「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

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坂の上の雲 第四話「日清開戦」(4)

2009年12月25日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
旅順攻撃開始は11月21日ということに決められた。

好古の隊は、意見書を出した翌日の朝7時に宿営地を出発し、前進した。
ところが午前十時頃水師営方面から前進してきたらしい、おびただしい数の敵と遭遇し、前面衝突となった。

斥候が双眼鏡をかざすと、やたら大量の敵兵を見つけるんですね。ほんとおびただしい清国兵です。
いやぁ、もうほんと大量の清国兵だわぁ、うれしいはぁ(笑)。すごい映像化です。うれしくて、よだれがでそうです(笑)。
で、戦闘状態に入るわけです。

もう、好古側の部隊が一列横隊になって、走り始めるんですね。いやあ、こういうの映画「二百三高地」以来かも(古!)、
いやいやあ、ちゃんと映像化しています。彼らは基本騎兵部隊なのかな?パンツ赤だけど。
それとも、隊づきの歩兵なのかな?。まあ、よくわかりません、そこらへんは。
たったか、走っております。そして、あるところまでいくと、身を隠して、弾を込めて、射撃準備です。
中隊長らしきひとが、号令します。
「かまえー」皆かまえてます。そうすると、向こう側からおびただしい敵が近づいてくるんですね。
それにしても、すごい量だね。しかも、堂々と立って歩いてくる。もう数おしですか?。しかも、見る見る近づいてくる。
好古さんの部隊は、それにおされちゃって、緊張状態がはげしすぎる感じ?。ま、ちょっとビビってるって感じに見えますねぇ(笑)。
なんか、引鉄にいれてる指も震えている感じだし。それでも清国兵は、ただ銃を構えて歩いてくるだけ。
感情がない感じ。まあ、そんなの見てる方はびびりますわな。
「ねらえー」
みんな緊張します。そして、中隊長さん
「撃てー」
で、皆狂ったように撃ちまくります。でも、まだ、射程外だったんですね。ピュンピュン地面に跳ね返されています。
清国兵もやっと射程圏内に入ると少し背をかがめて近寄ってきます。そして、銃撃戦です、すごいすなあ。
「押出しじゃ、ゆけー」と中隊長さんも必死です。双方死傷者もたくさんでてます。
と勢い余ってでてきちゃった中隊長さん、お約束で、額を射ぬかれて即死します。
「中隊長」と部下が必死に起こそうとしますが、時既に遅しです。
なんてやってるうちに、清国側から、砲弾の雨あられ。兵の数も多いし、さらに砲もあるんだから、そりゃ清国兵の方が圧倒的に有利ですな(笑)。
日本兵は雪崩をうって潰走します。

戦況はのっけから不利である。時が経つにつれていよいよ不利になってきた。

なんて時に、のんきな好古さんは、軍神謙信公に変身し(笑)、ドンパチの中で、酒を飲むという荒行をおこないます。
っていうか、ガクト謙信で見たあのシーンを今度は阿部ちゃん謙信で再現です(笑)。なんて、書きたくなる、
好古さんの戦場酒のシーンです。まあ、原作にもあるシーンなんですけどね(笑)。

「大隊長殿、ここは危険です。もう少しお下がりください」
と必死な思いの部下なわけですが、そんなの気にもしない好古さん、
「お前も飲むか?」と水筒を渡します。
「は」と大隊長のせっかくの気遣いに素直に水筒の中のモノを口に含むと
「これは」と驚く部下さんです。
「支那の酒じゃ」とこともなくいい
「呑まんのなら、返せ」と水筒をとりあげ、思い切り飲むと
「あうー」とか声だしてます。あまりにもおもしろい。おもしろすぐる(笑)。腹かかえて笑っちゃいます。おうおう、軍神降臨だぁ(笑)。
「ひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか」と、突然の質問攻め。
「あー」と言い返しながら、
「大隊長殿の指揮刀ですが」
「これか」と、好古さん指揮刀をぬきます。
「皆が心配しております。大隊長殿は戦時にあっても、何故刀を差さず、その指揮刀のままなのか、と」これ原作では竹光と紹介してたっけ?。
「突撃の指揮をとるものが、これでは不安か?」と、事も無げに言う好古さんです。
「いや」と部下は否定します。
「ええんじゃ、これで」と言われてもポカンな部下です。と好古さん、ちょっとためて、
「馬ひけぇー」「おー」ここカッコよかった。すげえ燃えた。もう、軍神降臨とは、この瞬間を言うのか。
もう謙信公とか、リアルケンシロウとか、花の慶次とか、カッコイイいろんなもんが、合わさってるって感じだよね。
「どちらへ」と部下が聞きます。
「大隊長殿」と言ってもずんずん歩いていくケンシロウです。
「兵が萎縮しちょる。前へ出る」うへー、かっこいー(笑)。
「まさか、おやめください」とこの部下さん、ほとんど意見聞いてもらえないですな。
「危険です。大隊長殿。お止めください。大隊長殿」必死になればなるほど、ガン無視状態で、ちょっと笑ってしまいます(笑)。
「大隊長殿ー」と言ってももう無駄です。

軍神はたった一騎、ズドンズドン、砲撃うける中を平気で走っていきます。もう、謙信公の再来って感じ。むちゃくちゃカッコイーっす(笑)。
その後を部下たちは、砲撃うけて倒れちゃったり、好古さんの部下は大変です。

さて、潰走してきた部下のところまで来ると、軍神は、兵をまとめるため、
大音声を張り上げます。しかし、阿部ちゃん馬の扱いうまいなあ。

「ええか、よーく聞け」なんて言われても兵たちはぐだぐだです。それでもひとり、語る好古さんです。
「あしは、旅順へ行けと言われとるんじゃ。退却という命令は受けておらん」軍神は冷静に語ります。そのうち感情が高まってきてあろうことか、笑いだします。
「わははは。一歩も引きはせんぞな」兵たちは軍神の叱咤激励に、耳を傾けはじめます。みんな、軍神の方を見ています。通訳の熊谷さんも見ています。
「去るものは去れ。責めはせん。じゃが、あしひとりでも、旅順に行くぞぉー」とすかさず、水筒から酒をぐびり。飲み干してしまいます。あれなくなっちった。
それを見ていた熊谷通訳、酒の入った水筒を
「大隊長殿ー」と叫んで投げあげます。その水筒が飛ぶのを見ている兵たちは、やがてしっかりそれを捕まえる軍神を見るのです。そして、
「はははは・・」と笑いながらまた、酒を呑むんですから、この軍神にやられない兵はいません(笑)。
「熊谷」と呼ばれる通訳さん。
「はい」とうれしそうに答えます。
「通訳はいるけんのー。おまえだけはついてこい」と好古さん。
「はい」と通訳さんもうれしそうです。このやりとりを見ていた兵たちも、すっかり戦う気持ちを取り戻しています。好古さんは馬頭を巡らすと、一言、
「前進!」
「ゆけー」部下の兵達もすっかり元気になっています。いやさすが、軍神です(笑)。
「おー」と兵達も気合が入ってきました。と自軍の騎兵と清国兵の騎兵との衝突が起こります。
「騎兵の到着じゃ」好古さんもさすがに気合が入ります。
「我らもいくぞー」と自軍を叱咤します。
「かまえー」と部下が司令します。すると、好古さん、例の指揮刀を抜くと
「いけぇーい」と命令します。自軍はにわかに活気づき、反抗が始まります。なんてやってるところへ、
「敵襲!」と伝令がやってきます。
「旅順本道の両翼より、新たな敵を発見。我が軍を包囲すべく、こちらに向かっております。その数およそ三千」と見るとやたら大軍が。
「敵の主力ではないか」と驚く好古さんです。
「たかが二百の斥候部隊に、そんな大軍がどうして」と部下さんの言う通り。はっきりいってむちゃくちゃです。
「清国軍はいったいなんば考えちょっとか」と、通訳さんも驚きの様子です。
「こりゃ、進軍どころのさわぎじゃありゃせんぞな」と当然な好古さんです。
「その通りです」と素直な突っ込みの部下さん。
「前進命令中止。東方部隊、直ちに撤退準備じゃ」とさっきだした命令を即座に変更です。
「退却準備、退却準備」と伝令が走っていきます。
「稲垣、いくさで最も難しいんは、退却戦じゃ」と、部下さんはさっき命令書を速記してた稲垣くんだったのね。
「勢いに乗った敵は、こちらが逃げ出すとみたら、どっと来る。それを食い止め、整然と引き揚げるんじゃ」と意気軒昂な好古さんです。
「はあ」と稲垣くん。
「よぉし、あしが殿をつとめる」とまた、軍神発言。酒ももう一度飲み干し、気合充分です。
「馬鹿なことをおっしゃらないでください」と稲垣も必死です。
「あしがやらんで、誰がやるんじゃ」うひょー、またまた、超かっちょいー!!。
「退却準備」好古さん、その気です。
「打ち方やめー」と、好古さん、また、勝手に走りだします。
「大隊長殿」と稲垣くん、熊谷さんはついていくのに必死です(笑)。
「援護射撃よーい」と次々に命令をくだしていきます。しかし、阿部ちゃん馬の扱いうまいねえ。単純にかっこいい。
「撃ちやれー」と命令をくだすと、前にでます。
「大隊長殿」と心配顔の稲垣くん。
「かかれー」と好古さん、と自軍を叱咤します。しかし、清国兵は多すぎて、もう、どうにもなりません。騎兵達もつぎつぎとやられています。
「下馬ー」と好古は、叫ぶと、下馬し、自軍の兵を救いにいきます。そうでもしなければ、どうにもならないほど、ズタズタにされていたんです。

好古は同時代の人々から、最後の古武士とか、戦国の豪傑の再来などと呼ばれていた、しかし、
本来はどうなのであろう。彼が松山で送った少年の頃や、大阪で暮らした教員時代、
人々は彼からおよそ豪傑を想像しなかった。穏やかで親切な少年であり、青年であったに過ぎない。

「ひるむな」好古は自軍の兵士を鼓舞し、なんとか連れだそうとします。しかし、砲弾もどんどん落ち、ぼろぼろになります。

勇気はあるいは固有のものではなく、彼の自己教育の所産であったと思われる。

それで、好古のシーンは終了。そのあと、どうなったかは、描かれていないけど、どうなったんだろう?。
とにかく、壮絶な敗北のシーンということですね。

司馬さんが言っているのは、好古は、自分を鍛えて鍛えて古武士や豪傑に仕向けたってことですね。
まあ、若い頃のあの好古にいさんからは、ちょっと今の軍神ぶりは想像できなかったですからね。
そういえば、西郷なんかも、自分で自分を教育してああゆう自分を完成させた、と司馬さんは書いていましたから、
この好古にも同じ匂いを感じたということなんでしょうか。確かに茶碗一個で暮らしてた好古ですから、
自分で自分をそう仕向けたことはその一事でもわかります。自己プロデュースの作品なんですね、好古は。

さて、このシーンについて考えてみましょう。
ここは原作にも書かれているシーンで、その原作を余すところなく映像化したと考えるべきでしょうか。
最初から兵士の数的に不利で、ボコボコにされ、潰走。しかし、酒を飲み、軍神化した好古に大勢を立て直される(それは原作にはない)ものの、
さらにすごい数の敵兵に攻められ、さらにボコボコにされ、最後は下馬して仲間を救うというストーリーですからね。原作を膨らまし、より、
騎兵が未だに兵種として確立していない、発展途上であることを強調し、さらに日本陸軍自体も発展途上ということを強調した
イメージづくりが行われたと捉えていいでしょう。今後、ここから、発展し、さらに強い敵を相手にまわすようになるんですからね。
その発展を今後見せて行く段取りだと考えます。それにしても、阿部ちゃんの軍神ぶり楽しかったです。このひとは臥体がいいから、
騎乗姿がえらくかっこいいですね。いやいや、ほんと楽しかったです。騎乗もうまいし。男子ながら、うへ、かっちょいーと素直に感じてしまいました。
さらに、日本陸軍の弱さを徹底的に見せつけてましたね。それでいて、軍神にあおられると一気にとり戻しちゃう感じとか、
まだまだ、子供な日本陸軍及び騎兵でした。
脚本意図は、とりあえず、陸軍と騎兵はまだまだ発展途上であるということを見せるということと、好古さんの軍神ぶりを見せるということでしょうか。
アゲたのは、好古さんですね。サゲたのは、日本陸軍と騎兵かな。まあ、これくらいサゲとかないと、あとでつよくなるのを描けないですからね。
日本人的美徳という観点からはいかがでしょうか。軍神化については、日本人の美徳とはまた違うものですからね。酒飲んでいくさやっちゃうあたり、
豪傑のイメージですが、古来いくさと酒というのは、日本においてはつきものでしたし、そういう日本的な一風景としてみたほうがよいかも
しれませんね(笑)。



第二軍の旅順攻撃は、21日の拂暁、寒気をついて行われた。半年はかかると言われた旅順要塞は
驚くべきことに、まる1日で落ちてしまった。
勝利の最大の原因は、日本軍の方にない。清国兵の士気の低さにあった。要塞守備兵の大部分は、
金州方面に逃げた。

と部下の兵をつれ、いくさ跡を調査する乃木さんが現れます。敵味方双方の死体が累々と横たわり、遺体を運ぶ者もいる。
そんな中、乃木とその部下達は、遺体に向かって帽子をとり、礼をささげている。そこへ、
「乃木閣下。ついにやりもしたな」
と登場してくるのが、

第二軍参謀副長 伊地知幸介

であったりする。とこれまた、この原作では無農薬いや無能役として描かれる伊地知はんです。村田雄浩さん、
この役者さんは、ドラマ「青が散る」以来ずっと見ていますが好感のもてる役者さんですね。確か独眼竜政宗にも出演してましたよね。
ま、そんなひとが、伊地知はんですか。まあ、どんな伊地知はんをやるのか、ある意味楽しみです。

「旅順城陥落おめでとうございます」
と、万感こもっている伊地知さんなのですが、乃木さんは、あまり表情がありません。ちょっとどういうひとか、とらえにくい感じをうまく
演じてますね。
「陛下もこん歴史的大勝利をきっとお喜びになるにちがいもはん」と伊地知はん、明治天皇LOVEの乃木さんのことを知っていて、うれしがるようにかまし、
「乃木閣下が出征のおり、大本営で詠まれた漢詩ば、思い起こされもんどなあ」と伊地知はん、乃木さんファンであることを暴露、さらに
「確かあの漢詩の結びは、踏破ス支那師百州。閣下なら必ず成し遂げられもんそ」と、さらなる乃木ファンぶりを露呈です。それに対して乃木さんは、伊地知さんの肩を
ポンと叩くだけです。それでも乃木さんにすれば、精一杯の表現という感じがしますね。

乃木と伊地知、この二人は、後の日露戦争の時の第三軍の司令官と参謀長として、
旅順攻略の担当者になった。

と、司馬さんの怨念がささやくようです(笑)。

さて、このシーンは何を描いたのでしょう。
まあ、乃木と伊地知さんの紹介と、その性格をみせるということですかね。
伊地知さんは割とおしゃべりというか、感傷的になる癖がある、ということでしょうか。乃木さんフリークでもあるみたいですね(笑)。そして、乃木は
あくまで無口。感情表現があまりできないひと、というイメージでした。そういう風にみせることで、視聴者にいろいろ考えさせることができますから、
今後、無能役をやるうえで、そのあたりをうまく使おうと考えてるように思われます。アゲもサゲもない、という感じでしょうか。淡々と二人の
紹介にとどめた感じです。日本人の美徳的表現ということに関しては、実は、あの遺体に対する礼というものが、日本人の特徴的な部分でもあるようですね。
中国で大地震がおき、日本の救援隊が応援にいきましたが、同様のことをすると、向こうではめずらしがり、多くの現地のひとがその行為に対して、
非常に感謝した、という記事をみたことがあるので、まあ、欧米では普通だったりしますが、ちょっとだけ言及しておきましょう(笑)。

と、今回の記事はここまで。好古の軍神ぶりを中心にまとめた感じになりました。いやぁ、楽しかったー(笑)。
少しずつ、記事のまとめが進んでいる感じですね。
まあ、これがひととおりすめば、このドラマ、今回で、何が表現されていたか、日本人の美徳とは?などが見えてくるはずです。
それにしても、記事量が多いですねえ。へろへろになってきました(笑)。

ここまで、読んで頂いた方、ありがとうございます。けっこう長いんで、疲れるでしょう。
一番、読者が疲れるんですよね(笑)。

それでは、また、次の記事で、お疲れ様でした。


坂の上の雲 第四話「日清開戦」(3)

2009年12月25日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
しかし、海軍主事、山本権兵衛は東郷をそのままにしなかった。
わざわざ戦場から「浪速」を帰国させ、東郷を海軍省に呼び出した。

権兵衛と東郷とは、同じく戊辰戦争に参加した薩摩の復員兵仲間だが、
東郷の方が五つ年上で、一時同じ軍艦に乗ったこともある。

いやあ、毎回思いますが、渡辺謙さんのナレーションいいね。すっかり慣れて、その味わいを
素直に感じられるようになりました(笑)。

「すごか決断じゃったなー。東郷さんのおかげで、制海での初戦は日本の勝利じゃ」ととりあえずアゲる山本さんです。
「陸軍省からも、えらく感謝されもした。じゃっどん、心配性の伊藤さんが、大変じゃった」確かにあんだけ大声あげて
ましたからねー。
「一軍艦の艦長は、その責務において、国家を代表するものである」要は首相である自分と同じ判断力が必要だ、と言ってるんですね。
「今度の処置は、周到なる考慮をへた決断とは思われん」と、情報が足りないので、伊藤さんもちょっとここは判断間違ってます(笑)。
「ふふ」と、自信たっぷりの団長さんです(笑)。
「おはんの用意周到さは、おいが一番よう知っちょう。国際法の研究が趣味じゃっちゅーこつもな」とまず前提として、自分は理解者であることを語るわけです。
「じゃっどん、東郷さんを監督せんにゃならん立場じゃって、ひとこと言わせてもらう」さて、説明はここまで、本音がでてきます。
「こげなこつが繰り返されっと、戦争遂行に重大なる支障をきたしもす」とそれでも情報が足りてない山本さんは、情報をひきだすべくまず軽く挑発です(笑)。
メッケルはんみたい(笑)。
「他に方法はほんのこて、なかったとか」これが山本さんの「きも」のセリフですね。
「もし、高陞号撃沈に際し、おはんが英国国旗をおろすことを命じたなら、英国世論はこげん騒がんかったとじゃなかか」山本さんの気にしたのは、英国世論だったんですね。
「さらにおいなら、別の処置をとったかもしれん」とさらに挑発です、山本さん情報ひきだすのうまいです(笑)。
「撃沈せんで拿捕する。どけんじゃ?」と山本さんは、東郷さんを試しています。
「こいなら、外交上、いささかの問題もおこらんじゃろ」俺の解答すごいだろ?とこれも挑発です(笑)。
「あん場合、英国国旗をおろすこつは、清国兵の妨害に会い、できんかったでしょう」と自分の現場判断が適切であったことを主張する東郷さんです。
「また、あいだけの大型船を拿捕するこつは、無理でごわんす」と現実論で異論を一蹴です。さすが東郷さんですね(笑)。
「じゃっどん、東郷さあ、英国海軍の論調には、こげなものもあったど」と山本さん、思わず立ち上がり窓に向かって、話します。ちょっと直接はいいにくい内容なんですね。
「東郷は波間に浮き沈みする千人の清国兵を一兵だに救わなかった」確かな真実です。だから、直接はいいたくない山本さんです。
「無力化した敵兵を救助するのは、ネルソン以来英国の伝統である」東郷さんは静かな表情でその内容を聞いています。
「日本人には、戦時の人道についての知識がないのではないかち」とまで言われた東郷さん、思わず立ち上がり山本さんの背中に話し始めます。
「軍人は、みすみす敵を逃すことは、できもはん」それを聞いて同じ軍人の山本さんもこちらを向きます。
「おいは、決めたことには責任をもつ。必要ならば腹もきる。じゃっどん後悔はしもはん」さすがの明治のサムライです。いやぁ、やっぱり中身はサムライだったんですね。
「戊辰のいくさ以来、おいはそげんして刀を抜き、戦ってきもした」あっぱれ、その意気やよし、というところでしょうか。薩摩武士の美意識ですね。そうか、薩摩か。
「用意周到な上に、しぶとか」そうか、こいつも薩摩だ。薩摩武士の美意識が、明治海軍をつくっとったんか(笑)。
「一軍の将たる者そのしぶとさが必要でごわす」お互い美意識を共有しているわけですからね。お互い納得がいくというもんです。
「今度のいくさは、おはんの力をば頼りとしておいもす」十分納得ですね。

このシーンは何を表現していたのでしょうか。
例の事件の対処法に問題があったのでは?、とする山本に対して、現場を知っている東郷さんが、山本の挑発と設問に解答し、問題のなかったことを
理解させた、ということですね。そして、その自分のサムライ的心境を説明し、理解を得、将としての信頼をさらに得る、ということですかね。
このシーンでは、結局東郷が、薩摩武士的美意識をそなえており、その気概をもち、さらに将として能力の高さが示されているわけです。
アゲられたのは、東郷ですね。サゲはなし。山本の疑念を解消する形で、東郷という将を視聴者に説明する、というのが、脚本の意図でしょうね。
まあ、東郷ってのは、薩摩武士的美意識をもった本物のサムライなんだよー、その将としての能力もめちゃくちゃ高い、
すげーかっこいー奴なんだよー、というところでしょうか。ま、いわゆる視聴者に対して東郷さんの説明ですな。
日本人的美徳の説明という観点からは、東郷さんの薩摩武士的美意識が語られておりますね。あと、「用意周到な上にしぶとか」という言葉も。
ということは、明治人にあれだけ見られる美徳というのは、サムライ的美意識から現れていると考えていいんですね。
日本人の美徳の源泉は、薩摩武士的美意識にあったのか・・・というよりサムライにあったんですね、やっぱり。
「ことに及んで、死をおそれず」とか、東郷さんの「決めたことには責任をもつ。必要ならば、腹を切る」といった、物事に対する
シンプルな考えが、そのひとを美しく見せていたんですね。いやあ、いい勉強になる。今後の生活にぜひとりいれたいね(笑)。
腹切るのは痛そうだけど(笑)。
ちなみにこのシーンは原作には別の形で書かれていて、それを合わせてこのシーンをつくったと言えるでしょうね。

清国遼東半島

秋山好古が、第二軍の騎兵第二大隊長として遼東半島に上陸したのは、10月24日である。
好古の騎兵大隊は、旅順要塞の敵情を視察するために前進した。

いやぁ、リアルケンシロウ降臨ですなぁ(笑)。黒王号にのったケンシロウがNHKで見れるとは(笑)。
ってか、ほんのちょっと前に、リアル謙信公やってたんですからね、このひと(笑)。いやいやいや、
もう、阿部ちゃん、かっちょ良すぎて、同じ男性としても萌えますなあ(笑)。

しかも騎兵大隊がしっかり映像化されちょる(笑)。燃える、燃えすぎる(笑)。
ナニゲに金かかってるよねぇ(笑)。

旅順要塞は、東洋一もしくは唯一の近代要塞であることは、確かであった。
フランスの提督クールベ-は、旅順にやってきて
「この旅順を落としいれるには、五十余隻の堅固な戦艦と十万の陸軍を投入してもなお半年はかかるであろう」といった。

いやあ、旅順要塞も映像化されちょるよ。ま、ちょっとした砲台だけど、でもがんばってるよー。
こういうギミックがしっかり表現されていると燃えるんだよねぇー。

騎兵第一大隊宿営地

ところが、たいしたことはなさそうだ、と知ったのは、騎兵を率いている秋山好古であった。

なんだそうで。好古さん、部下に口頭で内容を伝えて文書を書かせております。

「第二軍大山指令官宛上申書」
「はい」
「当捜索隊の情報によれば、敵は旅順城を死守することは確実」
「は」
「旅順攻撃の最も有効な方法は、夜明けに乗じ、軍の主力をもって、旅順本道から水師営をへて
旅順市街にすばやく飛び込むことである」
なるほど、そういうわけですか(笑)。これ書いていく秘書役のほうが大変だね。

「入ります」と部下のひとりが入ってきます。
「大隊長殿、驚くべき情報が入りました。旅順要塞最高指揮官ロショウヨが、船でシーフーに
脱出したとのうわさがながれております」と何、もう落ちちゃってるってこと?。
「なんじゃと」と驚く好古さんです。
「日本軍が総攻撃をしかけんうちに、敵の最高司令官が逃げ出したというのか。信じられん」と好古さんの気持ちを代弁です(笑)。
「おい、確認してこい」と好古さん、あたりまえの対応です。
「は」と部下が駆け出します。
「おい、どういうことじゃ」とひそひそ声。
「わしにもわかりません」と軽く混乱する周囲なわけです。

なんてところへ、まあ酒好き好古さんのお約束なシーンが登場(笑)。
「酒はどこへおくんだね」と清国じいさん登場です。
「やっときたばーい」と皆酒好きなんだね。
「じいさん、ご苦労様」と言いたくなる気持ちもわかります。
「大隊長殿、活力の元は調達致しました」とうれしそうにこのひとは軍服きていない、通訳さんなんですね。
「きたかー」と好古さん、うれしそうです。
「よーじーさん、いつもすまんなー」と一発で機嫌の良くなった好古さん、清国じいさんにお駄賃をあげます。
「とっといて。しばらくこの家もつかわせてもらうぞな」っていうものの、けっこうやってることは横暴ですけど(笑)。
「また、たのむぞ」と通訳さんに言われて、ちょっと難しい表情のじいさんなんですね。
「わしは、軍人はきらいじゃ」と清国じいさんは素直に自分の感情を表現します。
「軍人は、皆、人殺しで強盗じゃ」と、確かにそのとおり。しかし、このじいさん役の俳優さんもうまいねえ。
「旅順でいばってる奴らもあんたもな」なるほど、清国兵も嫌いだったわけだ。
「早く、この村から出て行ってくれ」もらうだけもらうけど、でも、もう、どっかいってくれ、というわけですな。
「こんじいさん、軍人はすかんといっちょります」ちょっと言いずらそうな通訳さんです。
「よかー。そらそうじゃろのう。じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」と、素直に相手に同調する好古さんです。でかい器ですな。
「おーい、手伝わんか」なんて通訳さんが仕事をしているうちに、好古さん、近くにある酒がめを手にすると、
おもむろに飲みはじめちゃいます(笑)。おいおい(笑)。
「大隊長殿、なんばしちょっとですかあ」とそれを見た通訳さん、好古さんを止めます。
「あー、うまい。毒はないようじゃ」とのんきな大隊長です。
「大隊長殿、毒見はおいが仕事ですけん」と大隊長の体を心配する通訳さんです。
「そうじゃったのう。ついまーちきれんでのう」とのんきな酒好き好古さんなのでした(笑)。
「はははは」
「はははは」と、周りも笑ってますし、信頼されている将なんですね、好古さん。
「熊谷、じいさんにいうてやれ。もうすぐ、いくさが始まる。うまく逃げるんじゃと」と通訳さんの名前登場、熊谷さんですね。

「いくさが始まるうまくにげろよ」清国じいさん、それを聞いてびっくらこいて、立ち上がりました。それに対して好古さん、酒あんがと、のポーズで、
「稲垣、報告の続きじゃ」と報告を始めます。まず、かめの酒を飲んでから(笑)。

好古は第二軍の司令官の大山巌にあて意見書を送った。

さて、このシーンは何を表現しようとしたのでしょうか。
脚本意図は、酒大好きな好古さんと、それを暖かく見守る部下達といったところでしょうか。好古さんが、部下から慕われているという表現ですかね。あと、通訳熊谷さんと、
部下の稲垣くんの紹介。それと、日本兵が土地のひとに嫌われているといったあたりでしょうかね。それに、好古がしっかりとした戦略眼を持っているという
話しも入ってますね。これは、次のシーンにつながっています。ということで、好古さんの将としての高い能力と、器のでかさを描いているということですかね。
アゲてるのは、好古さんになるのかな。サゲは日本兵全体でしょうか。これは清国じいさんの言葉で表現されましたね。まあ、戦争の現実というものも
しっかり表現しておく、ということでしょう。このサゲは、最初の「浪速」のシーンでのわくわく感に歯止めをかける効果を与えています。
一方の戦争の現実、という表現でしょう。日本人的な美徳表現という面については、「相手の立場にたって、モノを考え、理解することが
できる」、という好古さんの「じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」というセリフに表されていますね。それと、うらみがましいことを清国じいさんに
言われても、怒りもせず、酒あんがと、の礼までおくる好古の態度にも表されています。いやぁ、勉強になるなあ。
ちなみに、このシーンは原作を膨らました感じですね。


大山は西郷隆盛のいとこであり、少年の頃からその影響を受けた。
いかにも薩摩型の指揮官で大将になるためにうまれてきたような大雅量をもっている。

いやあ、大山登場ですよぉ(笑)。しかも、米倉さん、大山の写真になんか、似てるんだよね(笑)。
ちょっと笑っちゃいました(笑)。なんか雰囲気もねぇ、いい味だしてます。素晴らしい(笑)。
そうかー、「翔ぶが如く」ではあんなに若々しかった大山さあも、こうなったということか(笑)。感慨深い(笑)。

第二軍司令部

第一師団長は、隻眼のため、独眼竜と言われた中将山地元治である。その傘下に二つの旅団があり、
旅団長のひとりは、少将乃木希典であった。

とこれまた、この本では悪役、というか無能に描かれる乃木さん登場です。
と、こういう役をやらせたら、天下一品の柄本明さんです。ちょっと影のある感じで一本義という感じなのでしょうか。

「皆読んでくれたか。さすが秋山、まっこてみごとな上申書じゃ」といかにも満足そうな大山さんです。というわけで、先程の好古さんがまとめた上申書ですね。
「敵兵の配置情報、状況分析、攻略法、共に明快じゃ。おいはこん上申書を元にして、作戦をたてもした」
と、周りを見回しながら話す大山さん、なんか愛くるしいんだよね(笑)。
「おはんらに聞いてもらいたか」と立ち上がり、説明をはじめます。
「旅順要塞防衛線の北、我が方の右翼に敵主力がかまえちょっとは明らかじゃ。我が軍の精鋭部隊をここにおきたく、ついては・・・」
と、突然立ち上がる乃木さんなのでした。
「んー?」と驚く大山さん。
「我が第一旅団を、右翼攻撃にお命じ頂きたい。我が旅団は金州攻撃の先鋒として、わずか1日金州城を陥落させております。
この勢いをもってすれば、旅順城は敵ではありません」
と一気に言い切ります。このひとは、思いつめるたちなのかな。
「乃木さぁー、おはんは7日の砲台攻撃でも師団長の裁可なし一気に攻略したち聞いちょりもす。うんにゃーその気概やよし」
とりあえず、ほめるわけですな(笑)。
「なにとぞ、我が旅団を右翼に」
性急すぎる感じの乃木さんです。
「うーん、まあ、おいのー作戦をちっとは、聞いてくれてもよかじゃろーうー」
とうまくまとめて座る、かわいい大山さあ、なのでした。笑いなんか漏れて、乃木さん、まわり見回したりしてるんですねぇ(笑)。
で、笑われながら、憮然と座る乃木さんなのでした。
どうも、性急すぎで、まわり見えてない乃木さん、という表現みたいですね。

このシーンについて考えてみましょう。
ここでは、大山さんの紹介と、乃木の紹介。乃木の性格の紹介、といったところでしょうか。まあ、ある意味悪役なんですけれど、
どう悪役なのかを、ここで紹介していると。性急で、まわりがみえない乃木さん、といったところでしょうか。
そして、大山さんのその大きな器ぶり。それを比較することで、さらにお互いを強調しあった、というところでしょうか。
アゲられたのは、大山さんで、サゲが乃木さんですね。日本人の美徳表現については、大山さんの「その意気やよし!」
という、相手のいい部分を積極的にほめる態度でしょうか。まあ、だんだん自分でも、無理にこじつけてるような気もしますがね(笑)。
このシーンは原作にはありませんが、乃木さんと大山さんの紹介ということで、補足的につくられたシーンというとこでしょうか。

と今回はここまで、なにしろ、一回の投稿の量が決まっているので、
それ以上になると、システムに拒否されちゃうんですよ(笑)。

ま、文章はできているので、別の回にわけて、投稿します。

では、つぎの投稿で(笑)。


坂の上の雲 第四話 「日清開戦」(2)

2009年12月25日 | ゆるちょ!のドラマ・レビュー!
首相 伊藤博文

と、伊藤さんのおうちに、陸奥さんが報告に来ております。
「イギリスの船を沈めた?」
平和主義者の伊藤さん、そりゃ、そんなこと聞かされたらお冠状態に
なるのは、あたりまえ。普通に考えれば、イギリスの船沈めりゃ、
大英帝国を敵に回しちゃうのと同じですからね。
そりゃ、前回あんだけ悩んで清国との戦争を決断したんですから、
「能なし」の一艦長に「みそ」つけられたと思っても
当然でしょう。
「詳しい事は今、捜索中です」
ま、第一報というやつです。何事も第一報で判断してはいけない、という
好例ですな。自分も慎もう(笑)。そして、伊藤さんここめちゃくちゃ大声で、
「なんちゅーことをしてくれたんじゃ!」
伊藤さん、大激昂です。
いやいや、だから、第一報ですから、それだけで、判断しちゃだめですって(笑)。
「艦長のなんちゅーた」
かなり感情的になってます。もちろん、日本を背負っている身ですからね、あたりまえです。
「東郷平八郎でごわす」
と、これは山本権兵衛。石坂浩二さん、登場です。
「直ちに罷免じゃ」
と、それを聞いて色をなす、山本さんです。
「待ってください。イギリス商船は、清国の陸兵を移送中でごわした」
ある程度情報を持っているんですね。だから、判断が違ってくる。
常に情報を得ること。これが、判断を狂わさない基本ですね。
「イギリスを敵にまわして、このいくさに勝ち目などあるか!」
と、こちらは首相です。日本の全てに責任をもっていますから、伊藤さんは、ちょっと過敏な反応になってます。
「東郷はイギリス商船学校の出、国際法にも精通しちょります。決して軽率な行動をとるような
男ではありもはん」
と、こちらは人物自体をよく知ってますから、その情報から、事態を別の立場で見られます。
「閣下。ここは様子を見ましょう。調べもつかんうちに東郷の首を切ったりすれば、却ってイギリスから
未熟な国と思われます」
とカミソリさん、さすがの判断です。過敏な伊藤の頭を冷やし、冷静な目で事実を直視し、事に対処する
リアリストとしての立場に目覚めています。「3人よれば、文殊の知恵」のいい例ですかね(笑)。
しかも、彼らの念頭にあったのは、「未熟な国」と思われたくない、ということなんですね。
これは、第一話のあの西田さんの言葉につながります。「紳士の国でない」日本が、
「紳士たらん」という希望をもっていた。だから、憲法も議会ももった「紳士になったつもり」の日本が、
さあ、どうふるまうのか、といったところでしょうか。この「「未熟な国」と思われる」というセリフは、
そこから、つながってきていて、この作品のひとつの主題になっていますね。

そして、首相たる伊藤の懊悩。やはり、首相はその重みが違います。なんかひげ黒々としていると、
将門公を彷彿とさせるんだけどね(笑)。

と、このシーンで表現しようとしたのは、事に対しての当時の日本の首脳の当然の反応ということでしょうね。
ちょっと驚いたけど、事態を静観し、冷静に判断しようとする日本の首脳たち、という作劇ですかね。
脚本意図としては、日本もちょっとびびった、というあたりでしょうか。
そして、「未熟な国」として、見られたくないという自尊心。首脳達の頭にそれがあったという、主題に
関連するシーンだったんですね。

特にアゲられた人物もいなけりゃ、サゲられた人物もいないですし。素直に「当初混乱した」ということだけ、
揚げておけばよいですか(笑)。
日本人の美徳を表現するという観点からは、やはり、優等生的に他国に配慮していた、ということを
あげるべきでしょう。それはやはり、世界に早く認められたいという意識の現れですね。
そして、国を滅ぼされる現実を目の当たりにしてきた、伊藤という存在が、
この日本の危機意識そのものを体現するものであったことを示しているということでしょう。
危機意識があったからこそ、その行動にでる。それが、ある意味、
この「明治」という時代と時代人をつくりあげていたのでしょう。


北京市街

このとき、北京の代理公使として、日清戦争前夜からの外交処理をしたのが、小村寿太郎である。
小男でめまぐるしく動きまわるところから、ねずみ公使というあだ名を列強外交団からつけられていた人物である。

当時の北京市街が生き生きと表現されてますねぇ。なんというか、その混乱ぶりというか。
また、この小村寿太郎をかつての秀吉さんがその怪しさ加減を思い切り演じていますね(笑)。たしかに、ねずみ公使
っぽいものね(笑)。

「久保。一服くれ」
「今きらしております」
「じゃ、買いに行こう」
「止めろ」
これ、「停車!」って言ってる?。まあ、漢字は漢の文字だろうけどさ。
「止めろ」
ってなわけで、小説では、北京の汚さを余談で説明していますが、ここはそういうシーンで説明ですね。
「うーわ、こりゃ、汚ねぇーなぁ。あーどっちじゃ。くさいくさいくさい」
と、まあ、地上はぐちゃぐちゃな感じです。にわとりは歩き回っているし、すごそうです。
「この国の汚さには、いつも閉口する。人も豚も犬も皆路上で大小便をし、臭気プンプンじゃあ」
とこの小村さんでも閉口なんですからね。そりゃ、すごいんでしょうねぇ(笑)。

「これをくれ」
とこの久保さんはなんと「車窓」のひとじゃないですか。正露丸のCMも一時やってたよね。
「いつもすまんの。事業に失敗した親のせいで、借金地獄。たばこも買えん。世界広しと言えども俺より
貧乏な外交人はおらんじゃろ。ははははは」とまあ、いけしゃあしゃあな感じ。食えない男ですな。
「招待状もないのに、行ってだいじょうぶでしょうか」と、普通はそういうこと考えるんですが。
「心配すんなー。ここらで清国に一発かましてやらんとなー。ハハハハ」と、このひとは別な目的があるようです。
やっぱり外交官はそれくらいでないと、ただの役人根性じゃ、だめです(笑)。そうか、その比較で、「車窓」さんが、
いるのか(笑)。

このとき北京では、二十四歳になった光緒帝の誕生祝いが盛大に行われていた。

いやぁ、京劇というか、ものっそ、本格的。いやぁ、やはり同じ亜細亜人だからなのか、三国志演義とか、
西遊記とか、中国文化に若いときから触れてるから、なんとなく見てると惹かれるものがありますね。
そういう意味では、日本という国自体も、そういう存在だったりするわけですけど。

もう池に船浮かべてお遊びなんて、最高じゃないすか。そういう感覚も中国的ですかねぇ(笑)。
いやいや、しかし、このシーンもお金かかってるねえ。贅沢です(笑)。

と、そこへねずみ大使一行がその小さな背を見せながら到着です。エキストラは全員でかい奴(笑)、
使ったんだろうねえ(笑)。ちょっと笑っちゃいますが(笑)。
「失礼!」
と靴元はさっきの汚いまま。もうここらへんの押し出し感いいですね。
「ハハハ、excellent!」
と、官僚久保さんはそれについていけないんですね。
「久保、こっちこい」
と呼ばれてくる久保さんですが、もう、一気にうろたえモード。
「もう、もどりましょう」
と小村さんにいいますが、なにしろ秀吉ですからね(笑)。そんなのへともおもっていない(笑)。
「飲もう!飲もう!」
と、もうやりたい放題です。
「小村さん」
とさらにうろたえる官僚久保さんです。
「あんまり、あの」
なんて言われても、意に関せずの秀吉さん。
「ほら、さ飲め」
とワインを手に全景をみながら、
「すーごいのー」
と素直に感想を述べています。とその秀吉公をイギリス人達が見つけるわけですね。
「誰だ、あの男は」
「あれが噂のネズミ公使だ。アッハハハ」ラッツミニスターとか言ってたな(笑)。もうとにかく大笑いだったりするわけです。
「しかし、よくぬけぬけと来られたものだな」まあ、ものごとのわからない黄色い猿とか、思っているんでしょうね(笑)。
ってなわけで、イギリスの現在の日本への悪感情が、表現されるわけです。
イギリス人は皆、冷たい目で、この秀吉公を見つめるんですね。

「なんだ、この刺すような視線は」とさすがの小村さんもそれに気づくわけです。冷静に。
「イギリスの連中です」官僚車窓さんは、ちゃんと指摘。
「おかんむりだな」もちろん外交官ですから、そこらへんは、しっかり認識。

と、ドラが鳴らされ
「李閣下のおめみえ」と大声でアナウンス。いいですね、このシーン。いかにも清国な感じで、ちょっと大仰な感じで。
で、ドラが「ぼわああああん」と鳴って、京劇の役者達もあいさつする中、李鴻章登場!。
いやあ、これがいかにもな李鴻章(笑)。うれしくなりますねぇ(笑)。それっぽさ満載。
ちゃあんと中国の俳優さん使ってるんだねぇ・・・いやあ、この贅沢感たまりません。もう存分に楽しんでいます(笑)。
「李鴻章です」と車窓さん。って、清国駐在の外交官なんだから、すでに知ってるだろ!って突っ込みはまあ、いいですか(笑)。

清国直隷総督 李鴻章

当時北京の代表的政治家は、李鴻章であった。
北京にいる列強外交団などは彼を東洋のビスマルクと褒めたし、
日本の外務省などでは、偉人ころがしの名人とも言った。

「今夜はお招き頂き光栄です」
「ようこそいらっしゃいました」

と、李鴻章はどっかの外国人と儀礼的おしゃべり。外国人は英語で、李さんは支那語なんですね。

清国朝鮮通商人臣 袁世凱

と袁世凱さんも登場です。いやいやいや、いいですなあ、このドラマは。中国の政治家もどんどん映像化です(笑)。
もうよだれがたれそうです、うれしくて(笑)。

「李閣下、日本の代理公使が来ています」と謀将袁さんです。
「よくもまあ、これたものだ。高陞号を撃沈しておきながら」そりゃそう考えるでしょうねえ、普通(笑)。
「これでイギリスは、必ずわが国のために動く」と当然考える李さんなわけですけど、ちょっと甘かった。
気分がよくなって、イギリス外交団に手まであげちゃうからね(笑)。
「さあ、凱旋将軍のようにイギリス外交団と乾杯しよう。高陞号に乗っていた一千の兵の冥福を祈り、
わが国の勝利のために」しかし、この役者さんもうまいね。いかにも、食えない政治家をしっかり表現している。そう伝わるからね。
役者の力量ってのは、すぐわかっちゃうから、ほんと役者さんも大変だろうねえ、とか言いながらまたまたうれしい悲鳴です(笑)。
なんつって、気分のいい李さんの前にでてきたのは、もちろん、このひとです。
「閣下お待ちください!」
って、誰?ってちゃんと李さん、その声に振り向いてるんですね(笑)。
「失礼、失礼」
と怪しく現れるのはもちろんこのお方達(笑)。
「皇帝陛下のお誕生日をお祝い申し上げます」しっかりとした、キングスイングリッシュ?だったかな(笑)。外交官はキングスイングリッシュを学んだ、
みたいなことをどこかで聞いたんですがね。まあ、堂々とした、あいさつの小村さんです。
「これはこれは。絶交書を頂いた国の代理公使殿に祝辞を頂くとは」このときの李さんの表情がよくてねぇ(笑)。もう、笑ってしまう。プロだプロ(笑)。
いかにも不審気な表情で、苦虫つぶした感じで、でも政治家だから、そこは言葉を無理にでもだす、と。いやあ、そういう感じがしっかり伝わるから、
ものっそ、おもしろいすよ。このシーン(笑)。というか、最後は「不可解」っていう文字がその顔に浮かんでるよね、確かに。
表情というのは、言葉を超えた言葉です。人類共通だわ。これは、あとで、のぼさんのシーンにつながってくるんですねぇ(笑)。いやはや、
よくできてるこのドラマは(笑)。
そして、李さん、一歩、小村さんに近づいて、話します。もちろん、上から俯瞰でとってるから、小村さんの背の低さが強調されております(笑)。ちゃんとね。
「この期にお聞きしたい事があります」
ちょっとやりこめてやろうという李さんなんですね。
「なんなりと」
「どっからでもかかってこい」、と小村さん果し合いを申込まれたサムライな感じです。
「見渡したところ、閣下の背丈が一番小さいですが、貴国の人々は閣下のように小さいのですか?」と、いわゆる万座の中での侮辱ですな。ま、李さんも怒ってますからね。
「残念ながら日本人は小そうございます。ただ、中には大きい者もおります。閣下のごとき大きい者は、
「ウドの大木」と申し、そういう者に国家の大事を任せられません」と、そこは秀吉公、ギュインギュイン頭がまわりますからね。イギリス人も意識しながら、
軽くいなして、ちょんです。天下の李鴻章も、秀吉公の前じゃ、「うどの大木」扱いですからねえ(笑)。
しかし、この言葉を聞いている李さんも、これがいいんだ(笑)。不満そうな無表情をしっかり演じてますからねぇ(笑)。
この顔、この表情、いやぁ、すげえ、おもしれー、腹かかえて笑う(笑)。してやられちゃった、李さんですからねぇ(笑)。

で、ちょっと不満そうに黙るんですが、表情を変えて、しゃれたジョークでも聞いた感じで、笑うわけです。攻撃したけど、まんまとうまく返されたということですね。
「ははははは」相手の器量に気づいて、「なかなかやるな、こいつ」、と彼を認めた瞬間ですね。
「はははは」とそれを気づかせたことに大満足の小村さんというわけです。いやあ、よくできてますな。そこらへんが、過不足なくしっかり描かれております。
「ネズミ閣下は、面白いことをおっしゃるのう」と相手をほめてやったわけですが、
「それともうひとつ。わが国では自国の兵は、自国の船で運びます。あなたの国のように、
大国の旗の下から、銃を撃つような卑怯なマネは、決していたしません」さらに倍返し(笑)。いやぁーおもしれー、快哉快哉。秀吉公さすがにただものでない(笑)。
で、痛いところ、突かれすぎて、今度は、李さん表情を戻せません。不快そのもので、黙ってしまいます。
んで、仕方ないんで、
「確かにネズミ閣下は面白いことをおっしゃる」と袁さんが事態の収拾を図るということですね。大政治家李さんを怒らせる失態まで、引き出すんですから、
どんだけ強いんだ、小村さん。
「わざわざ丁寧に」完敗の李さんでした。いやあ、しかし、演技力合戦になってるねぇ(笑)。いやあ、堪能しました。

英国汽船撃沈事件を巡っては、当初、英国の各紙はこれを批判し、英国外相は日本の責任を追求した。
だが結局、事態が明らかになるとともに、「浪速」の処置が合法であることがわかって、
英国側の態度も冷静になった。

さて、この小村さん久保さんの一連のシーンは何を表現したかったのでしょうか。
小村さんの紹介、清国の実情、清国首脳の紹介、やりこめられる李さんとやりこんだ小村さん、そして、当初不快がっていた英国と、その後、冷静になった英国、
といったところでしょうか。アゲたのは、小村さんで、サゲたのは、李さんですね。つまりは、清国首脳の観測は甘かった。清国首脳より日本外交官の方が
まさっていた、ということを主張した、ということでしょうか。あと、英国態度の変化ですね。つまるところは、清国首脳の甘さ、というところに
つきるでしょうか。小村さんと清国首脳を対比させることにより、その能力の差を見せつけた、というわけですね。
脚本意図としては、日本人小村さんの活躍を描く、といったところでしょうか。そうやって、日本人の気持ちをよくしておきながら、清国首脳の甘さも
描いているということですね。ま、普通に日本人だったら、気持ちいいシーンですわな。そして、ここは原作にもあるシーンですね。
日本人の美徳を描く、という面では、どうでしょうか。それは小村さんで表現されているわけですが、服装に頓着しない、大舞台でも萎縮することなく、
当意即妙で、自信をもって相手をやりこめる、ということでしょうか。小国日本の外交官(しかも代理公使)でねずみ大使と言われながら、
臆することなく、堂々と丁々発止。どこか、日本のサムライの果たしあいを感じさせました。やはり、気分においては、この時代の彼らは
サムライだったと言うことができるでしょうね(笑)。

と、今回はここまで、いやいや、書いていると楽しいんですが、なにしろ量が膨大になっちゃうんでねぇ。

少しずつ、書いていきたいと思います。

ここまで、読んでくださった方、ありがとうございます。

続きはまたの投稿で。