
7月のトルコの大地にはひまわり畑がどこまでも広がります。
トルコの首都アンカラから100キロあまり、中央アナトリアのクルシェヒル県にあるカマン郡に日本の中近東文化センターが1985年以来発掘作業を続けているカマン・カレホユック遺跡があります。1998年には付属機関としてこの地に「アナトリア考古学研究所」が設立されました。所長の大村幸弘氏のご著書「鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発掘」(NHKブックス)には、永年にわたるトルコでの発掘の様子が生き生きと描かれており、考古学素人、歴史音痴の私をもわくわくとヒッタイトの世界へと導いてくれます。以前日本の日土協会の総会で大村氏の講演を聴く機会があり、その素朴で誠実な人柄と、壮大なヒッタイトへの想いに感動したものです。

中近東文化センターの現総裁である三笠宮寛仁親王殿下はよき理解者でいらっしゃり、何度もトルコへツアーを率いていらっしゃったり、スポンサー獲得にもご尽力なさっていました。このカマンの地に日本政府の一般文化無償資金協力約4億3600万円を投じて「考古学博物館」が建設され、7月10日に開会式が行われました。JIKAD(日本イズミル文化交流協会)もツアーを催行しようという案があったのですが、色々な理由で断念。


私が以前住んでいたチョルムはかつてヒッタイト王国の支配下にあり、ヒッタイトの遺跡が多くありました。ボアズカレやヤズルカヤ、チャタルホユックなどを日帰りで訪れることができました。日本が発掘作業を続けているカマン・カレホユックはチョルムからも少し遠かった為、いつか行きたいと思い続けていた場所です。今回の開館式はまたとないチャンスと思い切って出かけることにしました。


土曜日の早朝4時にイズミルを出発、カマンに到着したのは約12時間後の15時半過ぎでした。開館式は18時開始の予定です。会場準備がトルコらしくのんびりと続いているので「アナトリア考古学研究所」に併設する「三笠宮記念日本庭園」を散策しました。開会式に訪れた村人達もたくさんいます。目が合うと微笑んで「いらっしゃい」「こんにちは」と声をかけてくれたり「ほら」と何も言わずに手に持っていたバジルの葉をくれたおばちゃんもいました。

「カマンの夕日」を指揮する神津善行氏。

博物館入口でテープカット。
トルコの文化観光省エルトゥールル・ギュナイ大臣に続き、三笠宮寛仁親王殿下、彬子女王殿下が日本からのツアーご一行とともにご到着で式が始まりました。
まずは日本、トルコ両国の国歌斉唱。行事の前にトルコの国歌を聞く機会は何度もありましたが異国の地で聞く「君が代」は初めてでした。大臣と寛仁親王殿下の祝辞に続き、「トルコ共和国大統領府交響楽団」によるコンサート、博物館開館テープカット、博物館見学、パーティで開館式は終わりました。

博物館見学に殺到する人達。


手で触れることのできる展示物もあります。
招待客500名が小さなカマンの村に集まり、ずいぶん華やかで盛大な開館式でした。村の人達はピクニックにでも来た様な気安さで楽しんでいたようですが、子供の頃から発掘作業にかかわり今ではウスタ(職長)になって後進の指導にも当っている村出身の人々や若き日本の考古学者たち、そして大村所長の功績無しにはなかったであろうカマンカレホユック考古学博物館の開館であるはずなのに、彼らの紹介はなく姿もほとんど見られなかったことが唯一残念に思いました。

コンサートの最後にトルコ初演として演奏されたのは神津善行氏作曲の「カマンの夕日」と言う曲でした。会場を後にして広大な景色の中を車で走っているとちょうどカマンに夕日が沈んでいきました。
カマンの町にはこんな道路標識も。「PRENS MIKASA CADDESI(三笠宮通り)」



☆現在のイズミル☆
メフさんによろしく。
ニュースでカマン・カレホユック遺跡の発掘のことを知ってから、いつか行けたらいいなぁと思っていました。開館式に参列されたなんてよかったですね。
ただ、yukacanさんも書いてらっしゃるように、四半世紀にわたって黙々と発掘を続けてこられた関係者への称揚がなかったというのはやはり残念です。本当の功労者を讃えてほしかったです。
博物館はこの丘の地底にあるのですか?
(ひまわり畑も素晴らしいですね!)
今週末だと思っていたらもう終わっていたんですね。
なんか、ボケボケで・・・。
カマンへは二回行ったことがありますが、
えらく閑散としていたなぁという記憶しかないです。
でも、人が少なくてのんびりできたので、
カマンの印象はとてもいいです。
もう帰ってしまわれるのですね。最後にお目にかかれずに本当に残念です。次にお目にかかれる日を今から楽しみにしています。
村の人達が、もっと主体となって開館式に参加出来ればよかったのになあと思いました。トルコのお役所はそんなこと考えないのかしら。
そうです、博物館、このhoyuk様のところに入り口があります。
ひまわりきれいでしょう?どこまで行ってもひまわりだらけで、ああ今年もひまわりの種は豊作かなと思いましたよ。
私もカマンの町はいいなあと思いました。
開会式ではおエライさんが表に出ていますが、これからの運営や発掘にしても、地元の方達が中心になって行きますよね。その為の施設なのだと思います。これからもますます重要な遺物が増えますように。
三笠宮様はがんやアルコール中毒で何度も入退院を繰り返されたのですが、写真では顔色もよくお元気そうですね。
ひまわりすごいですね。これ、種はばら撒いただけなのかしら。そうだよね、これだけたくさんの種、いちいち一粒ずつ埋めてられませんものね。我が家のひまわりもつぼみをつけ始めました。
「日本年」と言うこともあって大々的に観光文化省が開館式を担ったのだと思いますが、中近東文化センターが中心になっていれば、もう少し地元の人達が主役になれたんじゃないのかなあと思いました。トルコの人達にももっとヒッタイトのすばらしさをわかってもらえる機会になればいいのですが。
三笠宮様は満身創痍ですね。でもご立派です。あんな暑い中で汗ひとつかかずに・・・。殿下もかなりの移動をしていらっしゃっているのに疲れた顔も見せずに、皇室って大変ですね。
種は機械でまいたのでしょうかね。どこまでもどこまでもひまわり畑が広がっていました。