エネルギーを必要とするすべての国は
地下資源を独自に発掘するか
または
それができなければ
どこか遠くの資源産出国から
それを
大量に輸入してくる以外に
道は残されていなかった
エネルギー資源の需給に
関与する共通の通貨は
世界が求めるものとなる
それは基軸通貨として
振る舞うことが許された唯一のもの
あらゆる国の通貨と
それを介して
価値の交換を行うことが
できる状態になるからであった
経済規模が大きくなって
ローカル通貨の発行量が増えたとしても
それだけでは
基軸通貨として流通するための
価値の裏付けをもったことにはならない
基軸通貨を決めるための因子は
消費市場の規模などでは決してない
エネルギー資源が価値基準となる前は
金塊の保有率が
基軸通貨の決定因子だった
金との兌換を前提として
基軸通貨の機能が認められていた時代が続いていた
戦後の復興を進めるための合意形成が為され
その結果として
ブレトンウッズ体制という枠組みが誕生することとなった
通貨価値を裏付けるほどの何かがなければ
基軸通貨を名乗ることは
どのような大国であっても
できない
エネルギー資源は有限なものであるため
消費されることことで温室効果を高めていく
掘り出された化石燃料を
元に戻すことはできない
やがて
掘り尽くされてしまうことは
既にして明らかなのだ
金の場合はしかし
そうではない
貴金属としてどのように加工したとしても
その価値は
文明が存続する限り
永久に保たれる
金を加工しても
消費したことにはならない
金は金としていつまでも残される
消えてなくなってしまう資源ではないために
価値の基準である指標の役割を果たし得る
金にはそれ以外に
特別の能力が複数備わっている
それは
その他の金属から
電荷を吸収する
という高い能力である
この不思議な力が
金の価値を古来より高めていたのだった
電荷を奪われた側の金属は
ボロボロに劣化していくのだけれど
金は
高い品位をいつまでも保っている
金箔を挿むための薄い紙は
皮膚の油脂を吸着する油取り紙として機能する
電荷の移動が還元反応を促進するからだ
その他にも優れた能力をもっていて
金は人々の心を早くから魅了し続けてきた
その一つは電気伝導率の高さとして
既によく知られている
その神秘的ともいえる特性の数々が
金を究極の価値基準
へと成なさしめてきた
金に代って地下資源が価値の補償を担った時
その有限性から
有事に備えて
特別に資金を拠出する必要性が浮上したことがあった
対策となる枠組みがその時新たに作られた
特別引き出し権(SDR)というものを設定し
それを支持財と定めたことによって
基軸通貨の価値を裏付けるための
側面からドルを支援するシステムがつくられた
国際経済はこれにより
ドルを基軸とするシステムの上で
金の持つ絶対量という制約から解放され
青天井で発行することができるようになったのだった
その後
国際経済は急速に
成長発展していくようになった
その改変された新制度のことを
IMF体制と呼び
経緯の次第を明確にして
旧制度と弁別するようになったのだった
ドル経済圏を世界が発展させていくことにより
市場全体を拡大することが可能になる
その目的を効率よく進めるために
GUTTを発展させたWTO や
その条件となるFTA
そして地域ごとの独立した経済圏である
EPA や TPPの確立を
分散して目指すようになっていった
基軸通貨がもつ必然的な属性である過剰流動性が
一方的な繁栄をアメリカへと与えるその一方で
強制的な貧困をドルを買ったすべての国へと
押し付けることともなったのだった
基軸通貨の発行権を持つアメリカは
世界中から押し寄せてくる外貨を吸収し
交換で供与したドルを
機を改めて回収しなければならなくなった
ドル安政策というものは
その結果国際経済が生じさせたものだった
上がりすぎたドルの通貨価値を調整するために
ドルを意図的に安売りする必要にアメリカは迫られた
過剰発行したドルを放置しておくと
通貨価値はたちまち毀損する
ドルが身に帯びるようになった過剰流動性を消すためには
市場に滞留するドルがあってはならない
過剰流動性速やかに回収する必要に駆られたのは
ドルの発行国であるアメリカであった
どこか豊かな国に過剰発行したドルを
速やかに押しつけてしまわなければならない
ドルを安売りして獲得した外貨は
その国の市場で効率よく運用することにより
豊かな国であるアメリカの投資家を
もっともっと
豊かにすることができたからだった
そこで世界中から集められたドルが
日本市場へと押し寄せてくることとなった
その資本がバブル経済を生み出させた原動力だったのだが
国会はその対応策の選択を誤った
日本の経済低迷は今も尚
続いている
ドルの過剰流動性を始末するには
大量に買われ続けて
既に強い通貨へと変身を遂げていた円だけでなく
安定した経済成長を一貫して続けている国の通貨である人民元とが
有望かつ低リスクだとドルの供給者と
それを支えている投資家の一群に信じられていた
原油相場が上昇すればドルの需要もまた上昇する
過剰流動性というものは
消しても消しても
決してなくならなかった
ドルを押しつけられた国の通貨価値は
時とともに高まっていくばかり
そうならざるを得ないのだ
日本の場合ドル資本が獲得した円で
国内市場に再投資するという選択肢は
夙に投資効率が低いものとなっていた
景気の低迷が20年も続いているからである
そこで通貨価値を人為的に高めさせた円の力を利用して
相対的に低下したドルを買い戻すことにより
より多くのドルを
労せずして
簡単に手に入れる条件を整えていた
投資家に還元する比率を
円を買うドル安政策を推進しながら
一次的に高めておく戦術が採用されるようになっていた
過剰発行したドルの一部が本国の住宅市場へと回ったことにより
その回収を投資家が急がせた結果
世界規模の債務不履行を
一斉に生みだしてしまったのだった
サブプライムローン市場に投資していた国際金融資本の一郭は
その時脆くも崩れ去った
リーマン・ショックとは
過剰流動性が齎した結末の一つなのである
投資効率の高い市場はリスクも高い
そこに投資していた国家機関も破綻の危機に瀕している
国そのものが破産する
という可能性をリーマン・ショックは顕在化させたのだった
それまで一つにまとまろうとしていたユーロ圏を
金融危機は成り立たなくさせようとするまでになったのだった
エネルギーが低コストで
簡単に手に入るようになれば
通貨システムが抱え込んだ諸問題を
解消させることが可能になる
それには資源をまったく必要としないシステムを
可及的速やかに構築しなければならない
再生可能エネルギーはその意味で期待されていたのだったが
出力の安定性に乏しく
また導入コストも高かった
自然エネルギーでは世界の要請に
うまく応えることができない
そこで再生する必要のない
どこにでもあるエネルギーの開発が
急がれるようになったのだった
文明が無駄な投資を控え
穏やかだった環境の復元を求めるようになり
繁栄を急ぐ機運がどこかで高まるようになったとき
再生不要エネルギーというものが
この地上にめでたく登場することになっている
地下資源を独自に発掘するか
または
それができなければ
どこか遠くの資源産出国から
それを
大量に輸入してくる以外に
道は残されていなかった
エネルギー資源の需給に
関与する共通の通貨は
世界が求めるものとなる
それは基軸通貨として
振る舞うことが許された唯一のもの
あらゆる国の通貨と
それを介して
価値の交換を行うことが
できる状態になるからであった
経済規模が大きくなって
ローカル通貨の発行量が増えたとしても
それだけでは
基軸通貨として流通するための
価値の裏付けをもったことにはならない
基軸通貨を決めるための因子は
消費市場の規模などでは決してない
エネルギー資源が価値基準となる前は
金塊の保有率が
基軸通貨の決定因子だった
金との兌換を前提として
基軸通貨の機能が認められていた時代が続いていた
戦後の復興を進めるための合意形成が為され
その結果として
ブレトンウッズ体制という枠組みが誕生することとなった
通貨価値を裏付けるほどの何かがなければ
基軸通貨を名乗ることは
どのような大国であっても
できない
エネルギー資源は有限なものであるため
消費されることことで温室効果を高めていく
掘り出された化石燃料を
元に戻すことはできない
やがて
掘り尽くされてしまうことは
既にして明らかなのだ
金の場合はしかし
そうではない
貴金属としてどのように加工したとしても
その価値は
文明が存続する限り
永久に保たれる
金を加工しても
消費したことにはならない
金は金としていつまでも残される
消えてなくなってしまう資源ではないために
価値の基準である指標の役割を果たし得る
金にはそれ以外に
特別の能力が複数備わっている
それは
その他の金属から
電荷を吸収する
という高い能力である
この不思議な力が
金の価値を古来より高めていたのだった
電荷を奪われた側の金属は
ボロボロに劣化していくのだけれど
金は
高い品位をいつまでも保っている
金箔を挿むための薄い紙は
皮膚の油脂を吸着する油取り紙として機能する
電荷の移動が還元反応を促進するからだ
その他にも優れた能力をもっていて
金は人々の心を早くから魅了し続けてきた
その一つは電気伝導率の高さとして
既によく知られている
その神秘的ともいえる特性の数々が
金を究極の価値基準
へと成なさしめてきた
金に代って地下資源が価値の補償を担った時
その有限性から
有事に備えて
特別に資金を拠出する必要性が浮上したことがあった
対策となる枠組みがその時新たに作られた
特別引き出し権(SDR)というものを設定し
それを支持財と定めたことによって
基軸通貨の価値を裏付けるための
側面からドルを支援するシステムがつくられた
国際経済はこれにより
ドルを基軸とするシステムの上で
金の持つ絶対量という制約から解放され
青天井で発行することができるようになったのだった
その後
国際経済は急速に
成長発展していくようになった
その改変された新制度のことを
IMF体制と呼び
経緯の次第を明確にして
旧制度と弁別するようになったのだった
ドル経済圏を世界が発展させていくことにより
市場全体を拡大することが可能になる
その目的を効率よく進めるために
GUTTを発展させたWTO や
その条件となるFTA
そして地域ごとの独立した経済圏である
EPA や TPPの確立を
分散して目指すようになっていった
基軸通貨がもつ必然的な属性である過剰流動性が
一方的な繁栄をアメリカへと与えるその一方で
強制的な貧困をドルを買ったすべての国へと
押し付けることともなったのだった
基軸通貨の発行権を持つアメリカは
世界中から押し寄せてくる外貨を吸収し
交換で供与したドルを
機を改めて回収しなければならなくなった
ドル安政策というものは
その結果国際経済が生じさせたものだった
上がりすぎたドルの通貨価値を調整するために
ドルを意図的に安売りする必要にアメリカは迫られた
過剰発行したドルを放置しておくと
通貨価値はたちまち毀損する
ドルが身に帯びるようになった過剰流動性を消すためには
市場に滞留するドルがあってはならない
過剰流動性速やかに回収する必要に駆られたのは
ドルの発行国であるアメリカであった
どこか豊かな国に過剰発行したドルを
速やかに押しつけてしまわなければならない
ドルを安売りして獲得した外貨は
その国の市場で効率よく運用することにより
豊かな国であるアメリカの投資家を
もっともっと
豊かにすることができたからだった
そこで世界中から集められたドルが
日本市場へと押し寄せてくることとなった
その資本がバブル経済を生み出させた原動力だったのだが
国会はその対応策の選択を誤った
日本の経済低迷は今も尚
続いている
ドルの過剰流動性を始末するには
大量に買われ続けて
既に強い通貨へと変身を遂げていた円だけでなく
安定した経済成長を一貫して続けている国の通貨である人民元とが
有望かつ低リスクだとドルの供給者と
それを支えている投資家の一群に信じられていた
原油相場が上昇すればドルの需要もまた上昇する
過剰流動性というものは
消しても消しても
決してなくならなかった
ドルを押しつけられた国の通貨価値は
時とともに高まっていくばかり
そうならざるを得ないのだ
日本の場合ドル資本が獲得した円で
国内市場に再投資するという選択肢は
夙に投資効率が低いものとなっていた
景気の低迷が20年も続いているからである
そこで通貨価値を人為的に高めさせた円の力を利用して
相対的に低下したドルを買い戻すことにより
より多くのドルを
労せずして
簡単に手に入れる条件を整えていた
投資家に還元する比率を
円を買うドル安政策を推進しながら
一次的に高めておく戦術が採用されるようになっていた
過剰発行したドルの一部が本国の住宅市場へと回ったことにより
その回収を投資家が急がせた結果
世界規模の債務不履行を
一斉に生みだしてしまったのだった
サブプライムローン市場に投資していた国際金融資本の一郭は
その時脆くも崩れ去った
リーマン・ショックとは
過剰流動性が齎した結末の一つなのである
投資効率の高い市場はリスクも高い
そこに投資していた国家機関も破綻の危機に瀕している
国そのものが破産する
という可能性をリーマン・ショックは顕在化させたのだった
それまで一つにまとまろうとしていたユーロ圏を
金融危機は成り立たなくさせようとするまでになったのだった
エネルギーが低コストで
簡単に手に入るようになれば
通貨システムが抱え込んだ諸問題を
解消させることが可能になる
それには資源をまったく必要としないシステムを
可及的速やかに構築しなければならない
再生可能エネルギーはその意味で期待されていたのだったが
出力の安定性に乏しく
また導入コストも高かった
自然エネルギーでは世界の要請に
うまく応えることができない
そこで再生する必要のない
どこにでもあるエネルギーの開発が
急がれるようになったのだった
文明が無駄な投資を控え
穏やかだった環境の復元を求めるようになり
繁栄を急ぐ機運がどこかで高まるようになったとき
再生不要エネルギーというものが
この地上にめでたく登場することになっている