趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「夜を着る」井上荒野

2009年02月10日 | 
本当は、津村記久子さんの
「カソウスキの行方」という本について書くつもりでした。
なかなか面白かったのですが
タイミングが悪すぎました。
井上ワールド全開の今、若い女性の本は
きっとどれも受け入れ不能なのでは、と
思います。

で、「夜を着る」ですが、
これはそれぞれの8篇の短編から成ります。
それぞれ独立した短編なのでつながりはありません。
井上さんご自身のあとがきによれば
共通するのは‘旅’だそうです。

この短編集は、これまでの物と
ちょっと違うような気がするのです。
夫婦、恋人、不倫といった関係性は変わらないのですが
もう少し刹那的な何かが加わったような。

旅には、二度とめぐり会う事のない
通り過ぎていく感じがあります。
この、過ぎ行くものを見せてくれているように思いました。

「切羽へ」一つ前の出版本になるのかな。
たどるべくしてたどり着いた、切羽。
読むほどに感慨深い井上荒野さんです。。