3/5 (金) 曇り
明るくなる少し前に目を覚ます。冷たい空気の中で寝袋の中に納まって転がっている時間が好きだ。寝袋から出ずにゴロゴロして赤岳に登らず下山してもいいかなと一瞬思う。
でも登れる山が目の前にあるのに登らないのはもったいない。靴ひもをしっかり締めずに歩いてできてしまった靴擦れが少し痛いが行動可能だろう。行くぞ!と決めて起き上がる。
テントの入り口を開けて見上げた空は薄曇りで風はない。素早く準備を整え、行者小屋へ向かった。一山越えて行者小屋に着くと幕営している人はいなかった、もう出かけたのだろう。
行者小屋から地蔵尾根を目指す。雪は思ったより多めだがトレースがあるのでサクサクと登っていく。樹林帯を抜けると気の抜けない雪の斜面が続く。時折振り返って高さを感じる。落ちたらずっと下まで転がっていくことだろう。
地蔵の頭の手前のやせ尾根の雪は少なめで安心して渡ることができた。赤岳鉱泉を出て2時間半、地蔵の頭に到着した。ここからは稜線を行く。山は稜線歩きが楽しい、少しずつ近づいてくる頂、見渡す遠くの山々、頰に当たる風。
赤岳頂上に着くまで誰にも会わなかった。こんなに静かな山行は八ヶ岳では初めてだ。頂上からは南アルプスや富士山が見えるのだけれど、やっぱり富士山が見えると気分が上がる。
下りは立場川源頭部を経て文三郎尾根へ、しかし誰にも会わない。まだ9時過ぎだからかも。雪が少なくなった岩場を下っていく、アイスバーンとなっていた箇所もあった。
文三郎尾根の分岐を過ぎてようやく人とすれ違った。今日は暖かくみんな薄着だ。上は凍っているから気をつけね。
赤岳鉱泉に戻ったのは11時過ぎだったが、だらだらとテントをしまって赤岳鉱泉を出たのは12時半近かった。いつも思うのだけれど基本中の基本である靴ひもの緩みを疎かにしてはいけない。靴ひもの緩みは靴擦れにつながり、指の爪が鬱血したり足の裏に水泡ができたりするからだ。そんなことにより、足の指が痛いのでゆっくりと下っていたら知り合いのガイドの方が後ろから追いついた。
少し話していたら赤岳山荘から美濃戸口まで車で送ってくれるとのことだったのでつい甘い言葉に乗ってしまった。そして赤岳山荘まで1時間と結構なペースで彼らのグループについて歩いてしまった。車の中で林道の危険性について話を聞く、美濃戸口から上はチェーンは必須だ。
美濃戸口で降ろしてもらい、意気揚々とレストランJ&Nへ向かう。山から降りて美味しいものを食べたくなる僕にとってオアシスのような店なのだ。
ポークリエットをつまみにビールで乾杯、外でぶらぶらしているお店のシベリアンハスキーに美味しいよと念を送る。
冬の定番ビーフシチュー、ホクホクの野菜、ホロホロの肉、ソースの旨味が身体に染み入る。
締めはモンブランとカプチーノ、モンブラン美味し!
その後タクシーで茅野駅へ。駅で長野のお土産を物色、野沢菜漬けは外せない、定番の塩ようかんとくるみ餅はこの前物産展で買ったので、今日はわかさぎの筏焼を選択、筏焼と名前がついているが甘露煮だ。
今季初めての雪山は天候にも恵まれ充実した山行になった。コロナ禍、十分気をつけて山を楽しもう。
後記:今日は天気が良ければ蝶ヶ岳から常念岳を歩いている予定であった。次の山行の機会は5月、準備を怠らず機会を待つことにしよう。
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