月曜日の午前中、ミウは山田さんを病院に送った後、いつものように隣町まで、荷物を運ぶ仕事の途中、赤谷川の川沿いを走っていた。
12月だと言うのに、なんとなくポカポカした日で・・・川の流れも綺麗だった。
ミウは車を停め・・・川沿いに出て、川の流れを見つめた・・・せせらぎの音が心地よい・・・。
ミウはサトルの事を思っていた・・・ここで、よくサトルに電話した・・・。
ミウは車を脇に寄せて止め、車から降りる。
少し歩いて、川沿いにあるベンチに座る。
ミウは携帯を取り出し、サトルにメールを送る。
「今、電話いいですか?」
というミウのメールに、
「電話待ってます」
の言葉が届いた。
すぐさまミウはサトルに電話をかけ・・・楽しそうに話しだしていた。
「サトル・・・今、わたし、いつもの場所に来て、川のせせらぎの音を聞いているの」
と、ミウが言葉にすると、
「へー、それ、聞かせて・・・携帯で音拾えるかなあ」
と、サトルは元気そうにしゃべってくれる。
「うん、ちょっと待ってて、やってみるから」
と、ミウは言葉にしながら、携帯をせせらぎに近づける。
「聞こえる聞こえる・・・綺麗な音だ・・・やさしい音だね・・・いつか僕も「月夜野」に行きたいよ・・・」
と、笑っているサトルだった。
サトルは「鬱」病から完全に脱出していた。
月曜日の夜、ミウはヨウコとバー「Mirage」で飲んでいた。
「っていうことが昼間にあってね・・・とても嬉しいの・・・」
と、ヨウコ相手に、言葉にするミウだった。
「そうか・・・サトルはそこまで、治ってきたか・・・俺も嬉しいな・・・あいつデカイ男性だからな。そういう男性は頼もしいよ」
と、ヨウコも言葉にしている。
「それにしても、来週はクリスマスイブね・・・」
と、ミウは言葉にする。
「そうだな。もう、そんな季節か」
と、ヨウコは言葉にする。
「そういえば・・・ヨウコは男を作るって、目標を立ててたじゃない?それはどうなの?」
と、ミウは話題を変えている。
「男を作るってのは、そんな簡単じゃねーよ。つーか、田中の事、最近は妙に思い出してよ・・・あれが「本当の恋」だったかなーって、懐かしく感じられてよ」
と、ヨウコは言葉にしている。
「だったら・・・ヨウコの方が探せばいいんじゃない?田中さん」
と、ミウは献策する。
「だけどよ・・・逃げてった男だからな・・・」
と、ヨウコは言葉にする。
「それは、そうか・・・」
と、ミウも言葉にする。
と、その時、ガチャリと音がして、バー「Mirage」の扉が開いた。
そこに一人の男が立っていた。白の上下のスーツに白のハット・・・一見してヤクザ風の細身の男が気色の悪い笑顔をして、立っていた。
「ヨウコ・・・探したぜ・・・お前、こんなところに逃げ込んでいたんだなあ」
と、その男は、ヨウコの横に来ると、そう言った。
「お前は、「女衒のテツ」・・・」
と、ヨウコは息を飲みながら、言葉にする。
「ヨウコ、お前、俺に500万円の借金があるの・・・よもや忘れてはいないよな?」
と、女衒のテツは言葉にした。
「何を言ってるの?あなたへの借金、500万円は、綺麗さっぱり返したじゃない?」
と、ヨウコは言う。
「お前よー借金ってのは、借りっぱなしだと利子がついて、増えるってのを知らねえのか?」
と、テツは言う。
「俺のところの利子は高いからよ・・・まだ、おまえには、500万円の貸しがあるんだよ。それ、即刻、返してくれや」
と、テツは言う。
「そんなお金・・・今は無いよ」
と、ヨウコは言う。
「だったら、いつも通り、働いて返してくれや。ああ、大丈夫、俺、ソープには顔利くからよ。これまで通り、高級ソープで看板娘、やってくれりゃあ、いいから」
と、テツは言う。
「お前のファンが待ってるんだよ。俺もお前を管理してたマネージャーだからよ。各所で言われちゃってよ、お前、ニーズすげえあるんだよ。人気者だな」
と、テツは言う。
「冗談じゃねー。俺はもう、ソープから足は洗ったんだ。二度と行くか、そんなところ」
と、ヨウコは激昂する。
「おめえ、この日本って国は仕事の方が人を呼んでくれるんだよ。おまえはソープの仕事が一番似合ってる。ファンも多い。だからよ、悪いことは言わねえ、復帰してくれ」
と、テツは言う。
「いやだって言ってるだろ!俺は二度とあんな仕事はゴメンだ」
と、ヨウコは強く言う。
「そうか・・・こっちが下手に出てるうちが華だぜ・・・そういうことなら、仕方ねえ。兵隊揃えて力ずくで復帰の後押しと行くしかねえな。お前がそういう態度ならよ」
と、テツは言う。
「一週間やるよ。ちょうど来週の今日はクリスマスイブだ。いい贈り物を高級ソープにしてえからよ。イブに兵隊揃えて来るから、そのつもりでいろよ」
と、テツは言う。
「言っておくが逃げても無駄だ。俺のアダ名知ってるよな、ヨウコ。「すっぽんのテツ」とは俺の事。一度食いついたら絶対離れねえ・・・わかったな」
と、テツは言う。
「じゃ、イブの晩を楽しみにしてるぜ。それからヨウコ。ソープに送る前に一度お前を抱かせてくれ。ソープに出る前に予行演習が必要だろ。へ、楽しみだぜ、それがよ」
と、テツは言う。
「そーか。今年のクリスマスイブの贈り物は、お前と一発出来ることだな。お前の柔肌・・・気持ちいいからな。今から楽しみだぜ・・・じゃ、ヨウコ、あばよ」
と、テツは言い残し、店を出て行った。
「くそー・・・」
と、ヨウコは歯ぎしりをしている。
その様子にミウは・・・ある考えを思いついていた。
「ヨウコ!」
と、ミウはヨウコに声をかける。
「何だ?」
と、ヨウコは少し気分が荒れている。
「わたしに一つだけ考えがある・・・それをやらせてくれない?」
と、ミウはヨウコに言う。
「考えって、何だよ」
と、ヨウコはつっけんどんに言う。
「ヨウコのこの状況を・・・あの「女衒のテツ」って奴をなんとか出来るかもしれない・・・」
と、ミウは言う。
「マジか、それ・・・」
と、ヨウコは思わず、ミウの肩をつかむ。
「わからない・・・わからないけど、試す価値はあると思うの」
と、ミウは言う。
「わかった・・・どうせあいつは・・・逃げ隠れしても、絶対に俺を見つけに来る・・・それが嫌で逃げまわっていたんだけど・・・もう逃げまわるのは飽き飽きしたからな」
と、ヨウコは言う。
「それで決着をつけようじゃないか。ミウを信じてみるよ。俺はもう逃げねえ」
と、ヨウコは言葉にする。
「ヨウコ・・・わたしを信じて・・・」
と、ミウは言う。
「ああ・・・俺はおまえだけは、信じるよ。お前だけはな・・・」
と、ヨウコはミウの目を真正面から見て、そう言った。
ミウはすぐに自分のアパートに帰ると、頭を整理してから、サトルの携帯にメールした。
「ちょっと緊急事態があるの。電話していい?」
と、ミウがメールすると、すぐに、
「うん、いいよ。大丈夫」
と、メールが返ってきた。
ミウはすぐに携帯電話を取り、サトルに電話する。
「もしもし、サトル・・・ごめん、こんな夜遅くに」
と、ミウが言う。
「大丈夫。起きてたから」
と、サトルは答える。
「突然なんだけど・・・サトル、以前、何かあったら、何でも頼んでくれって言っていたわよね?」
と、ミウが言葉にする。
「ああ・・・確かに。大丈夫だよ、それ」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「緊急事態なの。わたしの親友がソープランドに売られそうなの」
と、ミウは状況を手短に説明する。
「わたしは親友の為に、それをなんとか阻止したくて・・・でも、手が思いつかなくて、サトルに頼む以外手はないの」
と、ミウは言う。
「了解・・・まあ、この仕事をうまく出来れば・・・結果的にミウの為になるんでしょ?」
と、サトルは言う。
「うん。わたしの為に、この仕事、引き受けてくれる?」
と、ミウが言うと、
「もちろん。全然大丈夫。大船に乗ったつもりで、いて、ミウ・・・僕はこれからは、僕が大切にしている人達の為に仕事をする・・・そう決めたんで、全然オッケー!」
と、サトルは言う。
「だから、今、僕が一番大事だと考えている、ミウの為に、僕は仕事をするんだ。新たに生まれ変わった新しい僕としてね」
と、サトルは言う。
「大丈夫、全然心配しなくて、大丈夫だから・・・あなたの笑顔が見たいから」
と、サトルは言ってくれる。
「サトル・・・」
ミウは胸がいっぱいになって、言葉を出せなかった。
「ミウ・・・少し時間くれる?折り返し電話するから、ほんのちょっと待って・・・」
と、サトルは言ってくれる。
「ミウ・・・素敵な仕事を僕にくれて・・・ありがとう」
と、サトルは言って、電話は切れた。
「サトル・・・」
胸が一杯になった、ミウは、そのサトルの言葉に、涙を流していた。
数十分後、ミウの携帯にサトルから電話がかかってきた。
「ええと、細かい情報の確認させて・・・その女衒の男・・・「女衒のテツ」だけど・・・本名わかる?それと過去使っていた電話番号の情報とかあるかなあ?」
と、サトルはテキパキと情報を確認してくる。
「えーと、その情報・・・わたしの親友ヨウコって言うんだけど、そのヨウコに確認してみるから・・・折り返し電話するわね」
と、ミウもテキパキと対応し・・・すべての処理は終わりを迎えた。
「じゃ、そういうことで・・・必要な情報はこちらから流すから・・・安心していてくれ・・・ということだって。ま、大丈夫っしょ」
と、サトルは言葉にしていた。
「ミウ、もう、僕は大丈夫だ・・・それにこの仕事を完璧にこなせれば・・・それこそ本格的な復活の契機にすることが出来るしね」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「この仕事をきっかけに、僕は完全に蘇る・・・もう「鬱病」なんて誰にも言わせることはないから」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「ありがとう。ミウ・・・僕は素敵なパートナーに出会えたみたいだ・・・」
と、サトルは言い、
「じゃ、また、連絡するね・・・」
と言って、サトルからの電話は切れた。
ミウは泣いていた・・・。頼れる大人の男に復活したサトルに、涙が止まらくなっていたのだ。
嬉しい感情だけに、ミウはただただ泣くだけだった・・・。
(つづく)
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12月だと言うのに、なんとなくポカポカした日で・・・川の流れも綺麗だった。
ミウは車を停め・・・川沿いに出て、川の流れを見つめた・・・せせらぎの音が心地よい・・・。
ミウはサトルの事を思っていた・・・ここで、よくサトルに電話した・・・。
ミウは車を脇に寄せて止め、車から降りる。
少し歩いて、川沿いにあるベンチに座る。
ミウは携帯を取り出し、サトルにメールを送る。
「今、電話いいですか?」
というミウのメールに、
「電話待ってます」
の言葉が届いた。
すぐさまミウはサトルに電話をかけ・・・楽しそうに話しだしていた。
「サトル・・・今、わたし、いつもの場所に来て、川のせせらぎの音を聞いているの」
と、ミウが言葉にすると、
「へー、それ、聞かせて・・・携帯で音拾えるかなあ」
と、サトルは元気そうにしゃべってくれる。
「うん、ちょっと待ってて、やってみるから」
と、ミウは言葉にしながら、携帯をせせらぎに近づける。
「聞こえる聞こえる・・・綺麗な音だ・・・やさしい音だね・・・いつか僕も「月夜野」に行きたいよ・・・」
と、笑っているサトルだった。
サトルは「鬱」病から完全に脱出していた。
月曜日の夜、ミウはヨウコとバー「Mirage」で飲んでいた。
「っていうことが昼間にあってね・・・とても嬉しいの・・・」
と、ヨウコ相手に、言葉にするミウだった。
「そうか・・・サトルはそこまで、治ってきたか・・・俺も嬉しいな・・・あいつデカイ男性だからな。そういう男性は頼もしいよ」
と、ヨウコも言葉にしている。
「それにしても、来週はクリスマスイブね・・・」
と、ミウは言葉にする。
「そうだな。もう、そんな季節か」
と、ヨウコは言葉にする。
「そういえば・・・ヨウコは男を作るって、目標を立ててたじゃない?それはどうなの?」
と、ミウは話題を変えている。
「男を作るってのは、そんな簡単じゃねーよ。つーか、田中の事、最近は妙に思い出してよ・・・あれが「本当の恋」だったかなーって、懐かしく感じられてよ」
と、ヨウコは言葉にしている。
「だったら・・・ヨウコの方が探せばいいんじゃない?田中さん」
と、ミウは献策する。
「だけどよ・・・逃げてった男だからな・・・」
と、ヨウコは言葉にする。
「それは、そうか・・・」
と、ミウも言葉にする。
と、その時、ガチャリと音がして、バー「Mirage」の扉が開いた。
そこに一人の男が立っていた。白の上下のスーツに白のハット・・・一見してヤクザ風の細身の男が気色の悪い笑顔をして、立っていた。
「ヨウコ・・・探したぜ・・・お前、こんなところに逃げ込んでいたんだなあ」
と、その男は、ヨウコの横に来ると、そう言った。
「お前は、「女衒のテツ」・・・」
と、ヨウコは息を飲みながら、言葉にする。
「ヨウコ、お前、俺に500万円の借金があるの・・・よもや忘れてはいないよな?」
と、女衒のテツは言葉にした。
「何を言ってるの?あなたへの借金、500万円は、綺麗さっぱり返したじゃない?」
と、ヨウコは言う。
「お前よー借金ってのは、借りっぱなしだと利子がついて、増えるってのを知らねえのか?」
と、テツは言う。
「俺のところの利子は高いからよ・・・まだ、おまえには、500万円の貸しがあるんだよ。それ、即刻、返してくれや」
と、テツは言う。
「そんなお金・・・今は無いよ」
と、ヨウコは言う。
「だったら、いつも通り、働いて返してくれや。ああ、大丈夫、俺、ソープには顔利くからよ。これまで通り、高級ソープで看板娘、やってくれりゃあ、いいから」
と、テツは言う。
「お前のファンが待ってるんだよ。俺もお前を管理してたマネージャーだからよ。各所で言われちゃってよ、お前、ニーズすげえあるんだよ。人気者だな」
と、テツは言う。
「冗談じゃねー。俺はもう、ソープから足は洗ったんだ。二度と行くか、そんなところ」
と、ヨウコは激昂する。
「おめえ、この日本って国は仕事の方が人を呼んでくれるんだよ。おまえはソープの仕事が一番似合ってる。ファンも多い。だからよ、悪いことは言わねえ、復帰してくれ」
と、テツは言う。
「いやだって言ってるだろ!俺は二度とあんな仕事はゴメンだ」
と、ヨウコは強く言う。
「そうか・・・こっちが下手に出てるうちが華だぜ・・・そういうことなら、仕方ねえ。兵隊揃えて力ずくで復帰の後押しと行くしかねえな。お前がそういう態度ならよ」
と、テツは言う。
「一週間やるよ。ちょうど来週の今日はクリスマスイブだ。いい贈り物を高級ソープにしてえからよ。イブに兵隊揃えて来るから、そのつもりでいろよ」
と、テツは言う。
「言っておくが逃げても無駄だ。俺のアダ名知ってるよな、ヨウコ。「すっぽんのテツ」とは俺の事。一度食いついたら絶対離れねえ・・・わかったな」
と、テツは言う。
「じゃ、イブの晩を楽しみにしてるぜ。それからヨウコ。ソープに送る前に一度お前を抱かせてくれ。ソープに出る前に予行演習が必要だろ。へ、楽しみだぜ、それがよ」
と、テツは言う。
「そーか。今年のクリスマスイブの贈り物は、お前と一発出来ることだな。お前の柔肌・・・気持ちいいからな。今から楽しみだぜ・・・じゃ、ヨウコ、あばよ」
と、テツは言い残し、店を出て行った。
「くそー・・・」
と、ヨウコは歯ぎしりをしている。
その様子にミウは・・・ある考えを思いついていた。
「ヨウコ!」
と、ミウはヨウコに声をかける。
「何だ?」
と、ヨウコは少し気分が荒れている。
「わたしに一つだけ考えがある・・・それをやらせてくれない?」
と、ミウはヨウコに言う。
「考えって、何だよ」
と、ヨウコはつっけんどんに言う。
「ヨウコのこの状況を・・・あの「女衒のテツ」って奴をなんとか出来るかもしれない・・・」
と、ミウは言う。
「マジか、それ・・・」
と、ヨウコは思わず、ミウの肩をつかむ。
「わからない・・・わからないけど、試す価値はあると思うの」
と、ミウは言う。
「わかった・・・どうせあいつは・・・逃げ隠れしても、絶対に俺を見つけに来る・・・それが嫌で逃げまわっていたんだけど・・・もう逃げまわるのは飽き飽きしたからな」
と、ヨウコは言う。
「それで決着をつけようじゃないか。ミウを信じてみるよ。俺はもう逃げねえ」
と、ヨウコは言葉にする。
「ヨウコ・・・わたしを信じて・・・」
と、ミウは言う。
「ああ・・・俺はおまえだけは、信じるよ。お前だけはな・・・」
と、ヨウコはミウの目を真正面から見て、そう言った。
ミウはすぐに自分のアパートに帰ると、頭を整理してから、サトルの携帯にメールした。
「ちょっと緊急事態があるの。電話していい?」
と、ミウがメールすると、すぐに、
「うん、いいよ。大丈夫」
と、メールが返ってきた。
ミウはすぐに携帯電話を取り、サトルに電話する。
「もしもし、サトル・・・ごめん、こんな夜遅くに」
と、ミウが言う。
「大丈夫。起きてたから」
と、サトルは答える。
「突然なんだけど・・・サトル、以前、何かあったら、何でも頼んでくれって言っていたわよね?」
と、ミウが言葉にする。
「ああ・・・確かに。大丈夫だよ、それ」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「緊急事態なの。わたしの親友がソープランドに売られそうなの」
と、ミウは状況を手短に説明する。
「わたしは親友の為に、それをなんとか阻止したくて・・・でも、手が思いつかなくて、サトルに頼む以外手はないの」
と、ミウは言う。
「了解・・・まあ、この仕事をうまく出来れば・・・結果的にミウの為になるんでしょ?」
と、サトルは言う。
「うん。わたしの為に、この仕事、引き受けてくれる?」
と、ミウが言うと、
「もちろん。全然大丈夫。大船に乗ったつもりで、いて、ミウ・・・僕はこれからは、僕が大切にしている人達の為に仕事をする・・・そう決めたんで、全然オッケー!」
と、サトルは言う。
「だから、今、僕が一番大事だと考えている、ミウの為に、僕は仕事をするんだ。新たに生まれ変わった新しい僕としてね」
と、サトルは言う。
「大丈夫、全然心配しなくて、大丈夫だから・・・あなたの笑顔が見たいから」
と、サトルは言ってくれる。
「サトル・・・」
ミウは胸がいっぱいになって、言葉を出せなかった。
「ミウ・・・少し時間くれる?折り返し電話するから、ほんのちょっと待って・・・」
と、サトルは言ってくれる。
「ミウ・・・素敵な仕事を僕にくれて・・・ありがとう」
と、サトルは言って、電話は切れた。
「サトル・・・」
胸が一杯になった、ミウは、そのサトルの言葉に、涙を流していた。
数十分後、ミウの携帯にサトルから電話がかかってきた。
「ええと、細かい情報の確認させて・・・その女衒の男・・・「女衒のテツ」だけど・・・本名わかる?それと過去使っていた電話番号の情報とかあるかなあ?」
と、サトルはテキパキと情報を確認してくる。
「えーと、その情報・・・わたしの親友ヨウコって言うんだけど、そのヨウコに確認してみるから・・・折り返し電話するわね」
と、ミウもテキパキと対応し・・・すべての処理は終わりを迎えた。
「じゃ、そういうことで・・・必要な情報はこちらから流すから・・・安心していてくれ・・・ということだって。ま、大丈夫っしょ」
と、サトルは言葉にしていた。
「ミウ、もう、僕は大丈夫だ・・・それにこの仕事を完璧にこなせれば・・・それこそ本格的な復活の契機にすることが出来るしね」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「この仕事をきっかけに、僕は完全に蘇る・・・もう「鬱病」なんて誰にも言わせることはないから」
と、サトルは言葉にしてくれる。
「ありがとう。ミウ・・・僕は素敵なパートナーに出会えたみたいだ・・・」
と、サトルは言い、
「じゃ、また、連絡するね・・・」
と言って、サトルからの電話は切れた。
ミウは泣いていた・・・。頼れる大人の男に復活したサトルに、涙が止まらくなっていたのだ。
嬉しい感情だけに、ミウはただただ泣くだけだった・・・。
(つづく)
、
→主要登場人物へ
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