「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「ラブ・クリスマス!」(ボクとワタシのイブまでの一週間戦争!)(21)

2013年12月20日 | 過去の物語
クリスマスイブ当日の土曜日、夕方4時頃 アイリのマンションに、17歳の滝田祐の姿があった。

アイリは笑顔で、祐をマンションに入れ、

「緊張しないでね。大丈夫だから・・・優ちゃんは、もう、皆と仲良くなったから、安心してね」

と、祐に話した。


祐は、少し緊張気味ながら、ゆっくりと頷き、アイリが、ダイニングの扉をゆっくりと開いた。


そこには、皆と仲良く話している鈴木優の姿があった。

ダイニングテーブルの真中に優は、座っていた。

優が祐に気づき、今まさに動き出そうとするところだった。


「カンコーン」

と、また、アイリのマンションの呼び鈴がなった。

「え?誰?まだ、来るひと、いたっけ?」

と、アイリは驚き、とりあえず、玄関に向かう。


皆は、アイリが玄関に戻ったので、とりあえず、それ待ちという感じになった。


リョウコが、祐の横に行き、

「緊張していない?大丈夫?」

などと世話を焼いていると、玄関で絶叫が上がった。

人々が何事?と、玄関を見ると、アイリが、ひとりの男性に抱きついて絶叫していた。


男性は、鈴木タケルだった。


「おい、アイリ、もう、祐が来ているんだろ・・・そっちが先だ、そっちが」

と、タケルはアイリの手をなんとか、ほどくと、ダイニングに入ってきた。


皆の緊張気味だった空気が一瞬に、変わり、皆、タケルの歓待モードになっていた。

「タケルくん帰ってこれたのー」「タケルくん、タケルくん」「タケルさん、あの・・・」「タケルさん」「タケルさん」

と、大合唱だった。

「ま、まあまあ・・・それより、祐、おまえ、まだ着いたばかりか・・・よし、それじゃあ、改めて仕切り直し。優、おまえ、そこに立て」

と、タケルは場の雰囲気を戻し、仕切り始める。


場所を隣の部屋に移し・・・鈴木優を部屋の中央に立たせ・・・祐をドア側に立たせた。ギャラリーはそれを取り巻いた。


「いいか、祐、ギャラリーは気にするな。これくらいのギャラリーがいた方が、いい緊張感になる」

と、タケルが仕切ると、皆も緊張感を取り戻す。


「祐、はじめるんだ。これは、おまえの17歳の記念碑になるからな。そして、優。おまえも、女性としてしっかりと祐の言葉を聞いて、感じたままに行動するんだ」

と、タケルが言うと、二人共コクリと頷く。


祐が、歩き始める。

優はその祐の様子を見ている。


祐は、優の前で跪くと、優を正面から見上げて、その目をしっかりと見る。


「鈴木優さん。僕、滝田祐は、あなたに告白します。あなたが大好きです。よかったら、僕とつきあってください・・・それから、これ花束とクリスマス・プレゼント」

と言って、祐はゆっくりと花束とプレゼントを優の方に捧げるように渡す。


優はその花束とクリスマス・プレゼントを、静かに受け取る。


皆、その様子を固唾を飲んで見守っている。


「ありがとう」

と、優は緊張気味に、プレゼントの包みを開くと・・・中身は、シルバーのかわいいイヤリングだった。花束はバラの花束だった。

イヤリングを見つめていた優は、それを手に取り、自分で自分の耳につけた。

「似合う・・・かな」

と、優が、祐に聞くと祐は、

「似合う。綺麗だ。誰よりも」

と、真面目に言った。


優は、その言葉を聞き、初めて笑った。

祐もその優の笑顔を見て、同時に笑顔になった。


優は、手を出すと、跪いていた祐は立ち上がり、優と笑顔で、握手する。


そして、優は、

「わたしこそ、よろしく」

と、満面の笑顔で言った。


告白は成功した。

皆は、二人に拍手と歓声をあげ、祐は、皆の握手攻めにあった。


鈴木タケルは、鈴木優の横に来ると、背をかがめて、目線を一緒にして、

「よかったな。優・・・いいイブになりそうじゃないか」

と、言った。

「うん。これも、タケルさんのおかげ・・・みんな、タケルさんのこと、好きなおかげ・・・」

と、言った。


「よし、これから、大移動だ。アミちゃん、車で来てるよね。それじゃあ、アミちゃんの車に、アイリとマキちゃんと優と祐が乗って。アイリの車はリョウコちゃんと俺」

と、鈴木タケルはテキパキと仕切りだす。

「目的地は、湘南江の島の西浜。アイリの車は、リョウコちゃんが運転してくれや。プロだからね」

と、タケルが言うと、リョウコちゃんが、

「で、何を目当てに、今から、西浜に行くんですか?」

と、質問したので、

「イブの夜に行われる、湘南の伝説、15分だけのイブの夜の江の島花火大会。これをカップルで見れると、一生、恋人たちが幸福でいられるんだ。イブの夜にピッタリだろ」

と、タケルが説明する。

祐と優は、隣同士で聞いていたが、思わずその伝説に、目を合わせて、うれしそうにする。

「よし、行くぞ・・・準備開始!」

と、タケルが仕切ると、皆あたふたと動き出す。


「でも・・・なんで急に帰ってこれたの、タケル・・・」

と、アイリが聞くと、

「それだけは、俺もわからないんだ。突然、須賀田プロジェクト・リーダーから「24日には、帰って来い。夜は、江の島花火大会を見に来れるように」って言われたの」

と、不承不承話すタケル。

「まあ、いいわ・・・タケルとイブの夜を過ごせるんだもの・・・」

と、アイリはうれしそうに、タケルを見ていた。


同じ頃、イズミは真紅のアルファ・ロメオを発車させ、道を走りだすと、すぐに大船駅の南口に向かう。

道を走って行くと、道の左側に田中美緒(22)の姿が見えた。


美緒は、オフホワイトのかわいいブークレ・コートを来ている。


美緒は、真紅のアルファ・ロメオを見つけると、うれしそうに手を上げ、車を左に寄せると、前を回り、右側のドアを開け、車内に入ってきた。


イズミは思わず美緒を抱きしめ、美緒もイズミを抱きしめていた。


そこは人通りの多い場所だったので・・・止まっている真紅のアルファ・ロメオに、興味ありげな聴衆が注目したが、イズミはすぐにそれに気づき、

車を発車させた。

「会いたかったよ・・・美緒」

イズミは感慨深げに、言葉にする。

「わたしも・・・」

と、言った美緒は、そのまま、涙を流した。

「どうした・・・美緒・・・俺たち、せっかく出会えたんじゃないか・・・」

と、イズミが言うと、

「だって、もう、イズミさんが、わたしのこと、嫌いになってるかもしれないって、ずーっと思ってたんだもの・・・」

と、美緒は大声で泣きながら話している。

「イズミさんが、わたしのこと誤解して、それでもう、嫌いになっちゃってるって、ずーっと思ってたんだもの・・・」

と、美緒はべーべー泣きながら話している。

「じゃあ、昨日のこと、美緒が説明して・・・俺、静かに聞いているから」

と、イズミは、車を運転しながら、時折美緒の表情を見る。

「昨日、突然、元カレだった、山下さん(27)が部屋に来て・・・よりを戻そうって、言ったの」

と、美緒は真面目に話している。

「私びっくりしちゃって・・・出そうとしたお茶を落としてしまって、山下さんにかけちゃったの」

と、美緒は真面目に話している。

「山下さんは、熱かったから、すぐに上を脱いで上半身ハダカになったんだけど・・・そしたら、山下さんが、「これは計略だろ、うまくなったな」って言って・・・」

と、美緒は真面目に話している。

「わたしを押し倒して、キスをしてきたの・・・私その時、スカートだったから、パンツにも手を入れられたわ・・・でも、それが、すごく不快で・・・」

と、美緒は真面目に話している。

「昔は正直、それだけで意識は飛んで気持ちよくなってた・・・でも、わたしはもう昔の私じゃなかったの。わたしは彼を跳ね除けて・・・そこにイズミさんが来たの」

と、美緒は真面目に話している。

「その直後だったから、イズミさんに誤解されそうだったし、うまく説明する自信がなかったし、何より元カレが上半身裸で私に部屋にいたら・・・誤解されるでしょ」

と、美緒は真面目に話している。

「それに、山下さんが、イズミさんに何を言うかわからなかったし・・・だから、帰って貰ったの・・・ああするしか、あの時のわたしには、手はなかったの」

と、美緒は泣きそうになりながら、話している。

「イズミさん、信じてくれるよね?」

と、美緒は泣きそうになりながら、必死で聞いている。

「ああ・・・美緒の言うことを信じるよ。確かに誤解したけど・・・そのおかげで、俺も美緒を本当に愛していることがわかった」

と、イズミはポツリと言った。

「美緒が、俺の恋人でなくなるって考えた時、胸が痛くて、どうしようもなかった」

と、イズミは説明する。

「そして、さっき美緒が、電話してくれた時・・・俺は本当に安心して泣いた・・・美緒の本当の大事さが、わかったんだ」

と、イズミはそう言葉にする。

「おまえの、本当の大事さが、わかったんだ」

と、言ったイズミは、右手で、美緒の頭を撫でてあげた。


美緒はうれしそうに頭を撫でられていた。


クリスマスイブ当日の土曜日、4時半頃。鈴木タケルとリョウコを乗せたリョウコ号と、アイリとマキとアミと、優と祐を乗せたアミ号が江ノ島に向けて出発していた。

「タケルはなんで、リョウコちゃんと2人きりなのかしら」

と、アイリは普通に疑問を話していた。

「っていうより、アミ、昨日、タケルから連絡貰ってたの?このクルマの件とか・・・」

と、アイリはアミに質問していた。

「実は、そうなの。昨日の夜、タケルくんから電話貰って・・・それで。だから、今日、タケルくんが帰ってくるのも、実は、事前に知っていたの」

と、アミは嬉しそうな表情で、話している。

「アイリにはくれぐれも内緒にしてくれって・・・サプライズにした方がアイリは喜ぶからって・・・そう言われたの。タケルくんは、ほんとにアイリのこと考えてるのね」

と、アミは、アイリをうらやましそうに、そう話す。

「そっか・・・タケルらしい、気の使い方だわ・・・確かに、それ正解だもの・・・」

と、アイリは納得したように話す。

「タケルくん・・・ニューヨークでは、リョウコちゃんとガオくんを守る仕事をしたらしいわ・・・リョウコちゃんの仕事、手伝ったって言ってた」

と、アミ。

「え、リョウコちゃんの仕事って・・・」

と、マキは祐と優に遠慮して、言葉にはしない・・・。

「ほら、先週、ガオくんが、大人の女性と出会って、どうしたらいいか、わからないって、私達に、相談してきたことが、あったじゃない・・・」

と、アミ。

「あ、確かに、そういうことがあったわね」

と、アイリ。

「それで、アミがガオくんに会いにいったんでしょ」

と、マキ。

「そう。ミサって、女っていう話だったけど・・・ほんとは、リサって、名前で・・・その女性、リョウコちゃんのチームのエースだったらしいの」

と、アミ。さすがに詳しい。

「え、じゃあ、ガオくんって、その仕事の女性と?」

と、アイリ。

「まあ、いろいろあったみたいだけど・・・そのリサって女から、リョウコちゃんとガオくんを守るために、タケルくん、ニューヨークで、動いていたみたい」

と、アミ。

「そんなことしてたんだ・・・タケル・・・」

と、アイリ。

「ねえ・・・ニューヨークで、リョウコちゃんを守るって・・・ひょっとして、CIAと仕事してたってこと?」

と、マキは、祐と優に聞こえないように小声でしゃべっている。

「そういうことよね・・・」

と、アミ。

「すごいなあ・・・タケルくん」

と、マキはびっくりしてしまう。

「タケルって、どこまで・・・」

と、アイリは、なんとなく微笑ましく思ってしまう。

「で、その仕事のクライマックスは、これから・・・だから、その打ち合わせをするんだって、リョウコちゃんとタケルくん」

と、アミは説明をし尽くす。

「そういうことだったんだ・・・」

と、アイリは、前を走るリョウコとタケルの車を見やる。

「この場で、その話の説明をしてくれ・・・それも、タケルくんの私へのリクエストだったの・・・アミちゃんが一番わかってるだろうからって・・・ガオくんに会ってるし」

と、アミ。

「タケルくんって、全てに配慮が行き届いているのよね・・・わかってる大人って感じよね」

と、マキ。

「うん・・・それに別な意味でも、配慮が行き届いているわ・・・タケルは・・・」

と、上機嫌なアミを見ながら、言うアイリだった。

「ふ・・・そうね」

と、アミもまた、アイリを見ながら、言うのだった。


同じ頃。リョウコの運転する車では、リョウコとタケルの間で、これから起こることについての打ち合わせをしていた。

「それにしても・・・タケルさん、今回はいろいろありがとうございました・・・わたし、守ってもらったみたいで・・・ガオ先輩も」

と、リョウコは、今回のことで、お礼を言っている。

「ん?まあ、そんなに大したことはしてないよ。深夜2時に、マイナス3度Cの極寒のニューヨークを歩かされたくらいさ。大変だったのは」

と、笑うタケル。

「涼さんが笑ってたんじゃないか?アイツ寒さが苦手だからな、とか言って・・・」

と、笑うタケル。すべてお見通しだ。

「さすがタケルさんですね。その通りです」

と、リョウコが言うと、

「以前、八津菱のお偉いさんを通して、仕事をしたことがあってさ。涼さんとは、それ以来の仲さ」

と、タケルは、さらりと説明する。

「ま、それはいいとして・・・ガオが行くところはわかっているから・・・途中ガオをキャッチアップする」

と、タケルは真面目な顔をして、言う。

「はい」

と、真面目な顔で、リョウコが言うと、

「あとは、さっき言った手はず通り・・・今回は、リョウコちゃんに美味しいところをあげるよ」

と、笑うタケル。

「ありがとうございます・・・わたしも心残りがあったので・・・」

と、リョウコは真面目な顔で、タケルに言う。

「ああ、存分にやるんだ。まあ、元はと言えば、君がガオをリサに紹介したところから、始まったんだからな・・・」

と、苦笑しながら、タケル。

「そうでした・・・」

と、リョウコ。

「最後は、自分で・・・ケツ拭ってこい!」

と、タケルは真面目な表情で言った。

「はい。しっかりと!」

と、リョウコが言うと、二人は真面目な顔になって、黙った。


二人の間に、緊張感がみなぎっていた。


クリスマスイブ当日の土曜日、5時半頃。イズミと美緒は、湘南ベイヒルトンホテルの4階に投宿していた。

長い陶酔の時間を過ごした二人は、お互い全裸で、陶酔の余韻に浸っていた。

「美緒、だいぶ感じたみたいだな」

と、イズミが笑顔で言うと、

「うん、とても、気持ちよくて・・・全身が気持ちよくて・・・こんなの初めて・・・」

と、美緒は夢見るような表情で、イズミに言う。

「俺も、こんなに感じたのは初めてだ・・・3度も、しちゃったしな」

と、笑うイズミ。しあわせそうな表情だ。

「おっと、それから、美緒へクリスマス・プレゼント渡さなきゃな」

と、イズミはバックから、細い箱を取り出し美緒に渡す。

美緒は、箱の中から、四つ葉のクローバーのモチーフのネックレスを取り出し、

「うわー・・・大好きなモチーフ・・・綺麗」

と、すぐに自分のクビにかけてみる。

「似合うよ・・・特に裸の美緒に、よく似合う」

と、イズミが言うと、嬉しそうにする、美緒だった。

「イズミさん・・・わたし、イズミさんへのクリスマス・プレゼント、忘れちゃった。いろいろあったから・・・」

と、美緒が済まなそうに言うと、

「何を言ってるんだよ。美緒は、一緒にいてくれるだけで、すでにクリスマス・プレゼントだよ」

と、イズミが言って、美緒はさらにうれしくなって、イズミに抱きつくのだった。


「6時半から、湘南の伝説、イブの江の島花火大会があるんだ。たった15分だけど、愛する二人がこれを見れば、二人の愛は永遠っていう言い伝えがある」

と、イズミが説明する。

「うわー、素敵・・・そんな言い伝えがあるんだ・・・」

と、美緒は感激する。

「この花火大会は湘南の恋人達、皆が楽しみにしている。だから、俺たちも直接観に行こう」

と、イズミが笑顔で言う。

「だから、このホテルにしたのね・・・江ノ島が目の前に見えるもの・・・」

と、美緒がはしゃぐ。

「そうさ。まあ、6時過ぎに出れば、十分間に合うな」

と、イズミが腕時計を見ながら言う。

「まだ、5時半だね・・・」

と、美緒が物言いたげな表情で言う。

「じゃあ、もう一回・・・」

と、イズミが笑うと、美緒が笑いながら、イズミの上に乗ってきた。


クリスマスイブ当日の土曜日、午後5時45分頃。リョウコ運転の車と、アミ運転の車は、湘南ベイヒルトン傍の駐車場に駐車することが出来た。

伝説の花火大会を見ようと、付近は多くの恋人たちでごった返していた。

7人は、会場へ移動した。シートを敷いて、見物場所を確保すると、7人はそこに座り込んだ。

「まだ、40分以上あるのに・・・すごいひとね」

と、マキが周りを見回しながら、話している。

「湘南中の恋人達が集まるからね・・・伝説の花火大会だしね」

と、タケルが笑うと、リョウコが、

「タケルさん、来ました」

と、タケルに報告。

「よし・・・じゃあ、皆は、ここにいて。僕らは、少しお仕事してくっから」

と、タケルはのんびりとした表情で、皆に声をかけた。

アイリとアミ、マキは真面目な表情で、祐と優は、意味をあまりわかっていなかったが、それでも、皆コクリと頷いた。

「よし、GO!」

と、ニューヨーク帰りのタケルは、まだ、アメリカにいた時の癖が抜けていなかった。


同じ頃、小田急線で現地入りしたガオは、シャンパンなどを入れたバックを抱え、小田急江ノ島駅を降りて、湘南ベイヒルトンに向かう途中だった。

「ガオ!」

という声が突然聞こえ、そちらを振り向くと、鈴木タケルと東堂リョウコが二人揃って立っていた。

「あれ、リョウコちゃんと鈴木が、なぜ、一緒にいるんだ?」

と、ガオは当然の疑問を持ったが、二人にふらふらと近づいていった。


タケルとリョウコは真面目な顔でガオに近づき・・・なにがしか話すと、ガオは血相を変えた。


ガオは真面目な表情で二人の言葉に聞き入り・・・納得して理解した。

「あとの手はずは、すべてリョウコちゃんに言ってある。自分の彼女のしあわせを確保してやるのも、男の務めだ。ガオわかるな」

と、タケルが言うと、ガオは、真面目な表情で、コクリと頷く。

「最高なイブにしろよ。ガオも、リョウコちゃんも」

と、二人を見つめながら、タケルは言うと、例のニヤリとした表情をしながら、二人と別れた。

ガオが、リョウコを見ると、リョウコは、コクリと頷く。

二人の最後の戦いが、始まろうとしていた。


つづく


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