「タワーリング・インフェルノ」 1974 アメリカ
監督 ジョン・ギラーミン
アーウィン・アレン
出演 スティーヴ・マックィーン
ポール・ニューマン
ウィリアム・ホールデン
フェイ・ダナウェイ
フレッド・アステア
O・J・シンプソン
リチャード・チェンバレン
スーザン・ブレイクリー
ロバート・ヴォーン
ロバート・ワグナー
ジェニファー・ジョーンズ
ストーリー
サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎えた。
設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。
工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)と久しぶりに二人だけの時間をもったのだが、惨事はその時すでに始まっていた。
81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ。
保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、ダンカンは拒絶した。
ロバーツはダンカンの義理の息子であるロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、ビルの配線工事を担当した彼の配慮不足を責めたが、あとの祭りだった。
一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に浮き足立っていた。
オフィス用、住宅用に作られたこのビルには、株専門のサギ師ハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)、富豪未亡人リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)などすでにさまざまな人が住みついた。
外部からの招待客として上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)などがいた。
だが81階の物置室から出火した火は拡がり、ロバーツは消防署に急報した。
連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着しダンカンに緊急避難を令じた。
寸評
パニック映画としては「ポセイドン・アドベンチャー」とこの「タワーリング・インフェルノ」が双璧ではないかと思う。
「ポセイドン・アドベンチャー」ほどのドラマ性はないが、救出劇、鎮火作業激を極めてストレートに描いている。
アメリカ映画が得意としてきた王道を真正面から描いた作品と言える。
それを示すかのような映画の入りで、始まるとすぐにヘリコプターの飛行が映し出される。
海辺を飛び、山超え、丘越え、霧のサンフランシスコに飛来していく。
その間少しケバいタイトルが表示され、この映画を消防士たちに捧げるとのテロップも入る。
やがてヘリコプターに乗っている主人公のひとりであるポール・ニューマンのアップになり物語が始まる。
すぐに手抜き工事による発火が起こり、その原因を引き起こした人物が描かれてこの映画の悪役が決定する。
パーティに参加している人たちは火災の発生を知らないが、観客である我々は知っている。
登場人物たちがエピソードを交えて紹介されていくが、これから2時間半の長丁場をどうやって引っ張っていくのかと思うほど早い時期での事故発生なのだ。
火災が次々と延焼拡大し、それに従って救出手段がどんどん変っていく。
内部エレベーター、展望エレベーター、屋上に救助ヘリ、隣のビルへワイヤーで吊るす救命籠、ヘリでエレベーターを吊り下げる、極めつけは・・・という風に変化していくテンポがいい。
主役二人はかっこいいが、特にマックイーンが黙々と消火することに邁進する一点集中ぶりにしびれてしまう。
このストレート感がこの映画の持ち味だ。
地味だが忘れがたい存在なのがバーテンダーで、彼は非常時でも平常心で仕事をこなし子供の面倒もみる。
死を覚悟し、自分は詐欺師であると告白しようとする老詐欺師に、「全て嘘だと知っていたわ」と許す未亡人。
鎮火後、老詐欺師は未亡人を探すが彼女は転落死しており、助かった猫を渡される。
アメリカ人てこういうエピソードが好きだと思うので、これもまた王道を行っているのだと感じる。
火災を消し止め、疲れた様子で石段に座るニューマンにマックイーンが声をかける。
「今日の死者は200人を切ったが、今にもっと大きなビルで1万人以上の死者がでる」
当時は予言だったのだろうが、それがテロという火災事故とは別な原因によるものとはいえ、9.11という現実が我々に突きつけられてしまったことは悲しいことだ。
超高層ビルはバベルの塔だ。 人間の思い上がりの象徴でもある。
そこに予想だにしなかった事が起きると、巨大ビルだけに滞在している人数も人数だけに、その被害は計り知れないものがあることは想像に難くない。
日本でも絶対安全なはずの原発が事故を発生させたのだ。
テロリストの航空機による自爆テロが原発に対して行われることなどは予想していない状況下にある。
公開当時は現実には起こりえないパニック映画として楽しめた映画だったが、今見ると40年後の現在を予言していたような映画だったのだという気がする。
話しが終わりかけたとき、ひょっこり無傷であらわれる保安主任のO・J・シンプソンは一体どこでなにをしていたのかなあ?
監督 ジョン・ギラーミン
アーウィン・アレン
出演 スティーヴ・マックィーン
ポール・ニューマン
ウィリアム・ホールデン
フェイ・ダナウェイ
フレッド・アステア
O・J・シンプソン
リチャード・チェンバレン
スーザン・ブレイクリー
ロバート・ヴォーン
ロバート・ワグナー
ジェニファー・ジョーンズ
ストーリー
サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎えた。
設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。
工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)と久しぶりに二人だけの時間をもったのだが、惨事はその時すでに始まっていた。
81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ。
保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、ダンカンは拒絶した。
ロバーツはダンカンの義理の息子であるロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、ビルの配線工事を担当した彼の配慮不足を責めたが、あとの祭りだった。
一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に浮き足立っていた。
オフィス用、住宅用に作られたこのビルには、株専門のサギ師ハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)、富豪未亡人リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)などすでにさまざまな人が住みついた。
外部からの招待客として上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)などがいた。
だが81階の物置室から出火した火は拡がり、ロバーツは消防署に急報した。
連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着しダンカンに緊急避難を令じた。
寸評
パニック映画としては「ポセイドン・アドベンチャー」とこの「タワーリング・インフェルノ」が双璧ではないかと思う。
「ポセイドン・アドベンチャー」ほどのドラマ性はないが、救出劇、鎮火作業激を極めてストレートに描いている。
アメリカ映画が得意としてきた王道を真正面から描いた作品と言える。
それを示すかのような映画の入りで、始まるとすぐにヘリコプターの飛行が映し出される。
海辺を飛び、山超え、丘越え、霧のサンフランシスコに飛来していく。
その間少しケバいタイトルが表示され、この映画を消防士たちに捧げるとのテロップも入る。
やがてヘリコプターに乗っている主人公のひとりであるポール・ニューマンのアップになり物語が始まる。
すぐに手抜き工事による発火が起こり、その原因を引き起こした人物が描かれてこの映画の悪役が決定する。
パーティに参加している人たちは火災の発生を知らないが、観客である我々は知っている。
登場人物たちがエピソードを交えて紹介されていくが、これから2時間半の長丁場をどうやって引っ張っていくのかと思うほど早い時期での事故発生なのだ。
火災が次々と延焼拡大し、それに従って救出手段がどんどん変っていく。
内部エレベーター、展望エレベーター、屋上に救助ヘリ、隣のビルへワイヤーで吊るす救命籠、ヘリでエレベーターを吊り下げる、極めつけは・・・という風に変化していくテンポがいい。
主役二人はかっこいいが、特にマックイーンが黙々と消火することに邁進する一点集中ぶりにしびれてしまう。
このストレート感がこの映画の持ち味だ。
地味だが忘れがたい存在なのがバーテンダーで、彼は非常時でも平常心で仕事をこなし子供の面倒もみる。
死を覚悟し、自分は詐欺師であると告白しようとする老詐欺師に、「全て嘘だと知っていたわ」と許す未亡人。
鎮火後、老詐欺師は未亡人を探すが彼女は転落死しており、助かった猫を渡される。
アメリカ人てこういうエピソードが好きだと思うので、これもまた王道を行っているのだと感じる。
火災を消し止め、疲れた様子で石段に座るニューマンにマックイーンが声をかける。
「今日の死者は200人を切ったが、今にもっと大きなビルで1万人以上の死者がでる」
当時は予言だったのだろうが、それがテロという火災事故とは別な原因によるものとはいえ、9.11という現実が我々に突きつけられてしまったことは悲しいことだ。
超高層ビルはバベルの塔だ。 人間の思い上がりの象徴でもある。
そこに予想だにしなかった事が起きると、巨大ビルだけに滞在している人数も人数だけに、その被害は計り知れないものがあることは想像に難くない。
日本でも絶対安全なはずの原発が事故を発生させたのだ。
テロリストの航空機による自爆テロが原発に対して行われることなどは予想していない状況下にある。
公開当時は現実には起こりえないパニック映画として楽しめた映画だったが、今見ると40年後の現在を予言していたような映画だったのだという気がする。
話しが終わりかけたとき、ひょっこり無傷であらわれる保安主任のO・J・シンプソンは一体どこでなにをしていたのかなあ?