こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

応 用 力 学

2018-05-27 07:07:38 | Weblog
柔道なら返し技

野球なら一流打者の一振り

などにそれを見る機会

がある


タイミングがうまく合致したとき

力を必要としない反発力

が顕在化する

パワーなど寧ろ

邪魔

力むのは逆効果

力の入れどころ次第で

非力な選手であったとしても

相手のもつ力が

利益となる


打撃で言えば

最適なミートポイントは

ただ一つのみ

それはヘソの前


体の軸がグラウンドに対して90度

バットのグリップエンドとヘソ

の関係も同じく90度

そしてバットとボールが出逢う

その関係が90度となったとき

反発力が

その一瞬に生まれ出る


バッティングに力はいらない

タイミングと

三種類の90度の関係性が

同時に成り立ったとき

打球は理によって

早く遠くへと飛ぶ


優れた打者の打撃フォームを

スロー再生の画面で見るならば

地面と体軸

そしてバットとボールの間には

強い相関する関係が発生している

ということが分かる


教えてできるようなレベルの技

では固よりない

観察力と思考力

理解力と創造力

更に

情報統合力と回転速度を生み出す

身体能力の高さ

などが同時に

相互作用したその一瞬

のみ

にそれは生まれる

三つのローレンツ力

が生み出すその効果

が同時生成したその瞬間



そのような変化を

引き出すことが可能となる


この方法に基づいて

バットでボールを返してやる

だけのことで

ボールは与えられた自らが持つ

そのパワーで

勝手に

遠くへと飛んでいく

そのとき打者に手応えはなく

力の移転が勝手に起きた

という感触を手に残し

打球の行方を

満ち足りた思いを抱いて

目で追っている己に

改めて気付くことだろう


投手が投じたボールには

飛んで行きたい方向が

潜在的に与えられており

ムリな打撃を強行すれば

凡打となって報いを受ける

この条件をバッターが

無視しなければ

醍醐味は投手ではなく

打者のもの


力んでバットを振り回している

体格の良い強打者は

この感覚を理解することが

最後まで

できない


パワーゲームの覇者が

常に強者であるとは

限らない

筋肉増強を急いで

薬剤に頼ろうとするのは

身の破滅

高い問題認識能力を持ち

観察力と推理力

原因と結果を成り立たせている

そのメカニズムを

仔細に観察するその能力

こそ

が運動選手すべて

の役に立つ


思考力が高ければ

起きている事象の意味を推測し

対応する術

を率先して探りだす姿勢

を生む

この謙虚な態度がヒトを一流の存在

へと導き高める


単純思考が生む

力任せのスポーツは

筋肉増強を促す薬剤

に手を伸ばす誘惑を与えるだけでなく

意図的な反則を仕掛けたり

八百長を謀ったり

することで

勝利の価値を引き下げた輩を

再生産する仕組みを放置させ

身勝手な論理を試合に持ち込み

己の非を認めないどころか

正当化するための強弁

をコトとする

荒んだ展開を呼び起こす


薬物疑惑を未だに払拭できずにいる

ロシアの例やアメフトの日大監督の例

などと

大リーグで今年

大いに関心を集めている

日本から上陸した二刀流選手大谷

との違いは

余りにもおおきい


この差は

頭の使い方で

生じている

どんなに知能が優れていても

使い方に問題があるのなら

良い結果を引き出すことは

できない


運動能力の高さだけでなく

その他の分野に於いても

不遜な態度は

多くの悪影響を

見る人すべてに

強く与える


例えば政治や経済の反応場

などでも

当事者の持つ問題認識能力

のありように於いて

巨大な乖離とそれによる損失の増大を

長期間

生じせしめている

ということが

失われた10年を倍の二十年にし

更にそこへアベノミクスによる

結果不在の空疎な5年が加わったことにより

やがてそれが失われた三十年へと

拡大しようとする

直前

にまでなろうとしている


まことに愚かなること

限りなし


認識能力と応用能力とが

共に不在であるのなら

損失は増大して

国民の苦悶は

トワに残り続ける


あざとさに裏打ちされた

問題のある認識は

悪い結果だけを

定着させるものとなる
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危 機 好 機 ①

2018-05-20 10:05:26 | Weblog
文明はいま

自らが生み出した

二重の災害

に襲われ

どう対応すればよいのか

という課題を前に

行き詰ってしまった


最早それは

自業自得と断じざるを得ない

ほどの自らが招いた

その複合する災厄は

当初

気候変動要因の起源

である温暖化現象だけ

のこと

に過ぎない

とそう思い込まれていた


温室効果ガスの一つ

であるCO2の濃度が

増加し続けている

ということが主な原因



突き止めておきながら

その一方的な濃度上昇を

これまでにまったく止める

ことすら

できていなかった


大気中の二酸化炭素濃度は

それ故に一方的

且つ着実

に増え続けることとなり

いまでは400ppm

へと到達するレベルへと届いてしまい

日ならずして410ppm

を記録する事態となった


大気成分の組成は

その大部分である78%が

窒素(N2)であり

酸素(O2)が21%を占めている

その他の総てであるたった1%の中に

二酸化炭素が0.0004%

含まれるようになったのだった

ppmを百分比にすると

この値になる


温暖化の有害性が

俄かに叫ばれるようになった

1980年代付近のそれが

340ppm程度であったことから

経過期間の40年ほどの間に

60%増えていた

ということになる訳だ


数字としては取るに足らないレベルの変化

に過ぎないのだが

気象条件に及ぼした変化の大きさは

まさに異常なものとなっている


強風が対流圏で

年中吹き荒ぶ

ようになっただけでなく

台風の勢力は拡大して

降水量もただならぬ増加を示すようになり

季節からは春と秋とが失われ

ヒトの身体がもっている水分の

急激な喪失を

高くなった気温が急がせる

という変化が矢継ぎ早に

引き起こされた


これらの変化が

過去には存在したことがない

熱中症という名の症状を誘発し

抵抗力の弱い人々

を時に死へと良いやる事例が

急激に多発する時代がやってきた


0.00034%だったCO2濃度が
0.00041%へと

たった0.00006%増えた

というだけで

これほど大きな変化が

大気圏内に生じるようになっている

この一連の変化こそ

過去の総ての環境対策が

無効

だったというその事実を

証明する結果として

文明へと残された


これに続くもう一つの災厄は

この実効性を失っている環境対策

を続けてきたということが

有効需要の創出

を否定する結果となり

環境投資の総てが

無駄となって消え失せた

その事実に無頓着な指導体制すべてに

無駄な投資を善と信じて続けさせている

ということが

損失の高い山を築かせている

といういとも愚かなるその行為

を確信犯的に続けさせてきた

というその経過の事実こそ

国際経済に強い負圧をかけて

デフレマインドを

世界規模で尚増長させている

その行為

の意味にすら気付けずにいる

というノー天気ぶりを

恥ずかし気もなく

世に晒けしだしている

ということが

問題の進行度を

より一層高からしめた


所謂経済成長を保つためには

エネルギー消費は不可欠

経済的発展を急いできた

ということが

地下資源の燃焼を急速に拡大し

温室効果をもつ有害なガス

である二酸化炭素を

自然条件下で

分解可能だったレベルを突破し

濃度上昇を不可逆的に増悪させる

というよく知られた事実の経過を

着実に進める一方となった経緯を

承知していながら

未だに止めることが

何一つできなくなってしまっている


パリ協定とは要するに

このような過去

が生み落したもの

の総体であるに他ならない


環境の劣化と資本の劣化とが

同時並行的に進行する

という未曽有の事態を

自らの拙い認識で

勝手に招いておきながら

温暖化を否定する国家まで

ついに生み出すに至らしめた

これが現代文明の本質

に隠されている

知識階級が陥った下劣さ

の結果である肝心要の部分

に潜む

その不埒な成分一式のエイドス


既存の技術では不可能であり続けている

新しいエネルギー創出法

が待たれている深刻な必要性

の本源は

ここにある

その方法を

いつか見出すことができた組織は

その供給権を制御することで

核の廃絶と破壊のための軍事予算のあらかた

を葬り去るための主

となって広く機能することだろう

文明の危機は

恒久平和実現のための

最後のチャンスなのである


これに纏わる技術情報の管理能力

にこそ

新文明誕生のための

基礎的な条件が潜んでいる

ということが

もうそろそろ見えてきてよい頃だ


自然法則の中に埋もれているその方法

をこのピンチを利用して

うまく取り出すことができたとき

本来の面目を

文明が果たすことを

やっと可能なものにする
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獲 得 形 質

2018-05-13 10:01:37 | Weblog
ありそうもないことだが

アメリカがパリ協定に復帰

することが

仮にあったとしたところで

温暖化を止められずにいるこの現状

がもつ根源的な理由

を排除すること

は不可能

それができるくらいなら

温暖化現象ははるか昔に

解消されていた


それができなかったからこそ

パリ協定と呼ばれる新しい枠組み

を創設する機運が高まり

猶予期限を今世紀末

以前のできるだけ早い時期

に設定せざるを得なかったのだ


経緯の事実に従うと

温室効果ガスの排出量は

これからもトワに

増加し続ける

ということとなる訳だ


これは交流送電を採用した過去

の決断が

遅れて連れてきたその結果

であるに他ならない


交流電源は

システムに組み込んだ回転体

がもつ固有の円運動量

の維持確保

を絶対的な条件とする


電源としての機能とその恒常性を

常に維持する

という厳粛な制約が

課題としてその時設定され

これが電力業界に

避け難い宿命

というものを一貫して

与えつづけるようになったのだった


電力消費が何らかの理由で

大幅に減ったとしても

タービン軸の回転数を

電力会社は

勝手に減らすことが

そもそもできない

それは交流電流の品位を貶め

使えない電流を生むだけでなく

危険な電気を大量生産する

ことになるからだ


交流電流を成り立たせている

その要素成分の一つ



周波数というものがある

これがよく知られている正弦波

の生みの親


発電装置の回転数が変化して

円運動量が突然変化すると

周波数もまた

同じ比率で

一瞬で変動する

このため電力会社のすべてが

燃焼炉の火を止めることが

まったくできなくなっていた

この事実を見落としていた

ということが温暖化を

止めることができないよう

世界を追いつめた


蒸気発電の宿命として

水を熱して得た蒸気に圧力を掛け

水なら沸騰してしまう百度

の熱

を大幅に超える高温を

蒸気圧に生み出させている


この方法が

蒸気圧の変化を

業界に強く戒めると同時に

タービン軸を回すための強い力



タービン翼に伝えさせている


要するに蒸気機関で成り立っている電源

というものはおしなべて

蒸気圧を常に一定

の状態に保っていなければ

熱運動量を

安定した状態で

維持し続けていること

が要するにできない

ということなのだ


このため消費者が節電に務め

電力消費を自らの努力で減らしたり

或は再生可能エネルギーを

大量に設置導入したりしてみたところで

外部電源が生み出す発電量を

増やしたその分だけ

減っていなければならない化石燃料

の消費量を

却って逆に増やし続ける結果となった


これら一連の事実が

環境測定の結果となって

毎年否定することができなくなった

ということが環境投資の一切が

無駄となって消え去っている事実



年ごとにより一層明瞭にしてみせた


これらずべての無駄な投資が

国際経済の場で

成長するための足を引っ張ることとなり

経済成長を長期間低迷させている

その動力源となって作用する時代を生んだ


この経過のもつ諸事実が

見えていないようだと

省エネ節電や

環境性能の高いその他の電源を

大量に導入していながら

大気中の二酸化炭素濃度を

減らすことがまったくできていなかった

ことの意味にさえ

まったく気付けない事実

を果てしなく再生産する事態を

招かせた


一向に減ることがなく

それどころか却って増える一方

という二酸化炭素濃度を更に上昇させ

気候変動要因をまったく減らせずにいる

この粗末な現状を生み出した

CO2濃度を速やかに減らさない限り

温室効果は増長の一途を辿る


このようにして

環境投資を有効化することができずにいる

現状を成り立たせている条件を探るための

要素抽出と要因分析とを何一つ行わないまま

電力消費を減らせばよい

と一方的な判断を下し

問題を単純化していた

ということが文明の危機

をここに今

連れてきた


交流の高圧長距離送電を実施している限り

地球温暖化という現象は

時の経過と共に

増え続ける一方

とならざるを得ないのだ


直流送電への変更は

グリッド化を可能にしはするにせよ

交流送電ではそれが

できない

位相制御の必要のない直流

になら多少の可能性はあるのだが

それができない交流には

単一の電流を接地点へと導く

一方通行の電力輸送しか

許されてはいなかった


直流と交流との違い

を世界中の知識人たちが

弁別できていなかった

ということが無駄な燃焼を続けている

その知られざる理由

その背後には電力業界による

意図的な隠蔽工作が

跋扈している


直流による電力輸送は

送電効率が極めて低く

損耗が甚だ大きなものとなる


送電で生じる電気抵抗による電流損失

を圧縮するためには

高圧化する以外に

有効な方法はない


電力は電圧と電流の積

であることから

電圧を高めれば

電流の値は小さくなる

だが電力としての全体は

まったく変わらない

高圧化が容易にできる交流

であるからこそ

長距離の電力輸送に於いても

損失を最小化することが可能になった

ということが

電気料金の高騰を未然に防いでいる


長距離輸送を経た高圧電流を

減圧するその都度

電流値は元の状態へと

復元されることとなる

変圧工程で生じる損耗の程度は

たった1%であるに過ぎない

変成の仕組みを工夫することによって

電力を増幅して取り出す効果

なども易々と手に入る


電信柱を繋いで

どこまでも果てしなく

伸びてゆく配電線は

終点がどこにあるのかさえ

分からないほど

電源の補給なしで

延々と

全国の津々浦々にまで

均一にムラなく

きちんと電力を届けている

これが変圧変成工程を工夫することで

得られる電力

を生み出している増幅効果


変電所に繋がる送電線の鉄塔

を見れば

引き込み用の電力線と

再び送電線へと戻すための

別系統の二種類の電力線とが

鉄塔を挟んで

三本ごとに一対

となる仕組みとなっていることが

誰の目にも明瞭に見て取れる


変電設備を介することで

電力を半減させる過程で

電路を分割する際に

50%の減圧を実施すると

電流値が二倍に増やせる

この変圧操作は交流であるが故に

できたこと


変圧装置に付属するコイルでは

周波数がもつ位相は

90度遅れて顕在化する

この後れを復元する目的で

併設の進相コンデンサが

位相の復元を実行する

こうすることで三相交流がもつ

120度の位相差を取り戻すことができ

復元効果を活用する仕組み

をうまく成り立たせている


このようにして変圧と増幅とを

長距離送電の途上の任意の地点で

電力量を規定できるようになっている


需要地にグリッドを構築する

ということは

位相変化で生じる様々な調整

をそれぞれの交点で

円滑に制御する方法が

成立していなければならないのだが

その証拠はどこにも見当たらない


グリッド構造が未だに実現していない

という現状に鑑みると

技術レベルに認識の大きな相違

がみられる

乖離を埋めるために残された

最後の壁

を乗り越えることが

未だにできていない

とそう判断することしか

できない


交流と直流との違い

を弁別していなかった

ということが

問題の所在を自らの手で

韜晦することとなり

周波数とそれに付随する位相の安定性確保

とを同時にやっている交流電流による

長距離高圧送電の

それが宿命となっている


このことが

燃焼炉の火を絶対に減らせない

とする困難な状況を

世界中の電力業界へと

等しく押し付けた


これが環境対策に莫大な公的資本

を毎年投下していながら

大気中の二酸化炭素濃度を

却って増やしてしまっていたことの

水面下に置かれ続けているその理由

背後には電力業界の秘密主義

というその姿勢が蟠踞している


これが世界中の知識階級に

交流と直流とを混同させることとなり

省エネ節電や再生電源の増設

を急がせておきながら

温室効果ガス濃度を

却って高め続けさせてる

不毛な結果

を残す結果を齎した


問題の本質は

交流と直流の違い

を弁別することなく

同一であると独善的に見做してきた

知識階級がもつ傲岸なその姿勢と

判断能力の大いなる劣化

とが引き寄せた知の脆弱化

に起因して派生的に引き起こしたこと


その結果

実効性を失った環境対策を

止めることさえできなくなり

パリ協定という

達成期限を最長で今世紀末

と設定することしかできなくなった

国連の環境部会が

無駄な投資を加速する

という実に愚かな顛末だけを

こうして世に残す事態

となった


思考力を失った知識人ほど

愚かなる存在はない

これこそが教育を高度化させてきた

そのことによって得た

学力水準の高さ

がついに辿りついた荒れた岸辺

とその光景


知識の大量修得は

思考回路を習熟させるための機会を

学習に要する時間

が奪いとったことにより

認識能力の高度化を

却って阻害する結果を導いた


考える力は

ホモルーデンスにとって

遊ぶことによってのみ

涵養されるものなのだ

後天的に獲得した学力信仰が

止まらない温暖化を

地球規模で刷り込んだ

ということになる一連の粗末な経過



文明の危機をこうして

ここに連れてきた


問題の持つ深刻さ

を健全に理解するためには

教育のあり方

を再点検する必要

が先ず第一にある

とする
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枠 組 転 換

2018-05-06 10:17:38 | Weblog
戦後長期間つづいていた

イデオロギー対立の時代が変化し

鉄のカーテンと呼ばれていた

米ソ間の冷戦構造が消えたのは

マルタ島沖の艦船上で

当時の米大統領だったパパブッシュ



ソ連共産党書記長ゴルバチョフ

とが

1989年12月2日から3日にかけて

軍事的対立に終止符を打つ

ための合意を成立させたからだった


相互に直面する状況となっていた

当座の脅威

を予期せずに失った格好のアメリカは

軍事予算を増やすための理由

をその直後から

喫緊の課題として

探さざるを得なくなっていた

軍事予算を減らすことになる

などとは

誰もが考えていなかったからである


新たな敵を大急ぎで作り出す

その必要に迫られたアメリカ

の軍産複合体制は

不自然なほど突発的に発生した

湾岸戦争に助けられ

最新鋭の兵器と映像情報を

そこで世界中に

具体的且つ詳細に

指し示すことができたことから

米軍の存在意義を

世界中にこの時

知らしめることに成功した


マルタ会談の翌年

90年8月2日に

湾岸戦争がついに始まった


イラクがクェートを予告なく侵略し

その報復戦という位置づけ

の戦争だった

世界の平和を守る保安官としての立場

を以前から自負していたアメリカは

理由のないクェート侵攻を行ったイラク

を討伐するための攻撃

であることを強調し

NATO加盟国を中心とする

多国籍軍を急遽編成し

イラクに対する集中攻撃を

入念な準備を

半年ほどの時間をかけて実施し

戦争状態へと突入した


敵のプレゼンスを

常に必要としているアメリカは

戦闘に於ける行動の

合目的性を敢えて強調することで

自らを正当化する

という手続きを踏むことを

常套手段として心得る


真珠湾攻撃を日本海軍に

先制攻撃を仕掛けさせ

被害状況を米国民に訴えた上で

全米規模の報復感情を

煽りに煽った

日本軍に対する確定済

となっているこの事例や

ベトナム戦争の理由となった

トンキン湾事件を演出した

その事実のみならず

9.11を事前に防遏することなく

易々と実行させてしまったことで

後のイラク戦争を

テロとの戦いという名目で

合理化した一連の史実

などがアメリカのもつ

戦争を合理化するための傾向の存在を

よく物語っている


それが好戦的なアメリカの持つ

行動原理であるということを

連綿たる事実の山が傍証となっている

これら時系列で整理された史実

の記録と経過が

数多く世界史に残されている


クェートを攻略したイラクの意図は

当時から不明であった

CIA周辺からの使嗾があった

という可能性も当時指摘されていた

扇情的な間接情報を跋扈させた

とする報告は証言者自らが

その後認めている


米軍のもつ攻撃能力の高さを

なにはともあれ

結果として世界中に示したことで

リビアのカダフィを自発的に帰順させる

という意図せざる効果も

誘導する結果となった


先般北朝鮮を名誉ある譲歩(帰順)

へと導いたのは

力による示威行動を突き詰めていった

その結果として与えられたもの

という点で

それぞれに共通する経過の痕跡が

二重写しとなって

歴史の残像を結んでいる


パパブッシュは湾岸戦争の戦費調達を

増税という方法で賄った

それが通常2期8年つづく予定の大統領職を

1期4年で終らせた

その後民主党のクリントン政権が後を襲い

定例の二期八年

を多くの問題を残しながらも

務めあげ

ソ連の自己崩壊とそれによる自由化の波

がドル経済圏の拡大を促した

この僥倖が加わったことによって

双子の赤字を黒字化したものの

ブッシュジュニアがイラク戦争で

蕩尽してしまったのだった


そのキッカケとなった

同時多発テロの犠牲となった

軍産複合体制を支持基盤

とする共和党政権は

ソ連の核と

リビアが開発していた戦術核の脅威

を消し去った後の時代で

米国民に一致団結するための

政治的危機

を新たに創り出す必要性

に改めて強く迫られる

ようになったのだった


9.11が発生したその背景には

アメリカの軍事力が

世界の平和を維持している

と自負する共和党政権に通有する

独善的な矜持があった


そこで冷戦が終結を迎えた後

テロとの戦いを標榜することにより

9.11の首謀者二名

をアフガニスタンの禿山に

追いつめておきながら

意図的に取り逃がすことで

イラク戦争へと突入するための

理由

を作り出すための陰謀を巡らし

アフガニスタン侵攻を含めて

十年に及ぶ中東での戦闘が

続くにようになったのだった


テロとの戦いだけでは

長期戦の理由としてはまことに不十分

そこで

大量破壊兵器の実戦配備をイラクが実施した

とするCIAからの情報を根拠に

多国籍軍の招集を再び行った

というところから

イラク戦争が始まった

その情報が虚偽であったとする事実が

その後発覚し

アメリカがその事実を認めたことで

イラク戦争に於けるアメリカの敗戦が

ついに確定する結果となったのである


中東を全般体に支配する重石

として機能していたイラクのフセイン政権を

アメリカが強引に民主化した

というそのことが

クルド人勢力と

地方軍閥双方の支えとなり

力による再支配を目論む勢力が

一斉に台頭し

ついにはイスラム国さえ

生み落す事態となった


イラク戦争がつづいていた間

テロ組織の陽動作戦として一般化していた

相次ぐ自爆テロによる攻撃が

宗派間の対立を亀裂へと変え

修復不可能な乖離をより一層深めた


これら一連のアメリカによる謀略と

テロ組織とによる反抗とが

世界的混迷を生む原点

となっただけでなく

増税抜きで戦費調達を図ったそのために

自然災害を理由とする原油相場の

長期的高騰を自ら演出し

国際経済全体に

エネルギーコストの上昇を強制

する結果を押し付けたそのことが

経済成長を長期間低迷させる

原動力となって人知れず

地球規模の作用と

反作用とを相次いで派生させたのだった


原油相場を高騰させたそのツケ

が過剰流動性の圧力となって反作用し

ドル余り現象を起源とする

信用経済の破綻

を意味するリーマンショックへと繋がった


イラク戦争を継続するための戦費調達を

原油相場の長期的高騰で賄っていたアメリカは

過剰供給したドルを回収する必要性に迫られ

資本の還流を目指して

その仕向け先を北米大陸へと絞り込み

サブプライムローン市場を債権化することで

過剰流動性の解消を目論んだ


これが2008年のドル余り現象による

リーマンショックへと繋がって

G20と呼ばれる新体制

が慌ててつくられた


現在注目の対象となっている北朝鮮の核

は未完成状態で頓挫したまま

の状況下で推移しており

地下核実験場となったその山塊は

自己崩落する結果と遭遇したことによって

膠着状態へと陥らざるを得なくなる

その重大な契機となった


核の脅威をアメリカに与えるつづけることは

これで不可能となってしまったのである

そのタイミングで北朝鮮包囲網

が一斉に敷かれたことから

金正恩体制は孤立したものの

冬季オリンピックの開催が

南北融和の機運を俄かに高めることとなり

アメリカに対する北の挑発に

鉾を納めさせるための

きっかけとなる偶然を与えたことから

対立姿勢の方向転換をするための

絶好の機会となった


このような偶発的というべき

個々の経過とその推移などが

膠着状態となっていた関係性

を改めるためのまたとないチャンス

となった


倖いは窮した後でやってくる


力による駆け引きというものは

力関係の確認を経た後に

一気呵成に安定化へと向かう

という通例をまたしても補強した


考えすぎて判断を誤ると

用意されていた落としどころ

を見失う

北朝鮮は既に方針を

不退転であるとして公表した

信頼関係を失っているにせよ

最早後戻りすることは

できない

またその気もなかろう


唐突に消失した抵抗するための理由を

外野が勝手に騒ぐことで

道を閉ざし

緊張を甦らせてしまうことほど

愚かなる展開は

他にない


情報分析能力が

健全なものであるのなら

アメリカは新たなる敵の創出

にほどなくして腐心する立場

へと追い詰められる


軍産複合体制が新たなる脅威

の導出に失敗しなければ

極東の米軍基地の延命は

可能

敵の創出に失敗すれば

米軍基地の存在理由は

一瞬で消え去る

北米大陸の失業率は

健全性を保っていることが

それ以降最早困難となり

国際経済をより一層

不安定化させることとなる

変化の波はこのようにして

想定の範囲を超えて

遠くの領域にまで

大きく波及する

予測不能な変化を

避けることは

誰にもできない
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