おはようございます。
静かな時間が過ぎていきますね。
もうすぐ春が来ると言う事でしょうねー。
さて、その時、僕らは御島さん(31)のマンションで楽しく焼き肉パーティーしてました。
「でも、ゆるちょさん。最近話題になっている高嶋ちさ子さんのゲーム機バキバキ事件」
「ゆるちょさんなら、どう思います?」
と、辛辣姫(28)が話題を振ります。
「わたしも興味あるわね。その答え」
と、御島さん。
「え?僕、ダメな事を既に言いそう・・・」
と、僕は豚肉を食いながら、少し照れます。
「今でこそ、僕は仕事の方がすごく面白くなっちゃったし、人生の方が面白いって言うか」
「いろいろな女性や男性とガチでおしゃべりするのが楽しくて、ゲームは一切やってないけど・・・」
と、僕。
「それ以前はすっごいゲーム大好きで・・・よーくやってたから、平日ゲーム禁止とか耐えられないだろうな・・・」
と、僕。
「それじゃあ、ゲームバキバキですね」
と、ユキちゃん。
「うん。ただ・・・それだけ真剣に怒ってくれるって事は「ああ、自分は愛されてる」って感動するだろうね」
「僕は今でもそうだけど、本気になって怒ってくれる人を大事にしてきたからね・・・」
と、僕。
「結局、他人の事を適当に考えている人は、そういうのをスルーするんだよね」
「本気で相手の事を考えているからこそ、バキバキなわけで・・・僕だったら、さらに愛しく感じちゃうだろうなあ」
と、僕。
「なるほどね。ゆるちょくんはそういう考えだから、思った事を常にきちんと言葉にしてきたから」
「ゆるちょくんから離れていった人もいたんでしょう?」
と、御島さん。
「うん。いろいろいたよ。だけど、そういう人はしょうがないんじゃない?」
「むしろ、もう僕らはオトナなんだから、自分の生き方は自分で決めるんだから。去る者追わず・・・だね」
と、僕。
「いきなり、離れていかれたら、ショックじゃあ、ないんですか?」
と、ミユウちゃん(25)。
「そりゃあ、最初はショックだったけどね。でも、人生そういうもんだってわかれば」
「相手も生き方の違う人間とは友達づきあいは出来ないって結論を出したんだから・・・しょうがないんじゃない」
「そこがわかったよ・・・何事も経験するからわかるのさ」
と、僕。
「だから、自分の大事に思っている事が明確になるからこそ、自分の道は出来ていくんだってわかったよ」
「そこが明確じゃないと、他人に合わせる事も出来るんだろうけど、明確になったら、自分の道を行くべきだからね」
と、僕。
「なるほど・・・人に合わせてるだけか・・・自分の大事にする事が明確になっているか・・・の違いですか」
「深いなあ・・・」
と、池澤くん(24)。
「ここでやっちゃいけないのが、自己中心的な生き方って奴で、わがままなだけの生き方」
「これは共感を得られないから、まず、何をやってもダメだけどね・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんは、自分で正しいと思って、共感を得られるやり方をチョイスしているんですね」
「そこは大事ですよね」
と、貴島くん(29)。
「生きるって難しいんですね・・・」
と、辛辣姫。
「いやいや、やり方さえ、慣れれば簡単だよ。実際、こうやって皆と一緒に肉食べてるし・・・」
「毎日、楽しいし、ね・・・」
と、僕。
「そーね。ゆるちょくんはいろいろ役に立つもの。まあ、肉食べましょう」
と、御島さん。シャンパンを飲んでいる。
「そう言えば、もうすぐ春だけど・・・池澤くん、恋してる?」
と、御島さん。
「え?なんすか、突然・・・びっくりさせないでくださいよー」
と、池澤くん。咳き込んでいる。
「だって、ちょっと前に「俺、がんばります」的な発言してたじゃなーい」
と、御島さん。
「なんか、あれ、いつの間にか、無くなっちゃったみたいですよ」
と、貴島くん。
「え?どうしたの?池澤くん!」
と、御島さん。
「いやあ、僕がちょっと手を抜いていたら、先方に彼氏が出来ちゃったみたいで」
「なんか、上手く出し抜かれちゃったみたいなんですよね・・・それで・・・」
と、池澤くん。頭を掻きながら説明をしている。
「池澤くんの方から攻撃しなかったんでしょう。だから、恋は速い内に攻撃しなくちゃって、あれほど言ったのに・・・」
と、御島さん。
「いや、攻撃はしましたよ。実際、デートもしたし・・・そしたら、「池澤くんはたくさんの女性といつも一緒にいて」」
「「楽しそうね」って言われてしまって・・・」
と、池澤くん。
「あら。わたし達が池澤くんの恋愛を潰したって事?ちょっとそれは聞きづて成らないわ」
と、辛辣姫。
「いや・・・別にそういう事じゃ・・・ゆるちょさーん、助けてくださいよー。僕、いっつも、こんな感じになっちゃうんです・・・」
と、池澤くん。
「そうなの?貴島くん」
と、僕。
「いやあ。僕はあえて見殺しにしているんですけど、こいつ、泣きつく癖があるんですよ。やばくなった時に・・・」
と、貴島くん。
「池澤くんって、誰かに泣きつけば、事は片付くってどっかで考えている所があるのよね」
「なんか、そこが女性からすると、ズルいって言うか、頼りない所なんですよ・・・」
と、ミユウちゃん。
「うーん、人間性がまだまだ小さくて、精神的に弱いのね。しかも、威嚇力も経験も無いから、女性を説得するチカラが無いのね」
と、御島さん。
「今までずーっと人任せにしてきたから、一切、そういうあたり、成長してないって、そういうパターン?」
と、僕。
「僕はそう思いますけどねー。っていうか、事態をそのままにしておいて、どんどん悪化していくから、最悪、何をすればいいか、わかっていなくて」
「最悪な状況になってから、ひとに頼ろうとするから、成長が無いんですよね・・・」
と、貴島くん。
「うーん、それはよろしくないなあ・・・」
と、僕。
「ゆるちょさん・・・こういう時、どうすればいいんでしょう、僕・・・」
と、池澤くん。
「うーん、まず、事態は自分でコントロールしなくちゃいけないねー。そして、落とし所を決めておいて、そこへ落とす」
「その為には、まず、相手の性格をわかっていなきゃいけないね。で、その子、どういう子なの?基本情報として、さ・・・」
と、僕。
「いや、いい子なんですよ。いい子なんですけど、僕の言うことを聞いてくれないと言うか、わがままと言うか」
と、池澤くん。
「って言うか、ハッキリ言うと、僕をバカにしているような所があるんです。デートした時も、僕の言う事は聞いてくれなくて」
「ラーメン屋に入っちゃったり・・・正直、手に負えないんですよ」
と、池澤くん。
「でもさー。ラーメン屋に入っちゃうって事は、女性としては割りと気を許している証拠じゃない?」
と、ミユウちゃん。
「そうね。それに結局、その子は、女性に囲まれている池澤くんに嫉妬したって事でしょ?」
「脈はあったんじゃないのー」
と、辛辣姫。
「女性は好きな男子に意地悪するって古典的な方法もあるからね・・・わたし達から見るとその彼女」
「池澤くんにそれなりにアタックしてたように見えるわね。それに気づかない池澤くん・・・そう言えば、昔、女性にアタックされてもまったく感知出来ない男性がいたわよねー」
と、御島さん。
「あれはね。まだ、僕が大学2年生で・・・人間小さいし、性格も弱かったし、なにより、自己評価が低かったから、皆のマドンナな美人のリアルお姫様の」
「恋ゴコロに気づけなかったんだ・・・「僕に恋しているように見えているけど、こんな価値の無い自分に女性が恋するはずがない」・・・その時、そう思っていたから」
「・・・そういう意味では、池澤くんは、僕の学生時代にそっくりかもしれないな」
と、僕。
「いずれにしろ、まだまだ経験が必要って事よ。池澤くん・・・男性として、ちょっと魅力が足りないのよね・・・」
と、御島さん。
「魅力・・・が足りない・・・」
と、池澤くん。
「あのねー、池澤くん。人間は結局、獣なんだよ。だから、獣の能力が高い人が、獣ヒエラルキーの頂点に立つ」
「それは男子なら、自分のテリトリーと家族を守れる能力の高いひと、なんだよ。決して、サラリーマンの肩書じゃない」
「むしろ、一匹狼として独立している個体の方が「獣力」は高いんじゃないかな」
と、僕。
「それは男性なら、威嚇力だろうね。獣は戦う前に威嚇をしあう。そこで大抵は決着がつくからね」
「僕の例で行くと、猫と出会うと・・・その猫が後退りしながら、逃げていく・・・それだけ僕の目の威嚇力は強いと言う事だ」
「女性は家族を守って貰う必要があるから、その威嚇力の高い個体に恋に落ちる。そういう獣がヒエラルキーのトップなんだ」
と、僕。
「だけど・・・池澤くんを見ていると、そういう獣さ加減が、一切ないように思える」
「むしろ守ってもらいたい側だね。だから、結局、恋されないって事になるし、女性が便りにしないって事になる」
と、僕。
「そうなんですよ。ゆるちょさんの場合、女性の方から笑顔で寄ってくるじゃないですか」
「それはゆるちょさんの獣加減が強いからだと僕も理解しているんです。だからこそ、女性はゆるちょさんの言いなりになってくれる」
「でも、僕の場合、そうはいかない。そもそも話を聞いてくれないんですから・・・」
と、池澤くん。
「ま、だから、獣力を鍛える事から始めるべきだろうね。それは目と目のやりあいだよ」
「獣は目と目の戦いで、勝ち負けを決める。ほら、よくヤンキーが目と目でやりあってるだろ。「ガン付けた」と言って相手の目と目を戦わせる」
「あれを女性相手にやるって事だな。それこそ、トレーニングだよ。相手を打ち負かす、ね・・・」
と、僕。
「それをやれば、僕の獣力は強くなりますか?」
と、池澤くん。
「ああ。どれくらいかかるかは、保証出来ないけど、女性の目をしっかり見れるようになれば・・・もちろん、相手も受け入れてくれるようにならないといけないけどね」
「それは獣力のトレーニングに絶対になるよ」
と、僕。
「そうね。でも、まず、それの相手になってくれる女性を探さなきゃいけないんじゃない?」
「それこそ、池澤くんにこころ開いている女性って事になるんだから・・・そっちの方が大変そうだけど・・・」
と、辛辣姫。
「結局、それって彼女を探すプロセスにも似てるけど・・・獣力を高めれば、男性は女性に言う事を聞いてもらえる・・・と言う真理を教えて貰ったからには」
「トレーニングあるのみですね・・・」
と、池澤くん。張り切っている。
「ねえ、ゆるちょさん・・・女性の魅力は「抱擁力」って聞いていますけど・・・それって具体的にどういう事になりますか?」
と、辛辣姫。
「そうだな。具体的に言うと、子供を常に受け入れていくチカラだし、疲れた旦那を受け入れてあげるチカラ・・・」
「やさしくて強い気持ちって事になるんじゃないの」
と、僕。
「だから、人間性がデカくなくっちゃならない。けつの穴の小さい女性には出来ない事だからね・・・」
と、僕。
「そういう女性っていますね。いつまでも、自分は娘気分で、自分勝手で、気分屋で、やりたい事ばかりやってる、自己中心的な女性」
「・・・要は子供のまま、親に成長出来ていない女性って事ですね・・・」
と、辛辣姫。
「親になれば、女性は全員親に成長出来ると思ったら大間違いよね。子供と同じ立場で、喧嘩してみたり・・・親は親であることを見せなきゃいけないわ」
と、御島さん。
「それはどういう事です」
と、ミユウちゃん。
「理性的に叱る事よね。直情的じゃなくて、あくまで理性的に叱る事。約束は守る事。そして、大きな気持ちで相手を受け入れる事よ。深い愛情で持ってね」
と、御島さん。
「結局、叱ると言うのは、その子の将来を思ってする、愛情行為なんだから、理性的である事が最も必要だわ」
「だって、それは喧嘩じゃないんだから・・・叱ると言う行為と喧嘩と言う行為を同列に考えている人がいるけど、あれは間違いだわ」
と、御島さん。
「人間的に大きくなって、相手の思いを理解し、相手をちゃんと受け止める・・・結局、母親と言うのは、強くて大きな存在じゃないといけないのよね」
「それでいて、相手の中身、思いを見抜く理解力も必要。それが女性の魅力・・・「抱擁力」って事になるんじゃないかしら・・・」
と、御島さん。
「・・・って事は、どちらもオトナの男性の魅力「威嚇力」、オトナの女性の魅力「抱擁力」だから・・・最近はオトナになれていない・・・子供のままの男女が」
「多いって、結論になりますか?それって両親世代が悪いんじゃ・・・」
と、ミユウちゃん。
「最近、親離れ出来ない子供と子離れ出来ない親が増えているっていいますからね」
と、辛辣姫。
「最近は、親子の関係が・・・友達関係みたいで、尊敬語や謙譲語の出来ない恥ずかしい子供が増えているんだそうです」
「歳の差があっても、タメ口で、それが最先端だとカン違いしているらしいですよ。僕はそういう人間は無視して、一生しゃべりませんけれど」
と、貴島くん。
「それで十分だよ。そんな人間、相手にしている暇は無い」
と、僕。
「そっか。それで、今の若い世代は、相手を尊敬したり、自分がまだ社会では足りない人間だから謙譲語を使うと言う発想が無いから」
「「修行をして、自分の価値を高める」と言う発想が無いから・・・親を越えると言う発想も無いんだ」
「だから、子供が小さいままなんだ。人間的に小さく、精神的に弱い。だから、男性は女性に恋されないし、女性は抱擁力を持てないから、男性に恋されなんだ」
と、辛辣姫。
「なるほど・・・さすがユキちゃん・・・洞察力が高いねー。それが本質的な解答かもしれない」
と、僕。
「・・・と言う事は今の若い世代がダメなのは親世代の責任と言う事になりますね」
と、貴島くん。
「ちょうど今の親世代って「親子は友達のように仲良く。子供を褒めて伸ばそう」なんて神話が流行った頃でしょう?」
「「子供を褒めて伸ばそう」なんて言語道断だよ。人は失敗するから傷つき、その傷が治る過程でいろいろ考えるからこそ、伸びるんだから」
「「子供を褒めて伸ばそう」って事は怒られる事に慣れないから、ひとたび怒られたら、通常以上に怖がって・・・社会で通用しない人間が出来上がってしまう」
「それはダメでしょ・・・」
と、僕。
「親子が友達関係だと・・・それが子供達がタメ口を聞いてくる主な原因ですけど、尊敬の念がわからないから、日本社会に出た時、こっぴどく怒られるか」
「・・・徹底無視されるでしょうね。いずれにしろ、子供に悪い影響を与える。つまり、両親世代が自分がいいように、自分勝手世代になっているって事ですね」
「すぐに不幸を呼び寄せますよ」
と、御島さん。
「親は子供を守る防波堤にもなり、子供が乗り越えていくべき壁にもなる。それが親が一生をかけて子供にしてやれる教育だし、愛だと思いますけどね」
と、僕。
「結局、オトコは「威嚇力」のある獣。オンナは「抱擁力」のある獣になれば、しあわせになれるって事ですかねー」
と、池澤くんが言葉にした。
「そういう事ね。あなたも早く、一匹の野獣になりなさい。そして、野生のチカラを備えるの。そうすれば、女性にモテるようになるわ」
「間違っても、サラリーマンオヤジの中にいるような羊さんになっちゃダ・メ・ヨ」
と、御島さんは言って、シャンパンを飲んだ。
(おしまい)
静かな時間が過ぎていきますね。
もうすぐ春が来ると言う事でしょうねー。
さて、その時、僕らは御島さん(31)のマンションで楽しく焼き肉パーティーしてました。
「でも、ゆるちょさん。最近話題になっている高嶋ちさ子さんのゲーム機バキバキ事件」
「ゆるちょさんなら、どう思います?」
と、辛辣姫(28)が話題を振ります。
「わたしも興味あるわね。その答え」
と、御島さん。
「え?僕、ダメな事を既に言いそう・・・」
と、僕は豚肉を食いながら、少し照れます。
「今でこそ、僕は仕事の方がすごく面白くなっちゃったし、人生の方が面白いって言うか」
「いろいろな女性や男性とガチでおしゃべりするのが楽しくて、ゲームは一切やってないけど・・・」
と、僕。
「それ以前はすっごいゲーム大好きで・・・よーくやってたから、平日ゲーム禁止とか耐えられないだろうな・・・」
と、僕。
「それじゃあ、ゲームバキバキですね」
と、ユキちゃん。
「うん。ただ・・・それだけ真剣に怒ってくれるって事は「ああ、自分は愛されてる」って感動するだろうね」
「僕は今でもそうだけど、本気になって怒ってくれる人を大事にしてきたからね・・・」
と、僕。
「結局、他人の事を適当に考えている人は、そういうのをスルーするんだよね」
「本気で相手の事を考えているからこそ、バキバキなわけで・・・僕だったら、さらに愛しく感じちゃうだろうなあ」
と、僕。
「なるほどね。ゆるちょくんはそういう考えだから、思った事を常にきちんと言葉にしてきたから」
「ゆるちょくんから離れていった人もいたんでしょう?」
と、御島さん。
「うん。いろいろいたよ。だけど、そういう人はしょうがないんじゃない?」
「むしろ、もう僕らはオトナなんだから、自分の生き方は自分で決めるんだから。去る者追わず・・・だね」
と、僕。
「いきなり、離れていかれたら、ショックじゃあ、ないんですか?」
と、ミユウちゃん(25)。
「そりゃあ、最初はショックだったけどね。でも、人生そういうもんだってわかれば」
「相手も生き方の違う人間とは友達づきあいは出来ないって結論を出したんだから・・・しょうがないんじゃない」
「そこがわかったよ・・・何事も経験するからわかるのさ」
と、僕。
「だから、自分の大事に思っている事が明確になるからこそ、自分の道は出来ていくんだってわかったよ」
「そこが明確じゃないと、他人に合わせる事も出来るんだろうけど、明確になったら、自分の道を行くべきだからね」
と、僕。
「なるほど・・・人に合わせてるだけか・・・自分の大事にする事が明確になっているか・・・の違いですか」
「深いなあ・・・」
と、池澤くん(24)。
「ここでやっちゃいけないのが、自己中心的な生き方って奴で、わがままなだけの生き方」
「これは共感を得られないから、まず、何をやってもダメだけどね・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんは、自分で正しいと思って、共感を得られるやり方をチョイスしているんですね」
「そこは大事ですよね」
と、貴島くん(29)。
「生きるって難しいんですね・・・」
と、辛辣姫。
「いやいや、やり方さえ、慣れれば簡単だよ。実際、こうやって皆と一緒に肉食べてるし・・・」
「毎日、楽しいし、ね・・・」
と、僕。
「そーね。ゆるちょくんはいろいろ役に立つもの。まあ、肉食べましょう」
と、御島さん。シャンパンを飲んでいる。
「そう言えば、もうすぐ春だけど・・・池澤くん、恋してる?」
と、御島さん。
「え?なんすか、突然・・・びっくりさせないでくださいよー」
と、池澤くん。咳き込んでいる。
「だって、ちょっと前に「俺、がんばります」的な発言してたじゃなーい」
と、御島さん。
「なんか、あれ、いつの間にか、無くなっちゃったみたいですよ」
と、貴島くん。
「え?どうしたの?池澤くん!」
と、御島さん。
「いやあ、僕がちょっと手を抜いていたら、先方に彼氏が出来ちゃったみたいで」
「なんか、上手く出し抜かれちゃったみたいなんですよね・・・それで・・・」
と、池澤くん。頭を掻きながら説明をしている。
「池澤くんの方から攻撃しなかったんでしょう。だから、恋は速い内に攻撃しなくちゃって、あれほど言ったのに・・・」
と、御島さん。
「いや、攻撃はしましたよ。実際、デートもしたし・・・そしたら、「池澤くんはたくさんの女性といつも一緒にいて」」
「「楽しそうね」って言われてしまって・・・」
と、池澤くん。
「あら。わたし達が池澤くんの恋愛を潰したって事?ちょっとそれは聞きづて成らないわ」
と、辛辣姫。
「いや・・・別にそういう事じゃ・・・ゆるちょさーん、助けてくださいよー。僕、いっつも、こんな感じになっちゃうんです・・・」
と、池澤くん。
「そうなの?貴島くん」
と、僕。
「いやあ。僕はあえて見殺しにしているんですけど、こいつ、泣きつく癖があるんですよ。やばくなった時に・・・」
と、貴島くん。
「池澤くんって、誰かに泣きつけば、事は片付くってどっかで考えている所があるのよね」
「なんか、そこが女性からすると、ズルいって言うか、頼りない所なんですよ・・・」
と、ミユウちゃん。
「うーん、人間性がまだまだ小さくて、精神的に弱いのね。しかも、威嚇力も経験も無いから、女性を説得するチカラが無いのね」
と、御島さん。
「今までずーっと人任せにしてきたから、一切、そういうあたり、成長してないって、そういうパターン?」
と、僕。
「僕はそう思いますけどねー。っていうか、事態をそのままにしておいて、どんどん悪化していくから、最悪、何をすればいいか、わかっていなくて」
「最悪な状況になってから、ひとに頼ろうとするから、成長が無いんですよね・・・」
と、貴島くん。
「うーん、それはよろしくないなあ・・・」
と、僕。
「ゆるちょさん・・・こういう時、どうすればいいんでしょう、僕・・・」
と、池澤くん。
「うーん、まず、事態は自分でコントロールしなくちゃいけないねー。そして、落とし所を決めておいて、そこへ落とす」
「その為には、まず、相手の性格をわかっていなきゃいけないね。で、その子、どういう子なの?基本情報として、さ・・・」
と、僕。
「いや、いい子なんですよ。いい子なんですけど、僕の言うことを聞いてくれないと言うか、わがままと言うか」
と、池澤くん。
「って言うか、ハッキリ言うと、僕をバカにしているような所があるんです。デートした時も、僕の言う事は聞いてくれなくて」
「ラーメン屋に入っちゃったり・・・正直、手に負えないんですよ」
と、池澤くん。
「でもさー。ラーメン屋に入っちゃうって事は、女性としては割りと気を許している証拠じゃない?」
と、ミユウちゃん。
「そうね。それに結局、その子は、女性に囲まれている池澤くんに嫉妬したって事でしょ?」
「脈はあったんじゃないのー」
と、辛辣姫。
「女性は好きな男子に意地悪するって古典的な方法もあるからね・・・わたし達から見るとその彼女」
「池澤くんにそれなりにアタックしてたように見えるわね。それに気づかない池澤くん・・・そう言えば、昔、女性にアタックされてもまったく感知出来ない男性がいたわよねー」
と、御島さん。
「あれはね。まだ、僕が大学2年生で・・・人間小さいし、性格も弱かったし、なにより、自己評価が低かったから、皆のマドンナな美人のリアルお姫様の」
「恋ゴコロに気づけなかったんだ・・・「僕に恋しているように見えているけど、こんな価値の無い自分に女性が恋するはずがない」・・・その時、そう思っていたから」
「・・・そういう意味では、池澤くんは、僕の学生時代にそっくりかもしれないな」
と、僕。
「いずれにしろ、まだまだ経験が必要って事よ。池澤くん・・・男性として、ちょっと魅力が足りないのよね・・・」
と、御島さん。
「魅力・・・が足りない・・・」
と、池澤くん。
「あのねー、池澤くん。人間は結局、獣なんだよ。だから、獣の能力が高い人が、獣ヒエラルキーの頂点に立つ」
「それは男子なら、自分のテリトリーと家族を守れる能力の高いひと、なんだよ。決して、サラリーマンの肩書じゃない」
「むしろ、一匹狼として独立している個体の方が「獣力」は高いんじゃないかな」
と、僕。
「それは男性なら、威嚇力だろうね。獣は戦う前に威嚇をしあう。そこで大抵は決着がつくからね」
「僕の例で行くと、猫と出会うと・・・その猫が後退りしながら、逃げていく・・・それだけ僕の目の威嚇力は強いと言う事だ」
「女性は家族を守って貰う必要があるから、その威嚇力の高い個体に恋に落ちる。そういう獣がヒエラルキーのトップなんだ」
と、僕。
「だけど・・・池澤くんを見ていると、そういう獣さ加減が、一切ないように思える」
「むしろ守ってもらいたい側だね。だから、結局、恋されないって事になるし、女性が便りにしないって事になる」
と、僕。
「そうなんですよ。ゆるちょさんの場合、女性の方から笑顔で寄ってくるじゃないですか」
「それはゆるちょさんの獣加減が強いからだと僕も理解しているんです。だからこそ、女性はゆるちょさんの言いなりになってくれる」
「でも、僕の場合、そうはいかない。そもそも話を聞いてくれないんですから・・・」
と、池澤くん。
「ま、だから、獣力を鍛える事から始めるべきだろうね。それは目と目のやりあいだよ」
「獣は目と目の戦いで、勝ち負けを決める。ほら、よくヤンキーが目と目でやりあってるだろ。「ガン付けた」と言って相手の目と目を戦わせる」
「あれを女性相手にやるって事だな。それこそ、トレーニングだよ。相手を打ち負かす、ね・・・」
と、僕。
「それをやれば、僕の獣力は強くなりますか?」
と、池澤くん。
「ああ。どれくらいかかるかは、保証出来ないけど、女性の目をしっかり見れるようになれば・・・もちろん、相手も受け入れてくれるようにならないといけないけどね」
「それは獣力のトレーニングに絶対になるよ」
と、僕。
「そうね。でも、まず、それの相手になってくれる女性を探さなきゃいけないんじゃない?」
「それこそ、池澤くんにこころ開いている女性って事になるんだから・・・そっちの方が大変そうだけど・・・」
と、辛辣姫。
「結局、それって彼女を探すプロセスにも似てるけど・・・獣力を高めれば、男性は女性に言う事を聞いてもらえる・・・と言う真理を教えて貰ったからには」
「トレーニングあるのみですね・・・」
と、池澤くん。張り切っている。
「ねえ、ゆるちょさん・・・女性の魅力は「抱擁力」って聞いていますけど・・・それって具体的にどういう事になりますか?」
と、辛辣姫。
「そうだな。具体的に言うと、子供を常に受け入れていくチカラだし、疲れた旦那を受け入れてあげるチカラ・・・」
「やさしくて強い気持ちって事になるんじゃないの」
と、僕。
「だから、人間性がデカくなくっちゃならない。けつの穴の小さい女性には出来ない事だからね・・・」
と、僕。
「そういう女性っていますね。いつまでも、自分は娘気分で、自分勝手で、気分屋で、やりたい事ばかりやってる、自己中心的な女性」
「・・・要は子供のまま、親に成長出来ていない女性って事ですね・・・」
と、辛辣姫。
「親になれば、女性は全員親に成長出来ると思ったら大間違いよね。子供と同じ立場で、喧嘩してみたり・・・親は親であることを見せなきゃいけないわ」
と、御島さん。
「それはどういう事です」
と、ミユウちゃん。
「理性的に叱る事よね。直情的じゃなくて、あくまで理性的に叱る事。約束は守る事。そして、大きな気持ちで相手を受け入れる事よ。深い愛情で持ってね」
と、御島さん。
「結局、叱ると言うのは、その子の将来を思ってする、愛情行為なんだから、理性的である事が最も必要だわ」
「だって、それは喧嘩じゃないんだから・・・叱ると言う行為と喧嘩と言う行為を同列に考えている人がいるけど、あれは間違いだわ」
と、御島さん。
「人間的に大きくなって、相手の思いを理解し、相手をちゃんと受け止める・・・結局、母親と言うのは、強くて大きな存在じゃないといけないのよね」
「それでいて、相手の中身、思いを見抜く理解力も必要。それが女性の魅力・・・「抱擁力」って事になるんじゃないかしら・・・」
と、御島さん。
「・・・って事は、どちらもオトナの男性の魅力「威嚇力」、オトナの女性の魅力「抱擁力」だから・・・最近はオトナになれていない・・・子供のままの男女が」
「多いって、結論になりますか?それって両親世代が悪いんじゃ・・・」
と、ミユウちゃん。
「最近、親離れ出来ない子供と子離れ出来ない親が増えているっていいますからね」
と、辛辣姫。
「最近は、親子の関係が・・・友達関係みたいで、尊敬語や謙譲語の出来ない恥ずかしい子供が増えているんだそうです」
「歳の差があっても、タメ口で、それが最先端だとカン違いしているらしいですよ。僕はそういう人間は無視して、一生しゃべりませんけれど」
と、貴島くん。
「それで十分だよ。そんな人間、相手にしている暇は無い」
と、僕。
「そっか。それで、今の若い世代は、相手を尊敬したり、自分がまだ社会では足りない人間だから謙譲語を使うと言う発想が無いから」
「「修行をして、自分の価値を高める」と言う発想が無いから・・・親を越えると言う発想も無いんだ」
「だから、子供が小さいままなんだ。人間的に小さく、精神的に弱い。だから、男性は女性に恋されないし、女性は抱擁力を持てないから、男性に恋されなんだ」
と、辛辣姫。
「なるほど・・・さすがユキちゃん・・・洞察力が高いねー。それが本質的な解答かもしれない」
と、僕。
「・・・と言う事は今の若い世代がダメなのは親世代の責任と言う事になりますね」
と、貴島くん。
「ちょうど今の親世代って「親子は友達のように仲良く。子供を褒めて伸ばそう」なんて神話が流行った頃でしょう?」
「「子供を褒めて伸ばそう」なんて言語道断だよ。人は失敗するから傷つき、その傷が治る過程でいろいろ考えるからこそ、伸びるんだから」
「「子供を褒めて伸ばそう」って事は怒られる事に慣れないから、ひとたび怒られたら、通常以上に怖がって・・・社会で通用しない人間が出来上がってしまう」
「それはダメでしょ・・・」
と、僕。
「親子が友達関係だと・・・それが子供達がタメ口を聞いてくる主な原因ですけど、尊敬の念がわからないから、日本社会に出た時、こっぴどく怒られるか」
「・・・徹底無視されるでしょうね。いずれにしろ、子供に悪い影響を与える。つまり、両親世代が自分がいいように、自分勝手世代になっているって事ですね」
「すぐに不幸を呼び寄せますよ」
と、御島さん。
「親は子供を守る防波堤にもなり、子供が乗り越えていくべき壁にもなる。それが親が一生をかけて子供にしてやれる教育だし、愛だと思いますけどね」
と、僕。
「結局、オトコは「威嚇力」のある獣。オンナは「抱擁力」のある獣になれば、しあわせになれるって事ですかねー」
と、池澤くんが言葉にした。
「そういう事ね。あなたも早く、一匹の野獣になりなさい。そして、野生のチカラを備えるの。そうすれば、女性にモテるようになるわ」
「間違っても、サラリーマンオヤジの中にいるような羊さんになっちゃダ・メ・ヨ」
と、御島さんは言って、シャンパンを飲んだ。
(おしまい)