「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

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クリスマスの思い出(2)

2009年12月23日 | 過去の物語
それは僕がまだ小学校3年生の頃でした。

その日の気分は、ほんと最低でした。

その日は、学校でクリスマス会があった日で、
担当した芸のネタが緊張したせいであまりうまくできずに、
大失敗し、大恥をかいた日でした。
一緒に出演した友達は元気づけてくれたけど、
当時大好きだった女の子が微妙な表情をしていたので、
むちゃくちゃショックを受けて、非常に落ち込んだクリスマスイブの日になりました。

それだけ落ち込んだ僕は、ひとりになりたくて、友達とも別れ、普段行かない帰り道を歩いていました。

そんな道の一角に、当時、キリスト教会がありました。
日曜学校をやっていたり、なにか御務めみたいなことをやっているようだったけど、
当時9歳の子供には、なにをやってるのか、想像もつかなった場所でした。
ただ賛美歌がたまに聞こえたから、「一種の外国?」みたいな気持ちを
持っていたのは、確かでした。

その日はとても寒い日で、日中なのに手を「はあはあ」しながら、帰っていました。
その教会の少し前にある駐車場で、誰かが何かを必死になって探していたのを、「どういうこと?」
ってな感じで、凍りつきながら、見ていたことを覚えています。

「白人さん?」

色がとても白くて、金髪で、背の高い、すらっとして、足の長い人でした。

当時は外国人を街の中で見るなんて、珍しいことだったし、特に自分にとっては、
TVの向こうの世界のひとだったりするし。あまりに驚いた僕はとりみだしながらも、
とっさにそのひとことで声をかけてしまいました。

「はろう?」

僕の唯一知っている英語でした。あと、

「THIS IS THE PEN」

なんていう当時のギャグもありましたが、さすがにそれは恥ずかしくて言えませんでした。
その女性は、こちらを振り向くと、一瞬、表情を止め、「このひとは、どんなひと」という感じで、
僕をみました。ものすごく、警戒したんですね。でも、相手が、たった九歳のガキとわかると、
すぐにニコリとして、こちらに歩いてきたんです。

「こんにちわ」

普通の日本語でした。ポカンとしたのは僕の方でした。

「私を外国人だと思ったのね?。私はハーフ。半分は日本人よ」

明るい笑顔で説明をしてくれました。年の頃なら、19、20歳といったところだったかもしれません。
それでも、自分にとっては、随分おとなでした。

というか、すげー美人!。

天上人、降臨?(笑)。

そんな感じの驚きでした(笑)。

うつくしいひとって、これじゃん(笑)。
あのう、どうしてそんなに美しいんですかぁ?。
という気持ちがどんどんでてくる(笑)。もう子供だから、反応が素直すぎる。
そんなことをどんどん思ううち、何を言ったらいいのか、全くわからない感じになってるんです。

もう同じことばっかり考えている(笑)。

それでも、なんとか、言葉を吐くことだけは、なんとか、できました。

「なにか探してるんですか?」

一応言葉を続けることができましたが、もう自分にとってはっきりいってそれだけで一杯一杯。
事態をどう収拾すればいいか、理解不能状態に陥っていました。

「あの・・・」

そんなどきどきした小学生を見て、少し余裕が出たのか、
彼女はその美しい顔をわざと自分に近づけて言ってくれました。

「ペンダントをなくしてしまったの。とっても大事なペンダントなの
 もしよかったら、一緒に探してくれない?。銀のペンダントなのよ」

彼女はそういうと、自分の手をひき、

「ここらへんのはずなのよ・・・」

と現場まで連れていってくれました。

あたたかった・・・。

あのう、こんな、美しいひとに、手をつないで、もらうなんて・・・。

もう、ドキドキで、どうしようも、ありませんでした(笑)。

いつもの小学三年生脳ですからね。それだけしか、考えられなくなるんです(笑)。

もう、手をつないでもらったことだけで、頭の中は、

「手をつないだ」「手をつないだぞ」「手をつないでくれたぞ」・・・

それだけで、一杯一杯。もう、興奮のあまり、何をしてしまうか、わからない(笑)。

「あなたが、好きだからー」と叫んでしまいそうでした(笑)。

彼女の手に触れた、僕の手をみて、

「よし、俺はこのひとに、命をささげよう。死んでもよし(笑)」

とそのとき、簡単に思いました。そりゃそうです、小学生の男子なんて、簡単なものです(笑)。

そんな、簡単な事に、僕はすっかり、盛り上がり、簡単なシチュエーションに気合をいれてしまいました。

だって、美しいひとが、僕に、「お願い」って、言ったんですよ(笑)。

このシチュエーションは自分にとってとても興奮すべきものでした。
自分は数年前までやっていた「少年探偵団BD7」の映像をすっかり思い出していました。
「確か怪人二十面相は団次郎のはずだ。「新マン」やっていたひとだぞ・・・」
と全く必要のない知識を思い出したりしていましたが、さすがにそれを彼女に話しても意味はない、ことはわかっていました(笑)。
それより、きれいなおねえさんに、「手伝って」と言われたことが、
自分の中では、ぶっちぎりの興奮ポイントになっていたんです(笑)。

「僕はこの女性(ひと)に命を捧げるんだ!」

と、その気になって、必死に探しました。小さいことをいかして、女性が入っていけない車の下や、
手をつっこめない自動販売機の下なども、探しました。10円玉が2個でてきました。
いやいや、こんなものは戦利品ではない。僕はない頭を必死に回転させました。
ここが勝負だ、どこかに解答がある。ワトソンくん、近くにいるなら、早くきてくれー。
と少年は、わけもわからず、いろいろ考えましたが、たまたま、見回した先に、
まだ、探していない古いカローラを見つけた、のでした(笑)。

「ワトソンくん、解答はこれだー」

と軽いのをいかし、さっさかさーと車に近寄ると

僕は一目散にその下に突入しました。そしたら、そこに、ちゃんと解答がありました。


少し薄汚れた銀色のペンダント。


彼女にそれを渡すと、彼女は、うれしそうに僕を「高い高い」してくれました(笑)。

僕はまだまだ非力でちいさな少年だったんです(ちょっと恥ずかしかったけど(笑))。

彼女は、よほどうれしかったのか、そのペンダントに入っている写真まで、
僕に見せてくれました。それは外国人の女性の写真でした。

「母なの」

彼女は教えてくれました。そうか、お母さんが外国人だったんだ。
その時、僕はそう納得しました。

「5年前にね、死んじゃったの・・・」

彼女は少し悲しそうでした。

「あなたは、女性を守る騎士ね」

お姉さんはよほどうれしかったのか、僕をそう言ってほめました。

「せっかくだから、一緒に遊ぼうか?」

一人っ子で育った僕にとって、あまりに魅力的なお話でした。
でも、当時は、男子が女子と遊ぶなんて男子にとって恥ずかしい話でした。

「だけど、このひとは、女子じゃないから」

と勝手に納得し、お姉さんと遊びはじめました。

やる遊びは、普通のモノでした。

当時はやっていた、子供達同士の遊び。せっせっせのよいよいよいとか、

あっちむいてホイとか、なんとかジャンケンとか、

2人ともけっこうのりのりで楽しんでいました(笑)。

「このお姉さんと明日もあさってもこうやって遊びたいな・・・」

いつの間にか、僕は、そんな風に思っていました。だって、楽しくて楽しくて、しかたなかったんだから・・・。

この時間が永遠になればいいのに。

僕はそんな風に思っていました。

夕方になり、火灯し頃になると、さすがに帰らなくてはいけないことに、気づきました。

でも、それについては何もいいたくなかった。

自分からは何も言い出せなかった。

だって、この楽しい時間が終わってしまうもの。

もう、永遠にこないかも、しれないもの・・・。


お姉さんもじきに、それに気がついて、

「はい。今日はここまでにしましょ」

と、言いました。それが、僕にとっては、とても残酷なことに、見えました。

僕は、この瞬間がとてもいやでした。せっかくの楽しい時間がとぎれてしまう。

少し泣きそうになりました。

素直なままの、僕の少ししょげた表情をみると、彼女も少し寂しそうな顔です。

「わかってくれたのかなぁ」、って思うけど、そうではなくて、大人の判断なんですね。

彼女は、何かに気づいたような顔をして、バックの中から、なにかをとりだして、ペンで何かを書いている。

「はい。クリスマスプレゼント」

彼女は、キャラメルの箱に、そう書いて渡してくれました。

「2、3個食べちゃったけど、まだ、たくさん残っているから。今日のお礼」

そして、僕の頭をなでて、おでこにキスまでしてくれました。

僕はあまりのことに、死にそうになりながら、鼻血がでるのを、なんとか、抑えていました。

かなりうろたえて、どうしたらいいか、わからなかったけど。なんとか普通な態度で、

「ありがとうございました」

と言ってペコリとおじぎをして、そこをあとにしました。

そこにいたら、もう、どうなっていたか、わからなかったです(笑)。

いやいや、キスなんて、「どういうことだよ?」って感じでした。

キスされて、すごく気持ちよくって、そんなの感じちゃって、いいのかよって感じでした。

「まずい、このままでは、悪いオトナになってしまう。すぐに忘れなければ」

BD7の一員をきどっている僕は、すぐにそんな優等生的感想をもちながら、ぎつばたしながら、

帰り道につきました。それでも、ドギマギは止まらなくて。

もう、学校の好きなひとのことなんて、すっかり、忘れ去っていました(笑)。

そんなこと、もうどうでもよかったんです。


きれいなお姉さんが、いつまでも手をふってくれました。

僕はどぎまぎしながら、家に帰りました。もうなんだか、どう対応したら、いいのか、よくわからなくて。

とにかく、家に帰っても、ドキマギしていたのを覚えています。

あんなに、美しいひとが、僕と話したの?。

意味がよくわかりませんでした。

そこに何のメリットが?。

そんな感じで、きれいな、あのひとのことを、いつまでも考えていました。



彼女のくれた、キャラメルは、自分にとって、特別なモノになりました。

そのキャラメルは食べられるはずもなく。

ずっと僕の宝箱に眠っていることになりました。ずっとずーっと。

それ以来、僕は学校の帰り、ぎつばたしながら、その教会の前を通ることが、多くなりました。

わざわざ、遠い道をとおることで、あの美しい、彼女にもう一度会いたい、そんなことを思っていたんですね。

でも、それから一度として、彼女に会うことは、なかった。

どうして、あの一日だけ、あそこにいたんだろう。

どうして、あのクリスマスイブの日に・・・。

どうして、あんなきれいなひとが・・・。

もしかして、落ち込んでいた僕にサンタさんがくれた、スペシャルプレゼントだったんだろうか。

少年の日にあった、そんな風景を思い出しながら、ふと、今は、そんな風に思ってみたり、しています。

そして、少し、ニヤリとしてしまいます。


サンタさんも、なかなか、粋なことを、やるもんですね(笑)。

そして、ここまで読んで頂いた、みなさん、ありがとうございました。

そして、「メリークリスマス!」。


素晴らしい「クリスマス・イブ」をお過ごしください(笑)。

また、彼女に会えないかなぁ?。あの頃のままで(笑)(いやいやいや、それは無理(笑))


ではでは。