こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

価 値 基 準

2011-09-18 07:02:59 | Weblog
エネルギーを必要とするすべての国は

地下資源を独自に発掘するか

または

それができなければ

どこか遠くの資源産出国から

それを

大量に輸入してくる以外に

道は残されていなかった


エネルギー資源の需給に

関与する共通の通貨は

世界が求めるものとなる

それは基軸通貨として

振る舞うことが許された唯一のもの

あらゆる国の通貨と

それを介して

価値の交換を行うことが

できる状態になるからであった


経済規模が大きくなって

ローカル通貨の発行量が増えたとしても

それだけでは

基軸通貨として流通するための

価値の裏付けをもったことにはならない

基軸通貨を決めるための因子は

消費市場の規模などでは決してない


エネルギー資源が価値基準となる前は

金塊の保有率が

基軸通貨の決定因子だった

金との兌換を前提として

基軸通貨の機能が認められていた時代が続いていた

戦後の復興を進めるための合意形成が為され

その結果として

ブレトンウッズ体制という枠組みが誕生することとなった


通貨価値を裏付けるほどの何かがなければ

基軸通貨を名乗ることは

どのような大国であっても

できない

エネルギー資源は有限なものであるため

消費されることことで温室効果を高めていく

掘り出された化石燃料を

元に戻すことはできない

やがて

掘り尽くされてしまうことは

既にして明らかなのだ


金の場合はしかし

そうではない

貴金属としてどのように加工したとしても

その価値は

文明が存続する限り

永久に保たれる

金を加工しても

消費したことにはならない

金は金としていつまでも残される

消えてなくなってしまう資源ではないために

価値の基準である指標の役割を果たし得る


金にはそれ以外に

特別の能力が複数備わっている


それは

その他の金属から

電荷を吸収する

という高い能力である

この不思議な力が

金の価値を古来より高めていたのだった

電荷を奪われた側の金属は

ボロボロに劣化していくのだけれど

金は

高い品位をいつまでも保っている

金箔を挿むための薄い紙は

皮膚の油脂を吸着する油取り紙として機能する

電荷の移動が還元反応を促進するからだ

その他にも優れた能力をもっていて

金は人々の心を早くから魅了し続けてきた

その一つは電気伝導率の高さとして

既によく知られている


その神秘的ともいえる特性の数々が

金を究極の価値基準

へと成なさしめてきた


金に代って地下資源が価値の補償を担った時

その有限性から

有事に備えて

特別に資金を拠出する必要性が浮上したことがあった

対策となる枠組みがその時新たに作られた

特別引き出し権(SDR)というものを設定し

それを支持財と定めたことによって

基軸通貨の価値を裏付けるための

側面からドルを支援するシステムがつくられた

国際経済はこれにより

ドルを基軸とするシステムの上で

金の持つ絶対量という制約から解放され

青天井で発行することができるようになったのだった

その後

国際経済は急速に

成長発展していくようになった

その改変された新制度のことを

IMF体制と呼び

経緯の次第を明確にして

旧制度と弁別するようになったのだった


ドル経済圏を世界が発展させていくことにより

市場全体を拡大することが可能になる

その目的を効率よく進めるために

GUTTを発展させたWTO や 

その条件となるFTA

そして地域ごとの独立した経済圏である

EPA や TPPの確立を

分散して目指すようになっていった

基軸通貨がもつ必然的な属性である過剰流動性が

一方的な繁栄をアメリカへと与えるその一方で

強制的な貧困をドルを買ったすべての国へと

押し付けることともなったのだった

基軸通貨の発行権を持つアメリカは

世界中から押し寄せてくる外貨を吸収し

交換で供与したドルを

機を改めて回収しなければならなくなった

ドル安政策というものは

その結果国際経済が生じさせたものだった


上がりすぎたドルの通貨価値を調整するために

ドルを意図的に安売りする必要にアメリカは迫られた

過剰発行したドルを放置しておくと

通貨価値はたちまち毀損する


ドルが身に帯びるようになった過剰流動性を消すためには

市場に滞留するドルがあってはならない

過剰流動性速やかに回収する必要に駆られたのは

ドルの発行国であるアメリカであった


どこか豊かな国に過剰発行したドルを

速やかに押しつけてしまわなければならない

ドルを安売りして獲得した外貨は

その国の市場で効率よく運用することにより

豊かな国であるアメリカの投資家を

もっともっと

豊かにすることができたからだった


そこで世界中から集められたドルが

日本市場へと押し寄せてくることとなった

その資本がバブル経済を生み出させた原動力だったのだが

国会はその対応策の選択を誤った


日本の経済低迷は今も尚

続いている

ドルの過剰流動性を始末するには

大量に買われ続けて

既に強い通貨へと変身を遂げていた円だけでなく

安定した経済成長を一貫して続けている国の通貨である人民元とが

有望かつ低リスクだとドルの供給者と

それを支えている投資家の一群に信じられていた


原油相場が上昇すればドルの需要もまた上昇する

過剰流動性というものは

消しても消しても

決してなくならなかった

ドルを押しつけられた国の通貨価値は

時とともに高まっていくばかり

そうならざるを得ないのだ

日本の場合ドル資本が獲得した円で

国内市場に再投資するという選択肢は

夙に投資効率が低いものとなっていた

景気の低迷が20年も続いているからである

そこで通貨価値を人為的に高めさせた円の力を利用して

相対的に低下したドルを買い戻すことにより

より多くのドルを

労せずして

簡単に手に入れる条件を整えていた

投資家に還元する比率を

円を買うドル安政策を推進しながら

一次的に高めておく戦術が採用されるようになっていた


過剰発行したドルの一部が本国の住宅市場へと回ったことにより

その回収を投資家が急がせた結果

世界規模の債務不履行を

一斉に生みだしてしまったのだった

サブプライムローン市場に投資していた国際金融資本の一郭は

その時脆くも崩れ去った

リーマン・ショックとは

過剰流動性が齎した結末の一つなのである


投資効率の高い市場はリスクも高い

そこに投資していた国家機関も破綻の危機に瀕している

国そのものが破産する

という可能性をリーマン・ショックは顕在化させたのだった

それまで一つにまとまろうとしていたユーロ圏を

金融危機は成り立たなくさせようとするまでになったのだった


エネルギーが低コストで

簡単に手に入るようになれば

通貨システムが抱え込んだ諸問題を

解消させることが可能になる

それには資源をまったく必要としないシステムを

可及的速やかに構築しなければならない


再生可能エネルギーはその意味で期待されていたのだったが

出力の安定性に乏しく

また導入コストも高かった

自然エネルギーでは世界の要請に

うまく応えることができない

そこで再生する必要のない

どこにでもあるエネルギーの開発が

急がれるようになったのだった


文明が無駄な投資を控え

穏やかだった環境の復元を求めるようになり

繁栄を急ぐ機運がどこかで高まるようになったとき

再生不要エネルギーというものが

この地上にめでたく登場することになっている
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