ヒマローグ

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2024-06-23 07:35:31 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「退職後」6月15日
 書評欄に、『「定年自衛官再就職物語」松田小牧著(ワニブックス)』についての書評が掲載されました。同書は、『長く勤めても大抵は50代半ばで退官となる自衛官。再就職必須の彼らはどんな第二の人生を送っているのか?元統合幕僚長から現場クラスまで多数の元自衛官に取材した一冊』とのことです。
 『警備員や運転手が多いのはイメージ通り。意外なのが、元幹部で目立つ損害保険会社(略)自治体の防災管理責任者、不動産業』など具体例が挙げられており、それはそれで興味深いですが、私が考えたのは別のことでした。
 「定年教員再就職物語」という本は書けるだろうか、ということです。私自身多くの教員が退職していくのを見送ってきました。その90%は、退職後に嘱託として勤務していました。校長や副校長の場合は、教委勤務、一般教員の場合は各校に配属となり、校務や授業を担うという違いはありましたが、ほとんどが嘱託の道を選ぶのです。
 残りはと言うと、大学の教員養成系の学部の講師や准教授に就く者がいます。この場合、ほとんどが校長で、しかも指導主事・指導室長などの教育行政経験者が多いのが特徴です。私の部下や後輩の指導主事経験のある元校長の場合、8人中4人が准教授を経て教授になっています。
 さて、それだけなのです。私が知る退職者で、嘱託と教員養成系大学の教官以外に進んだ者は皆無なのです。従来は嘱託を終えるのは65歳、もう十分に働いたという感覚でした。しかし、政府が高齢者の定義を70歳以上に変更しようとしている現在、嘱託後の再再就職を視野に入れなければならない時代になっていると言えそうです。でも、教育を離れた新しい分野で活躍している退職者の話はほとんど耳に入ってきません。子供と過ごす教員という職は、70歳でも対応可能かと言うと、少し疑問が生じます。高齢者だらけの学校、正直なところ違和感があります。でも、教育分野以外ではつぶしが利きませんし。
 そうそう、つれあいのかつての同僚で一人だけ、小さな料理店を開いている元家庭科の教員がいましたが、これは特殊な事例という気がします。元教員が70歳、75歳まで働く時代を想定したとき、再就職、再々就職について、教育行政は何か試案があるのでしょうか。気になるところではあります。

 

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