「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

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坂の上の雲 第三話 「国家鳴動」(4)

2009年12月17日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
と、内閣の会議で、検討され伊藤さんが、
「朝鮮への派兵を決定する。じゃが、あくまで居留民保護が任務である。清国軍を挑発し、戦闘行為を招いてはならん」
と派兵を決定するんですね。あくまで平和主義者として。つまり、日清戦争は、伊藤が始めたのではなく、
外務大臣カミソリ陸奥と陸軍参謀本部次長である川上操六さんが始めた、ということになりますね。
いやぁ、勉強になりますねぇ。
つまりは、いくら平和主義者がトップでも、まわりからうまく利用されて戦争を起こしてしまうことも
あるってことなんですねぇ。特に日本では。天皇がいくら平和主義者でも第二次世界大戦が起こってしまったように。
これが日本の特徴でもあるでしょうねぇ。外国は純然たるトップダウン方式ですからね。日本は非常に変則的です。
だいたい伊藤がだまされた、のせられたと知った場合、他国ではやめさせることができますからね。
日本は一度動き出したら止められないという側面もあるので、非常にやっかいな国とも言えるんですねぇ。
だから、逆に我々も政治家を選ぶ政治的見識というものをしっかりと持たないとやばい、ということですねぇ(笑)。

雨に濡れる子供・・・、この服装もちゃんと当時の風俗を考証して作られてるんでしょうねぇ。
手を抜かないねえ(笑)。もう、うれしくて笑いがでてしまいます。

閣議決定後の一週間で、日本軍は朝鮮半島の仁川に上陸するんですね。非常に早い。
しかし、日本軍が漢城に到着する頃には、朝鮮当局は、東学党の要求を飲んじゃって、乱も収まるんですね。
じゃ、清国への出兵要請はなんだったんだ、この腰抜けってことになるんですけどねぇ(笑)。

と伊藤さんが陸奥さんと川上さんを自室に呼びつけています。
「わしをたばかったろ。4千もの兵が朝鮮に上陸するっちゅーじゃないか。川上参謀次長、派兵は一個旅団2千と明言したな」
と平和主義者の伊藤さんはカンカンです。特に川上さんには騙された気持ちが大きいですから。
「東学党の乱もすでに収まった。陸奥、すぐに清国と交渉し、撤兵の準備じゃ」
すぐに事態を収拾しようと、陸奥さんに命じるんですね。
「閣下、事態は余談を許さず、状況はどう変化するかわからない状況にあります。清国もやすやすと撤兵の交渉に応ずるとも思えません」
腹の中では、川上さんと同心している陸奥さんは、現在の状況を説明し、伊藤さんを説得にかかります。
「じゃからというて、在留邦人の保護にしては兵力が多すぎる」
伊藤さんは、清国とぶつかることを懸念しているんですね。戦争はやばいと。
「お言葉ではございもんど、兵の数についてはうけあいかねます」
と冷徹な川上さんが言葉を発します。
「なんじゃと」
と伊藤さんの顔色がみるみる変わります。「おいおいそりゃねーだろ」って感じでしょうか(笑)。
「出兵するかどうかは、閣議がそれを決め、閣下ご自身をそれを裁断されもした。じゃっどん、出兵と決まれば、
その運用は参謀総長の責任となります。出兵の数はおい達にお任せください」
と先程、陸奥さんに開陳した内容を改めて伊藤さんに説明するんですね。出兵数に言及する権限は伊藤さんにはないと。
「清国はさらに5千の派兵を決めたち情報をえちょります。そいが派遣されっと漢城付近にいる我が軍は、峨山と平城北方に展開する
清国軍にはさみうちにされ壊滅します。残り3千の派兵もいそがんにゃなりもはん」
川上さんは現状況をしっかり説明し、対処の方向も説明するんですね。その的確な判断に伊藤さんも二の句が告げないでいる。
そういう中で、川上さんは部屋を出るために歩いていくんですね。
「閣下、もし危機におちいれば、勝敗の帰趨は兵力の優劣で決まります。ここはこのまま速やかに派兵を実行するのが、安全の策と考えます」
陸奥さんも川上さんを後押しします。そして、川上さんは、ドアを明けこちらを向くと一礼して去っていくわけです。
さすが、陸軍の至宝です。冷静ですな。
いやぁ、明治の政治家達はすごいねぇ。ギリギリの中で生きてきたからこそ、磨き上げられてきたんですねぇ。
現在の世の中とは、比較にもなりませんわなぁ(笑)。

さて、現実がどんどんやばくなってると感じている伊藤さんは、気持ちを休めるためにも、古くからの友人、
山縣有朋さんと話してみようと、自分の家に招待してみました。というより、山縣さんが、伊藤さんを口説くために
伊藤さんを尋ねたんですね(笑)。しかし、山縣さん、枢密院議長で陸軍大将ですからね。
もう法王みたいな感じになってたらしいですね、この頃。口うるさくて細かいところまで口出しするから、
結構周りから嫌われていたらしいですけどねぇ。
まあ、伊藤さんとは、古いなじみですからねぇ。山縣さんが、奇兵隊の実質的大将だった頃、確か伊藤さんは力士隊の隊長で
高杉晋作の功山寺での挙兵に唯一ついていったひとですからね。まあ、あれが倒幕の起爆点というひとも
多いですから、伊藤さんはその起爆役のひとりということなる。明治の世をつくったという実感を
このひとはもってたんじゃないですかねぇ。
まあ、そんなわけで、山縣さんは、古いなじみとして、伊藤さんを説得しようとしているんですね。
陸軍大臣として。
「いやぁ、ええ庭じゃあ。しかし、田舎臭さが鼻につく」早速口うるさい表現ですね。しかも、やってるのが、
江守徹さん。もう大河の常連、重鎮ですからねぇ。このひとは、口うるさいとか、徳川斉昭役とか、ちょっと癖のある役が
いいですねぇ。もう、演技力抜群もいいところ(笑)。なんかこのひと出てくると笑っちゃうんだよね。
英語ペラペラだったり、井沢元彦の「逆説の日本史」のファンだったり、おもろいおっちゃんです。
「もう少しこの庭なりの威厳がほしいところじゃあ」って、それ何?(笑)。伊藤さんも横でただ笑うしかないですね(笑)。
「まあ、このご時世、そんな暇もなさそうじゃがの」ということで早速、時世論です。
「確かに。朝鮮出兵以来、世の中少し浮き足立っておりますな。新聞は清国への敵愾心をむき出しにし、
国民を煽り立てる論調に終始し、あろうことかそれに同調する政党まで出てくる始末。今こそ山縣さんのような重鎮の
一喝が必要なときじゃ」と伊藤さん、自分の懸念を述べます。まあ、何事にも慎重論者の山縣さんも自分と同じ考えだろうと
踏んだんですね。しかし、山縣さんは、
「伊藤さん、清国とのいくさ、最早避けられんのう」といくさ容認発言。するとびっくらこいて見を見張った伊藤さん思わず立ち上がり、
「山縣さんまで、そんなことを言われるとは。清国は老いたりといえども大国。今の日本が勝てるはずがない」とうろたえながら
発言します。しかし、そこに横から
「勝てもす。陸軍の準備はすでにできちょります。山縣閣下もすでに承知しております」と冷静川上さん。「ほんまかいな・・」と
山縣さんを見る伊藤さんです。すると山縣さんも口を開いて
「伊藤さん、我が長州藩が、西欧の四カ国艦隊とたたこうたことを覚えちょるじゃろ」と懐かしい話をし始めます。
伊藤さんもその頃を思い出しながら、
「はい」とうなずきます。山縣さんは静かに続けます。
「最初は外国の砲弾なにするものぞと思っておったんじゃが、とんでもなかった。
完膚なきまでに叩かれた。あの時の屈辱生涯忘れん。一度は失いかけたこの命。今度こそお国のために、
捧げる覚悟じゃ。いくさになればわしも自ら軍を率いて朝鮮にわたる」と決意を秘めた表情で伊藤さんを見ています。
「山縣閣下には、第一軍を指揮して、ぜひ先陣を率いて、鴨緑江を渡ってもらいたく存じます」と横から川上さん。
もうすでに段取りもできているんですね。その山縣さんの決意を聞いて、伊藤さんも表情を変えていきます。
「この国の将来は今、伊藤総理大臣の決断にかかっておるぞ」とそれだけ言うと山縣さんは帰っていくんですね。
同じ過去を背負った古いなじみのこの決意を聞いた伊藤さんは山縣さんの背中を見ながらなにかを感じはじめたんですね。
しかし、ほんとに勝てるのか・・・そんなことを考えながら周循していくんですね。

さて、伊藤さんの苦悩は続いています。今度は伊藤さんの私邸でしょうか。
地球儀の上の日本に指を置きながら、周循する伊藤さんです。もうこの繊細な演技。加藤さんすばらしいです。
そこへ咳き込む声が響き、病をえているだれかの到来を告げます。このころはランプだったんですね。
「閣下、お呼びですか」と声がすると伊藤さん静かな感じで
「入れ」と命令します。
戸をあけて、入ってくるのはご存知陸奥さんです。病が突然進んでます(笑)。
「まあすわれ。具合はどうじゃ」ともちろん、突然進んだ病の状況報告のためですね(笑)。
「あまりよくわ」とこそっと話す陸奥さんです。
「そのようだな」伊藤さんも、納得しています。
「今は病気の相手をしている暇などありません。そのうち病のほうが退屈して退散してくれるだろうと思っています」とある意味、のぼさんと
同じ境遇の陸奥さんでした。明治人は気概が違いますものね(笑)。豪傑じゃのう(笑)。そんな気概にふれたからでしょうか、突然、
「わしもお前も、こんなとこまでよーきたもんじゃ。そうは思わんか」と言いながら伊藤さん楽しそうに笑いだします。
「実はのう、陸奥。未だに高杉さんに怒鳴られちょる夢をよー見るんじゃ。おかしいじゃろ」と楽しそうに笑っています。
「奇兵隊の高杉晋作。夢ん中じゃ、未だに高杉さんの使いっ走りよ。陸奥、わしは只の臆病者じゃ。じゃからこそ、
石橋を叩いて渡るが如く、一歩一歩慎重に慎重を重ね、この国を作ってきた。清国といくさをして、万が一負けたら、
我が国はどうなる。ロシアも黙っちゃおらんぞ。我が国に圧力をかけてくるに違いない。そうなったらお手上げじゃ」と伊藤さん、
自分の真意を説明しているんですね。さすがに国を背負っている人間の言葉は重いですねぇ。日本の事を一番思っているのが
総理大臣ですもんねぇ。一大臣とは立場も思いも全然違います。
「ロシアは今、ドイツの脅威が、深刻で東に力を削く余裕などありません」と外務大臣の目で情報をみている陸奥さんが言います。
「楽観論はもうよい。負けたらどうなるか、お前そう考えたことはあるか」総理大臣の立場で、陸奥さんよりもっと高い視座でモノをみている
伊藤さんです。陸奥さんさすがに言葉を返せません。それでも伊藤さんは続けます。
「財政は破綻。国際的にも孤立して、我が国は列強のえじきか」
その言葉を聞き、暗澹たる未来を想像して、陸奥も咳き込んでしまいます。
「そうさせんためにこそ、わしやお前がおるんじゃ。違うんか」自分達が日本の希望にならなければいけない、と伊藤さんは言ってるんですね。
「たとえ負けた場合でも、被害は最小限にとどめなきゃいかん。あらゆる手をつこうてな」いくさを始める前から負けたときのことも考えておく。
指導者というのは、こうでなければ、いけません。こういうひとでなければ、総理大臣になってはいけないんですね。
「おっしゃる通りです」陸奥も思いは同じです。ここで、ようやく伊藤さんの腹づもりが決定するんですね。少し笑った伊藤さんは気合を入れなおして、
陸奥さんに言います。
「陸奥、ないないにロシアに根回しせい。我が国の出兵は、朝鮮を、清国の属ほうから開放し、独立国にするためのものにして、
決して領土侵略のためにあらず」
陸奥さんを見据えて確信に満ちた顔で、伊藤さんは続けます。
「清国へは提案書をださねばな。我が国は日清両国共同で、朝鮮の内政改革を行い、朝鮮を真の独立国とすることを提案する」
さすが維新の元勲、大政治家です。腹が決まれば、処置は速い。
「おそらく清国は飲まんでしょう」陸奥が言います。
「かまわん。我が国の大義を世界に宣言するためじゃ」伊藤さん、それが目的だったんですねぇ。
「もし清国がこの提案を受け捨て、武力を行使し、いくさになればその非は明らかに清国に存する」陸奥さんがその目的を詳しく解説したんですね。
「早速明日の閣議にかけるよう準備じゃ」伊藤さんの目が光り、全ては開始されました。
いやあ、明治の政治家の気概、高い視座、日本への想い、迷い、責任感とそして食えないところが、存分に描かれましたねえ。
特に伊藤さんは素晴らしい。いやいや、恐れ入りました、将門様(笑)。なんか、すげーかっこいいね。一度決めたら狡猾にすべてを進める。
ビバ明治!ってところでしょうか(笑)。

そして、この閣議が事実上の開戦決定の閣議になったんだ、そうです。

さて、好古さん、目白の兵舎ですごすことになり、好古家は大変です。と、民さんはご懐妊の様子ですね。
まあ、なんか荷物つくりの場面で好古さんと民さん仲良いところを見せております(笑)。
「大切な体じゃあ、養生してくだされ」となんとなくまだ、民さんをおひいさま扱いで、ほほえましいのでした(笑)。
「母上、民のこと、よろしく頼みます」と民さん大事な好古さんです。
「私のことは心配しないでもけっこうです。信三郎さんは、しっかりおつとめにはげんできてください」と軍人さんの奥さんらしい
お言葉です。
「さ、いくか」ってんで、きちっと正座で待っていた補助の兵にあいさつして、玄関にどっかと座ると、「おっと忘れた」っと
竹下母さんに文箱をもってきてもらいます。と、中を開けてみると、「信好(のぶよし)」「興志(よし)」の文字が。
しかし、難しい文字というか、よみだな(笑)。好古さん勝手につくっちゃったんだね、ってこの頃はそれが普通。
旦那の役目だったんだね。こういうのも、現在の生活と直接比較ができておもしろい。
女性の権利がどうとかこうとか、言われはじめてから、いろんなことが、おかしくなってる気もしますね。
ま、いろいろ考える契機になりますねえ、このドラマは(笑)。
「どうです」と優しい表情の好古さん、一方感情が激してきて泣きそうな民さん。
「どうです。ええ名前じゃろ」とあくまで温和な好古さんです。戦争を目の前にしてもこの余裕。
「男でも女でもええけん、元気な子を産んでくれたらそれでええけん」いやあ、余裕な男、惚れ直しちゃいますねぇ(笑)。
そして、このとき、民さんはひとことも言わないんですね。口を開くと、言ってはいけないことを言いそうなんですね。
「あとのことは頼んます」と男は少し長めに一礼し、門を出て行く。その後ろ姿を眺めながら、たまらなくなって女は、
身重なことも忘れて駆け出す。
「信三郎さん」民さんは言ってしまうんですね。
それを馬上の上から、さわやかに見下ろす好古。いやあ、一瞬黒王号に乗るケンシロウかと思いましたが(笑)。
「生きて帰ってきてください」本音がぽろりと出てしまうんですね。本来、武家の嫁がいや、軍人の妻が口にしては
いけない事なのに。
「きっと、生きて帰ってきてください」今度はしっかりと自分の意思で、口にするんですね、民さん。
「約束ですよ」つい恥ずかしくて、おひぃー様になって、少し上から言うんですね。
それをずっと眩しそうに聞いていた好古さん、何も言わず、ほんの少しだけほほえんでから、
馬を歩ませていくんですね。白い背中が遠ざかっていく。それを見送る悲しそうなお民さんなのでした。

いやあ、このシーンは何度もテレビで流されていたので、いろいろ言われてきましたが、
まあ、なんとかなったかなぁって感じですね。本来軍人の妻であれば、本音はださないのが、建前ですが、
でもでちゃった、それに対し、軍人である好古さんが、言葉を発しないことで、なんとか成立したかなあ、
という感じでしたね。女性向け男性向けのシーンにならず、双方向けにしたことで、
こういう感じになったのでしょう。好古さんがしゃべるところでは、お民さんはだまり、表情だけで演技、
お民さんが話すところでは、好古さんがだまり、表情だけで演技、と。これは表情演技合戦だったと
とっても、良いんでしょうな(笑)。

さて、日本の連合艦隊は佐世保を出港したそうです。

で、淳さんは巡洋艦「筑紫」の船上にあるって、いうけど、「筑紫」って第一話で、淳さんがのぼさんと二人で
見て騒いでいたあの巡洋艦じゃん。いやぁー、すげえねぇ、子供の頃の夢叶えちゃったじゃん(笑)。
って、そのときはまだ、海軍さんになる気持ちはなかったみたいだけど(笑)。

「いよいよ、あの丁汝昌率いる北洋艦隊とたたかうとですね」、と例の淳さんコンビの水兵さんです。
「そぉ、緊張すんな」とか淳さんいいますが、戦争ですからね。しかも、あのすんごい北洋艦隊相手ですからねぇ。
ま、団長さんいわく、「なまくらの刀」らしいけどさー。
「原田、得意はなんじゃ?」ってそうか、原田くんね。そういゃあ、日本語で名前言ってたっけ(笑)。
「は、マスト上りです。絶対に清国兵には負けません」なるほど、いかにも体軽そうだし。
「あしの得意は、喧嘩の作戦考えることじゃ」そりゃなんどもけんかの作戦考えてきましたからねぇ。試験もけんかの一種だったし。
「ひとりひとりが得意なことをしたら、突破口は開ける」なるほど、それは正論、いい話を聞きましたねぇ(笑)。
「秋山少尉も緊張しておられますか」確かにちょっと心ここにあらずって感じはしますねぇ。
「しとらん」負ケズ嫌いの淳さんですからねえ(笑)。
「手がふるえておられます」ちょっと笑いながら言ってますね。
「原田兵曹。実はそうじゃ。緊張しておる。大緊張じゃ」って体操はじめるあたり、「ドリフかよ」と思い笑いましたが、
まあ、いい感じですね。あの世界的戦艦「定遠」「鎮遠」が相手ですからね。そりゃ緊張しない方がおかしいですよね。
まあ、小さなシーンですが、開戦時の緊張感をうまく表現していますね。少し笑いをいれながら、そして一気に緊張のシーンに
つなぐんですね。緩急自在です(笑)。

で、宣戦布告はまだですが、海上では最初の砲煙があがったそうで。

日本艦隊と清国艦隊の遭遇があったそうです。
そして、巡洋艦「浪速」は英国船籍の大型汽船を発見するんですね。そして、この船が清国兵を満載しているのが、見て
とれたわけです。そして、その船への攻撃を決断するんですね。その浪速の艦長こそ、団長いやいや東郷平八郎そのひとだったわけです。
「打ち方はじめ」
からの砲撃シーンに燃える燃える。こんなシーンみたことない。いやぁーやりますなあNHK。本気です。
そして、凛々しい東郷さんの顔のアップでまた次回。
いやいやいや、最後一気に盛り上がって終了ですからねぇ。
いやあ、次回が楽しみです。

しかし、90分のレビューが長すぎる。もうできるだけおもしろさを感じようとするあまり、最後には、セリフ一行一行に
突っ込みいれるようになっちゃいましたからねぇ。いやいや、投稿が遅れるわけだ。
ま、それでも、このドラマを存分に楽しむという意味では、これが最良にして、的確なはずなんだけど。

ただちょっと本人の体力がもちませんね(笑)。

しかし、今回は日清開戦のシーンがよくできていました。平和主義の伊藤さんと開戦派の陸奥さんと川上さん、山縣さんまで
ひっぱりこんでの説得と、伊藤さんの逡巡、迷い、そして決断としっかりといろいろなものが詰め込まれていました。
いやあ、いろいろなことを考えさせるいいドラマです。総理って重いだねぇ、やっぱり。そして、明治という時代が暑い。

いやあ、存分に楽しみました。

そして、ここまで、これを読んだみなさん、お疲れ様でした。

一番大変だったのは、あなたです(笑)。
















坂の上の雲 第三話 「国家鳴動」(3)

2009年12月17日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
さて、ニコライが去って二ヶ月。清国の北洋艦隊が、威圧しに来るわけです。
淳さんは少尉候補生になり、その艦隊を見学に来ているわけですねぇ。

丁女昌が映像化されてますねぇ。いやあ、ちょっと原作ファンとしては、感慨深いです。
いかにもな感じで、ちょっと笑ってしまいますね、うれしくて(笑)。
そんな艦隊を見ている淳さんは、考えるときのくせで、豆食ってかすを捨ててるんですねぇ。
それを拾う水兵さん。どうも、いいコンビになりそうですね。
「こーんな軍艦倒すにはどうしたらええか、考えとったんじゃ」
というと、「食べるか」と豆をあげる淳さん。水兵さんも
「けっこういいひとじゃん」とニヤリとほほえみます。で、コンビ確定。
客が帰る中、淳さんと水兵さんは、大門軍団の団長いやいやいや、謎の上等士官が
艦深くに招待されていくのを見つけます。すると淳さんは、自分を抑えられなくなり、
それを追ってしまうんですね。謎の士官が艦の中を進んでいくと、規律の悪さや
衛生状態の悪さ、博打を打ってる者さえ見てしまうんですね。
そうやって士官が歩いていくと、前方から丁女昌が現れるんですね。
いやあ、このときの丁さんの礼の仕方がいいですねぇ。
いかにも昔の中国な感じで。そして丁さんの口からその謎の士官が東郷平八郎であることが
告げられるんですねぇ。東郷さんは、丁さんの部屋へ向かっていたんですね。
そして、「これをお渡ししたくて」と取り出したのが「万国公法」ですよぉー。
いやあ、日本海軍の祖が、坂本龍馬の神戸海軍塾であることを思えば、
ここで「万国公法」がでるのは、ニヤリとしますねぇ(笑)。
あの坂本龍馬が、これからはこれじゃあ、と友人にみせたと言われるのが、
この「万国公法」ですからねぇ(笑)。司馬ファンならなおのこと、ニヤリです。
やるねぇー、NHKも(笑)。
「我々アジアの国は、列強に怯えるだけでなく、欧米が定めたルールとやらを
知るべき時ですから」と万国公法を見た丁提督は言うんですね。
とそこへ、清国兵に囚われた淳さんコンビが連れてこられます。
また、この清国兵の報告時の礼の仕方が、当時っぽくてやたらかっこいいですねぇ。
清国兵の下士官が彼らを連れていこうとすると、それを止めて、
「彼らは私の共として連れてきました」と東郷さんがかばってくれるんですね。
丁さんもそこらへんはおとなな対応で、
「あなたの部下ですか」「そうです」という処理の仕方で、ちょん、となるわけですねぇ。
このときの淳さんの敬礼が美しいですねぇ。
まあ、このひとの場合、「徳川慶喜」のときも、「おくりびと」のときも
思ったんですが、所作が美しいですね。なので、ひとつひとつの動作が
キリッとしている。いいですねぇ。そういえば、本木さん、実際に広島にある
海上自衛隊の海軍学校に体験入隊されたときに、教官に敬礼の仕方を教わってる
シーンがありましたっけ。本物に教わったんですから、そりゃ綺麗だわ(笑)。
さらに、淳さん英語が得意な設定でしたしね。
ちゃんと英語で官姓名が言える。うしろの水兵さんは、日本語でしたしね。
いやあ、いい感じです。

そして、丁提督もいい。
まあ、これから戦う丁提督がどういう人物か、それを見せたというシーンだったんですね。
いやあ、丁さんいい演技です。メッケルはんといい、丁さんといい、
外国人出演者の演技のレベルも高いですね(笑)。うれしい悲鳴です。

さて、淳さんコンビと東郷さんは、海辺の灯篭みたいなところで、
話をしています。
「ありがとうございました」と淳さんコンビが敬礼するのですが、
東郷さんは、軽く答礼を返すと振り返り帰ろうとします。
その後ろ姿に淳さんが「ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか」と質問するわけです。
東郷さんは振り返ると「何でごわすか」と薩摩弁です。
淳さんは、「参謀長は北洋艦隊をどう見られましたか」と素直に聞くんですね。
すると東郷さんは、「おはんはどげん見た」と聞き返します。
「清国は金持ちです。装備は世界最新。我が国の軍艦など、相手にならんという感じでした」
と、淳さんは自分の思った通りを言うんですね。しかし、東郷さんは違う見方をしています。
「確かにそうじゃな。じゃっどん、北洋艦隊は、なまくらの刀でごわす」
淳さんコンビは、どういう意味か、よくわからないんですね。
「おはんらも見たじゃろ。水兵はばくちにふけり、通路で麺をすすっちゅう。神聖に保つべき砲には、洗濯モノをぶらさげておる始末じゃ。
いかに巨砲でん、あれでは威力を発揮できん。船をあやつり戦をすっとは、ひとでごわす」。
東郷さんは、清国兵の意識の低さを問題にしていたんですね。結局戦うのはひと。ひと対ひとの戦いなら、日本でも勝てる、ということを
言いたかったんですね。淳さん達はそれを教えてもらって意識を新にしたんですね。

さて、東京です。
黒い学生服姿でかわいく走ってくるのはのぼさんです。いやぁ、どうも他が緊張モードになるので、
のぼさんが出てくる気分が楽になりますねぇ。
また、走り方がかわいいかわいい(笑)。
のぼさんは、東京に戻り新聞「日本」に俳句の話を連載しているんですね。その新聞の社長は、陸羯南。
一発で出たよGoogle変換すげえな(笑)。
さて、その陸羯南は、冬彦さんというより、自分の中では、アホバカ有村俊斎佐野史郎。いやあ、大河俳優
使い素晴らしいですねぇ。
のぼさんは、佐野羯南に相談があるんですね。
「帝国大学を退学させてつかあさい。申し訳ございません」ということなんですね。それで新聞日本の社員にしてくれ、
というわけです。俳句で身を立てたいのぼさんなんですね。しかし、佐野羯南は最初はいい顔をしません。
「新しい机でわくわくして、勉学に励もうとしたが、俳句がのこのこ、浮かんできよりましてぇ」
と佐野さんを説得すると、そういう口調に弱い佐野さんなんですが、やっぱりいい顔はしません。
「俳句という魔物に取りつかれると、もう助かりようがありません。それに・・・」
と説得を続けるんですね。「それに、今のうちに急いでやっておかねばと、少々焦っております。
あしにはもう、そんなには、時間がないけん」と、最後は明るく言うのぼさんです。
「先生、あしは俳句に、自分の一生をかける覚悟ですけん」と言って頭を深くさげるんですね。
佐野さんは、ゆっくり立つとのぼさんの前に立ち、「入社を許可しましょう」と言ってくれるんですね。
「ほんとじゃろか」と喜ぶのぼさんに、佐野さんは、「いっそのこと、我が家のとなりにこしてきたらいい。
あなたの病気が心配です」ということになるんですね。それで、実家のお母さんも婚家を飛び出したりーさんも、
一緒に住むことになるわけですよ。いやいや、この佐野羯南があまりにもいいひとすぐるので、笑ってしまいますねぇ。
そりゃのぼさん、「だんだん」となるはずですよ。

と引越しを手伝ってるのは、妙に明るい江戸っ子漱石さんです。
そうこうすると、隣家から佐野さんのこえが聞こえる。昔はああやって音読するのが癖だったんですかね。
それが普通だったとか?。どうものぼさんの話だと、佐野さんは、新聞日本は給料が安いから朝日とか
紹介してくれたらしいんですね。どんだけいいひとなんだか。「じゃがそんなことはできん、新聞日本で
とことん働くぞな」とのぼさんは決意しちゃうわけです。そりゃ、佐野さん大恩人だもんねぇ。
そしてのぼさんに言わせると、「もっとも少ない報酬でもっとも多く働くひとがえらいぞな」ということに
なるようです。そしてのぼさん、りーさんとお母さんを前にして、
「これからしばらく給料15円で暮らさなならん。よろしくたのむ」と頭をさげます。
と母上から「のぼさんもしっかりおつとめして、陸先生にご恩返し、せにゃならんの」と言われ、
「わかっております」ということになるわけです。いやぁ、この家族はなんかほっこりするね。
とここで、出てくる漱石さん。
「金に困ったら僕のネタをやろう」というわけです。
「小説だ。これからの世は小説だ。金になる」と確信的に言うわけです。で漱石さんは、
「僕の小説の語り部は猫だ」と猫の真似をする明るい漱石さんなわけです。
「猫が人間社会の観察をし、あれこれ揶揄するんだ、どうだ斬新だろ」と吾輩は猫であるの執筆構想を語るわけですけど、
「軽い、軽すぎる」とのぼさんに否定されるわけですねぇ。
しかし、これほんとに漱石かぁー?。なんか神経症の治療のために、小説書き始めたんじゃなかったっけ?(笑)。
憂鬱な文学士の前触れだったような気がしたんだけどねぇ・・・ま、のぼさんの言うとおり、漱石にしては、「軽い軽すぐる」ですな。

さて、そんなほんわかなのぼさんシーンから一変。こちらは、騎兵部隊の好古さんです。
いやぁ、騎兵の練習シーンを豪華に撮ってますなぁ。好古さんはフランスから帰朝していたんですね。立派なおひげもたくわえて。
しかし、実際に馬を操っての撮影ですから、ちゃんと乗馬できるひと選ばんといかんし、凝ってますなあ。

と児玉さんと好古さんの立ち話です。
「秋山が指揮する騎兵は動きが迅速で的確じゃ。フランス仕込みというやつかのう」とする児玉さんに
「いや、フランス騎兵に比べればまだまだです。個々の動きは様になってきましたが、集団の統率行動がさらに必要です」
と手厳しい好古さんです。まあ、フランス騎兵の練習なんかも見せられているので、これはうなづけますね。
とかなんとかやってるうちに、児玉さん、怪しい表情で、
「おぬし、所帯はもたんのか?」とくるわけです。
「は?」となるのは、好古ならあたりまえ、「私は、生活に不自由してません」と逃げようとしますが、
「お前もそろそろ所帯をもて」と言われてしまうんですね。さらに「いつまでもひとりでいて、母親に心配かけてもいかん」
と言われてしまうんですね。「母親の気にいる相手がなかなかおらんもんで」と苦し紛れに断るんですねぇ(笑)。
好古さんは、竹下母さんを東京に呼んで一緒に住んでいるんですね。んで、これもいつも通り夜は酒です。
と、どうも児玉さんは、早速手をまわして、縁談をもって竹下母さんに会いにきたんですね。
「信さん、母が気に入れば結婚するって言ってくださったんだってね」
なんて竹下母さんに笑顔で言われた日には、「言いました」っていうしかない(笑)。さすが策略家の児玉さんです。
で母さん勝手に決めて今度の休みに相手と会うことに・・・(笑)。
「その相手は、誰ぞなもし」と当然の好古さんの問いなんですが、
「今言えんがね」と笑う竹下母さん、いやいやいい感じです(笑)。

さて、母と二人、人力車で走ります。走っているうちに、おやおや、どこかでみおぼえのあるお屋敷が(笑)。
「信さんが下宿しとった佐久間様じゃ」という竹下母さんの声に凍りつく好古であった(笑)。
部屋に通され、庭なんか見ながら待っていると、菊本登場。そしてその後ろにはお民さん。
「民さんは野菊のようなひとだ・・・」なんて言ってくれるひとはいなかったんですかね。
民さんはお美しく成長して・・というより着物が大人っぽくなりました。
その民さん見てぼーっとしている好古。これは、きれいになったなーと驚いているのか?(笑)。
「おひぃさまこそ、ごりっぱになられ、お喜び申し上げます」と両膝着いてお辞儀の好古です。
するとおひぃさまも目の前に一緒になって座り、竹下母さんにお辞儀。
どうもおひぃーさま、去年の夏に松山の竹下母さんのところに遊びに行ったんですね。
というわけで、二人は仲良くなってたんですねぇ。
そして、竹下母さんは「軍人は35までは結婚しなくてもよい」と言ってた好古の例をひき、
「今年いくつじゃ」と聞くわけですね。もちろん、「35です」ということになるわけですねぇ。
おひぃーさんが「今でも茶碗ひとつでお暮らしですか?」と聞くんですね。
「母と暮らしておりますけ、今は2つほど」という答えなんですが、
「もうひとつあっても、ええかもしれません」という答えで結婚を承諾したことになるわけですね。
いやあ、ここらへんは好古らしくていいですねぇ。民さんもなかなか初々しい感じがでてるし。

というわけで、祝言です。古い映画調で、独身最後の砦もついに陥落。陸大一期生ついに全滅!ですからね。
長岡外史、このひとずっと全滅ネタだねぇ。いやいや、おもしろくっていいですよぉ。

さて、そんな祝いのシーンから急転。日清戦争が始まろうとしています。

日清戦争というのは、そもそもカップラーメンのとりあいから始まり(笑)・・・なんてことはなく、
朝鮮半島のとりあいから始まったんですね。日本と清国のそれぞれの国家の都合で。

さて、時の日本の首脳達が登場です。首相伊藤博文は、なんと「風と雲と虹と」の日本三大美男子のひとり、
(あとの二人は知らない(笑))加藤剛さんですよぉ(笑)。自分が初めて見た大河ドラマでしたからねぇ。
もっとも、幼すぎて中身をほとんど理解できなかったですが(笑)。というより、「大岡越前」としても
有名ですね(笑)。いやぁ、繊細な平和主義者という面をより強調した役をしっかり表現していますねぇ。
さすが名優です(笑)。「大の女好き」という要素は微塵も感じられません(笑)。まあ、この脚本では、
そんな要素まったく必要ないですからね(笑)。
そして、カミソリ陸奥に大杉漣さん。いやぁ、渋いですねぇ。そういや、陸奥さんは、若い頃、龍馬の海軍塾に
いて、確か亀山社中にもいた人物ですよねぇ。この時代、龍馬関係の人物が相当活躍していたんですねぇ。
なにか、にやっとしてしまいます。来年の大河のことを考えるとね(笑)。
そして、陸軍の至宝と呼ばれた川上操六ですよぉ。いかにも軍人さんらしい押出しが見事に表現されています。
さらに冷静で落ち着いた物言い。國村隼さん、素晴らしいですねぇ。

さて、朝鮮半島では東学党の乱が勃発し、時の政府がそれを自らの手で収拾できないことに気づいたんですね。
それで仕方なく宗主国たる清国に出兵を打診したんですねぇ。それに対して日本は朝鮮が自らの手で独立国として、
やっていけるように手を貸す、という名目もあり、清国の出兵した軍隊と同等の軍隊を派遣することになるわけです。

伊藤さんは、「腐っても鯛」として清国の大国ぶりを心配しますが、陸奥も川上さんも出兵派なんですね。

「朝鮮は我々の手で開花せねばならん。閣下が日頃よりおっしゃってるではありませんか」
と陸奥は言いい、出兵に弱腰の伊藤を焚き付けるんですね。
「どんくらいの兵を考えている」
とあえて出兵の規模を聞いてみるんですね。
「我が国の出兵は、一個旅団が妥当かと考えております」
それを聞いた伊藤さんは色をなして、否定するんですね。
「一個旅団は多いじゃろ。日本が派兵したら、西洋列強が黙っちゃおらんじゃろ」
伊藤さんは、若い頃長州で四カ国艦隊の砲撃を自らの肉体で知っていますからねぇ。
西洋列強のこわさを体で知っている。だから、西洋列強の強さについて、少し過敏なところがあるんですね。
「一個旅団とは、清国と同等の派兵規模を考えてのこと。それならば清国も列強も口出しはせんはずです」
と確かな正論で説明する陸奥さんなんですね。その説得には伊藤も頷かざるをえないわけです。
で、少し考えるわけです。
「閣下、今出兵せねば、手遅れになります」
陸奥のものいいは、いちいち的確なんですね。さすがカミソリです。
「わかっちょる」
伊藤さんはとりあえず、頷くしかなかったんですね。
いやあ、いい芝居のやりあいですね。ちょっと緊迫したシーンでしたねえ。

ところかわって、陸奥さんち、なのかな?(お茶だしてるしねえ)。
「川上さん、ご苦労でした」と陸奥さんお茶をだします。
「伊藤閣下には、あえてお耳にいれなかったことが、ごわす」と冷徹な眼差しで川上さん語りだします。
「おいがえておる情報からすると清国はいずれ5千の兵を朝鮮に駐在させるとのこと」と驚きの情報を開示します。
「5千」と陸奥さんは驚きます。
「これに対抗するには、我が軍は少なくとも7千の兵を動員しなければなりもはん」
冷静な川上さんは表情を変えずに動員に必要な兵員の数を示します。
「初動の兵数で7千か。戦になるな。勝算は」
さすがカミソリ状況を的確に予想します。
「短期決戦にもちこめれば、勝算は十分にあります」
これも川上さん冷静に答えます。
「じゃがのう川上さん、伊藤さんには出兵は一個旅団と言うたばかりじゃ。7千もの派兵許すはずがない。
伊藤閣下は臆病すぎるほどの平和主義者じゃからな」
伊藤さんの性格を知り抜いているカミソリが、川上さんの非をつきます。
「陸奥さぁ。一個旅団は平時ならば2千。じゃが、戦時編成ならいくつかご存知か」
そこまでは知らない陸奥さんは「ど、いうこと」となります。
「騎兵、工兵、砲兵の隊を入れて7千ちなります。閣議決定の後、陛下に上奏ちしてしまえば、
運用の権限は、おいたち陸軍参謀本部にありもす」
と川上さんは伊藤さん騙して出兵きめちまえば、こちらの勝ちという手の内を見せるわけです。
「さすがドイツ留学組中の英才と呼ばれただけのことはあるな。川上参謀次長」
「そちも悪よのう」とでも言いたげなカミソリさんでした(笑)。
いやあ、ここらへん、のちの第二次世界大戦勃発へ続く陸軍のやり方をオマージュしているようで
おもしろいですね。真実、似たようなやり方を続けて、日本を壊滅させるわけなんですけどね(笑)。
そういう意味では、陸軍のやり方を皮肉っているともとれますね(笑)。









坂の上の雲 第三話 「国家鳴動」(2)

2009年12月17日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
さて淳さん松山のプールに来ています。
ちょっとした台のようなものに登ると、なんと
「ちんぽがかゆうていかん」
とほざきます。いやあ、原作のこれ、どうすんのかなと思ってたけど、やりましたねぇ(笑)。
第二話の男子風呂シーンに続き、NHKの本気さが伝わるシーンですね。
しかし、NHKでちんぽ言ったひとは史上始めてなんじゃないだろうか。
しかも、ふんどしの上から、ちんぽ掻きながらだからねぇ(笑)。
好事家大喜びと言ったところでしょうか(笑)。
松山の子供達はこの伝説のガキ大将が好きでたまらないらしく、みんなくっついてくる感じですね。
しかも、淳さんの泳ぎが古式泳法ですからねえ。原作通り、ちゃんと神伝流やってるのかもしれない。
すごいですねぇ、こういうところもしっかりとした作り。
淳さんは飛び込み台のようなところにあがると、そのまま寝転びます。
なんてやってると、松山の鎮台さんが二人やってくる。あっという間に服を脱ぎ捨てると、
褌も脱ぎ捨てまた、お尻パーティー。
なんかこういうの多いねこのドラマ。
全裸で水に入っちゃうもんだから、旧藩の水練師範が怒るわけです。
「なんで法度を守らん。ここでは褌をせずと泳がれん」
なんて言われても鎮台さんは華麗にスルーなわけです。
まわりの人間が目をひそめる中、子供達の休んでいる台のほうへ泳ぐ全裸鎮台。
子供達が「師範の声がきこえませなんだか」と嗜めるんですが、
横暴全裸鎮台(だんだん増える(笑))は、言う事なんて聞きません(笑)。
しかし、全裸で迫ってこられたら、別の意味でこわいけどね(笑)。
せまられた子供達は「やめておいた方がええ、鎮台にかかわったら、あとがこわいから」
などとびびりながら、台からプールに落ちちゃうわけです。
それを笑ってる横暴全裸鎮台もしょーもないわけですが、これに水練師範が激怒するわけです。
「松山には水練の神様がおる。その格好は神様への冒涜じゃ」
と言うと、横暴全裸鎮台のひとりが、
「じじい、今、鎮台と呼び捨てにしたのう」
とわかりやすい言いがかり。
水練師範もちょっと顔が変わるわけですが、そこに例の子供達が助けに入り、
「鎮台さん、すっぽんぽんはいかんぞな。やー見るにたえん」とやるわけです。
見るに絶えないモノだったんですねぇ(笑)。
いやあ、このしゃべり、「坊っちゃん」を思い出しますね(笑)。
そういや、夏目さんも出演されてますしね(笑)。
それを指摘されると、横暴全裸鎮台、子供相手に手洗い真似。
それを見かねた淳さん、鎮台を揶揄する踊りで馬鹿にしておいて、
「わしは中の島の秋山淳五郎じゃあ。おまえらはどこのもんじゃあ」
と子供の頃からけんかのうまい(というか、将来世界一けんかうまくなるわけだが)淳さん登場ですからね。
自然と鼓動が高なります(笑)。と、お馬鹿な横暴全裸鎮台は
「広島の陸軍工兵隊じゃあ」と返します。
そうすると、淳さんはちゃんと三角形の目になって
「こらぁ、広島鎮台、ここは神聖なお囲い池じゃあ。速くその汚いもん隠さんかい」
とやるわけです。まあ、軽く挑発ですな。
頭の悪い横暴全裸鎮台は、「まっちょれ」と泳いでくる。そして、淳さんのいる台に
登ってくるわけですが、淳さんは上で待つ間、鉢巻を手にもちかえ、上がってきた
鎮台の顔にむかってむちのようにたたきつけるわけです。
そりゃ痛いですわな。下に落ちるのお約束。二人ともたたきつけられて、お囲い池に落ちていきます。
水練師範は大喜び、子供達も伝説のガキ大将の活躍に、大喜びです。
「今度きたときもやったら、この水のますぞ」
と大見得まできって、いやあ、淳さんかっこいー(笑)。
それに対してお馬鹿横暴全裸鎮台は、
「お前ら陸軍を侮辱したのう。警察に届け出るけぇ覚悟せいや」
と情けない意趣返し。
「水の中のけんかは、水の中で勝負せな」
ときわめて正論の淳さんなのでした。

さて、牧歌的な水田風景の中をお笑い担当、引越しのサカイが何か叫びながら、走ってきます。
「エライこっちゃ、あの淳五郎がまたしでかしよったぞー」
というわけで、例の全裸鎮台が「鎮台を馬鹿にした」として警察に届けたんですね。
ケツの穴のちっちゃいことですなぁ(笑)。
そうすると、大人物の風がある淳五郎の父「八十九翁」が警察に現れるわけです。
まあ、引越しのサカイもある意味役人ですから、訴訟されたら処理しなければ
いけないわけですね。それで尻に火がついてる。
「本人が出頭しないとは、どういうことですか」
と小人物のごとく、声をはりあげるわけです。八十九翁は、そこは素知らぬ顔で、
「それがですな。当家にはおりませぬので」とやるんですねぇ。
もう、ここらへん、伊東さんうまいですよねぇ。
「おらんわけがなかろうがぁ」と、愚痴ともなんともつかない口調なサカイなわけです。
しかし、八十九翁は、とぼけた感じで「おらんのです」
さすがに、その態度にむっとしたサカイは「本官を侮辱する気ですか」と
お約束のセリフです。そこへガチャっと扉開けて入ってくる警察署長さん。
この警察署長さんも、大人物風で、一言えば十ぐらいわかってくれそうな人物。
「暑い暑い暑い」と言いながら、「実は署でも弱ってるんですなぁ。あれ以来毎日鎮台が来よりましてなあ。
あの件はどうなってるー、と催促しよるんですわ」と状況説明。批判は全然しないんですね。
「なんとしてもけりだけはつけておかんとねぇー。事務が滞っていけません」と望む方向だけ示してくれるわけです。
相当頭のいい人物ですね(だからこその署長か(笑))。そうすると、すべて飲み込んだ八十九翁が
「50銭でどうでしょうか」と言うわけですね。科料刑にしてくれ、というわけですね。
「は?」と署長もサカイもなるわけですが、
「たりませんか?」と聞くとすぐ意味を察した署長さんも笑顔になり、「じゃ、そういうことで」
で、ちょんです。いやぁ、大人の会話って感じですねぇ。
「これなら、穏当ですなぁ」と八十九翁の提案に満足する署長なわけです。
「淳には内分に。あれは勝ち負けにうるさい男でな」
と、釘を差しておくことも忘れない八十九翁なわけです。大人の男だねぇ(笑)。

さて、淳五郎さんは、その八十九翁さんと風呂に入ってます。その広さから言って
銭湯でしょうな。そういえば、「坊ちゃん」にも風呂のシーンがありましたっけ。
道後温泉でしたっけ(笑)。
「父さん、なんで警察へなど行ったんじゃ?」
ちょっと不満な淳さんです。
「あしの道楽じゃ。ほっといたら、お前が警察にどなりこむところだったからのー」
と八十九翁、平然としています。
「悪いんは、あの鎮台じゃ。そんな奴らと手打ちする必要などないわい」
とこちらも、道理だったりするわけですねぇ(笑)。
「じゃからといって警察までへこませたら、行き過ぎぞな。丸うおさまるものもおさまらなくなる」
と大人物らしく、鷹揚な態度です。
「あしは絶対あやまらんけんからなー」
淳さんは、自分の正義をゆずらないんですねぇ(笑)。
「淳。肝心の戦まで勝ちはとっとけ。短気は損気、急がば回れ」
八十九さん、淳さんに心構えを説いているようですねぇ。
「お前が帰ってくるとにぎやかでええのう」
ほんとに楽しそうに話す八十九さんでしたねぇ。悠々自適。伊東さんの味ばりばりです。
しかし、伊東さんは、ほんとうにいい味をだしましたねぇ。
控えめな演技でありながら、伊東さんだからこそだせた味わいがありました。
これぞ演技力というものです。素晴らしいですねぇ。

さて、淳さん、学校を卒業し、初の遠洋航海に出ています。
そこに好古さんから手紙が来るんですね。フランス語と日本語で書かれたそれは、
父の死を知らせる手紙だったんです。「父さんが死んでしもた・・・」
表情を変えた淳さんは、そのまま手紙に読みいります。

親父の煙臭はお互いに愁傷に絶えず天命は人力の及ばざる所如何ともするを能わず。
これは親父の死亡通知状にして、欧州の風習に従い、在欧の知人百有余名に通知せしものなり。
東洋の一孤島にある親父の名を欧州人に知らしめたるは、不幸中の一喜話にそうろう。
地中海よりの帰郷よろしく思う。慰みおくけれ。

好古さんの語りがいいですねぇ(笑)。

伊東さんの回想シーンが入りますが、まだ、そんなに経ってないのに、
遠い昔にあったかのようです。飄々とした感じが、ほんとうに素晴らしかったですね。

さて、淳さんは好古さんに言われた通り、直ちに松山に帰郷します。
途中、子どもたちに敬礼された淳さんは、ちゃんと敬礼を返してあげたりします。
そうすると、伝説のガキ大将に敬礼を返されたことに喜ぶんですね。

家に帰るとがらーんとして、少し寂しい感じです。そういやあ、ずーっとこの家だもんな。
昔はあんなにたくさんの子供達が、いたのに、もう竹下母さんたったひとりなんですね。

土間に降りると、竹下母さんが洗濯をしてるうしろ姿が見えます。
なんだか、年老いたようでもあり、はじめて母の背に老いを感じて複雑な気分になります。
そして声をかけることができない。
竹下母さんは、こちらを振り向くと、立っている淳さんを見つけ、うれしそうに駆け寄って
きます。淳さんは、上着を脱いで洗濯を代わってあげます。
「あんたはそんなことせんでもええ」と竹下母さんに言われますが、
「母さんはそこらに座っとってればええ」と言って追い返してしまいます。
ここらへんは、男だったら、気持ちのよくわかるシーンですね。
はじめて母の老いを感じ取ったときの胸の痛み、複雑な感情。
申し訳ないという気持ちでいっぱいになる思い。
そして、なにかしてあげられないかという気持ちにつながっていく。
それが、洗濯を代わってあげる行為になるんですねぇ。

「ようかえってきたのう。たくましゅうなって」と叫ぶ竹下母さん。
なんだか照れくさい淳さん。

こういうなんでもないシーンでも、ひとの心の機微をうまく表現していますね。
なんでもないシーンだからこそ、訴えかけるものが大きい感じがします。
母の背中を見て、動けなくなる演出なんて、ちょっとうなる感じですねぇ。

仏壇代わりに八十九さんの被っていた頭巾が飾られています。
淳さんは、それに向かって、好古からの手紙のことを話すんですね。
「父さんの名、秋山好古大尉の父として、フランス人にも知れ渡ったぞな」
後ろで竹下母さんが泣いています。なんかお約束な感じです。

そして、竹下母さん、また、豆を煎っています。もう、いつもの光景ですね。
ただ、竹下母さんに、老いが見られるんですね。
「かあさん、これからどうするんじゃ」少し心配な淳さんです。
「かあさんは、どうもせんよ。秋山の家を守っていくけん」といつもと変わらない竹下母さんです。
「東京へおいでんか。母さんひとり置いておくん心配じゃ。わしがなんとかするけえ」と食い下がる淳さんなのですが、
「無理せんでええ。あんたは海軍さんで忙しいけん、お勤め第一にせんとならん。
父さんじゃったら、そう言うじゃろ」と父さんの言葉を使われたら、ちょっと勝ち目がありません。
「ほったらアニさんと一緒に住めばええ。春になったら、フランスから帰ってくるけん」とそれでも食い下がる淳さん。
「だんだん。淳の気持ちはよくわかったきに、考えさせてもらうけんね」
と嬉しそうに、煎った豆を淳さんにあげるんですね。竹下母さんも淳さんにやさしく言われて
うれしかったんですねぇ(笑)。親から見れば子はいつまでもかわいいもんです。
母にすれば、息子はよりかわいい。自分が年をとれば余計にりっぱになった息子は
かわいいもんなんでしょうねぇ。
「淳、よう帰ってきておくれかのう。あんたの顔見ただけで母さん、十分じゃ」
淳さん少し横を向いて、何かを考え込む風ですが、
「やっぱり母さんのつくるいり豆は最高じゃのう」と言って、ブー。
「これを食うと屁が出るんじゃ」母と笑いあう淳さんなのでした。
老いた母親とりっぱになった息子の感情のあるいいシーンでしたねぇ。
考えてみれば、若い頃武家の嫁としての覚悟をみせてくれた竹下母さんですからね。
息子の邪魔は死んでもしない、という覚悟があるんでしょう。
八十九さんの生き方も武士の気概というものがありましたし。

さて、「坂の上の雲」は、日露戦争のお話がメインになるわけですから、
有名な「大津事件」ももちろん映像化されるわけですねぇ。

大津に入ったニコライ二世が津田三蔵に切りつけられるというこの事件。
しっかりと映像化されてましたねぇ。津田がサーベルを抜くと周りの人間が
驚いているところが印象に残りましたねぇ。あとハットに斬りつけた跡が残り、
そこに血が着いているのも。


坂の上の雲 第三話 「国家鳴動」(1)

2009年12月17日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
いやあ、楽しかったですねえ。
今回は涙は浮かばず、朗らかな気持ちでエンディングを迎えました。
少しずつ少しずつ、大きなカタルシスに到達する予感をはらみながら、というところでしょうか。
東郷はんも登場してきましたし、いやあ団長、やっぱり司令官がお似合いですな。
どこかのシーンでレイバンでもしてくれたら、楽しいんだが、
まあ、このドラマではそこまでのおふざけはないでしょう(笑)。
いやぁ、しかし巡洋艦が砲をぶっ放すシーンなんて見ると男性としては
素直に燃えますな。まあ、戦争賛美する気なんてさらさらないですが、
やはり本能的に燃えるものはありますね。

まあ、基本的にはエンターテイメントとして捉え、徹底的に楽しみたいですね。ほんの小さい頃、
「宇宙戦艦ヤマト」を楽しんだ世代ですからねぇ(笑)。なんかアニメ映画もやるみたいだし、
キムタクで実写化とかやってるみたいだし(笑)。なんか大ゴケ臭がプンプンするけど、がんばって
もらいたいですね(笑)。見に行く気はあまりないけれど(笑)。

さて本編の始まりは日本国憲法発布のシーンからです。国会も翌年から開催ということで、例のちょうちん行列という
奴ですな。一話の終わりで、西田さんが言っていた、紳士としての国家への条件というやつが少しずつ
揃ってきているんですねぇ。さてそんな中、例ののぼさんの政治熱も復活しつつあるようで、バンザイを繰り返して
います。と、突然咳こみ、雪の上に倒れこむと、手に血痰が・・・。それを見て驚くのぼさん。さらに咳は止まらず、
雪の上にも赤い血の色が・・・と思ったら、日の丸の赤い色が溶け出したものだった・・・だよなあれ。
のぼさんは、自分の肺結核がすでに重篤化しつつあるのを知り、一気に4,50句も創り上げてしまうんですね。
自分の余生がそれほど長くないことに気づいたんですねぇ。
子規という号が、ホトドキスの別名であることも語られます。血に啼くような声(どんな声だ?(笑))に
特徴があり、血を吐いた自分にかけたんだそうです。しかし、血に啼くってどいうこと?(笑)。
まあ、ホトトギスの子が口の中が赤いという説もあるようですけど。

結局、のぼさんは療養目的で松山に帰るんですね。青雲の志を持って出て行った松山に、太政大臣になると言って
出て行った松山に、療養のために帰るのぼさんの気持ちはいかばかりか。車夫にさえ気を使われて、病人のぼさんは
帰宅するわけです。まあ、基本的にさびしがりやで泣き虫ののぼさんです。自宅に入る前に落ち込む自分を叱咤して
明るい自分を演じるわけです。でも、そんなのぼさんのこと、みんな知ってるわけです。
だから、お母さんも精一杯の笑顔で迎えてあげるわけです。でも、そんなのぼさんが、病気なんで心配なんですね。
しかも死病といわれる結核ですから、なおさらです。まあ、心配されれば、やさしいのぼさんのことです、
「ほんのちぃと血を吐いただけじゃあ」とことさらに軽く言って体を叩いてみせたりするわけですねぇ。
気持ちのやりあいといったところでしょうか。そしてもちろん、お約束のりーさんも帰ってきます。
しかしこのひとはいつも走ってますねぇ。気持ちの熱い女性ですねぇ(笑)。
走りこんできてのぼさんの前にたつと「あにさんの看病はうちがするけん」とりーさんは必死の表情で言い放ちます。
「お嫁にいったおまえにそんなことはさせられん」と当然のようにのぼさんは断りますが、
「ええの」と言って「生きたすっぽん」をのぼさんの目前に差し出し、
「この血は滋養があって体にええんじゃ、すっぽん屋で料理の仕方おしえてもろうたけん」
と目をぎらぎらさせてやる気まんまんです。そりゃ小さい頃から、「弱い兄を守るのは私」、とがんばってきた
りーさんですから、死病を得た兄のためなら、水火も辞さないと言ったところでしょうか。
母から「淳さんからお使いがきた」と聞いたのぼさんは体ごと躍り上がります。「あさってお見舞いにいきます」
ということづてを聞くと「3年ぶりじゃあああ」とそれこそおおきく躍り上がってよろこびを爆発させます。
そりゃ、あの置き手紙が最後でしたからねぇ。一緒に勉強した日々を思い出せば、のぼさんの喜ぶ気持ちもわかりますねぇ。
「去年の夏、帰っておいでじゃったが」とうれしそうに楽しかった時間を思い出したりーさんですが、
のぼさんが咳をするのを見ると、素直な感想を言うのをやめ、のぼさんのために、無理にけなすんですね。
「たいそう、悪相になっておった」と。「悪相とはどんな悪相じゃあ」とのぼさんに聞かれてりーさんは、
「顔が真っ黒になって、目ばかりぎょろぎょろしておった」と素直に状況説明。
「海軍さんには毎日厳しい訓練がある。日に焼けるのは健康な証拠じゃろうが」と能天気なのぼさんなのでした。
「そういえば、淳さんはりつがまた嫁に行ったことを知っとったじゃろうか」とのぼさんは
りーさんの気持ちをちょっとなぶってみます。
「あにさんから伝えるといいよったじゃろ」と必死な表情でのぼさんを追求しますが、
「喀血もあってついつい伝えそびれた・・・」というのぼさんの卑怯な逃げ手。
「ほいじゃあ、淳さんまだお知りんのじゃね」
と心配する母親さんと頭を抱えるりーさん(ほんとに額に手をあててた(笑))。
するとニコリとしながら、
「うそじゃぁー。うそじゃぁー」と微笑むのぼさん。
「ちゃあんと手紙に書いといたがな」とうそついて、りーさんの気持ちをつっついてみたんですね。
「じゃがのう。半年にもなるけど返事がこん。淳さんは怒ってるかもしれんぞね」
とりーさんを指さしますが、りーさんは「いーっつ」として、土間にいってしまいます。
そして、こっちを向いて口を指で横に広げ「いーっつ」。りーさんがまだほんの少しだけ
「淳さんに恋心があること」を確かめて見たんですねぇ。
笑いの絶えない明るい家族です。

このシーンも考えこまれてますね。死病ののぼさんを囲むのぼさん思いのひとたち。
特に健気に兄を思うりーさん。それを演技力抜群のひとたちが演じる。なんて最高なドラマなんでしょう。
それに、前回のりーさんとじゅんさんの浜辺の別れのシーンで、確かに淳さんがめちゃくちゃ日焼けしていた
のが気になっていたんですが、このシーンのために日に焼けてたんですね。確かに真っ黒で目だけギラギラしてた
イメージでしたしねぇ。こうやってあとから、わかる役作りというのがすごいですね。
なんと豪華な役者使い(笑)。いやあ、書いてるだけでうれしくなってきますねえ(笑)。
それにのぼさんがかかわるシーンは明るい。みんな気持ちのやさしい設定ですから、気分がよくなりますね。
なんか、サザエさん一家のようでもあり。楽しいです。

「その日松山はきゅうり封じであった」って、きゅうり封じをよく映像化してますねぇ。

きゅうり封じってのは、弘法大師さんが薬師如来の本願によって病魔・悪鬼をきゅうりに封じ込め、
病を癒し自らの生命力を増進させ無病息災を得られたことがその始まりだとか、(ネットはモノ調べが楽でいいね)
本願というのは、本当の願いということで、今の言葉では約束にあたるんだとか。
まあ、弘法さんが、薬師如来の力を使って、病魔悪鬼をきゅうりに封じたんですね。しかし、なぜきゅうり・・・
なんてことは考えてはいけないのでしょうねえ。
京都・五智山・蓮華寺というところでは、1本1000円(たかぁ)で加持したきゅうりを頂けるそうで、
「きゅうりはお持ち帰りになって、3日間朝晩痛いところ悪いところを ご真言を唱えながらきゅうりでさすって
4日目の朝 人の踏まない正常な土に埋めるか川に流してください」
ということだそうです。へえー、そういうものがあったんだねぇ
(原作読んだときに初めて知ったはずだけど、忘れてた(笑))。

しかし、今の時代、調べ物が楽だね(笑)。大学の卒論とか、いろいろ楽に資料に当たれるんで、論文の質も
あげられるよなあ。まあ、楽できるっていうベクトルもあるんだけれど(笑)。

とそんな中に白い海軍さん、淳さんきゅうりを2本持って登場。のぼさんちですね。
入るとりーさんに出会って・・・。なんか淳さんうろたえながら、敬礼。
りーさんもうろたえながら、なぜか敬礼。このりーさんの敬礼姿がまた愛らしい
(やべ、管ちゃん好きになってしまいそうだ(笑))。
お互い、緊張感がとれてほほえみあう。なんかほんわかして、いいシーン。
「あにさんが首をなごうして待っています」
まありーさんからすれば、あにさんも好きだし、淳さんも好きなんだから、
ほんわかするわな(笑)。
りーさん、淳さんを連れて部屋へ行こうと、後ろを向いたとき気づくんですね。
自分が嫁にいったことが伝わってるか、伝わってないか、わからないことを。
それで、「あのー、私、淳さん・・」となるわけです。
「いろいろあって・・・」と説明しかけるところに
淳さんが「りーさんに会えるとは思わなかった」となるわけですね。
その反応にちょっとうれしくなるりーさんですが、気を取り直して
「あの、うち・・」と話そうとするところに、
「聞いとる。聞いとるけん」と話をさせない淳五郎。
これも淳さんのやさしさなんですねぇ。
このドラマは相手を思いやるやさしさを持つ人間が
ほんとうに多い。そういう時代だったんでしょうねぇ。

「これ厄払いの」と淳さんがきゅうりを差し出すと
「今日はきゅうり封じの日やったねぇ」と暑い太陽を二人で見上げたりする。
なんとも言えんええシーンです。
なんてところに、さわぎながら走ってくるのぼさん登場。

別れの時のあの描写があったおかげで、このシーンはちょっと感情的になりそうでした。
淳さんは置き手紙で去った経験があるから、目に感情が浮かびます。
のぼさんもうれしそうに、淳さんの軍服姿を眺め、
感慨深げに「ようにおうとる・・・」と話します。
お互いの感情が高まります。淳さんは少し首をかしげながら、
「ほうか・・・」と言うのが精一杯。
お互い涙を流しそうになるくらいうれしいんですね。
それを横から収めるりーさん「さーはよう、二人とも、あがって」
二人の気持ちがよくわかってるからこその、気遣いなんですねぇ。
りーさんもちょっと感情が高ぶって少し泣きそうになりながらです。

淳さんとのぼさんのひさしぶりの会話がはじまります。
「兵学校は毎日どうじゃ」興味深げにのぼさんが聞きます。
何しろ、なんにでも興味のあるのぼさんですからねぇ。
「いたちのようじゃ。毎日注意ぶこうきょろきょろしとる」と淳さんが言うと、
「ほいたら、淳さんにうってつけじゃがー」と、のぼさんいつものように調子がいいですね。
淳さんは、少し探るような気を使うような表情になりながら、「帰郷してから喀血はしとらんかの?」。
のぼさんの体が心配なんですね。のぼさんも少し真面目な感じになりながら、冷静に
「それがのう。血ぃの中に、泡みたいなものがまじっとる」と分析してるんですね自分なりに。
「色も東京で吐いたときほど、あざやかではない」と、どうも咳のために気管が破れたらしいんですね。
自分の症状を冷静に感じ取りながら、それを句にしてみせる、剛毅さがある。
「そこでのう。あしは一句作った」となるわけです。のぼさんらしい。
「気管破裂、蒸気あぶなし、血の海路」
いやいや、明るい病人ですね。淳さんも
「のぼさん、豪傑じゃねぇ」と言うしかないよね(笑)。
「俳号も決めた。子規。正岡子規じゃ」正岡子規誕生ですね。それを聞いてぽかんとしている淳さんに向かって
「ホトトギスのことよ。言うなりゃ肺結核の代名詞よ」と、ちょっと誇る風。のぼさんが誇らしげにする
いつもあの感じです。恐竜学校や予備門でいつもやってた感じが戻ってきてなつかしい。
「それが俳号か。自虐的じゃのう」というあきれ顔もいつも淳さんです。
図星を言われて笑いながらお茶を飲むのぼさん。いやあ、ほんとかわいいね、のぼさんは。
ただ、この「しき」という音を聞いて、ふと「死期」にもかけたんじゃないかと
ふと思いましたね。死というものをのぼさんが考えなかったはずはないでしょう。
だから、ホトトギスという意味と「死期」という音をかけ、
ダブルミーニングにしたんじゃないかなあ、とふと思いました(笑)。

さて、そこへ「どうぞー」と桃をぶどう酒で煮た物を持って登場のりーさん。
いやあ、確かにぜいたく品ですな。
「病気になっても食欲だけはおとろえん」
こののぼさんの食欲についての述懐は、嵐山光三郎の
「文人悪食」の正岡子規の欄にくわしいですね。
なんでも、他人にたかるのがうまかったらしく、
松山に帰った子規が夏目漱石の下宿に居候したときには、
勝手にうなぎの蒲焼を取り寄せて、漱石に「きみ払ってくれたまえ」
とやったらしいですからね(笑)。
子規の手記「仰臥漫録」にも
三羽の鴫を焼かせて昼食として食い、粥三碗、なし、ぶどうも合わせて食い、
間食に牛乳一合、菓子パン大小数個、塩煎餅、夕食は与兵衛寿司二つ三つ、
粥二碗、まぐろさしみ、煮茄子、なら漬、ぶどう、
夜食にりんご二切、飴湯を飲んだ、となっている。
すごいねぇ(笑)。病人とは思えぬ食欲ですなぁ。

そいで、のぼさん、淳さんのもってきたきゅうりも持って来いと頼みます。
「あれは縁起悪いけん」というりーさんに、
「その厄を食うちゃるんじゃあ」といつもののぼさん流。りーさんが離れると、
「一日おきにわしの看護に来とるんじゃあ。また、嫁ぎ先で離縁されそうになっとる」
と淳さんに告げ口をするわけですが、淳さんはやさしいので、
「そんなこといわなくていいから」という表情をするんですね。もちろんりーさんにも話が聞こえている
わけで、「余計なことを」とりーさんはこわい声。
「りーさんはあにさんおもいじゃからのう」とやさしく淳さんがフォローします。
のぼさんは性懲りも無く「だんなは松山中学の教師で、背も小さく風采のあがらない男で・・・」
と続けて、「今度こそ離縁されたら、今度こそ離縁されたら・・」と小声で愚痴ると
「あにさん!」とさすがにりーさんに切れられます。
「おーこわ」というのぼさんは予定通りな顔で、笑うわけですが、
どうもりーさんは本気で怒っているようです(笑)。きゅうりをきつい感じで縁側におきます。
「やっぱり厄はいけんか。血ぃをはいたところじゃけん」とにやつくと、
「あたりまえじゃ」と淳さん。それに笑いながら、お茶をつぐりーさん、きゅうりでおがむのぼさん。
なんだか、気分のいい、松山の風景なのでした。病人がのぼさんだからねぇ。
なんとなく、のほほんとしています。