風になれたら

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中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 2日目

2020-01-06 | 徒歩の旅

7/1 (月) 霧

朝起きると周りは霧に包まれていた。出発の準備をしているとテン泊していた一人の女性が近づいて来てどちらまで行かれますかと尋ねた。今日は忠別岳避難小屋であることを伝えると、同じ予定で今夜の宿泊が一人にならなくてなくてよかった、とのこと。
一人きりの野営はとても心細い。僕の場合、誰もいない場所での野営の緊張感が好きなのだけれど、全ての人がそうではないのだ。もちろんウェルカムなので、お先に行っていますと言って白雲岳避難小屋を後にした。

霧のため良くても視界は数百メートル、晴れていれば素晴らしい景色だろう。それはまた来たときのお楽しみだなと思い、足下の花を見つけながら歩いて行く。

蝦夷御山の豌豆 (エゾオヤマノエンドウ)

岩梅 (イワウメ)

猩々袴 (ショウジョウバカマ)

蝦夷鹿の足跡。羆 (ヒグマ) のいる気配はない。

細葉得撫草 (ホソバウルップソウ)

ホソバウルップソウは今回楽しみにしていた花である。丈の短いホソバウルップソウも咲いている。

綿菅 (ワタスゲ)

黄花塩竈 (キバナシオガマ)、日本ではこのあたりでしか見られないらしい。

稚児車 (チングルマ)

風雪に晒された道標は高原温泉を指していた。高原温泉は沼巡りのために訪れたことがある。その時の日記はこちら

ただ霧の中を進んで行く。本当にただ進んで行く。

進行方向左側は急峻な崖になっているが下の様子は見えない。この下には綺麗な沼がいくつもあるのだ。

蝦夷の白山一華 (エゾノハクサンイチゲ)

駒草 (コマクサ)、コマクサは他の植物が生えていない砂礫地に生えている。砂礫の開拓者だなぁ。

黄花石楠花 (キバナシャクナゲ)、ホッとするの好きな花。

忠別岳山頂に着いたが何も見えず。向こう側は崖のはず。

忠別岳を下っていると茶色の塊が足元から前に跳ねた。かわいい蝦夷兎 (エゾウサギ) の子供だった。雨に濡れて寒そうだった、独り立ちしたばかりだろうか。

下りきって振り返れば霧が少し取れて忠別岳が現れた。

忠別岳避難小屋は稜線の分岐点から下った場所にあり、小屋まではハイマツとササの中のえぐれた道を行くので胸から下が再び濡れてしまった。小屋前の雪渓はかなり融けていてクレバスが多くジグザグに歩いて三角屋根の小屋に到着した。

小屋の前のトイレの前にテントを張るスペースはほとんどなかった。そこがテン場だと思ったので、今日は小屋に泊まるか、と小屋の扉を開けると若いメンバーのパーティーがトランプに興じていた。泊まる予定であることを告げると場所を空けてくれようとした。2階が空いているか聞いたところ空いているとのことだったので入り口横の梯子を使って2階に上がった。レインウェアを脱いでどこに寝ようかと考えていたのだけれど、小屋の中は暗い運動部の部室のようだったのでうーむと思った。解放的な場所で寝たいので、テント場はどこか彼らに聞くと下の方にあるとのことなのでそちらに移ることにした。

そこは雪渓前の小ぢんまりとしてとても静かな場所だった。これだよ、これ。とっても良い感じ。

テントを張る前に雪渓で冷やしておいたビールをいただく。フッフッフ、とはこのことだ。

それにしても今日はとても静かな山行だった。白雲岳の避難小屋を出てここに着くまで誰にも会わなかった。動くものは小鳥、シマリス、エゾウサギだけ。

それからしばらくして白雲岳で朝話した女性が到着した。やはりトイレ前のスペースをテン場だと思い、小屋の中の宿泊者にこの場所を聞いたとのことだった。

それから今回の山行を含めてひとしきり山の話で盛り上がり、やっぱり大雪はいいねと意見は一致した。

コメント
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