いつも見上げている岩国城。この日ばかりはちょっと見下ろして
「700年前の平家の落人にゆかりのある虚空蔵菩薩が、山道を少し登ったところに祀られている」と教えられたのは今年の初め。
ウオーキングを兼ねて時々登っているという友に、「1月13日は縁日としてお祭りがあるようだ、登るのならその時がいい」と。
約束通り時間を違えないよう心して出かけたが、途中ラッシュもあって、約束の刻限ギリギリに到着。
冬備えの少しふくらんだリュックに、食糧・飲料・チョコレートなどを入れて、いざ出発!!
初めて登る小生のために、およそ250歩を一区切りとして、1合目、2合目・・・と10合目までの数字が、道端の大木や竹、果てはガードレールや路面にまで記されている。友のこんな細やかな気配りに、感謝の気持ちを笑い話に替えながら楽しく登って行く。
上り詰めたところが、岩国市からお隣の和木町に抜ける峠で『桜ケ峠』と名付けられている。そこに虚空蔵菩薩が鎮座まします。
ゆかりのお寺から出張してこられた住職による読経に合わせて、およそ20人の参拝者一同焼香。
お接待の冷酒を少々、おむすび代わりのパンを一個頂いた。思わぬ旧友に出会えたり、ドラム缶のたき火以上のぬくもりを懐に詰めて。
さあ本番の岩国山頂上を目指して新たな出発。
『 周防なる 盤国(いわくに)山を越えむ日は 手向けよくせよ 荒しその道 』
と、万葉集第4巻に詠まれている通り、その昔は荒々しい山道であったであろう、岩国山のけもの道を歩くこと1時間弱。
標高277.8mと標識のある岩国山頂上を極めた。これまで、見上げるばかりであったお城をわずかに見下ろす位置に立って。
冬の北風が吹きぬけるが、頂上から望む見晴らしのよい景色に、身も心も温められる。おむすびが美味い。お茶が喉を鳴らす。
気掛かりな左足親指の付け根。痛みが出ないか、途中棄権にならないか、多少の心配はあった。
が、どうしてもだめなら途中で引き返してもいいや、と友の優しさを頼りに挑戦した今回。履いて行く靴も最適のものを選んだ。
山登りは経験が浅いだけに自信がない。そういう意味では自分にとって今回は “中くらいの挑戦” であった。
楽しかった。心配した足の痛みもほとんど感じなかった。真冬の山歩き、汗をこそかかなかったが、身体も気持ちもホッコリ。
遅ればせながら芽生えた、近隣の小高い山歩き。今年もまた、健康優先、元気に身体を動かしたい。
そして、色んな場所を案内してもらえる友の存在、時に着いて来てくれる仲間の存在。感謝は尽きない。