『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想277  どちらかが彼女を殺した

2020-01-28 14:12:00 | 小説(日本)

読書感想277  どちらかが彼女を殺した

著者      東野圭吾

生年      1958

出身地     大阪府

初出版年     1996

出版社     (株)講談社

☆☆感想☆☆

 加賀恭一郎シリーズの第4の事件。事件の進行役は被害者の兄である、和泉康正。被害者の和泉園子のたった一人の身内であり、死ぬ数日前の電話で「裏切られちゃったんだ。信じてた相手に」といい、帰郷するはずの日に帰ってこない妹を心配して、練馬のアパートに来て遺体を発見する。愛知県警の警官である康正はタイマーをかけた通電ショックで亡くなった妹の犯人を捜すべく、いくつかの証拠品を集めて自家用車の中に隠す。ゴミ箱の中の髪の毛や、冷蔵庫に貼ってあった2件の電話番号など。そしてドアにかけてなかったドアチェーンをかけて外から切断する。一連の作業が終わってから、第一発見者として警察を呼ぶ。やってきたのは練馬警察署の山辺と加賀恭一郎。康正は練馬警察署が妹の死を自殺で処理すると思っている。だからこそ自分が真犯人を探して復讐せねばと思っているのだ。加賀恭一郎の動きも康正の目を通して語られる。康正の独自捜査も進み、容疑者が絞られていく。そうした康正に恭一郎がたびたび接触してきて、捜査状況を知らせてくれる。恭一郎に会うことに警戒心を抱きながら、その情報をもとにさらに真相の解明を進めていく。恭一郎もはじめから他殺だと思っていた根拠が最後に明かされるが、康正のドアチェーンの工作が加賀恭一郎の捜査の大きな障害になっていたこともわかる。容疑者は二人に絞られるが、最後までどちらが犯人かははっきりと明示されていない。警察の捜査に不信感を持つ警官の容疑者に対する復讐はどのように果たされるのだろうか。それが本書のキーポイントだ。犯人が誰かということと並んで読者を最後まで引き付けていく要素になっている。


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