「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「月夜野純愛物語」(ラブ・クリスマス2)(10)

2013年12月10日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
えーと、話にも出てくる、カレー屋さん「珊瑚礁」のカレー・・・けっこう食べてから、思い出して撮ったんですけど、こんな感じですねー。

僕は毎週末このカレー屋にサイクルウェア姿で現れていたので、いろいろな女性と仲良くなって、おしゃべりしていましたねー。懐かしい・・・。



とまあ、こんな雰囲気です。「珊瑚礁」は本店は七里ヶ浜の134号沿いにあって、デートの聖地です。

ここは藤沢駅前のデパ地下の支店になりますねー。そんな世界です。はい。


日曜日の10時半頃・・・サトルは自転車を自転車屋に預け、自身は藤沢駅北口の行きつけのデパ地下に来ていた。

赤く派手なサイクルウェアに身をつつんだサトルはヘルメットもアイウェアも外さず嬉しそうに歩いていく。


行きつけの惣菜屋「Bonne nourritune」に向かうと、旧知のデパート側の社員さんが笑顔で出迎えてくれる。

「いやあ、ユイさん、いつ見てもお綺麗ですねー」

と、サトルは知り合いの気安さから、そんな風な言葉にしている。

「サトルさんも、毎週変わらず、元気ですねー」

と、御島ユイ(27)は、色白のスタイルのいい美しい社員さんだ。

「今日のサラダは何にします?」

と、ユイは、サトルがまず、サラダから選ぶのをよくわきまえている。

「そうですねー。えーと、ポテトサラダとレタス・ウエッジサラダに、生ハムとグレープフルーツのサラダと・・・」

と、サラダ好きなサトルは、ある意味、サラダの大人買いをしている。

「それを100グラムずつ、お願いします・・・」

と、笑顔で言う、サトルである。

「御島さん、わたし、やりますから」

と、バイトの大山ミホ(19)が気を利かせる。

「悪いねー、ミホちゃん、いつもいつも・・・」

と、サトルは旧知のミホにも声をかける。

「いえ・・・」

と、少し赤くなるミホだった。

「今日も葉山の方、回ってきたんですか?」

と、ユイが興味深そうに笑顔で聞く。

「そうだね。裕次郎灯台を見て戻ってきた感じかな」

と、サトルも鷹揚に答えている。

「今日、天気いいみたいだから、楽しそうですね」

と、ユイは笑顔で話している。

「うん、ほんとに気持ちよかった・・・完全にトレーニング日和だよ」

と、サトルも笑顔で答える。

「ほーんと、湘南は風景も綺麗だし、海は綺麗だし、風も気持ちいいし、太陽も味方だし・・・サイクリストには天国だよ」

と、サトルは笑顔で答える。

「まあ、でも、トレーニングの後のサラダも美味しいし、それに美人のユイさんに毎週会えるのも、また、楽しいし・・・」

と、サトルは答える。

「やだ、美人だなんて・・・ミホちゃん、少しおまけしてあげてね」

と、ユイは赤くなりながらも、そんな風に話す。

「はい。わかりました・・・いつものことですね」

と、ミホも笑顔で返している。


「ほんと、サトルくんは、女性を笑顔にするのが、上手いわねー」

と、後ろから女性が声をかけてくる。

「え、その声は・・・」

と、サトルが後ろを振り向くと、声の主と、笑顔の沢島カズキが立っていた・・・。


3人は同じデパ地下にある、カレー屋「珊瑚礁」で、カレーを頼んでいた。

「えーと、僕は、ビックオニオンフライと・・・ポーク三枚肉の煮込みカレー」

と、サトルは頼む。

「あれ、今日は日曜日だから、ユリちゃんじゃないの?バイト」

と、サトルは馴染みのバイトの女性、浅倉マイ(19)に質問している。

「ユリは今日風邪ひいちゃったみたいで、それで、わたしが代わったんです」

と、マイは言葉にする。

「それに、今日はサトルさん来る日かなーって思ってたし・・・だから、バイトしててよかった」

と、マイは言葉にする。

「そうお。そりゃ、良かった・・・最近、マイちゃん会えてなかったから、僕も嬉しいよ」

と、サトルが言うと、

「おいおい、それくらいにしておけ・・・俺達も頼みたいんだから」

と、同席する沢村カズキに、たしなめられるサトルだった。

「はい、すいません」

と、サトルは頭を掻く。

「僕はアンチョビポテトとポークカツカレー、彼女は、香り地鶏とパクチーのサラダに、チキンとトマトのカレー。それよろしく」

と、カズキが言う。

「承知しました。すぐにお持ちしますね」

と、マイは、笑顔で返すと、目でサトルに挨拶して、厨房に戻っていった。

「相変わらずね、サトルくんは・・・女性とおしゃべりするの、上手いんだから」

と、沢村カズキと共に現れた女性・・・御手洗ミカ(32)が言葉にする。

「ミカさんの声を聞くとゾッとしますからね。でも、久しぶりですね、会うのは・・・」

と、サトルは嬉しそうに話している。

「仕事でフランスに戻ってたから・・・まあ、でも、これからは日本の仕事がメインになるから、結構こっちにいられるんだけどね」

と、ミカも嬉しそうに話す。

「なんと言っても、天下のASOですもんね。ツール・ド・フランスの開催組織・・・すごい仕事してますよ。ま、ミカさんの子供の頃からの夢ですもんね、それ」

と、サトルが話す。

「まあね・・・でも、まさか、自分がその仕事をやれるとは・・・だって私、単なる自転車屋の娘よ・・・ほんとに」

と、ミカはさばさばと話す。

「ミカはすごいよ・・・名門女学院から、お茶女入って、外務省入って・・・で、ASOだろ・・・トントン拍子ってまさにこの事だよな」

と、カズキは少しひねくれ気味。

「もう、何ひねくれてんの?久しぶりに逢えたんだから、やさしくしなさい。デートよデート!」

と、カズキの背中を叩くミカ。

「ミカさんは、相変わらず男マチック」

と、サトルは大笑い。


と、そこへ、店長の黒田コウヘイ(53)がマイを引き連れて料理を持ってくる。

「あ、店長、お久しぶりです」

と、サトルはすぐに反応。

「いやあ、サトルくんが来てるってマイが言うんでね。久しぶりにご挨拶を」

と、黒田はやさしそうな笑顔で鷹揚に話す。

「あ、店長・・・こちらは、僕のサイクルチームの先輩方です。ま、こちら恋人同士ですけどね」

と、サトルはすぐさまカズキとミカを店長に紹介する。

「おー、そうですかー。いやあ、サトルくんには毎週来て貰ってて、バイトの子達も彼が来ると華やいじゃって、うちとしてはバイトの定着率も良くて、万々歳なんです」

と、黒田は笑顔で言う。

「そうですか・・・こいつはまあ、周囲を明るくする天才みたいなところがありますから。なあ、サトル」

と、カズキはサトルを見ながら言う。

「血ですよ、血・・・うちの一族はそういう人間が多いんです」

と、サトルは半分照れながら話す。

「まあ、とにかく、今日は料理を存分に楽しんでいってください」

と、黒田は言い、マイも笑顔で料理を置いて厨房に戻っていく。


「しかし、サトルも変わったよな・・・最初に会った頃は、馬鹿まじめなスポーツマンって感じで、女性に声をかけるような男じゃなかったのに・・・」

と、カズキはカレーを食べながら言う。

「ミクが僕を変えてくれたんですよ。ま、この場で言うのも、あれですけどね」

と、サトルは少し静かになりながら、言葉にする。

「サトルくんが、そろそろ・・・ミクに逢いたいんじゃないかと思って・・・だから、今日来たのよ、わたし・・・」

と、ミカは言う。ミカはミクと双子の姉妹だ。

「だから、さっきミカさんの声を聞いた時、びっくりしたんですよ。・・・ミクが逢いにきたのかと、本気で思いましたよ・・・」

と、サトルは言う。

「ミクの事故からちょうど2年だもんね・・・今日これから?」

と、ミカが聞く。

「ええ・・・本当は、カレーを弁当にしてもらって、寮でそれ食ってから、いくつもりでした」

と、サトルは言う。

###ちなみに弁当にしてもらうと、こんな感じ。サラダも100グラム指定だと、こんな感じ。マキロンは擦過傷の多い、サイクリスト御用達です。はい。



###以上、ひとくち情報でした(笑)。


「ひとりで行きたいでしょ?」

と、ミカが聞くと、

「ええ・・・ひとりで行かないと、泣けませんから」

と、サトルは言う・・・。


「じゃあ、俺、行きますわ」

と、サトルは金を置いて立ち上がる。

「カズキさん、また・・・ミカさんも・・・」

と、サトルは言う。

カズキは目で合図を返しながら、手を挙げ、ミカは、

「じゃあね。ミクによろしく言っておいて・・・」

と言葉にした。

「・・・ミカさん、今日、逢いに来てくれてありがとう・・・」

と、サトルは少し涙ぐむと、走って消えていった。


「サトル変わったよな・・・」

とノンアルコールビールを飲みながら、カズキが言う。

「だって・・・ミクは僕のすべてです・・・なんて言ってたサトルくんだもの・・・」

と、ペリエを飲みながらミカが言う。

「あいつまだ、自分のせいでミクが死んだって思ってるんだぜ」

と、カズキは言う。

「そうね。でも、それはサイクリストしては・・・そう思っちゃうわよ。サトルくんが集団を全力で引いてたんだから・・・」

と、ミカは言う。

「あの時、雨が降っていなければな・・・事故は防げたかもしれないのに・・・」

と、カズキは言う。

「そうね・・・ミクは逝かないでも、済んだかもしれないわね・・・」

と、ミカも言う。


二人は、その言葉を最後に、少し黙った・・・。


江ノ電「七里ヶ浜駅」から北へ上り、東に登ったあたりにある「湘南霊園」。七里ヶ浜と相模湾が見下ろせる素敵な場所にある霊園に「御手洗ミク」の墓があった。

「御手洗家の墓」

と書かれたシンプルな墓に水をやり、花を手向け、拝む鈴木サトル(28)だった。

「あれから、2年経ったよ、ミク・・・」

と、サトルは言葉にする。

「お前がいなくなって2年・・・さっきミカさんに会って・・・未だにびっくりしちゃう・・・全然慣れないよ・・・」

と、サトルは言葉にする。

「お前は海外旅行に出かけてるだけだ・・・そのうち、ひょっこり帰ってくる・・・そんな風に僕には思えて仕方がない・・・」

と、サトルは言葉にする。

「あの事故の瞬間から、僕の中の時計は止まったキリだ・・・女性と仲良くしようと思っているのに・・・全然リハビリ出来ないよ・・・」

と、サトルは苦笑する。

「全然恋ゴコロなんて生まれやしない・・・むしろ、お前への恋ゴコロだけが残ってる感じで・・・」

と、サトルは笑う・・・いつしかサトルは涙をボロボロ流して泣いている。

「おまえだって、迷惑だろ?俺みたいな男が未だにお前なんか、思ってるなんて・・・迷惑だよな」

と、サトルは涙をボロボロ流しながら言葉にする。

「でも、だめなんだ・・・誰も愛せない・・・お前が忘れられないんだ・・・寂しくて寂しくてしょうがないのに・・・誰も愛せないんだ」

と、サトルはボロボロ涙を流している。

「誰もココロに入ってこない・・・だから、寂しい。寂しい。寂しい・・・」

と、サトルは鼻水も流しながら、涙でくちゃくちゃな顔をしている。

「寂しいよ、ミク・・・帰ってきてよ、ミク・・・僕にはミクしか、いないんだ・・・僕には」

と、サトルは泣きながら、ミクの墓の前に突っ伏した。

「もう、ここから、抜け出すことなんて・・・出来やしないよ・・・ミク、ミク、ミク・・・ほんとうに、こころから寂しいんだ・・・」

と、サトルはいつまでも言葉を出し続け、泣き続けていた。


七里ヶ浜のやさしい波音が遠くから聞こえていた・・・。


つづく


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