日本政府は極悪非道なトンデモ・ロシアに天誅を加えるべく、ロシア産石油の輸入禁止措置に踏み切った。問題は、この禁輸措置が日本の電力事情に大きな影響を及ぼすことである。次のような記事がある。
「石炭は発電用の燃料や、鉄鋼、セメントの生産などで使われており、約1割がロシア産だ。日本の総発電量の3割を石炭火力発電に頼っており、萩生田経済産業相は8日の閣議後記者会見で『停電につながることは避けたい』と述べた。」
(読売新聞オンライン4月9日配信)
停電には至らないにしても、ロシア産石油の禁輸が電気料金の値上げなど、日本の電力事情に大きな影響を及ぼすことは間違いない。
だから禁輸措置をやめろ、と言いたいのではない。トンデモ・ロシアを締め上げ、ウクライナでの極悪非道な残虐行為をやめさせるには、経済制裁は、日本政府がとりうる唯一有効な手立てである。それによって日本国民の生活が苦しくなるにしても、そんなのはウクライナの人々が蒙っている辛酸に比べれば、屁のようなものだ。ロシア産石油の禁輸は、断固やるべし!
ただ、きのう読んだ以下のニュースとの関連で、今こそ日本の電力政策を見直す好機ではないかと、ちょっぴり物申したいだけである。
「四国電力は9日、太陽光や風力など再生可能エネルギーの受け入れを一時的に止める『出力制御』をしたと発表した。九州電力に続いて全国2例目。東北電力も10日に実施する見通しだ。各地で再エネの電気が増え、季節や天候によっては地元で使い切れない状況が広がっている。再エネ事業者は投資に見合った収益を得られず、普及にブレーキがかかる懸念がある。」
(朝日新聞DIJITAL4月9日配信)
春や秋のこの時期、電力の供給量には余剰が出てしまうらしい。余った電力は、その分カットしなければならない事情はわかる。大規模停電を避けるには、需給のバランスをはかることが必須になるからである。
だが、余剰分の削減対象は、なぜ再エネからの供給に限らなければならないのか。なぜ火発(火力発電)や原発からの供給量を減らそうとしないのか。
ロシア産石油の禁輸により、今後は火発の発電価格も値上がりするに違いないから、まずは火発の供給分から削減の対象にする、と考えるのが、筋の通った(一石二鳥の)合理的な対策ではないのだろうか。
おそらく電力業界には、合理的な思考では割り切れない複雑怪奇なしがらみが根を張り、天下の自民党政権でも、こればかりはどうにもならないのだろう。
いやはや。