『学校へ行くのとほぼ同じ距離を歩いて、小学5年と3年の孫兄弟がやってくる。
玄関を入るや居間にある冷たい麦茶ポットに殺到。先だ後だと小競り合いしながら喉を潤す。
次に冷蔵庫のドアを開け放ち、スイカ・トマト・キューリ・チーズなど、あれよあれよという間に彼らのお腹に収まる。
夏休みの留守家庭に二人を放ってもおけず、我が家を教室とする臨時講師を引き受けた。
騒々しさと素朴な質問攻めに攪乱された頭もいつしか慣れた。
彼らの来ない日は手持ち無沙汰で落ち着かない。この夏、すっかり孫中毒に侵された』
2011.9.16 毎日新聞「はがき随筆」 掲載