こ と の 端

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お と し 穴

2011-09-25 08:52:11 | Weblog
ドル経済圏というものは

世界中からアメリカへとやってきた

富を

一旦すべて

ドルの発行国にだけ集積させた

それらを

国内市場

つまり ドルで運用することにより

アメリカの経済を成長させながら

その他諸国の経済を

最終的に

賦活させる

という間接的な効果を引き出させるための

枠組みを作り上げようとする段階へと

到達するまでになった


国際経済全体を

ドルの供給事業で刺激する

ということを前提としてはいるのだが

アメリカが主導権を握ることによって

優越性を保ったまま

諸外国の消費市場から

富を回収するための措置に堕していた

偏った資本の力学が

最も弱い部分に現れる

リーマン・ショックはそのきっかけになっていた

その影響がユーロ圏へと飛び火し

危機を逃れようとした資本が

アジアへと雪崩れ込んできた


アメリカの経済を成長させれば

その他の国の経済も

やがていつかは

活気を取り戻す

という論理を前提とする認識で

ドル経済圏構想というものが成り立っている


その結果世界の状態がどうなったかというと

各国が発行したその国債に対する信頼が

大きく揺らぐ

という経過を辿っている

誰も想定していなかったことが

ドルの発行権を持つ国にさえ引き起こされていた

その変化は

米国債そのものの価値を

下落させてしまうほどのものだった

民主主義という方法が

それを成り立たせている経済システムを

自ら消す

そのような展開を図らずも生みだしてしまったという事実が

ドルを基軸とする通貨体制の在り方に

疑問を生じさせた最初の結末といえる


これまでの経過を見ると

地下資源の価格は一方的に高くなるばかりとなり

エネルギー資源を手に入れるために

世界中が

資源インフレに

大いに苦しむようになった


地下資源の決済は

その殆どが

ドルで行うことになっている

ドルの需要は

原油相場の成り行き次第で

どんどん上昇する展開をとっていた

ドルの供給が少ないとき

その通貨価値は勝手に上昇する

通貨供給量を抑制することは

アメリカの経済にとって

ドル高を強要する結果を生む

という望ましからざる事態を招く


諸外国のドル需要にアメリカが即座に応えなければ

ドル建ての貿易取引は

ドルの通貨価値を一方的に引き上げ

アメリカが見込んでいた利益を

大きく失う経過を必然的に生みだす

FRBはドルの供給を

したがって

抑制することができない

イラク戦争が続いていた間

アメリカのマネーサプライは公開されていなかった

ドルの供給を拒めば

ドルの通貨価値は否応なしに増加する

そこで大量のドルを市場に供給しなければならない

とする要請が市場から発っせられ

ドル安政策へと転じていたアメリカは

過剰流動性を外貨へと移転させながら

ドルの追加発行を迫られる情勢へと

追い込まれていったのだった


ドルに付随する過剰流動性というものは

このような背景から生み落とされたものなのだ


市場に滞留する大量のドルは

それだけでドルの通貨価値を毀損する

考えられる有効な対策があるとすれば

余っているドルを直ちに回収し

それを用いて

どこか豊かな国の通貨を大量に買い

そのローカル市場で運用することによって

獲得した利益で

価値を意図的に低下させておいたドルを

意図的に高めておいた外貨を売って

有利な条件で

効率よく買い戻す

という通貨戦略を実行する

ことである

それは既に可能な状態になっていた


プラザ合意以降

バブル経済を生み出した動力源は

ドルの持つその属性であるところの

過剰という形容が妥当なほどの

流動性の増加であった


日本では国会の不明から

バブルを潰すための有害な対策を講じたことにより

結果として

景気の長期低迷という

最悪の状態を引き出す経過に今も尚苦しんでいる

円に姿を替えていたドルの過剰流動性は

投資先となる予定だった目標をこれにより失い

やむを得ず

企業買収へと転じていった

その象徴的存在となったのが

ホリエモンと呼ばれていたギニョール


原動力となったのは

いずれの場合も

ドル資本と呼ばれる

一群による

日本市場に対する過剰な投資

より正しくは投機だったのである

それと同じメカニズムで

中国経済は

いま活況を呈し

国際経済の牽引役を引き受けている


ドル経済圏を拡大するには

原油相場を高騰させてやればよい

WTIを擁するアメリカにとって

原油相場の制御はいとも容易なことなのだ

ガソリンの供給が何かの理由でタイトになる

というアナウンスメントを出すだけで

原油相場はこれまで何度も

急騰するという展開をみせていた

国際経済が資源インフレに苦しむようになったのは

イラク戦争を維持するための戦費調達を

原油価格の高騰によるドルの発行益で賄っていたからだった

米国債の需要が高まったのは

市場介入に走った国の産物なのだ


ドル経済圏を拡大することになる総ての枠組みは

アメリカの独善を許し

世界中から集めた富を米大陸へと集積させ

ローカル市場からは

流動性の厚みを反対に奪い去っていったのだった

テロを合理化させているものが貧困であることは

既に周知の事実であろう


アメリカが繁栄すればするほど

テロの脅威が増すという循環ができあがっている


WTO FTA

EPA TPP

などはドル経済圏構想の上で

まとめられた経済統合を促すためのものに過ぎない

アメリカに指導的役割を負わせるために

世界中の国々が

こぞって貧困化する

という経過が

強制的に与えられる結末が既に見えている

だが

経済力学の実態を見ない国際経済は

ドル経済圏を発展させることで

その余沢に与る経過に

自国経済の復興を願うようになっている


地下資源の取引が

要するに

ドルの通貨価値を裏付ける根拠になっている

エネルギー資源を必要とするすべての国家は

ドル経済圏に取り込まれていかざるを得ない

アメリカの優位性を担保するものとは

世界最強の軍事力と

それによる平和状態の誘導

という幻影であった

力の行使による安寧への接近は

テロ活動をより強化させただけだった


アメリカの繁栄と力による平和は

論理としても

また現実としても

成り立っていなかった

にも関わらず

いまだにそう信じられているという現状が一方に

ある

隠されている陥穽は

罠なのだ

関わってはならない

問題の本質は

ローカル通貨であるドルを

その身分のまま基軸通貨へと祀り上げた

という点にあった

ケインズが抱いていた一抹の懸念は

杞憂に終わらなかった


ブレトンウッズがIMFへと体制の名称を変更しても

国際経済にかかっているバイアスは変わらない

この事実を見ることができるのなら

有効解を特定することに困難はなかろう
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