『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

映画雑感3  アンナとロッテ

2014-07-18 00:36:19 | 映画

 

アンナとロッテ [DVD]

 

映画雑感3  アンナとロッテ

 

 

 

 2002年に制作されたオランダ映画。2004年に日本で公開された。第76回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品。

 

 ある保養地のホテルで貧しそうな老女が裕福そうな老女に話しかける。「関節炎は遺伝よ。ロッテ。」裕福そうな老女は「アンナ」と言って立ち去ってしまう。

 

 ドイツの幼い双子の姉妹が両親の死後、別々の家に引き取られて育つ。ロッテは裕福なオランダの家庭で育ち、大学にも行く。アンナは貧しい農家でこき使われ、養父母が知的障害者と役所に届けを出して学校に行かせない。アンナは神父さんによって養家から救い出され、修道院で何年か過ごした後で、メイドとして自活を始める。時代はナチスドイツの時代で戦争の足音が迫っている。やっとアンナの行方を探し出したロッテが訪ねてくる。アンナはある伯爵夫人のお屋敷で働いている。お屋敷の中の反ユダヤ主義の雰囲気に疑問を持たないアンナにユダヤ人の婚約者のいるロッテは衝撃を受けて、いったん招待したアンナのオランダ訪問を白紙にもどす。傷心のアンナはあるドイツ軍の将校と知り合う。

 

 幼いときに周囲の大人の思惑で生き別れにされ、再会したときは一方は侵略国家ドイツの国民であり、もう一方は被侵略国家オランダの国民であり、またユダヤ人の家族であるという構図の中で引き裂かれて行く。

 

 戦後も被害者という立場でアンナを責めるロッテに醜さを感じてしまう。ただドイツ人というだけで、戦争とも戦争犯罪とも無縁なアンナがとても気の毒だ。アンナはドイツの勤勉で向上心に富んだ庶民を代表しているような存在だ。

 

 姉妹の話というより戦争の被害国民、加害国民、ホロコーストの被害者が加害者を許せるのかといったテーマを視聴者に投げかける映画だ。

 

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