こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

片 腹 痛 し

2019-06-30 07:35:59 | Weblog
たった三年という

とても短い期間

で世界第二位の経済大国

へと急成長した中国の繁栄



ドルの集中的流入

による一過性のもの

であることを

アメリカ大統領であるトラムプ

に気付かせたその時から

米中間の経済戦争

と呼ばれるたたかい

が太平洋を挟んで

始まった


その嚆矢となったのが

関税比率の適用水準

を改めるというアメリカが行った

一方的な意思表示


その応酬合戦

がつのり募って競りあがり

既にグローバル化していた

単一市場全体

へとその影響が及ぶにいたり

経済成長に一定の下押し圧力が

かけられる時勢となった


この変化が俄かに生じたことにより

順調に成長を続けていた

市場主義経済体制に

予期せぬ圧迫要因が加わって

経済成長率全体

を一斉に低下させる

という不安定要因が

新たに作用する経過が生じた


中国を世界の生産基地にする

とアメリカがそう言い出し

世界中の市場に滞留していた

機軸通貨としてのドルが

中国大陸目指して

当時一斉に

押し寄せるようになっていた


ドルの大量流入は

人民元の需要増となって

その固有の通貨価値

を否応なしに引き上げていき

ドル安人民元高となる

不測の事態

を嫌った

中国共産党政府は

当初

執拗なほどに

安売りされていたドルの通貨価値

を元の状態へと

引き上げようとして

流入してきたドルの総量

以上の人民元

を大量に追加供給し

ドル元相場の安定化

を計っていた


これとまったく同じ工程

が85年秋のプラザ合意

の直後に既に起きていて

それが日本のバブル経済

を世に生み落とす

契機となった

という先行事例が与えられている


ドルが海外市場から

大量に流入してきていながらも

それ以上の人民元の供給

が量的拡大を伴って

円滑に行われていたのであれば

通貨価値の一方的偏り

などは生じ得ない

平衡状態は安寧に保たれる


共産党政府は人民元の印刷コスト

を負担するだけのことで

ドルの通貨価値を元の安定水準

へと引き戻しながら

人民元の通貨価値も

同時に引き下げる

元売り介入を執拗に行った


人民元の通貨価値が

通貨間の需給ギャップ

の拡大によって

一方的に高まっていけば

貿易黒字の幅は

自動的に狭まって

貿易収支に強い影響

を及ぼす


機構部品や半製品などを輸入し

中国で付加価値をつけてから

世界市場へと再輸出する

という形態で

中国の産業構造は成長を遂げてきた

その方法が牙を剥き

中国経済に襲い掛かるのだから

放置しておくわけにはいかない


経済成長を加速する段階にあった

その中国全土を

アメリカが

世界の中心的な生産基地にする

という大目標

を公表し

世界にも推奨した

ということが

世界中から資本財と生産財

中間財などを一斉に移転させる

動きを潮流化した


各種の財が

中国大陸目指して

輻輳する

という変化を発生させた


これが共産党政府に

経済成長を急がせ

人民元の発行益を

ドルに収斂させたものを

収益として新たに確保する

という方法の存在

に気付かせた


中国の富は

ドル資産で成り立っている

ということなのだ


爾来

中国市場には

黙っていてもドルが

勝手に蝟集するようになっていき

そこに積み上がった

莫大なドル建ての総合資産が

人民元の通貨価値を担保する

という構造を定着させる

に至らしめた


共産党政府が

通貨発行権を行使すると

ドル建ての資産が

中国大陸に積み上がる

という変化が

この時から俄かに生じ

人民元を売って獲得したそのドルで

共産党政府は大量のドル資産

を労せずして手に入れてきた


これが中国を三年で

成金国家

へと押し上げたその理由

大量のドル資産

を努力なしに獲得した

中国共産党政府は

手薄だった海軍力

を拡充することができるようになり

領海の権益拡大

へと着手した


時の勢いに乗じた中国の変節ぶり

を見せつけられたアメリカは

その段階になって初めて危機感

を抱き

対策を急いだということが

関税合戦へと発展させることとなり

中国市場に進出していた

世界企業に翻意することを促し

ドルを買い戻す戦略

へとその姿勢を反転させてゆく


中国市場からの撤退に遅れると

損失が拡大することに気付いた

収益拡大にしか

まったく関心のなかった

世界中の製造業関連の企業群



問題の深刻さに

漸く気付いたとき

米中間の緊張関係が

底知れぬほどまでに

深まっているということを

初めて理解することとなる


結果の分かっている勝負ほど

楽しく面白いゲームは

他にない

米中関係の改善

に期待する企業ほど

問題の本質を理解できずに

傷口を優柔不断なその姿勢が

強い力で押し広げる


経緯と趨勢の変化を

実時間で眺めていれば

米中間に最近発した

この問題

の本質は自明であった


矛盾に満ちた一国両制など

指摘するまでもなく

不合理そのもの


香港市民の歴然たる抵抗や

台湾との間にできた両岸関係

の悪化に学ぶまでもなく

軋轢が破壊へと向かうことなど

理の当然という経過であった


共産主義体制というものは

本質的に自然法則に背くものであり

カチカチの唯物論

で凝り固まっている

摂理に背く人造制度


その本源的なあり方こそが

ソ連では91年のクリスマスに

内部崩壊を引き起こすこととなり

中国では経済戦争という

物理的な破壊

を伴わない経済圧力による

別種の内部崩壊へと

繋がってゆく


解釈で成り立っているものの

すべて

は真実ではない


真実以外に価値はなく

解釈を加えれば

錯誤となって顕れる

宗教に於ける内部崩壊のプロセスは

既に始まっていて

世界中に分布している信仰者

は中東地域で生じた

宗教を理由とする昂然たる殺戮

に例外なく胸を痛めた


信仰と宗教を

同一視してはならない

過ちと不具合の淵源

を辿れば

身勝手で一方的な解釈

による

混同と逢着する


この経過は温暖化現象

に於いても同様に当てはまる

直流と交流とを混同している

というその事実こそ

判断を誤って

温室効果ガスの大気中濃度を

一方的に引き上げている

その起源


問題の本質を知るための努力

を怠れば

初期の成果は

当然ながら得られない

単にそれだけのこと
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あ さ は か

2019-06-23 09:21:32 | Weblog
ドルのシニョレッジ(通貨発行権)をもつ

アメリカという国

にだけ

世界中の富が集積するようになったのは

機軸通貨としての機能を

ドルが身に備えた

ということを

世界が

認めざるを得なかったから


戦後の復興を急ぐための

新たな枠組を決定することとなった

ブレトンウッズ会議

が招集されたのは

1944年7月

ヒットラーが自決したのは

その十か月後の1945年五月

日本の敗戦は同じ年の八月十五日


戦争の趨勢を固めた連合国は

戦後の復興計画について

一年前から準備体制

に入っていたということになる


爆撃機による度重なる空襲が

日独双方にとって

苛烈なものになっていったのは

この時の会議で決定した

合意の結果


核兵器の実戦使用が

日本だけだったのは

単に

タイミングの差

であるに過ぎない


ドルがポンドに代わって

機軸通貨として

正式に指定されたのは

ブレトンウッズ体制が始まった

その後のこと


このときからアメリカは

機軸通貨の発行益を

北米大陸へと逐次的に

積み上げていくこととなる


石油を輸入するために

ドルを必要とした国では

ローカル通貨を

為替市場で売ることにより

ドルを買っておかなければならない

アメリカはドルの印刷量を

高めるだけで

世界中の外貨を手に入れることが

できるようになっていた


ドル紙幣を

需要に応じて増刷し

直ちに供給してやるだけのことで

労せずして

大量の外貨を獲得できた

これがアメリカのもつ

決して枯渇することのない

世界に一つしかに

富の源泉


ドルと交換して得た外貨

を活用するローカル市場

がそこに成立っているのであれば

さして欲しくもない地域通貨

であったとしても

アメリカの利に叶う


外貨をドルに戻す際に

ドルの通貨価値が

相対的に下がっていれば

少ない外貨で

より多くのドル

を買い戻すことが可能となる


ドル資本には

このドルの供給と回収を

為替市場で

効率よく進め

莫大な利益を計上することが

許されている

個々に生じている奇妙なバイアス

に関する指摘を行った

とする事実を

確認しようとした痕跡

すら一例もないほどだ


ドル資本が手持ちのドル

を市場に供給する際には

高い価値を有するドル

の方が有利であり

かつ役に立つ


ドルを回収する際には

その反対に

外貨高になっている

という条件が満たされている

方が重要な因子


アメリカは印刷経費を負担するだけで

世界中の富を

ドルの通貨発行権を利用することで

簡単に獲得することができる

という特殊な身分であることを

世界に対して認めさせてきた


こうしてアメリカは

国際経済をリードしながら

獲得した利益の一部で

軍産複合体制を充実させる

その一方で

力に恃む国際政治を展開しつつ

世界の保安官役

を永年努めることが

円滑にできていた


1971年の夏

アメリカは金本位制

という枠組みから

唐突に離脱してしまい

世界中がアメリカの

一方的な心変わりに

遅れて追随する

という展開を経て

信用経済という新たなスキームを

成立させてゆくこととなる


金本位制の時代には

通貨価値の担保を

金の保有高が果たし

国家の通貨発行権を

各国がもつ金の保有高の範囲で

価値の平衡条件

を成り立たせていた


つまり

金塊の保有高が

通貨発行権の決定因子

となって時代があった


ドルショック(ニクソンショック)

と呼ばれたこの71年夏の

ドラスティックな変更が

国際間の商取引を

担保なしの信用で

相互に供与しあう連携条件

を成立させていくこととなる


こうしてドルの発行権

と供給権とを

ドルショックで青天井状態にした

ということが

国際経済を大いに刺激し

アメリカは無制限となった

機軸通貨のシニョレッジ

を最大活用することができるようになり

資本市場に新風を

吹き込んだ


世界中からドルの発行国へと

集まってきた外貨収入で

富の集積地となった

北米大陸が国際経済

を牽引する役割を果たし

市場規模を急拡大することに

寄与する経過を

経済史へと刻み付けた


洗練された信用経済に

移行するまでの経過期間では

石油・ドル本位制

などという表現が

暫時使われていたりしたもした


経済規模を膨張させた

このドルショックが

同じ七十年代に続けて二回発生した

石油危機で原油相場を更に押し上げ

決済通貨となっていたドルの

需要水準を執拗に押し上げた


ドルに過剰流動性が指摘

されるようになったのは

まさにこの頃

ドルの需要が高まっている時に

その供給を怠れば

ドルの通貨価値は

アメリカの都合を超えて

勝手にどんどん高まってゆく


想定外の意図しないドル高は

農業国であると同時に

工業国でもあるという

アメリカの輸出産業に

打撃となって直接

跳ね返る


機軸通貨としての価値を高めた

ドルの市場への追加供給が

滞れば

それは取りも直さず

望まないドル高が

制御不能な状態で

勝手に進みだすことを意味し

反対にドルを供給し過ぎれば

ドル余り現象で

リーマンショックのような

想定外の事態に

翻弄されることとなる


所謂国際金融資本は

ドルと外貨とを取り結ぶ

調整弁としての機能

を円滑に果たしている


機軸通貨の発行権は

アメリカに利益を齎したが

市場供給したローカル市場では

生産性を高めて得た利潤のすべて

をドル資本が本国へと持ち去ることを

指をくわえてただ眺めている

ことしかできなくさせた


これが貧富の差の拡大を急がせ

アフリカ諸国を中心とした

南北問題へと後に発展していくこととなる


ドルの円滑な回収を怠れば

共通化したグローバル市場では

ドル余り現象が顕在化し

ドルの新規発行が

必要条件ではなくなるばかりか

金融バブルの発生源

ともなり兼ねない


自国通貨の発行権は

ローカル市場

でのみ有効なものなのだが

為替市場を経由した場合

国際金融資本の意のままに

扱われ易くなる


MMTの限界となる課題は

通貨間の価値の移転取引を

回避することが即ちできない

というその点にある

ローカル市場だけに限れば

自国通貨の発行権は

価値の移動を伴わないため

制限なしに発行できる

個々に生じる差についての言及

が為されなければ

評価する意義は失われる

そこでビットコインのような

第三の人工通貨

の関与が

改めて必要な措置

となる


中国がたったの三年で

世界第二位の経済大国となれたのは

ドルの過剰流動性を無害化する

という秘められた目的で

アメリカが中国を

世界の生産基地にする

と唱導した時に運命づけられていた


生産財と中間財そして資本財

などが中国大陸へと蝟集する

という経過が

俄かに引き起こされた


共産党政府は

世界中の資本市場から

一斉に仕掛けられた

壮大な規模のドル売り圧力を

防遏する必要に急遽迫られ

大量の人民元を無制限に発行し

ドルの一方的な値下がり

を誘導するための

人民元の意図的な値下がり

を演出することによって

価値の安定化を進めることしか

できなくなっていた


その結果共産党政府には

莫大なドル資産を所有することとなり

供給量を大幅に高めた人民元で

獲得した大量のドルを買い

外貨準備を篤くした


中国を金満国家に押し上げたのは

他ならぬアメリカなのだ

経過の事実を承知していたのなら

米中間の経済戦争へと発展した

その経緯が

アメリカの都合で

引き起こされたもの

という理解は

夙に成り立っていた


当事国の指導体制ですら

起きている経過の意味

を未だに知らずにいる


高度化した教育制度が

問題認識能力を着実に

涵養していたのであれば

国際経済に負圧をかけている

この関税を手段とする

不毛な駆け引きに

警告することは

誰にでも容易であった


経済学の言語では

解けない問題でも

力学系の言語を用いれば

カタストロフを回避する

程度のことは楽にできていた


学力重視に特化した

高等教育のあり方に於ける

国際規模の同時多発的

一斉規模の変容が

健全な思考力を個人から奪い

批判精神を短期間で失わせ

誤った判断へと

文明を突き落とす

その代表的な事例となった


その好例となったのが

温室効果ガスの削減を進めていながら

却って有害ガスの濃度上昇

を急がせただけだった

という知識階級のもつ普遍的な

欠陥とそれを生み落した

浅はかな認識

交流と直流との混同が

温暖化を止まらないよう仕向けた

たった一つのその理由


要素抽出が不完全なら

要因分析の段階で

判断を間違いなく誤る

アベノミクスこそは

その絶好のサンプル

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負 ぞ ろ い

2019-06-16 07:12:41 | Weblog
ドルがもつその避け難い属性

となった過剰流動性

というものは

国際経済の反応場に於いて

ドル余り現象

を必然的に生み落し

リーマンショックと呼ばれる

金融危機を

最終的に発症させた


石油取引で用いられる決済通貨

としてのドル

に備わる特異な機能

が遍在する富の分布を

北米大陸へと定め

それが貧富の差を乖離させ

格差社会を世界中に

成立させている


北米大陸を

富の集積地

としてそれが位置づけた

ということになる訳だ


戦後の復興

を短期間で成し遂げはしたものの

世界中に分布する

石油消費国のすべてが

当時

決済通貨としてのドルを

切実に必要としていた


石油の需要とドルの需要は

連動して生起するようになっており

経済成長を急ぐためには

主要先進国の間で

ドルの一方的な需要増加



切実な課題

となっていた

石油を買うにはドルが要る

のだ


資源としての石油を

必要とするすべての国家が

ドルを買い求め

売るための自国通貨の価値を

自らの手で押し下げる傾斜

がその時生まれた

このような力学的展開が

その後長期間

続き地球大気は

温室効果ガスの濃度を

着実に高めるようになっていった


ドルの発行国であるアメリカが

ドルの供給を円滑に行わなければ

決済通貨となったドル

のもつ固有の価値は

一方的に高まるのみ


ドル高というこの状態は

アメリカの貿易収支を悪化させ

農業国であるその一方で

世界を牽引する産業国

でもあるというアメリカの国際収支

と国内収支とを

同時に

悪化させる双子の赤字

となってアメリカを苦しめる


石油の需要水準が高まれば

ドルに対する供給圧力

もまた自動的に増加する

ドルの供給事業を

アメリカが

長期間続けてきた

ということが

過剰流動性をドルへと付与し

供給するだけではなく

その回収にも

密かに取り組まざるを得なくした

その主な手段となっていたのが

FRBが当時機動的に行っていた

公定歩合の即時的変更だった


米本土の金利が相対的に高まれば

過剰流動性を呼び戻すことができ

通貨の乱発を

無害化することができるようになる

そう信じられていた時代があった


インフレを事前に抑止するための措置

でもあったのだが

過剰流動性を回収する

という重大な使命も与えられていた


金利の上げ下げで

過剰流動性を呼び戻すことが

容易ではなくなった時から

ドル安政策をとらざるを得なくなり

ドル売り圧力を強めて

ドルの通貨価値を相対化

させるようになっていく


そうしていればドル紙幣の新規発行を

人知れず続けることができたから


70年代に起きた二度の石油ショックで

石油の価値が跳ね上がり

ドルの需要も高まった

ドルの供給を減らせばドル高となり

双子の赤字は増加してしまう

ドル安政策はその頃に

誕生した


そこでドルの供給を抑える

という方法をとるのではなく

トルの通貨価値を

意図的に減じることで

資本の力学

を国際市場へと導入した


それが85年秋の

プラザ合意を即日実施する決定となり

先進諸国が手持ちのドルを

一斉に処分する

という潮流へと発展していくこととなる


当時こぞって売られたドルは

市場の成長性が高い

と思われていた日本へと押し寄せ

最終的に円に投資するのが合理的

と世界中に思わせた

土地の担保価値が

極めて高くなっていたからだった


ドルを保有していた世界の金融勢力に

集中的に買われた円

が日本の不動産市場へと雪崩込み

決して値下がりすることがない

と信じられていた土地神話と結びつき

ローカル市場に過ぎなかった

日本の不動産業界と

資本市場とを

当時大いに賑わせたものだった


それがバブル経済へと発展していき

投資が投機へと変容していったことから

発生した熱を冷まそうとして

不動産融資に対する総量規制を行った

という行為がバブルに針孔を空け

膨張した資産を台無しにした

その行為が後の失われた三十年

へと繋がってゆくこととなる


こうしてドルの通貨価値を

執拗に押し下げたドル安政策で

アメリカの国際収支を

黒字化する

という手段の有効性に

アメリカが気付いた

ということがグローバル経済

へと遷移していくその過程で

世界市場へとドルを流し込むことが

流行りとなった


アメリカが過去に供給したドルを

その状態で市場に放置しておけば

石油需要国は市場に滞留しているドル

で石油取引の決済を行うことになる


そうなるとアメリカは

ドルを新規発行する理由を失い

通貨発行権を活用する機会

を完全に奪われる

そこでドルの通貨価値を

強引に引き下げる目的で

ドル安政策をとる必要に駆られ

そのターゲットを日本円

と定めた

というのが

バブル崩壊へと繋がってゆく


日本に貿易黒字

が大量に

積み上がっていなければ

この円に対するドル安政策

というアメリカが後に常套手段

とするようになるこの方法

の有効性に

気付くことはなかったであろう


これとそっくり同じプロセスが

バブル経済崩壊後(90年代以降)

の為替市場で

いくつもの紆余曲折を経た末に

中国市場で再発する


ドルの過剰流動性を

13億人を擁する

中国市場に吸収させてしまえば

過剰流動を希釈する効果



ドルの新規発行益とが

同時にアメリカの手に入る


ドルの通貨発行権(シニョレッジ)がある

といってもドルの需要が不在なら

どのような価値

も生み出せはしない


市場にドルが払底している

という状況こそが

ドルの通貨発行権を最大化して

アメリカに活用することを

許すのだ


そのためにはドルが

市場にたくさん滞留していたのでは

都合が悪い


そこで高い投資効果が見込める

優れた潜在能力を有する海外市場で

ドルの過剰流動性を処分しながら

石油需要国にドルの供給を

滞りなく行えるよう改め

印刷コストを負担するだけのことで

所定の利益を

合法的に得ることをに

為替市場を通じて利用してきた

というアメリカのその行為が

いま悪影響を世界中の市場へと

強く与えるようになっている


ドルに過剰流動性を与えてきたのが

国際金融資本という名の組織

ユーロが誕生する以前は

ドル資本と呼ばれていたのだったが

ユーロという第三の通貨

が新たに登場してからは

ドルの果たしていた本来の機能を

ユーロが部分的に代行するようになっていき

この段階で

ドルの果たしていたその本来の機能は

曖昧化してしまい

問題の本質を

より一層分かり難くした


その結果ドル余り現象

を消すための措置だった

信用度の余り高くない階層に

住宅を大量販売するための

サブプライムローンを制度化し

全米に展開することが可能となった


だが

優遇期間を過ぎた五年後に

金利を頓着せずに引き上げた

ということが世界中に

不良債権を

同時多発させてしまうこととなる


信用度の低さを

証券化したことで

投資家が支え合う

という前提条件だったものが

反対にデフォルトが次のデフォルトを生む

という最悪の連鎖反応が発生し

これが後に金融危機へと発展し

G20を創設する経過へと繋がってゆく


中国市場が金融危機を救う

ための新規市場

とその後見做されるようになったのは

消費市場の規模の大きさと

東南アジアとインドがもつ

潜在的な消費能力の高さを後背地

としてもっている中国に

アメリカが注目した

からに他ならない


そこで中国を世界の生産基地にする

というフレコミで

ドルの過剰流動性を

中国経済の成長と発展のために

役立てることで

ドルの供給事業を拡大できる

とみた投資勢力一同が

既に飽和状態に陥っていた

先進諸国の市場を中心とする

資本市場を戦場と心得ていた

多くの企業と投資家などが

こぞってドルを売って人民元を一斉に買う

という挙にでた


ドル安政策で人民元高を誘導すれば

アメリカの輸出産業には追い風が吹く


こうして中国市場を熟成させる過程で

購買力を高めてやれば

多くのビジネスチャンスが新たに生じる

と踏んでいたフシがある


ところが日本で成功したドル安政策は

中国ではまったく通用しなかった

共産党政府が

人民元の通貨発行権(シニョレッジ)

を利用してドル安政策に対抗し

大量の元売り(ドル買い)で応じた

ということが後に

中国を経済大国へと

一気に押し上げることとなる


大量の人民元を市場に供給し

為替市場を通じて

ドルを大量に買い支えることで

半固定相場となっていた

ドルと人民元との間にできていた

通貨価値の調整機能を

人民元の大量供給

という手段を弄して

共産党政府が対応し

結果として元高誘導という

アメリカの目論見は

もののごとに

外れてしまったのだった


経験的に経済認識能力のある日本が

事情を斟酌した過去の事実

を経済認識能力が不完全なままの中国が

無視した

というその行為の差が

中国をして

経済大国となるよう仕向けた

ということができるだろう


共産党政府が買い取った大量のドルは

中国に膨大な額のドル資産を与え

たった三年で

中国を世界第二位の経済大国

へと成長させることに役立った


その勢いを借って

軍備の増強へと奔り

浅いサンゴ礁を埋め立てて

自国領土の拡張まで

一気呵成に実施した

というその拙速ぶりが

アメリカの不興を買い

関税強化を手段とする

現在の経済戦争の準備を

アメリカは

この頃に着手していたようである


共産党政府に強大な力を与えたのは

他ならぬ過剰流動性の処分

に困窮していた当のアメリカなのである

そのアメリカの大統領が

権益を拡張しようとする中国に

壁となって



決然たる態度で

立はだかっている


一連の状況を変化させた推移

の意味を承知していたのであれば

アメリカの行動から

意向の変化

を読み取ることは容易であった

共産党政府の対応策には

これといった深みがなく

上っ面に終始していることは

経緯に明か

推移の過程と結果の程は

端(ハナ)から目に見えていた筈なのだ


ドルの属性に留意してこなかった

国際社会のこれまでのあり方が

いま

さまざまな不具合を

現実化させている


たとえば

一向に止まろうとしない温暖化

がまさにそうであり

トラムプが仕掛けた経済戦争

もまたそうなのだ


一つの変化は

次に生まれる別の変化

を否応なしに

連れてくる
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不 毛 社 会 (国際)

2019-06-09 06:33:01 | Weblog
国際経済の反応場に於いて

今起きている事態の多くが

ドルの持つ過剰流動性

に起因するさまざまな変化

の連なり

を理由とする不具合で

派生させたもの


石油の取引の決済で

アメリカが需要に応じて

大量に供給したドル

は必然的に過剰流動性

という属性を身に着けた

これは基軸通貨が遭遇する

宿命といってよい


当時ドル資本

と呼ばれていた一群

が為替市場でその供給と回収を

一手に行っていた時代

にドル余り現象を生む

偏頗な力学的反応

が生じた


特定の通貨がもつ

その過剰流動性を放置すれは

海外市場にドルが大量に滞留し

通貨インフレを惹き起す

惧れがあった

ドルの通貨発行権(シニョレッジ)をもつ

アメリカが得ていた

ドルの供給益の厚みが失せるため

ドルを世界に供給する意義

は色褪せる


往時

ドル資本と呼ばれていた

隠然たる勢力

は米政府の意向を推察し

利益を誘導する機会

を生み出す行為

を生業としていた

独自の判断で

忖度行為を積み重ね

経済政策の細かな変化を

利益創出のチャンスと

捉える行動をとっていた


それが資本移動で生じる

未来の利益の源

となることを承知していたからである


金本位制から一方的に離脱した

71年のドルショック以降

金の裏付けを必要としなくなったドルの発行権は

その供給が青天井となり

アメリカは制限なく

あらゆる外貨とドルの交換

を行う為替市場で

胴元となる身分

を人知れず勝ち得ていた


(最近話題のMMTはこの頃に芽吹いた)


ドル資本はその後

EUの創設に伴って

国際金融資本

という名称で統一された


ドル資本という呼称が消えたことで

問題の本質を世界が知ることを

より分かり難くした

という憾みを残した

これが問題の本質を韜晦し

資本の移動と利益の拡大再生産

という変化の定着

に大きく寄与した


言うならば

ユーロはドルの副生成物に過ぎず

ドルの過剰流動性を

希釈するための方便

という役割を担うことで

レーゾンデートルを確固たるものにし

新しい通貨価値の誕生

を世界から歓迎された


EU政府とドル資本との関係性

はこのような相互補完関係

によって裏打ちされ

国際経済を成長させる

新通貨として受け容れられた


これと似たような状況が

人民元とドルとの間

にも同様に当て嵌る


ユーロは欧州連合という

アライアンスに基づく国家群

で成っている

市場統合型の共通通貨となったが

人民元はドルの過剰流動性を希釈する

目的でアメリカが押し付けた

という違いがある

中国を世界の生産基地にする

という方針を掲げた時から

中国が金満国家となることは

その段階で

運命づけられていた

ドルの過剰流動性を希釈するための

犠牲となった円の後を襲った通貨

が人民元という訳だ


過剰流動性を消去するために

最初の犠牲とされたのが

他ならぬ日本の通貨

円だったことは

今更言うまでもあるまい


土地神話に基づくバブル経済

が崩壊してから

過剰流動性はタイ・バーツへと向かい

最終的に人民元へと統合された

ということになる経緯

が確定している


中国の巨大な消費市場

を後背地

としてもつメリット

があったからだけはでなく

イラク戦争をきっかけとした

石油の価格上昇が

世界規模のドルによる決済の増加

へと繋がり

ドルの需要を底上げし

紙幣を印刷するための費用負担

だけで

価値を自在に創出することが可能な

ドルの発行益

を歴代の米政権は享受しつづけ

地球規模にまで拡大した市場を

新たに創設された国際金融資本が

ドルの供給益をその後も確保する

ことを可能ならしめる仕組みを

為替市場を通じて設えた


過剰流動性を合法的に回収してしまえば

機軸通貨の発行益を

アメリカは従来通り確保でき

その供給と回収を行う際に

国際金融資本には

巨大な不労所得が

往復で手に入る

という隠れた背後の事情が

米国内に過剰流動性を戻すために

サブプライムローン市場を活性化し

返済能力のない低所得層

にまで住宅投資を煽る世相を生み出し

国際金融資本の利益を

厚くすることに効果があった


だが優遇金利が適用されたのは

当初の五年間だけだったことから

六年目の返済からデフォルト

を大量発生させてしまい

その規模が誰にも分からない程

にまで巨大化し

それが証券化され

再販売されるようになっていく


投資で生じた損失を

その行為が最大化する結果

となった


この経過のことを

後にリーマンショックと呼んだ

アメリカのローカル市場の損害を

世界規模の損失にまで拡大させ

G7でハンドリングしていた

国際経済を

G20を創設して

拡大しなければならなくさせた

この一連のものの流れが

アメリカの資本市場に

激震を引き起こしたその経緯


2008年の金融危機後

過剰流動性は中国本土へと向かう

資本移動の新たな潮流を生み

現在の米中関係で生じた

関税の報復合戦の伏線となっていく


中国を世界の生産基地にする

というアメリカの強い意向

が働いて

世界中の市場から

資本財としてのドルと

生産財と知的財産権とが

一斉に中国本土へと上陸する

という稀に見る変化

を生み落し

それが中国共産党政府に

世界第二位となる経済的地位

を奉る変化を与えることとなる


こうしてアメリカだけが持つ

基幹通貨としてのドル

に備わる発行益と供給益とが

同時に為替市場で

胴元の役割を担う

国際金融資本の利益を高め

巨額の報酬を手にれる

トレーダーをその後数多く輩出する

という経過を確定させた


そのための合法的な手段

となったのが

バブル経済崩壊後の

国際経済の反応場を通じた

グローバル市場の敷衍拡大であり

アメリカが過剰供給して

大量に余らせたドルで

中国大陸に投資するトレンド

を誘導してきたそのアメリカが

ドル余り現象を特定の市場

へと集中的に仕向ける必然性

を水面下で導いていた


アメリカが中国を世界の生産基地にする

と唱導したその背後には

ドルが持つ固有の属性

である過剰流動性を

常に処理しておく必要性

に駆られていたアメリカの都合

が隠されている


ドルの過剰流動性が

プラザ合意をきっかけとする

ドル安政策で

日本にバブル経済を誘導した

のと同様の方法で

中国に

世界の共同生産基地を建設するための

ドルが集中するようになり

金融危機以降急速に輻輳した

という事実がある

この経過の記憶

を忘れ去ってはならない


日本の指導者たちは

当時ドル安を放置容認

したのだったが

中国共産党は対抗措置

として元安を積極的に利用した

ということが中国を

たった三年で

日本を追い抜く

金満国家へと押し上げた

この結果を共産党政府が

理由を確かめずにただ誇っている

ということが

現在の米中関係に

反映されているとする


ドルの中国市場への大量流入

は人民元の通貨価値を

当局の制御を超えて

勝手に押し上げた

そこで対抗措置として

人民元の大量供給を実施して

元安効果を意図的に演出し

ドル売り圧力を低下させようとした

ということが

中国にドル資産を労せずに確保させ

世界第二位の経済大国

となるよう意図せずに方向づけた


ドルが今そうなっているように

人民元もまた

紙代と印刷コストを負担するだけで

無制限に発行できるようになっている

MMT(現代貨幣理論)の正当性

を過去の事実が裏付けている


共産党政府が人民元を

大量供給してドルを買いとれば

人民元安とドル高とが

同時に成立する


これは紙幣を印刷するだけで

ドル資産が勝手に手に入る

ということを意味していた

世界の製造業が中国を目指すと

人民元の通貨価値は高まるが

共産党政府が人民元の発行量

を増やすだけのことで

大量のドル資産が簡単に手に入り

人民元の通貨価値の上昇もまた

自動的に抑制できる


この経過を集中的に

三年以上続けてきた

ということが

中国を

世界に冠たるドル資産保有国

へと押し上げ

その利益が中国海軍に

空母の保有を可能にする

という変化を与え

南シナ海の一部を埋め立てて

領海と領土の拡大を

強力に推し進める

という暴挙を誘発させた


ミリタリーバランスに平衡を失った

ということが

アメリカとって

安全保障上の脅威

を与え警戒感を却って強めさせた

ということが経済戦の発端となっていく


南シナ海を埋め立てたことで

そのエリアを海洋権益の根拠と成し

それによる領有権

を強く主張するようになった

ということが

アメリカ大統領トラムプ

の逆鱗に触れ

関税強化という名の経済戦争

を世界中で展開させる

その最大の契機となった


中国の急速な経済的発展は

要するにドルの過剰流動性が

与えたものであるに他ならない


ドル売り元買いという

アメリカの意図に対抗する目的で

人民元の大量発行を実施した

ということが中国をたった三年で

世界に冠たる経済大国へと押し上げ

中国人観光客に

世界各地を訪れさせ

爆買いを放任容認して

国外での消費

を大いに活性化したのだったが

外貨準備を減らしただけのことだった


生産に結びつかないすべての消費は

需要の創出を政府が演出したところで

再生産という循環

を成り立たせることはできない

損失を拡大して終わるのみ


これとよく似た経過は

温暖化対策

の分野でも世界中で発生している

再生可能エネルギーへの転換

を急いでも

大気中の二酸化炭素は

却って大きく増えていた


事実関係の確認を怠っている

という現実を見ないで

エネルギー消費を

勝手な解釈で減らしても

成果はでない

気候変動が収まる

と根拠なく錯誤した

世界中の知識人たちも

同じ罠に嵌りこんでいて

そのことにさえ気づかずにいる


省エネ節電や再生可能エネルギー

に対する投資の総ては

有効需要を生み出していなかった

という現実が気候変動を加速し

異常気象を狂暴化させる動因

となってこれから強く作用する


これらの認識の齟齬

が世界中に損失を撒き散らし

すべての国家に課税強化を急がせ

デフレ化と排外主義を同時に生む

その母体となった


難民を受容する能力を失い

排他性で身を守る

という姿勢の変化が

世界規模で一斉に台頭し

ブレグジットをきっかけ

とする民主義に対する

壮大な疑念を

世界中に突きつけた


教育の高度化を急ぐと

このように不毛な結果が

押し寄せる


問題の本質を見失ったままでいると

有効な対策を取り逃がす

地球という名の

太陽系第三惑星では

こんなことが

いま将に

粛々として

おきている
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不 毛 社 会 (国内)

2019-06-02 08:34:30 | Weblog
政策判断の場に於いて

巨大な誤りを犯していながら

その事実を一度も

顧みなたことがない

という過去の経過

が確定し

平成年間を通じて

一貫する

不遇の時代を

失われた三十年

と呼ばせている


そもそもの失敗の起源は

1985年のG5による

プラザ合意にあるのだが

問題をモンダイとして

意識した記録

がどこにも見当たらない


この時に成立した合意

が即日実施に移され

ドル安政策に基づく

ドル売り圧力が

対象となった日本円

へと一斉に向かう

国際的な資本の移動を生み落し

90年代へと続く

為替市場に於ける

波状攻撃を誘発する

きっかけとなった


その事実を

当時の選良と官僚とが

打ち揃って見逃していた

というそのことが

今の日本に祟っている


G5が合意したことによって

一斉に売られたドル

の通貨価値はアメリカの思惑通り

直ちに下がり

買われた円の通貨価値は

反対に急騰した


この時日本の指導体制

に関わる総ての当事者は

理由のない円高

という表現

を繰り返し使っていて

問題の本質を

逐一見逃しつづけていた

だけでなく

その無能ぶりを示す

証拠を

自らの手で積み重ねていた


ドルが石油の決済通貨となっていた

ということが

石油需要国にドルを買わせる動因

として作用し

70年代に相次いだ

二度の石油ショックを経て

石油の価値を急騰させ

産油国が指定するドルによる決済

というその限定された方法で

ドルの供給圧力を執拗に高めていた

ということが

ブレトンウッズ体制下で

機軸通貨となっていた

ドルの通貨価値を

急速に高める経過を導いた


ドル高はアメリカの輸出産業にとって

おおいなる不利益であり

工業生産物と農業生産物の

それぞれの領域で

アメリカの利益を圧縮する

という結果を米国民に押し付ける


1971年のドルショックは

金本位制からの一方的な離脱

を許し

金の裏付けがなくても

ドルの通貨価値に

影響が及ばないように

予め配慮する

という動機が引き起こしたもの


このドルショック以降

信用経済へのシフトが急速に進み

金融市場の規模を急拡大

させることに大きく寄与した


第一次石油ショックが起きたのは

その二年後である

1973年のことだった


石油の価値が急騰するようになり

産油国は石油輸出国機構

OPECを創設して

生産調整を図って

供給量を共同で制御した


石油資源に備わる固有の価値

の底上げを図った

ということになる訳だ


その後1979には

イラン革命によって

第二次石油ショック

が発生し

石油価格は

更に上昇する結果となった


決済通貨として指定されていた

ドルの需要は自動的に巨大化し

ドルの供給を怠れば

ドル高圧力となって

アメリカの輸出産業は

大きな打撃を受ける

米政府はドルの通貨価値を

急いで引き下げる必要

に駆られていた


そこで85秋にプラザ合意を招集し

計画されていたその内容で

即日実施に移された

ということが円の価値を急騰させ

かつてドルだった資本

で買われた円が

日本市場へ上陸する目的で

世界中から押し寄せた


その代表的な分野となったのが

不動産市場であったのであり

株式市場やM&A(企業買収と合併)市場

であったのだ


バブル経済はプラザ合意によって発生し

国会の成員すべて

が判断を誤ったことにより

破裂した


市場参加者のすべてが

バブルが潰れていた

ことにその後も長く気付かずにいて

それが損失の規模を拡大する

という展開が

不作為の三年とそれを含む

失われた10年

を国民に強いることとなり

その後の政策判断を

またしても誤り続けた

ということが

失われた二十年

へとその期間を倍増させ

最終的にアベノミクスの失敗

を築いて

失われた三十年

を決定的なものにした


悪いことは重なるもので

喫緊の課題となった経済対策

でも判断を誤ってしまい

300兆円規模の財政出動

で公共工事を推進し

景気の回復を図ったのだったが

有効需要の創出に悉く失敗し

その後に於いても

再び

同じ規模の公共投資

を繰り出しはしたものの

外資系企業を太らせて

金融政策の失敗が

中小企業を淘汰する

という惨状を国民に見せつけた


この時代の財政出動の失敗が

後に財政赤字の総額

に於いて千兆円を突破して

財務状況を著しく不健全化し

国民に財政負担のしわ寄せを

押し付けることとなってゆく


バブル経済の崩壊

は不動産の価値を大きく引き下げ

担保能力を失った金融機関

の合従連衡と再編を強制せざるを得なくなり

銀行は滅失した担保の減価

を理由とする融資の引き揚げを急ぎ

追加の融資を拒絶した


その手法となったのが

日本の産業基盤の中核的存在

となっていた中小企業から

強引に貸し剥がしを行う

ということであり

同時に貸し渋りも強化した

ということなのである


この時中小企業の経営者が

一斉に自死するという現象

が社会問題化した事実がある

それが日本経済に重石

となって遅れて作用することとなる


大企業は金融機関によるこの意趣返し

に大いに当惑し

内部留保を篤くする目的で

社員の非正規化と経費の圧縮

にそれ以降専念せざるを得なくなり

それが少子高齢化となって

消費市場の成長率に

下押し圧力を掛ける

原因となって残された


丁度その時

消費税率が5%から8%

へと引きあげられ

国民の消費意欲は

著しく減退した


この顛末を正しく認識していれば

アベノミクスが失敗するのは

理の当然ということになる

それほどこの国の指導体制は

無知で愚かであり過ぎた

これも教育を高度化した結果

が招いたことと言えるだろう


知識の量的拡大に特化

してきた時代の流れ

が巡り巡って思考力を失わせ

批判精神を押しつぶして

穏便で協調的

ではあるのだが判断能力

と問題認識能力が共にない

という知識階級のインフレ化

という変化を齎した


その結果市場を牽引していた

中産階級が淘汰され

無産階級へと押しやられたマジョリティ

が消費能力を失い

非婚化と少子化

そして高齢化を導いた


国家の収入源である

国民の担税能力を

国会が愚劣にも剥ぎとった

というものの流れ

を確定させたのだ


こうした事実関係を

時系列で眺めると

余りにも不毛な現代史

が教育制度の変化によって

生み落されていた

ということが見えてくる


教育の高度化

という世界的な変化が

如何に有害であったのか

というその事実

を顧みることができるなら

オソラク慄然とするだろう


健全な判断能力を

国民が正しくもったとき

権威主義は俗物化する

新文明はそこから

はじまる
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