「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「ラブ・クリスマス!」(ボクとワタシのイブまでの一週間戦争!)(23)(最終回)

2013年12月24日 | 過去の物語
クリスマスイブ当日の土曜日。午後6時20分。

「リョウコ」

と、マリー・スイフトがリョウコに声をかける。

「タケルはリョウコの為に必死だったわ。あんな憎まれ口を聞いているけど、タケルは、本当に真剣にあなたとガオを守ってた」

と、マリー・スイフトは、少し端の方にいた、リョウコに声をかけてくれる。

「あなた、今回のこと、少し反省しているんでしょ」

と、マリーは、リョウコに言う。

「はい・・・わたし、まだまだだなって。タケルさんにも迷惑かけちゃったし、マリーさんの細工にもひっかかったし」

と、リョウコは素直に言う。

「若いうちは、誰だってそうよ。たくさん失敗しなさい。そして、それをリカバリーすれば、あなたの周りはすべてがポジティブになる。あなたは、それを目指すの」

と、マリーは言う。

「それが大人になるということよ。タケルはそれをしてきたから、大人の素敵な男性になってるのよ、きっと・・・」

と、マリーは言葉にした。

「ま、それより、大切なのは、タケルが本気であなたを守ろうとしたことよ」

と、マリーが言う。

「?」

と、リョウコはよくわからない。

「人は規則で生きているんじゃないってこと。タケルはリョウコがかわいいから、本気で守ったのよ。他人にそう思わせるあなたの真面目さが、そうさせたのよ」

と、マリー。

「わたしも、さっき、つい、あなたに、声をかけたくなったもの・・・それがあなたの宝物よ。それを大事にしなさい」

と、マリーは、言ってくれた。

「仕事が出来るなんてことより、そっちの方がよっぽど大事なんだから。人間生きていくにあたっては、ね」

と、マリーが、やさしく、言葉にする。

「はい・・・ありがとう、マリー。なんとなく、今ので、わかったわ」

と、リョウコは、笑顔になった。


マリーも一緒に笑顔になった。


と、そこへ、なんとなく見慣れた風景が・・・。


「あれ?ショウコさんじゃ、ありません?」「あ、ほんとだショウコさん」「あ、ショウコさんだ」

と、アイリとアミとマミは、同時に目の前を通り過ぎようとしたアイリ達のボス、編集長のショウコを見つけ出す。

「あら・・・あなた達、ここにいたの?タケルくんは?タケルくん、戻ってきたんでしょ?ニューヨークから」

と、ショウコは笑顔。

「え、どうしてそれを?」

と、アイリは不思議がる。と、タケルもショウコに気が付き、近づいていくる。

「あ、ショウコさんじゃないですか。ショウコさんも、来てたんですか。花火大会」

と、タケルはうれしそうに近づくが・・・。

「あれ、スガさん・・・なんで、ショウコさんと一緒に・・・」

と、タケルは、ショウコが、タケルのプロジェクトのプロジェクト・リーダーの須賀田と一緒にいることを発見してしまう。

「お、おう・・・」

と、須賀田は、照れ気味で、口数が少ない。

と、アイリはひらめく。

「ショウコさん、もしかして、ショウコさんが教えていた東大に入学した高校生って・・・須賀田さんのこと、だったんですか?」

と、アイリが言うと、

「そ。須賀田イチロウくん・・・当時は高校生で初々しかったけどね」

と、ショウコはにっこりと笑う。

「タケルくんがイブに帰ってこれないって聞いたから・・・帰れるようにしてあげたの・・・わたしが」

と、ショウコは、タケルに言う。

「え?俺が今ここにいるのは、ショウコさんのおかげだったんですか!」

と、タケルは驚きながらも、

「ありがとうございます。ほんと、助かりましたよ。今年のイブは、いろいろあって、帰ってこれなかったらと思うと、ぞっとしますよ」

と、タケルはショウコと握手握手。

「いいのよ、タケルくん・・・あなたには、返しきれない恩があるから・・・」

と、ショウコもやわらかい笑顔。

「おんなは、好きな男性とイブを過ごしたいと思うモノなの」

と、ショウコは照れながら言う。


と、そこへ、沢村イズミと田中美緒のカップルがやってくる。

「あれ?中王大の田中美緒ちゃんじゃない?」

と、アイリが声をかける。

「あ、アイリさん・・・噂の彼は、誰ですか?」

と、美緒がはしゃぐように話す。

「あ、これなの。鈴木タケル・・・って、美緒ちゃんのイケメンの彼氏って、沢村イズミくん?!」

と、アイリがびっくりする。

「あれ、アイリさん・・・っていうか、パパ、帰ってたの?」

と、イズミ。

「お、おお・・・つーか、ガオもいるぞ」

と、タケル。

「なんだ、皆、勢ぞろいじゃないか」

と、ガオ。


イブの晩、皆、勢ぞろいだった。


クリスマスイブ当日の土曜日。午後6時半。


「お、あがったぞ」「あがった」「あがった!」

各所から声があがり、15分だけの、伝説のイブの江の島花火大会が華やかに始まった。


恋人達は、その華やかな風景をしっかりと胸に刻み込んでいる。


「綺麗ね」

鈴木優が、祐の横で、そっと言う。

「うん。こんな伝説の花火大会に連れてきてもらって、よかったね」

と、祐が優に言う。

「僕、今回のことで、決めたことがあるんだ」

と、祐が優に言う。

「なあに?」

と、優が聞く。

「優ちゃんのいとこの、タケルさんみたいに・・・俺、おとなになったら、タケルさんみたいになるって、決めたんだ」

と、祐が言う。

「どうかな?」

と、祐が優に聞くと、

「うん。それって、素敵だと思う」

と、優は、祐を見ながら言った。


優は、祐と手をつないだ。

祐と優は目を見つめ合うと、笑顔になった。


17歳のクリスマスイブは、二人にとって、素敵な思い出になった。



リョウコが、言う「タケルさん、メリー・クリスマス!」

アミが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」

マキが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」

マリーが言う「タケール、メリークリスマス!」


アイリが言う「あなた、メリー・クリスマス!」


タケルが言う「みんな、メリー・クリスマス!」


ガオは、ひとりで、花火大会を見ていた。でも、気分は穏やかで、笑顔まで、のぞいていた。

沢村イズミも田中美緒と一緒に手をつないで、花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔でいっぱいだった。

ショウコは、須賀田イチロウと花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔だった。


リサは、ケンとホテルの部屋から、花火を見ていた。二人共笑顔だった。


東堂エイイチは、弓川香織と愛と、テレビで、花火大会を見ていた。

エイイチは、とっても、しあわせそうな笑顔だった。


同じ頃。東堂賢一は、妻愛美と白都優里とで、毎年恒例のクリスマスパーティーを開いていた。

3人は、テレビでイブの花火大会を見ていた。

「あれ、あそこに映ってるの、タケルくんと、アイリじゃないか・・・アミくんも、マキくんもいるぞ・・・つーか、あれ、リョウコちゃんじゃないか」

と、東堂賢一は、テレビを見ながら知り合いを見つけるのに、大忙しだった。

「原因はタケルくんね。だって、イブは好きな男と一緒に過ごす日だもんね。女としては。ね、優里ちゃん」

と、愛美が言うと、

「はい。私も、そう思います。そういう女性こそ、ほんとに、しあわせだと思います」

と、優里が、おっとりとした口調で言うと、

「ほら、そう言われてるわよ。そういう時、あなたは、なんて言うの?賢一さん」

と、愛美に振られた賢一は、

「いや、わたしもそう言われて、とっても、しあわせだよー。愛美も、優里くんも、いつも、ありがとな。メリー・クリスマス!」

と、言うと、

「メリー・クリスマス!」「メリー・クリスマス!」

と、3人でシャンパンで乾杯するのでした。


それに合わせるかのように、イブの夜の江の島花火大会は、たくさんの花火が炸裂し、美しい風景を恋人たちの前に、見せつけるのでした。


クリスマスイブ当日。午後10時頃。鈴木タケルと東堂アイリは、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていた。


花火大会が終わった後、リョウコが鈴木タケルに、

「タケルさん・・・わたしアミさんの車で帰りますから・・・アイリさんと一緒に、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていってください」

と、言ったのだった。

「へ?湘南ベイヒルトンのロイヤルスイートルームだって?」

と、鈴木タケルは、驚いている。

「リサさんが予約していたので・・・それを日本政府が買い上げたんです。今回、CIAで動いてもらってほんとありがたかったですから、これは日本政府からのお礼です」

と、リョウコが言っている。

「アイリどうする・・・日本政府が俺にお礼をしたいんだとさ」

と、タケルがアイリに聞くと、

「せっかくだから、貰いましょう。素直に・・・あなたも、これからも日本政府の為に働かなくっちゃいけないでしょうし」

と、アイリが言うと、

「そうだな。そこまで言うなら、貰っておくか。日本政府とやらの顔も立てないとな」

と、タケルは笑った。

「ありがとうございます。私から、お二人に、最後に、クリスマス・プレゼントが出来てよかったです。ありがとうございます!」

と、リョウコは最後にいい表情で笑い、皆と帰って行ったのだった。


アミちゃんも、マキちゃんも、祐も優も、皆、これ以上ないくらいの笑顔で、帰っていった。


「しかし、なんだか、疲れたなー。今回、けっこう激しかったよ・・・」

と、タケルは、ベッドに寝っ転がりながら、シャンパンを飲んでいる。

「でも、なんだか、楽しかったわ。過ぎてみると、あっという間だったもの」

と、アイリも同じように、ベットに寝っ転がっている。

「でも、わたし、つくづく思ったわ」

と、アイリ。

「何を?」

と、タケル。

「社会には、いろいろな男性がいるけど、本当にモノのわかっている、素敵な大人の男性って、案外少ないんだなって」

と、アイリ。

「「大人な恋」をされるほど、魅力的な男性は、少ないってことよ・・・」

と、アイリ。

「「大人な恋」ね・・・」

と、口数少なに、タケル。

「タケルは、わかってるでしょ、「大人の恋」」

と、アイリ。

「ああ・・・ありがたいよ、「大人の恋」は」

と、タケル。

「ありがとね・・・タケルが、アミに気をつかってくれてることも、痛いほどわかってるし」

と、アイリ。

「「大人の恋」をしてもらっている男は、あれくらいしか、してやれないからね。でも、それでありがとうの気持ちが少しでも伝われば・・・御の字なのさ」

と、タケル。

「タケルは、本当によくわかっている「大人の男」だわ。さ、今度は、二人で楽しみましょ。イブの夜を」

と、アイリ。

「そうだな。ね、今日ちょっと疲れ気味だから、アイリが上になるところから、始めない?」

と、タケルが甘えると、

「いいわよ。がんばったタケルに、わたしからのクリスマス・プレゼントね」

と、アイリは笑いながら、全裸になる。


タケルも全裸になり・・・二人は、キスをしながら、ひとつのシルエットになっていきました。


(終わり)

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