が昇り、夕方になると輝く一瞬はめぐってくる。そのために生き続けるのかも知れない。そんなことも言いたかったのかもしれない.

パリ、恋人たちの2日間

2008-05-24 19:37:12 | 映画
映画「パリ、恋人たちの2日間」が本日初日で、新宿で見た。
フォトグラファーのマリオンとインテリアデザイナーのジャックは付き合って2年。ベネチア旅行の帰りにパリの彼女の実家に立ち寄った。両親に会ったジャックは、そのあまりの自由奔放ぶりにびっくりしたり、食文化の違いがあったり、カルチャーショックを受ける。街に出れば、次々とマリオンの元カレに遭遇する。親しげに話す彼女の姿に戸惑いを隠せない。嫉妬心に苛まれた彼のイライラは募るばかりである。
ジュリー・デルピーが監督、脚本、製作、主演、音楽、編集を手がけた本作は、パリを訪れた倦怠(けんたい)期のフランス人とアメリカ人のカップルがさまざまな危機に遭遇するラブコメディー。この2人の間に横たわる大きなカルチャーギャップを、日常のささいな事柄をユーモラスに、チャーミングに、そしてちょっぴりシニカルに描いているのである。恋人役のジャックは実際に元カレであったといわれている。マリオンの両親役には、ジュリーの実の両親であるベテラン俳優、アルベール・デルピーとマリー・ピレが演じている。こうして身内を使いながら低予算で本作をつくりあげているが、演技も自然でうまく演じているように見えた。
しかし、ただ単純なラブストーリーではなく、米仏の文化や性的な違いなどを描きながらも、社会や政治の問題もちりばめている。例えば、ジャックがテロを警戒してバスに乗ることを嫌がったり、カビを見て「バイオハザードだ」と叫ぶ場面があったりする。9・11以降自信を喪失し、神経質になった米国人の姿も皮肉っている。
とにかく、二人のカルチャーギャップを通して、ウィットに富んだ演出や脚本はうまくできていると思った。

フィクサー

2008-04-24 11:43:59 | 映画
弁護士事務所に所属しながら表に出ないで、裏で仲介役をして交渉をまとめる姿を描いた映画「フィクサー」を見た。フィクサーとは「もみ消し屋」である。
地味なサスペンススリラーではあるが、内容は見ごたえがあった。
フィクサーであるマイケル(ジョージ・クルーニー)は、仕事に嫌気が指しながら、裏方仕事から抜け出せず、ギャンブル三昧の日々。しかも、アル中の従兄弟ティミーとレストラン事業を共同経営し、破産して、借金に追われる。離婚もして不安定な生活をしている。彼の同僚アーサー(トム・ウィルキンソン)は、クライアントである巨大企業である農薬会社の利潤優先の悪事に対して、良心の呵責に耐え切れず、反撃に出た。それにマイケルも巨大企業の裏事情を知り巻き込まれて行く。崩壊寸前のマイケルが、あるものに心を奪われて、人間性に目覚める。農薬会社の法務担当カレン(ティルダ・スウィントン)は、敏腕なビジネス・ウーマンであり、裁判を企業側に有利に進めようとした。この3人の内面に迫る脚本と演技が見所である。特に、ティルダ・スウィントンは、人間の生身の感情を描いた人物描写が見事で、この作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。監督は、『ボーン・アイデンティティー』シリーズの脚本家トニー・ギルロイである。

大いなる陰謀

2008-04-19 17:42:56 | 映画
「大いなる陰謀」を見た。ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、そしてトム・クルーズと豪華共演の映画である。アメリカの対テロ政策の裏を描いている。
セリフが多くて、メッセージ色を前面に出している。ほとんどが会話を読むことに集中しなければならないのだが、字幕を追うのに大変で、内容も淡々と進み、勤務が泊り明けで見たので、見事に睡魔が襲ってきて、睡魔に勝てなかった。再度、見なければならないが、これだとテレビでもよいかなとも思った。ただ、ロバート・レッドフォードのアメリカの今の状態に「言わなきゃいけない」という意気込みは感じられる作品ではある。トム・クルーズが未来の大統領とも目される上院議員を演じているのだが、ほとんどセリフだけで、動かなかったのももったいない感じもした。


ノーカントリー

2008-03-20 19:51:16 | 映画
第80回アカデミー賞4部門を受賞したノーカントリーを観にいった。ベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)は、狩りの途中で偶然、大量のヘロインと200万ドルという大金を見つけた、金を持ち去る。そこで、彼の運命が大きく変わる。謎の殺し屋・シガー(ハビエル・バルデム)から執拗に追われることになる。事態を察知した年配の保安官・べル(トミー・リー・ジョーンズ)は二人を追い始める。3人の男の思惑と自信が絡み合って、映像が展開していく。アメリカ西部、テキサスの町を舞台に、コーエン兄弟監督作品である。原作はコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国 」('03)である。
とりわけ異彩を放つのが、殺し屋シガーである。コインの裏表で殺しを決め、次から次へと圧縮した空気が飛び出す酸素ボンベであるスタンガンで、冷酷に殺しを進めていく。狙った標的は必ず仕留め、逃さないという人間の感情は持たない、怖くなるほどの存在感だ。生きていくうえでは誰もが事故に会ったり、二者択一の選択を迫られて、運命的な出来事が起こったりすることを象徴しているのかもしれない。確かに暴力場面は多いが、しかしそこからは何も生まれないこともいっているのかもしれない。
それにしても、わかりにくい作品なのか、人生自体がわかりにくいといっているのかもしれないが、見終わって、どうなったんだと思ったこともあった。聞き過ごしてしまった言葉や見過ごしてしまった場面が多く、いろいろなメッセージも多かったのではないだろうか。理解できない犯罪が日本でも最近増えてきているが、アメリカでも増加している現実も確かだろうと思う。