クリスマスイブ当日の土曜日。午後6時20分。
「リョウコ」
と、マリー・スイフトがリョウコに声をかける。
「タケルはリョウコの為に必死だったわ。あんな憎まれ口を聞いているけど、タケルは、本当に真剣にあなたとガオを守ってた」
と、マリー・スイフトは、少し端の方にいた、リョウコに声をかけてくれる。
「あなた、今回のこと、少し反省しているんでしょ」
と、マリーは、リョウコに言う。
「はい・・・わたし、まだまだだなって。タケルさんにも迷惑かけちゃったし、マリーさんの細工にもひっかかったし」
と、リョウコは素直に言う。
「若いうちは、誰だってそうよ。たくさん失敗しなさい。そして、それをリカバリーすれば、あなたの周りはすべてがポジティブになる。あなたは、それを目指すの」
と、マリーは言う。
「それが大人になるということよ。タケルはそれをしてきたから、大人の素敵な男性になってるのよ、きっと・・・」
と、マリーは言葉にした。
「ま、それより、大切なのは、タケルが本気であなたを守ろうとしたことよ」
と、マリーが言う。
「?」
と、リョウコはよくわからない。
「人は規則で生きているんじゃないってこと。タケルはリョウコがかわいいから、本気で守ったのよ。他人にそう思わせるあなたの真面目さが、そうさせたのよ」
と、マリー。
「わたしも、さっき、つい、あなたに、声をかけたくなったもの・・・それがあなたの宝物よ。それを大事にしなさい」
と、マリーは、言ってくれた。
「仕事が出来るなんてことより、そっちの方がよっぽど大事なんだから。人間生きていくにあたっては、ね」
と、マリーが、やさしく、言葉にする。
「はい・・・ありがとう、マリー。なんとなく、今ので、わかったわ」
と、リョウコは、笑顔になった。
マリーも一緒に笑顔になった。
と、そこへ、なんとなく見慣れた風景が・・・。
「あれ?ショウコさんじゃ、ありません?」「あ、ほんとだショウコさん」「あ、ショウコさんだ」
と、アイリとアミとマミは、同時に目の前を通り過ぎようとしたアイリ達のボス、編集長のショウコを見つけ出す。
「あら・・・あなた達、ここにいたの?タケルくんは?タケルくん、戻ってきたんでしょ?ニューヨークから」
と、ショウコは笑顔。
「え、どうしてそれを?」
と、アイリは不思議がる。と、タケルもショウコに気が付き、近づいていくる。
「あ、ショウコさんじゃないですか。ショウコさんも、来てたんですか。花火大会」
と、タケルはうれしそうに近づくが・・・。
「あれ、スガさん・・・なんで、ショウコさんと一緒に・・・」
と、タケルは、ショウコが、タケルのプロジェクトのプロジェクト・リーダーの須賀田と一緒にいることを発見してしまう。
「お、おう・・・」
と、須賀田は、照れ気味で、口数が少ない。
と、アイリはひらめく。
「ショウコさん、もしかして、ショウコさんが教えていた東大に入学した高校生って・・・須賀田さんのこと、だったんですか?」
と、アイリが言うと、
「そ。須賀田イチロウくん・・・当時は高校生で初々しかったけどね」
と、ショウコはにっこりと笑う。
「タケルくんがイブに帰ってこれないって聞いたから・・・帰れるようにしてあげたの・・・わたしが」
と、ショウコは、タケルに言う。
「え?俺が今ここにいるのは、ショウコさんのおかげだったんですか!」
と、タケルは驚きながらも、
「ありがとうございます。ほんと、助かりましたよ。今年のイブは、いろいろあって、帰ってこれなかったらと思うと、ぞっとしますよ」
と、タケルはショウコと握手握手。
「いいのよ、タケルくん・・・あなたには、返しきれない恩があるから・・・」
と、ショウコもやわらかい笑顔。
「おんなは、好きな男性とイブを過ごしたいと思うモノなの」
と、ショウコは照れながら言う。
と、そこへ、沢村イズミと田中美緒のカップルがやってくる。
「あれ?中王大の田中美緒ちゃんじゃない?」
と、アイリが声をかける。
「あ、アイリさん・・・噂の彼は、誰ですか?」
と、美緒がはしゃぐように話す。
「あ、これなの。鈴木タケル・・・って、美緒ちゃんのイケメンの彼氏って、沢村イズミくん?!」
と、アイリがびっくりする。
「あれ、アイリさん・・・っていうか、パパ、帰ってたの?」
と、イズミ。
「お、おお・・・つーか、ガオもいるぞ」
と、タケル。
「なんだ、皆、勢ぞろいじゃないか」
と、ガオ。
イブの晩、皆、勢ぞろいだった。
クリスマスイブ当日の土曜日。午後6時半。
「お、あがったぞ」「あがった」「あがった!」
各所から声があがり、15分だけの、伝説のイブの江の島花火大会が華やかに始まった。
恋人達は、その華やかな風景をしっかりと胸に刻み込んでいる。
「綺麗ね」
鈴木優が、祐の横で、そっと言う。
「うん。こんな伝説の花火大会に連れてきてもらって、よかったね」
と、祐が優に言う。
「僕、今回のことで、決めたことがあるんだ」
と、祐が優に言う。
「なあに?」
と、優が聞く。
「優ちゃんのいとこの、タケルさんみたいに・・・俺、おとなになったら、タケルさんみたいになるって、決めたんだ」
と、祐が言う。
「どうかな?」
と、祐が優に聞くと、
「うん。それって、素敵だと思う」
と、優は、祐を見ながら言った。
優は、祐と手をつないだ。
祐と優は目を見つめ合うと、笑顔になった。
17歳のクリスマスイブは、二人にとって、素敵な思い出になった。
リョウコが、言う「タケルさん、メリー・クリスマス!」
アミが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」
マキが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」
マリーが言う「タケール、メリークリスマス!」
アイリが言う「あなた、メリー・クリスマス!」
タケルが言う「みんな、メリー・クリスマス!」
ガオは、ひとりで、花火大会を見ていた。でも、気分は穏やかで、笑顔まで、のぞいていた。
沢村イズミも田中美緒と一緒に手をつないで、花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔でいっぱいだった。
ショウコは、須賀田イチロウと花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔だった。
リサは、ケンとホテルの部屋から、花火を見ていた。二人共笑顔だった。
東堂エイイチは、弓川香織と愛と、テレビで、花火大会を見ていた。
エイイチは、とっても、しあわせそうな笑顔だった。
同じ頃。東堂賢一は、妻愛美と白都優里とで、毎年恒例のクリスマスパーティーを開いていた。
3人は、テレビでイブの花火大会を見ていた。
「あれ、あそこに映ってるの、タケルくんと、アイリじゃないか・・・アミくんも、マキくんもいるぞ・・・つーか、あれ、リョウコちゃんじゃないか」
と、東堂賢一は、テレビを見ながら知り合いを見つけるのに、大忙しだった。
「原因はタケルくんね。だって、イブは好きな男と一緒に過ごす日だもんね。女としては。ね、優里ちゃん」
と、愛美が言うと、
「はい。私も、そう思います。そういう女性こそ、ほんとに、しあわせだと思います」
と、優里が、おっとりとした口調で言うと、
「ほら、そう言われてるわよ。そういう時、あなたは、なんて言うの?賢一さん」
と、愛美に振られた賢一は、
「いや、わたしもそう言われて、とっても、しあわせだよー。愛美も、優里くんも、いつも、ありがとな。メリー・クリスマス!」
と、言うと、
「メリー・クリスマス!」「メリー・クリスマス!」
と、3人でシャンパンで乾杯するのでした。
それに合わせるかのように、イブの夜の江の島花火大会は、たくさんの花火が炸裂し、美しい風景を恋人たちの前に、見せつけるのでした。
クリスマスイブ当日。午後10時頃。鈴木タケルと東堂アイリは、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていた。
花火大会が終わった後、リョウコが鈴木タケルに、
「タケルさん・・・わたしアミさんの車で帰りますから・・・アイリさんと一緒に、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていってください」
と、言ったのだった。
「へ?湘南ベイヒルトンのロイヤルスイートルームだって?」
と、鈴木タケルは、驚いている。
「リサさんが予約していたので・・・それを日本政府が買い上げたんです。今回、CIAで動いてもらってほんとありがたかったですから、これは日本政府からのお礼です」
と、リョウコが言っている。
「アイリどうする・・・日本政府が俺にお礼をしたいんだとさ」
と、タケルがアイリに聞くと、
「せっかくだから、貰いましょう。素直に・・・あなたも、これからも日本政府の為に働かなくっちゃいけないでしょうし」
と、アイリが言うと、
「そうだな。そこまで言うなら、貰っておくか。日本政府とやらの顔も立てないとな」
と、タケルは笑った。
「ありがとうございます。私から、お二人に、最後に、クリスマス・プレゼントが出来てよかったです。ありがとうございます!」
と、リョウコは最後にいい表情で笑い、皆と帰って行ったのだった。
アミちゃんも、マキちゃんも、祐も優も、皆、これ以上ないくらいの笑顔で、帰っていった。
「しかし、なんだか、疲れたなー。今回、けっこう激しかったよ・・・」
と、タケルは、ベッドに寝っ転がりながら、シャンパンを飲んでいる。
「でも、なんだか、楽しかったわ。過ぎてみると、あっという間だったもの」
と、アイリも同じように、ベットに寝っ転がっている。
「でも、わたし、つくづく思ったわ」
と、アイリ。
「何を?」
と、タケル。
「社会には、いろいろな男性がいるけど、本当にモノのわかっている、素敵な大人の男性って、案外少ないんだなって」
と、アイリ。
「「大人な恋」をされるほど、魅力的な男性は、少ないってことよ・・・」
と、アイリ。
「「大人な恋」ね・・・」
と、口数少なに、タケル。
「タケルは、わかってるでしょ、「大人の恋」」
と、アイリ。
「ああ・・・ありがたいよ、「大人の恋」は」
と、タケル。
「ありがとね・・・タケルが、アミに気をつかってくれてることも、痛いほどわかってるし」
と、アイリ。
「「大人の恋」をしてもらっている男は、あれくらいしか、してやれないからね。でも、それでありがとうの気持ちが少しでも伝われば・・・御の字なのさ」
と、タケル。
「タケルは、本当によくわかっている「大人の男」だわ。さ、今度は、二人で楽しみましょ。イブの夜を」
と、アイリ。
「そうだな。ね、今日ちょっと疲れ気味だから、アイリが上になるところから、始めない?」
と、タケルが甘えると、
「いいわよ。がんばったタケルに、わたしからのクリスマス・プレゼントね」
と、アイリは笑いながら、全裸になる。
タケルも全裸になり・・・二人は、キスをしながら、ひとつのシルエットになっていきました。
(終わり)
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「リョウコ」
と、マリー・スイフトがリョウコに声をかける。
「タケルはリョウコの為に必死だったわ。あんな憎まれ口を聞いているけど、タケルは、本当に真剣にあなたとガオを守ってた」
と、マリー・スイフトは、少し端の方にいた、リョウコに声をかけてくれる。
「あなた、今回のこと、少し反省しているんでしょ」
と、マリーは、リョウコに言う。
「はい・・・わたし、まだまだだなって。タケルさんにも迷惑かけちゃったし、マリーさんの細工にもひっかかったし」
と、リョウコは素直に言う。
「若いうちは、誰だってそうよ。たくさん失敗しなさい。そして、それをリカバリーすれば、あなたの周りはすべてがポジティブになる。あなたは、それを目指すの」
と、マリーは言う。
「それが大人になるということよ。タケルはそれをしてきたから、大人の素敵な男性になってるのよ、きっと・・・」
と、マリーは言葉にした。
「ま、それより、大切なのは、タケルが本気であなたを守ろうとしたことよ」
と、マリーが言う。
「?」
と、リョウコはよくわからない。
「人は規則で生きているんじゃないってこと。タケルはリョウコがかわいいから、本気で守ったのよ。他人にそう思わせるあなたの真面目さが、そうさせたのよ」
と、マリー。
「わたしも、さっき、つい、あなたに、声をかけたくなったもの・・・それがあなたの宝物よ。それを大事にしなさい」
と、マリーは、言ってくれた。
「仕事が出来るなんてことより、そっちの方がよっぽど大事なんだから。人間生きていくにあたっては、ね」
と、マリーが、やさしく、言葉にする。
「はい・・・ありがとう、マリー。なんとなく、今ので、わかったわ」
と、リョウコは、笑顔になった。
マリーも一緒に笑顔になった。
と、そこへ、なんとなく見慣れた風景が・・・。
「あれ?ショウコさんじゃ、ありません?」「あ、ほんとだショウコさん」「あ、ショウコさんだ」
と、アイリとアミとマミは、同時に目の前を通り過ぎようとしたアイリ達のボス、編集長のショウコを見つけ出す。
「あら・・・あなた達、ここにいたの?タケルくんは?タケルくん、戻ってきたんでしょ?ニューヨークから」
と、ショウコは笑顔。
「え、どうしてそれを?」
と、アイリは不思議がる。と、タケルもショウコに気が付き、近づいていくる。
「あ、ショウコさんじゃないですか。ショウコさんも、来てたんですか。花火大会」
と、タケルはうれしそうに近づくが・・・。
「あれ、スガさん・・・なんで、ショウコさんと一緒に・・・」
と、タケルは、ショウコが、タケルのプロジェクトのプロジェクト・リーダーの須賀田と一緒にいることを発見してしまう。
「お、おう・・・」
と、須賀田は、照れ気味で、口数が少ない。
と、アイリはひらめく。
「ショウコさん、もしかして、ショウコさんが教えていた東大に入学した高校生って・・・須賀田さんのこと、だったんですか?」
と、アイリが言うと、
「そ。須賀田イチロウくん・・・当時は高校生で初々しかったけどね」
と、ショウコはにっこりと笑う。
「タケルくんがイブに帰ってこれないって聞いたから・・・帰れるようにしてあげたの・・・わたしが」
と、ショウコは、タケルに言う。
「え?俺が今ここにいるのは、ショウコさんのおかげだったんですか!」
と、タケルは驚きながらも、
「ありがとうございます。ほんと、助かりましたよ。今年のイブは、いろいろあって、帰ってこれなかったらと思うと、ぞっとしますよ」
と、タケルはショウコと握手握手。
「いいのよ、タケルくん・・・あなたには、返しきれない恩があるから・・・」
と、ショウコもやわらかい笑顔。
「おんなは、好きな男性とイブを過ごしたいと思うモノなの」
と、ショウコは照れながら言う。
と、そこへ、沢村イズミと田中美緒のカップルがやってくる。
「あれ?中王大の田中美緒ちゃんじゃない?」
と、アイリが声をかける。
「あ、アイリさん・・・噂の彼は、誰ですか?」
と、美緒がはしゃぐように話す。
「あ、これなの。鈴木タケル・・・って、美緒ちゃんのイケメンの彼氏って、沢村イズミくん?!」
と、アイリがびっくりする。
「あれ、アイリさん・・・っていうか、パパ、帰ってたの?」
と、イズミ。
「お、おお・・・つーか、ガオもいるぞ」
と、タケル。
「なんだ、皆、勢ぞろいじゃないか」
と、ガオ。
イブの晩、皆、勢ぞろいだった。
クリスマスイブ当日の土曜日。午後6時半。
「お、あがったぞ」「あがった」「あがった!」
各所から声があがり、15分だけの、伝説のイブの江の島花火大会が華やかに始まった。
恋人達は、その華やかな風景をしっかりと胸に刻み込んでいる。
「綺麗ね」
鈴木優が、祐の横で、そっと言う。
「うん。こんな伝説の花火大会に連れてきてもらって、よかったね」
と、祐が優に言う。
「僕、今回のことで、決めたことがあるんだ」
と、祐が優に言う。
「なあに?」
と、優が聞く。
「優ちゃんのいとこの、タケルさんみたいに・・・俺、おとなになったら、タケルさんみたいになるって、決めたんだ」
と、祐が言う。
「どうかな?」
と、祐が優に聞くと、
「うん。それって、素敵だと思う」
と、優は、祐を見ながら言った。
優は、祐と手をつないだ。
祐と優は目を見つめ合うと、笑顔になった。
17歳のクリスマスイブは、二人にとって、素敵な思い出になった。
リョウコが、言う「タケルさん、メリー・クリスマス!」
アミが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」
マキが言う「タケルくん、メリー・クリスマス!」
マリーが言う「タケール、メリークリスマス!」
アイリが言う「あなた、メリー・クリスマス!」
タケルが言う「みんな、メリー・クリスマス!」
ガオは、ひとりで、花火大会を見ていた。でも、気分は穏やかで、笑顔まで、のぞいていた。
沢村イズミも田中美緒と一緒に手をつないで、花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔でいっぱいだった。
ショウコは、須賀田イチロウと花火大会を見ていた。二人共やさしい笑顔だった。
リサは、ケンとホテルの部屋から、花火を見ていた。二人共笑顔だった。
東堂エイイチは、弓川香織と愛と、テレビで、花火大会を見ていた。
エイイチは、とっても、しあわせそうな笑顔だった。
同じ頃。東堂賢一は、妻愛美と白都優里とで、毎年恒例のクリスマスパーティーを開いていた。
3人は、テレビでイブの花火大会を見ていた。
「あれ、あそこに映ってるの、タケルくんと、アイリじゃないか・・・アミくんも、マキくんもいるぞ・・・つーか、あれ、リョウコちゃんじゃないか」
と、東堂賢一は、テレビを見ながら知り合いを見つけるのに、大忙しだった。
「原因はタケルくんね。だって、イブは好きな男と一緒に過ごす日だもんね。女としては。ね、優里ちゃん」
と、愛美が言うと、
「はい。私も、そう思います。そういう女性こそ、ほんとに、しあわせだと思います」
と、優里が、おっとりとした口調で言うと、
「ほら、そう言われてるわよ。そういう時、あなたは、なんて言うの?賢一さん」
と、愛美に振られた賢一は、
「いや、わたしもそう言われて、とっても、しあわせだよー。愛美も、優里くんも、いつも、ありがとな。メリー・クリスマス!」
と、言うと、
「メリー・クリスマス!」「メリー・クリスマス!」
と、3人でシャンパンで乾杯するのでした。
それに合わせるかのように、イブの夜の江の島花火大会は、たくさんの花火が炸裂し、美しい風景を恋人たちの前に、見せつけるのでした。
クリスマスイブ当日。午後10時頃。鈴木タケルと東堂アイリは、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていた。
花火大会が終わった後、リョウコが鈴木タケルに、
「タケルさん・・・わたしアミさんの車で帰りますから・・・アイリさんと一緒に、湘南ベイヒルトンホテルのロイヤルスイートルームに泊まっていってください」
と、言ったのだった。
「へ?湘南ベイヒルトンのロイヤルスイートルームだって?」
と、鈴木タケルは、驚いている。
「リサさんが予約していたので・・・それを日本政府が買い上げたんです。今回、CIAで動いてもらってほんとありがたかったですから、これは日本政府からのお礼です」
と、リョウコが言っている。
「アイリどうする・・・日本政府が俺にお礼をしたいんだとさ」
と、タケルがアイリに聞くと、
「せっかくだから、貰いましょう。素直に・・・あなたも、これからも日本政府の為に働かなくっちゃいけないでしょうし」
と、アイリが言うと、
「そうだな。そこまで言うなら、貰っておくか。日本政府とやらの顔も立てないとな」
と、タケルは笑った。
「ありがとうございます。私から、お二人に、最後に、クリスマス・プレゼントが出来てよかったです。ありがとうございます!」
と、リョウコは最後にいい表情で笑い、皆と帰って行ったのだった。
アミちゃんも、マキちゃんも、祐も優も、皆、これ以上ないくらいの笑顔で、帰っていった。
「しかし、なんだか、疲れたなー。今回、けっこう激しかったよ・・・」
と、タケルは、ベッドに寝っ転がりながら、シャンパンを飲んでいる。
「でも、なんだか、楽しかったわ。過ぎてみると、あっという間だったもの」
と、アイリも同じように、ベットに寝っ転がっている。
「でも、わたし、つくづく思ったわ」
と、アイリ。
「何を?」
と、タケル。
「社会には、いろいろな男性がいるけど、本当にモノのわかっている、素敵な大人の男性って、案外少ないんだなって」
と、アイリ。
「「大人な恋」をされるほど、魅力的な男性は、少ないってことよ・・・」
と、アイリ。
「「大人な恋」ね・・・」
と、口数少なに、タケル。
「タケルは、わかってるでしょ、「大人の恋」」
と、アイリ。
「ああ・・・ありがたいよ、「大人の恋」は」
と、タケル。
「ありがとね・・・タケルが、アミに気をつかってくれてることも、痛いほどわかってるし」
と、アイリ。
「「大人の恋」をしてもらっている男は、あれくらいしか、してやれないからね。でも、それでありがとうの気持ちが少しでも伝われば・・・御の字なのさ」
と、タケル。
「タケルは、本当によくわかっている「大人の男」だわ。さ、今度は、二人で楽しみましょ。イブの夜を」
と、アイリ。
「そうだな。ね、今日ちょっと疲れ気味だから、アイリが上になるところから、始めない?」
と、タケルが甘えると、
「いいわよ。がんばったタケルに、わたしからのクリスマス・プレゼントね」
と、アイリは笑いながら、全裸になる。
タケルも全裸になり・・・二人は、キスをしながら、ひとつのシルエットになっていきました。
(終わり)
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