ロンドンオリンピックのトラックレースの出場権争いが行われている最中であるが、これが実に複雑である。
UCIが作成した概要(英語)
これによると、対象期間は既に2010-2011年のワールドカップより開始されているが、各地域における枠もあらかじめ決まっている。
例えば、男子チームスプリントについていえば、欧州が5、アメリカ・アジア・オセアニアが各2、アフリカ1の計10ヶ国。つまりは、日本の場合、アジアで2位以内のポイントを稼がないとオリンピックには出場できない。
また、男子スプリントとケイリンに関する各地域の割り当てであるが、欧州が4、アメリカ・アジアが2、オセアニア・アフリカが1である。但し、チームスプリントに出場する国から各1名、それぞれスプリントないしケイリンに出場枠が割り当てられることになっているから、とにかく、チームスプリントの出場権を獲得せねばならないのは言うまでもなし。
チームスプリントのオリンピックランキングによると、11月25日現在、日本は全体で8位(1365ポイント)。アジアではトップである。中国は全体9位でアジアでは2位(1215ポイント)。ちなみに、アジア3位(全体11位)はマレーシアで645だから、多少開きがある。ま、何とか出場権は獲得できそうかな。
男子チームスプリントランキング
一方、女子のチームスプリントについては、アジア枠ということに関して言うと、中国が1510で全体2位。続く韓国は360ポイント、日本は3位だが120ポイントにとどまっており、今の調子で行くと韓国を抜くのは厳しいな。よって、女子短距離は出場権を取れないかも。
女子チームスプリントランキング
アテネと北京では、世界選手権のB大会といって、要はレベルが低い国へのための大会が開催されていて、そこで優勝した選手・国に出場権が与えられるというシステムがあった。これを利用して、大菅小百合、佃咲江、和田見里美がオリンピックへ出場できたわけだが、今回はそのような大会がない分、出場権を得るのはかなり厳しい。
一方、出場できればオリンピックの場合、エントリー数が多いため、どの種目においても「強い者が勝つ」という傾向が強い世界選手権とは違って、道中で波乱含みの展開になる可能性がある。
それは、厳しい出場権をくぐり抜けてきたということで、勢いに乗っている選手が必ずいるからだ。
そもそも、前回の北京における、永井清史のケイリンにおける銅メダルなんて、ほとんど予想できなかったし。そういや、アテネのチームスプリントで日本が2位以内を決めた瞬間、欧米のマスコミ連中は「アンビリーバブル!」を連発してたらしい。
言い換えると、オリンピックはいずれの種目にせよ、「勝った奴が強い」ということになるな。したがって、世界選とは趣の違う大会といえるかも。