ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

胡蝶の

2022-04-14 09:56:42 | 日記


共通の話題がないと、会話は成立しないものだ。
法事があり、私も含めて5人ほどの年寄りが集まった。
親類とはいえ、普段の行き来がないから、
当然、共通の話題もない。

皆が一様に薄笑いを浮かべて、
「いや〜、最近はずいぶん暖かくなりましたなあ」
などと言ってお茶をにごす。

そのうち雲行きが怪しくなり、小雨が降りはじめた。
「それじゃあ、私はこれで失礼します。本降りになる前に家に帰らないと」
そう言いながら、私はついうとうとと居眠りを始めた。

居眠りを始めたところで、目が覚めた。
「ああ、夢だったのか・・・」
私は布団の中でそうつぶやいたが、
一瞬、自分が布団の中で法事の夢を見ていたのか、
法事の席の居眠りの中で
夢から覚める夢を見たのか、
分からなくなった。

突然、自分の居場所を見失った戸惑いに
それは似ていた。

荘子の「胡蝶の夢」が分かった気がした。

胡蝶の夢:中国の戦国時代の荘子の説話。
夢の中で胡蝶(蝶のこと)としてひらひらと飛んでいた所、
目が覚めたが、
はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、
それとも実は夢でみた蝶こそが本来の自分であって、
今の自分は蝶が見ている夢なのか、という説話。

法事の席の私は、
とても蝶と言えるようなひらひらの自由な姿ではなく、
「早く羽化したい!」と願う
芋虫か何かだったような気がするのだが・・・。



コメント
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