趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『トッカン―特別国税徴収官―』 高殿 円

2010年10月13日 | 
「週刊ブックレビュー」で紹介していた本です。
高殿円さんは知らなかったのですが、
ライトノベルや漫画原作を多く書かれているのですね。



装丁も本書もライトな感じで、劇画を読むようにどんどん読めます。

題名の‘トッカン’とは、特別国税徴収官、つまり
税金滞納者から問答無用で取り立てを行なう‘徴収官’の中でも、
特に悪質な事案を担当する人のことです。

‘国税’とか‘税務署’という言葉を聞くと
映画「マルサの女」を思い出してしまいますが、
脱税を取り締まる、国税庁査察部の査察官とは違うのです。

主人公は、新米徴収官ぐー子。
言いたい言葉を飲み込んでしまい、‘ぐぐぐ’と詰まってしまう事からついたあだ名です。
鬼上司・鏡特官のもと、ぐー子は山積する難問奇問に立ち向かうのです。

勝手な理屈を並べては税金を延々と滞納する人びとから
何がなんでも税を徴収しようと、あの手この手で奮闘する様子は
臨場感たっぷり描かれていて興味深いです。

交渉相手は、コーヒーチェーン店の店主、自転車屋のオヤジ、
町工場の経営者、高級クラブのママなどなどと
海千山千の輩ばかり・・・おとなしく納税する者など皆無です。

税金を払いたくても払えない者、払えるのに払わない者・・・。
人間の生活と欲望に直結した、“税金”について
分かりやすく考えることのできる本だと思いました。

読みやすいので、若い人にオススメです!!