おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

L.A.大捜査線/狼たちの街

2020-11-19 07:29:52 | 映画
「L.A.大捜査線/狼たちの街」 1985年 アメリカ


監督 ウィリアム・フリードキン
出演 ウィリアム・L・ピーターセン
   ウィレム・デフォー
   ジョン・パンコウ
   デブラ・フューアー
   ジョン・タートゥーロ
   ダーラン・フリューゲル

ストーリー
アメリカ合衆国秘密捜査官のチャンスとその相棒ジミーはよく息が合うコンビだったが、定年退職を2日後に控えたある冬の日、ジミーは射殺死体で発見された。
長年追い続けた偽札犯人エリックを追いつめた結果の惨劇だった。
命がけの仕事の上では最高の相棒、そして私的にも親友であったジミーの死体を前に、チャンスはエリックへの復讐を誓った。
新しく相棒になったジョンと行動を再開したチャンスは、手始めに空港で偽札を使用した男を捕まえたところ、名をカールといい、偽札の運び屋でアタッシュケースには1000万ドルの現金が詰まっていた。
刑務所に収容されたカールを訪ねたエリックはいつ自白するとも知れぬカールの様子に不安を抱き、弁護士のマックス・ワックスマンにカール保釈の相談にいく。
同じ頃チャンスは仮釈中の女情報屋から、ワックスマンが偽札をさばいていることを聞きだし、彼を追いはじめた頃、エリックの愛人のビアンカが弁護士事務所を訪ねてきてワックスマンを誘惑していた。
その時、突然、エリックが現われ、金庫から金を奪うとワックスマンを殺して逃げた。
事情を察知したチャンスは事務所に飛び込み、偽札の取り引きの暗号が記されているメモを入手した。
再び女情報屋から、盗品のダイヤを買うために5万ドルを持ってバイヤーがロスに来ると聞いたチャンスは、エリックに依頼した偽札の前金3万ドルをそれに当てようとバイヤーを襲撃したが、実は彼はFBIの囮捜査員で、追跡してきた謎の取り引き相手に殺されてしまう。
相棒のジョンはチャンスの強引なやり方を強く責めるが、エリック逮捕に燃えるチャンスは聞く耳をもたなかった・・・。


寸評
はみ出し刑事のはみ出し捜査を描いた作品は数多くあり名作も多いが、「L.A.大捜査線/狼たちの街」はそれらの系譜に入りながらも一風変わったストーリーを持つ刑事ものである。
チャンスとジミーは長年のコンビで偽札犯のエリックを追っていて、ジミーが殺されたことでチャンスはエリック逮捕に執念を燃やすが、復讐とでもいうべき犯人追跡がすさまじい。
犯人逮捕のために違法捜査がエスカレートしていく展開が息をも飲ませない。
脚本に粗さが目立つもののチャンスの執念がほとばしり出る。

ジミーはエリックのアジトを捜査に行きそこで殺されてしまうのだが、チャンスが言うようになぜ一人で行ったのかの疑問は最後まで解けない。
チャンスが情報を得ている女性は、弁護士のマックス・ワックスマンが偽札をさばいていること、盗品のダイヤを買うために5万ドルを持ってバイヤーがロスに来ることを知りえる立場にいたと思うが、一体彼女はその情報をどのようにして入手したのかの疑問は残る。
また5万ドルを持ってダイヤを買い付けに来たバイヤーもチャンスの目の前で射殺されるが、チャンスが叩き壊したアタッシュケースは現場に捨て去ったままである。
当然指紋などが残っていたはずだが、犯人像は二人の白人であることと髪の毛ぐらいの情報しか捜査官たちに知らされていないのは捜査不足ではないかと感じるが、それらの疑問をふっ飛ばしてしまう後半の追い込みが素晴らしく、僕は二人の捜査官の処置におもわず唸ってしまった。

ジミーが殺されたことで新たに相棒となったジョンとのコンビがやはりこの映画のバックボーンを構成している。
ジョンは保身的であり、チャンスの違法捜査を咎めながらも相棒として引きずられていく。
チャンスはワックスマンが殺された現場から取引メモを警察に渡さず持ち去っているのにも目をつむる。
一人で暴走したことだとジョンをかばう態度はみせるものの、チャンスの行為はエスカレートしていく。
現行犯逮捕するためにエリックから偽札を買い付けようとするのだが、その為の手付金が3万ドル必要となる。
捜査当局からは1万ドルしか出ないため、チャンスは盗品ダイヤを買い付けるバイヤーから5万ドルを強奪することにするのだが、これは捜査官が強盗をするということで、チャンスのやることは一線を超えてしまって犯人逮捕の為なら何でもやるという状態となる。
このバイヤーは取引相手によって射殺されてしまうのだが、実はこのバイヤーは・・・となってから映画は俄然面白くなる。
そしてついにエリック逮捕のために偽札購入取引に向かうのだが、ここでのアクションがど肝を抜く。
アクションもそうだし、起きることも意表を突くもので、それを一気に片付けているのが素晴らしい。

軟弱そうだったジョンが変身するのはよくあるパターンで驚きはしないが、うまくまとめている。
この映画、もう少し大物俳優を使って撮っていればもっと楽しめる作品になっていたような気がする。
チャンスのキャラクターにもう少しアクの強さがあっても良かったし、ジョンはもっとリベラルな雰囲気があっても良かったように思う。