ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

大物の証

2024-06-19 08:09:00 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「なめんなよ」6月12日
 『「検察なめんな発言、不穏当」』という見出しの記事が掲載されました。『無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長が、違法な捜査で苦痛を受けたとして国に賠償を求めた訴訟の証人尋問が11日、大阪地裁であり、捜査を担当した検事2人が証人出廷した。関係者の取り調べで「検察なめんなよ」と発言していた男性検事は「不穏当だった」と述べた』ことを報じる記事です。
 この記事を読んで、思い出したことがあります。某区の指導室長が、校長との面談で「教育委員会なめてんの?」と言ったという話です。とはいえ、このときの室長の発言が問題になったということではありません。むしろ逆なのです。教委からの通達に従わず、ああでもないこうでもないと言い訳を言い続ける校長に対して、「~なめてんの?」と厳しく言い放った室長に対し、「よくぞ言った」と評価する者が多かったということなのです。
 検事はダメで、指導室長ならよい、この違いはどこにあるのでしょうか。私見ですが、もっている権限の強さに関係があるように思います。検事は被疑者に対して圧倒的に強い立場にあります。その強者が、威圧的な言動をしたということで、批判が起きたのでしょう。一方、教育行政では、いわゆる「命令・指示」はあまり行われません。教委から校長に対するのは、依頼、助言、お知らせ、伝達というようなニュアンスで行われるケースがほとんどです。
 しかも東京都の場合、一般的に指導室長は40代後半から50代前半であるのに対し、校長はほぼ50代です。指導室長を終えてから校長になることも多く、大学の同窓会等の関係で校長が先輩にあたるという場合も少なくありません。もちろん、人事権や業績評価権等をもつ指導室長の前では、表立って「反抗」する校長はほとんどいませんが、開き直ったような態度を見せる者もいないわけではないのです。特に、校長会の会長や副会長といった幹部の場合、そうした例は珍しくありません。
 つまり、教委、特に指導行政を担う指導室・課は、日頃校長に対し非常に丁寧に接しているのです。言い方を変えれば、被疑者対検事のような弱者と強者の関係ではなく、その逆に近い関係とも言えるのです。いつも下手に出ている教委がきちんと言うべきことを言った、ということで「なめてるの」発言は肯定的に評価されたのです。
 今、教委と校長の関係はだいぶ変わっていますが、まだ教委に逆らうことを大物校長の証と考えるような時代錯誤をしている者が皆無ではありません。

 

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