こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

末 期 症 状

2008-12-23 12:22:05 | Weblog
企業の内定取り消しという行為は 

大きな変革がやってくるその予兆

戦後の教育システムは 一流企業への就職というゴールがあったからこそ

成り立っていた

企業が新卒の採用に慎重であればあるほど

教育産業は苦しむことになる


大学を卒業しても仕事が得られないのでは

学歴を積み上げる意義はない

経済環境の変化は 教育システムの在り方にまで影響を及ぼすようになるだろう


教育費だったものから投資効果が失われていくと

進学意欲は低下し 若年労働へのシフトがはじまるようになる

一流企業への就職が保障されない教育制度を支えるために

資本を投下して惜しまない親など そう多く居るものではない

学ぶ目的を異にする学生を許容する社会には

多様な選択が許される

均質化を目指した教育は 必然的に排他性をうみだした

いじめという陰湿な攻撃をはびこらせていたものは

教育の場で行われていた公平性という美名のもとで

平均という狭い鞘に収まろうとする若者の大量生産が生み出したもの


突出したものに対する平均からの総攻撃であるいじめは その象徴なのだった


平均値に収まってしまう認識というものは

一様な反応をすることで自らの位置を安全なものにする

国際経済が危殆に瀕するようになるまでには

それを回避するための十分な時間が与えられていた


経済危機の原因となったドルが信任されなくなれば

円ドル相場は乖離幅を一層拡大するようになる

輸出で栄えてきたこの国の産業は成長することが困難になり

景気はじり貧状態へと遷移する

輸入産業にとっては 円高が追い風であったとしても

収入レベルが低下する一方の経済環境下では 

消費意欲そのものが減退するため マイナス成長とならざるをえない


新卒採用を見送る企業がこれから次第に増えていくと

就職浪人が増え 失業率は更に悪化する

リセッションになれば 当然ながら景気は失速し

企業は 収益を確保するためになりふりに構っていられなくなる


国の歳入欠陥が巨大化していくにつれて

歳出予算は 年とともに矮小化していく

消費税の税率を引き上げて この難局をのり切ろうとする構えだが

国の借金を徒に増やしてきた自らの責任を棚にあげて

負担を国民に求めようとするその姿勢の異常さに気づく者は いない


赤字国債の累増は そのまま 政策判断の誤りを示す指標なのだ

その原因を作った歴代与党の末裔が 

苦し紛れに

消費税の引き上げを国民に押し付けるための伏線を

張ろうとして蠢いている


変化の時代には 末期症状が蔓延する

あたらしい規範が模索され

その実現にむけた運動が蜂起となって顕在化するとき

問題の根源となっていた各種のシステムは見直され

多くの制度が存続できなくなるだろう


産業構造の転換を図るべきときには 積極的に行動するのが賢明である

欠陥をもつシステムを保守しようとするのは 自らの生命を損なう行為

末の世の中では

志の高さというものが求められる



人類が経験したことがない未知の課題には テキストがない

この難局を打開するための方法を教えるものは いないのだ


だが


貧すれば鈍し

鈍すれば窮する

窮すれば即ち通じる ということになっている

自らの苦しみを糧として 

有効解を探し出すしか 生き残る道はない


法則は すでに与えられている

真実を見損なっては ならない 
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適 者 生 存

2008-12-07 16:46:30 | Weblog
あらゆるシステムには 欠陥がある


ソ連型の共産主義体制を自己崩壊させたのは

その内部に潜んでいた要因の一つである

人の心がもつ繊細な綾模様というものを 

党指導部が要素化してこなかったからだった


唯物論は 心の成分を扱わないものなのだ


ひとの思いというものは 目に見えないため

数値化することができない

物として扱うことができる項目だけを根拠として

科学的と認定される方法で

それを積み上げていったのが

共産主義体制と呼ばれるものになったのである


権威を蔑にすると 修正主義として指弾されてしまうほど

共産主義の根本思想は絶対的な教義になっていた

絶大な力を見せつけていたコムニズムは

資本主義社会が急速に発展していったことにより相対化され

後れをとった共産圏諸国の国民生活のレベルに

取り返しがつかないほどの

大きな差がつくようになっていたのだった


ソ連が自己崩壊したのは

米ソ間の経済格差が

どうしようもないほどまでに拡大してしまったからだった


だが、勝ち残ったかにみえた資本主義体制は

いま

自らの生み出したその仕組みによって

内部崩壊しようとする直前の 重大な危機に晒されている


ドル経済圏の一翼を担い 

自由主義経済の波に乗って発展してきた世界の自動車産業は

経済環境が変化したその煽りをうけて 

かつて経験したことがないほどの窮地に 

立たされるようになってしまったのだった


米国では

潤沢なドルでマネーゲームをおおいに楽しんでいた金融資本の経営者や

ビッグスリーなどのCEOたちが

企業の利益よりも 己の過分な取り分を優先させていたことから

企業の経営自体が成りたたないようになっていた

これらの経営者たちは 

膨大な負債を抱えた企業を維持することができず 

首を竦めて北風がやむのをただ待っている


一方 日本の自動車産業はというと

円高の再来で輸出すること自体が困難な状態へと陥ったのである

国内の産業を扶育するべき役割を担っていた銀行が

当初の円高を演出したドル資本に対して

世界最低金利となっていた円を大量に供給していたからだった


担保の価値が下がれば 銀行は一瞬で与信過剰の状態となる

株価の下落と円高が同時に起きるようになったのは

担保価値の低下が

邦銀の与信能力を超えてしまっていたからだった


キャリートレードで国外へでていった大量の円を召喚する必要に迫られて

銀行自らが円高を招き寄せる役割を演じるようになったのである

その結果 自動車産業全体を追い詰めただけでは済まず

輸出で稼いでいたその他の産業にまで

円高という避けがたい打撃を与えることとなり

窒息寸前の状態へと日本経済を追い詰めるこの現状を生み出した


銀行みずからが 

輸出で成り立ってきた日本経済の根幹を圧迫するようになったため

国民の生活はより一層不安定なものになろうとしている


ものには 節度と分別とが必要なのだ


健全だった企業の生存を危うくしているのは

目先の利益に走った金融業界そのものであった


不適切なシステムは 

自ら崩壊することによって 

より良いものをそこに残そうとする

あたらしいシステムを生み出す原動力となるのは

滅ぶべき定めの劣化した古いシステムである

新陳代謝を促してやると 長生きができるようになるという教訓
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崩 壊 過 程 ①

2008-12-01 05:45:05 | Weblog
金本位制から離脱した後のアメリカが作り出した資本主義という名のシステムは

共産主義体制を内部崩壊させる原動力となる素地を生み出しはしたのだったが

そのために

自らがつくりあげた資本制度そのものを

制御不能の状態へと追いやることにもなったのだった


自由主義社会における金融システムが行き詰ってしまったのは

信用経済で成り立っていた資本主義を標榜してきた経済体制が

実は

信じるに足りないものであるということを

当事者のすべてが 

この度の金融危機で

実体験したからだった


そのきっかけとなったものが サブプライムローン

低所得者向けの住宅を担保とした 

高利の貸付金を融資するためのあたらしい仕組みであった


基軸通貨となったドルに備わる過剰流動性というものの一部を

米国内の景気浮揚に役立てようとした当局の思惑は

「浅慮の逸失」とでもいうべき皮肉な経過をたどり

大量の資本を焦げ付かせて回収できないようにしてしまったのだった


新市場の創出作戦に関与していた金融資本は

互いの損失を支えあう体制を築くために

債権そのものを「債券化」して販売する という手法を編み出した


これは保険業界における再保険の制度によく似ていた

信用を下支えする制度ができたことから

金融資本は 事実上無制限の貸付競争へと突入していったのである


回収できなくなった不良債権が急増してきたために

モーゲージされた債権を引き受けてきたところが 

臨界点を超えているというその事実に気づいたことから 

一斉に債務超過の状態へと陥ってしまったのである


信用力で資本を融通しあっていた金融機関は

底の知れない不良債権を抱え込んで 

すっかり慎重な姿勢を取るようになったのだった


プレミアをつけても融資に応じない金融機関が増加し

資金繰りに窮した金融資本から 破綻しはじめるようになっていった


イラク戦争で大量の兵員を長期間派遣していたその費用を

アメリカはドルの発行権を拡大することによって得てきた

この方法を採用したことによって

戦闘が続いている間 石油価格を上昇させていなければならない

という状況に陥ってしまったのだった

その結果 

世界中でものの値段が急上昇する という展開が生じたのである


原油価格を決めているのは アメリカのWTIという市場である

その価格動向を 政権が望む通りに制御するためには 

需給状況がタイトになっているという情報を 

ただ発信しつづけていればよかった


もっともらしい理由をつけておけば 石油を必要とする世界各国は

値段が釣り上った石油を買う以外の方法をもっていなかった

主要なエネルギー資源を石油にしてきたという歴史が作られていたために

アメリカの専断を許すような経過をたどり

すべてのものの価格を上昇させ

世界規模のインフレを出現させてしまったのだった


原因者となったブッシュに代わる新大統領が決定的になったあと

石油価格はイラク戦争が始まった頃の価格水準へと

自動的に低下していった


だが イラクから米軍の撤収はまだ始まっていないのだ

このことから 原油相場は

また いつか 

上昇を再開するものと思われる


政権が交代しても 

その経済官僚の多くは 

共和党時代の担当者がそのまま引き継がれることになっているからだ



新政権に問題がまったくみえていない ということが 

この人選によって明らかとなった

治療と称して傷口を却って広げる結果を得るのなら

国際経済は 病状をさらに悪化させてしまうことになる



ドル経済圏の確立を目的に世界を牽引していたアメリカにして 

この ていたらくなのだ

日本の指導者層の認識は 

いったい

どのようなレベルに到達することができたのだろうか
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