ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

恐喝には

2014-09-01 07:35:19 | Weblog

「指示か。自主的判断か」8月27日
 『頭髪の指導巡り小学校恐喝容疑 福岡・両親ら逮捕』という見出しの記事が掲載されました。『頭髪を染めた女子児童への指導内容に因縁をつけて小学校校長から現金を脅し取った』という事件で女児の両親と知人が逮捕されたことを報じる記事です。以前にも類似の事件があり、私はこのブログで、学校や教委は毅然とした態度をとる必要があることを説いてきました。
 そうした意味で、私は、『校長が同署に被害届を出していた』ことを支持したいと思います。ただ、気になる点もあります。記事では詳細が不明なのですが、恐喝が行われたのが7月7日であり、逮捕されたのが8月26日と50日間も経っていることです。また、『治療費名目で校長から現金1万3500円を脅し取った』ということについても合点がいきません。
 校長はいつ被害届を出したのでしょうか。複雑な事件ではありませんから、捜査は短期間で終わるはずです。そこから、校長が被害届を出すことを躊躇い、事件後しばらくたってから被害届を出したのではないかと疑ってしまうのです。もしそうだとすれば、校長の不見識を責めなければなりません。あるいは、教委に報告相談して指導を受けてから被害届を提出したことも考えられます。そうであれば、校長失格です。教委も、普段から危機対応についての指導を怠っていたことになります。そもそも、「恐喝」と感じたときに警察に通報すべきなのですから。
 そのことに関わって、校長はなぜ少額とはいえお金を渡してしまったのか、という疑問が生じるのです。両親らの圧力に屈し、威圧的態度の恐怖を感じて、ということであれば情けない思いがします。また、恐喝の証拠を残すために現金を渡したのであれば、なかなかの戦略家ですが、そうした知恵の働かせ方は教育の場にはふさわしくありません。恐喝をはねつけていれば両親らは恐喝未遂で済んだものを、現金を渡したことによって恐喝既遂となってしまった、つまり教え子の保護者をより重罪に落とし込んだことになってしまったのですから、教育者として望ましい方法ではないのです。
 ではどうすればよかったか。事前の対応としては、校長はこの両親がトラブルメーカーであることを察することが出来たはずですから、事前に教委に連絡して指導主事の派遣を求め、校長、副校長、指導主事で対応する体制をとると共に、両親と話し合うという原則を示し、知人の同席を拒否することが必要だったのです。
 そうすれば、両親からの「圧力」を減らすことが出来、心情的に言っても金銭要求を撥ねつけることが容易になったはずです。さらに、指導主事に教委との連絡を兼ねて一時退席させ警察に通報することもできます。もちろん、警察への通報は両親に告げたうえで行わなければなりませんが。証人が多いことから立件も容易になります。
 どこの教委でもすでに実施しているでしょうが、こうした事例を基に管理職対象の危機対応研修をさらに充実させていくことが必要です。

 

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